2006年6月 6日 (火)

村上氏のインサイダー取引、「過失です」??~ライブドアの辿った道その14

前回、ウチの事務所の会社法チームが忙しいというお話をしましたが、忙しいのは会社法チームだけじゃありませんよという声が聞こえてきそうなので補足します。

当然不動産チームや、その他の不動産関連取引の支援部隊(メガバンクで融資書類の集中・チェック業務を行っている部隊やREITでのアクイジション・クロージング業務を行っている者)も、そしてプライバシマークの取得準備をしている者も当然多忙で、ハードな業務をこなしています(ただ会社法チームは昨夜は徹夜だったようですが・・)。

そして、多忙になればなる程、ストレスや疲労による精神面・肉体面の不調が生じてきますし、組織や対人面での問題も発生してきます。こういったマイナス面を解消し、活き活きと働き甲斐のある事務所にしなければ、つまり「ES」employee satisfaction、従業員満足)を実現しなければ「CS」customer satisfaction、顧客満足)は実現できない、という事なんですよねー。

060605_005 さて、村上ファンドの村上氏、逮捕されました。

以下は「読売オンライン」から

「村上容疑者の説明などによると、村上容疑者は2004年9月15日、ライブドアの前社長・堀江貴文(33)、前取締役・宮内亮治(38)両被告と会い、「ニッポン放送はいいよ。あなた方も買って」と勧めた。同年11月8日には、両被告らから「ニッポン放送はいいですね、ほしいですね。経営権取得できたらいいですね。僕らもいっぱいお金を準備します」との意向を伝えられた。05年1月6日にも、重ねて「経営権がほしい」と言われたという。

 村上容疑者は04年10月~05年1月、同放送株約200万株を買い増してお060605_004 り、一連の経緯から、特捜部では、村上容疑者の同放送株買い増し行為は、発行済み株式の5%以上を買い占める側から未公表の情報を入手し、その株を購入したインサイダー取引に当たると判断したとみられる。2006651731  読売新聞)」

「インサイダー取引」というと、会社の関係者がその会社の株についての内部情報を利用して株を売買して一儲けするというイメージがありますが、証券取引法はもう一つ、「公開買付等関係者」による行為も禁止しています(167条)。

もう少し正確にいうと、株式の公開買付又は(総株主の議決権の)5%以上の買い集めを行おうとする会社の「関係者」(及び関係者から事実の伝達を受けた者)が、その公開買付に関する重要事実を知り、その公表前に取引をして060605_003 はいけないという事です(証券取引法167条、同法施行令31条)。

つまり、ニッポン放送株の5%以上の買い集めをしようとする会社の関係者、つまりライブドアの役員から、買い集めをする事という情報を得て、その情報が公開される前にニッポン放送株を購入した行為が、この禁止規定に該当するということです。

これは河本一郎・大武泰南「証券取引法読本」(有斐閣)の表現を借りれば、入学試験の問題を関係者から入手して入学するようなもので(347頁)、アンフェアな行為であり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という厳しい制裁が課されることになります(証券取引法198条19号)。

村上氏は「聞くつもりはなかったのに聞いちゃったから故意ではなく過失060605_001 と言っているとかの報道もありました。上記読売の記事によれば、村上氏がホリエモンに買い集めを勧めたとありますから、うっかり聞いちゃったということは考えにくいと思いますが、仮に偶然聞いてしまったのだとしても、禁じられているのは「聞く」(事実を知る)行為ではなく、(聞いた上で、公表前に)購入する行為であり、購入自体に故意がないと主張するならともかく、聞いたのが偶然だったという事が犯罪の成否を左右するものには到底なりえないのです。

写真は久しぶりの(起業塾関係以外で)神楽坂。起業塾メンバーとはまた違った「ルート」です(それにしても初めの赤提灯「T」は久しぶりだったんですが、異常な混み方にますます拍車が掛かってます。月曜だというのに・・。二件目のバーは雰囲気はかなりのものでしたが、バーテンさんがシロウト。どうやら昼間はサラリーマンらしい。そういえば料亭の息子がやってるバーもあるけど)。

そして桐千。いつも最新情報を有難うございます。スミマセン昨日は偉そうに経営コンサル(?)をしてしまいまして・・。でもママさん神楽坂15年ですが謙虚で素直ですよね(またまた失礼)。

信託銀行のYさん、前デベロッパーのNさん、遅くまで連れまわしてしまってスミマセン(しかも割り勘で)。でもなかなかだったでしょ。Yさん、来週は六本木⇒西麻布、よろしくお願いします。

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2006年6月 4日 (日)

会社登記の難しさを理解して下さい。

060604_005 今日は午後から事務所に出て、たまりに溜まった書類・資料の整理(事務所メンバーには「宝の山だ」と言ってますが、段ボール箱にいくつもあり、それだけでも事務所を狭くしてひんしゅくを買っています恐らく・・)。

行って見ると、高知から「小夏」が一箱届いていました。高知出身のある装飾品会社の社長さんからの贈り物でした(以前にもメロンを送っていただきました)。T社長様、いつも有難うございます!

そして家に戻ると、不動産起業塾でいつもおなじみのIさんから、パイナップルとパパイヤが届いていました。嬉しい!!今日はフルーツデー・・・。Iさんかえって気を使わせてしまって済みません。

060604_004_1 さて、事務所の方の話に戻りますが、今日は「会社法チーム」のメンバーが休日出勤をしていました。昨日もセミナーのコメンテーターを努めさせて頂いた事を御紹介しましたが、会社法チームの実力の高さが評価され、ここのところ会社 法・会社登記の案件のご依頼が急増してまして、休日(ウチは完全週休二日です)出勤をしないと追いつかないようです。

ところで、新規にご依頼を頂いた会社では彼らは少なからず苦労させられることになります。それまでの処理が不正確な会社があるからです。これは上場、非上場を問いません。

特に商法が全面的に改正され、会社法が新しく制定されたにも関わらず、商法の規定に基づいて、会社法ではあり得ない内容の決議をしているというよう060604_002_1 なケースも少なくないようです(プレスリリースまでしている所も)。

もちろん基本的な、任期計算の誤りを犯しているようなケースもありますが(初歩的なミスでも後からの修正はホネ)、やはり、会社法の理解不足によるミスが今後(これから総会シーズンを迎え)増えてくることが予想され、わが会社法チームの出番が多くなると思われます。

先日のセミナーの際にも申し上げましたが、実力のある(税理士さん・会計士さんのついている)会社様はどんどんご自分で登記申請をして頂いて結構なんです。

逆にシロウト(失礼!)でも出来るような登記でワタシ達専門家はビジネスをしようとは思っていません。

060604_001 ただ、難しい・面倒な登記に関してはどうぞワタシ達にご依頼下さい。確かに費用は掛かりますが、それなりの価値はあると思います。そしてお願いですから電話相談の「価値」を評価して下さいね。

おっと、もうサッカーが始まっちゃいました、と思ったら早速玉田があっさり1点取っちゃいましたね。でも相手、削ってくんなよ大事な時期にこのヤロー!(すみませんつい興奮して・・)。

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2006年6月 3日 (土)

山田真哉さんの会社法セミナーでコメンテーターを。評価は?

060603_006 いやー、村上ファンドがインサイダー取引!? まだ任意捜査段階ですが、あのライブドアに対する周到な捜査の中から掴んだ証拠に基づくものでしょうから、特捜部も確信を持っての事でしょう。これに関しては「ライブドアシリーズ」の続編として書きたいと思います。

そして「共謀罪」。どうなんでしょうねーこれは。教育基本法もそうですが、政治的なものも絡んできて、微妙ですね。もう少し勉強します。で、やっぱり信託法は・・・。

さて、昨日は公認会計士の山田真哉(あの150万部の大ヒット「さおだけない」の山田さんです)が主宰される「インブルームLLP」主催の「 新会社法養成講座」にコメンテーターとして参加させて頂きました。

060603_009 第一部の会社法の全体像に関する山田先生の講演に引続き、第二部は図解や書式も豊富な100頁を超えるテキストを中心にインブルームの先生方(流石に「会社法」の著者だけあって日本でも最も会社法に詳しい税理士先生方です)パネルディスカッション形式で短時間(賞味3時間)ですがポイントを抑えた名「講義」が繰り広げられました。

ウチのメンバー(ヤキソバオヤジの他に会社法務・登記グループから、脇慎一・押田健児2名=顔写真は)は、講義の中で登記に関連して先生方や受講者が疑問を持ったことや、実務上注意を要する点等を中心にコメントをさせて頂きました。

ほぼ満席の会場(税理士・会計士の先生方が中心)からは活発な質問も発せられ、予想以上にレベルが高く、密度の濃い講座でした。ウチの「回答」も(打ち合わせのないぶっつけ本番だったにも関わらず)、的確で十分レベルの高いものだったと自負しております(エース二人を投入したのですから当然ですが)。

終了後、ある先生(ビジネス会計人クラブその他で顔見知りの先生方も多く見えていました)から、「大変的を得たコメント、有難うございました」と仰って頂けました。「こんなに大きな事務所だとは知らなかった」とも。まだまだ認知度が足りませんね。

最後にPRの時間も頂きました(ヤキソバオヤジのPRを忘れてしまったのが心残り)。

060603_002 素晴らしい情報発信の場を与えていただき、山田先生、インブルームの先生方(緒方先生、木村先生、宮崎先生、そして吉田先生)、本当に有難うございました(長江先生にお会いできなかったのは残念でした)。

毎日毎日が感謝です。

※写真は旧古河庭園のバラ。

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2006年5月15日 (月)

ビルのトイレは誰のもの?

いやー久保はずれましたね。で、が入った。

060515 これ、臨時ニュース(妻メール、しかも画像入り)で来ました。

事務所のサッカーフリークW君に教えたら、奥さんサッカー好きなんですかと聞かれました。全然そんなことはないのですが、昨日からテレビその他の媒体では大騒ぎで、今日特別番組(?)で流したとかで、だれでも俄かサッカーファンになってしまったようです。

ワタシは「松井が見てみたかった」と言ったらW君は「平山を入れて欲しかった」とか。

でも一番つらいのは監督かも。

060515_005 もう一つの事務所トピックはKタロー君登場!

ウチの主婦司法書士の一人(現在育休中)の長男(9ヶ月)が事務所デビューです。

もう女性陣を中心に大騒ぎ。写真はその時の「一部有志」と。

もう一人、夜は大先輩司法書士のK先生と、蕎麦屋で一献傾けました。

顧客サービスの提供の仕方、人脈の活用の仕方等々、色々と奥深いお話をお伺い致しました。

今日の「手」はその時のK先生。

0605145k_1 さて、今日はこんな質問が。

区分所有建物(オフィスビル)の各フロアー毎にあるトイレが専有部分として登記されている(家屋番号がついている)場合の利用関係はどうなるか(そのフロアーを所有乃至賃借していないものは、そのトイレに関する権利を持たないか)。

考えられるケースとしては次の3パターンがあります。

        トイレを専有部分所有者が所有し、付属建物として登記する。

        トイレを規約共用部分とする(登記する)。

        トイレを一部の者の所有とし、利用関係を管理規約で定める。

①、②は登記簿を見ればわかります。③は登記簿を見てもわかりませんが、①又は②の登記がされていれば、管理規約を確認する必要はないでしょう。

「①」は、1フロア1専有部分であれば十分考えられます。他の専有部分(フロアー)の所有者は当然にはトイレを使用する権限を持ちません。

「②」の場合は、原則として全専有部分所有者の共有となります。法定共用部分のように一部共用部分とする事が可能かどうか、争いがありましたが、近年の実務の取り扱いでは可能であり登記できるようです。つまり、「101号室~109号室までの専有部分についての共用部分である」という事が登記できるそうです。この場合他の部屋(フロア)の所有者はこの1階のトイレの利用権はやはり当然には持ちません。

「③」の場合は、トイレは誰か(専有部分所有者と一致しなくて良い)の所有であり、内部的に利用関係を定めているだけですから、登記簿をみてもわかりませんし、登記しない以上第三者に対抗することも出来ません(建物の区分所有等に関する法律第4条第2項)。

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2006年5月11日 (木)

「人」が一番大事

昨日は不動産起業塾弁護士のN先生の講義。いつもながら、不動産業に関連する夥しい数の法律を整理してポイントを抑えた名講義。塾生からもも流石に活発かつ真剣な質問が飛び交っていました。

そして講義に劣らず盛り上がる二次会。そして三次会。四次会は昨日はワタシはパス。

山内先生のブログによると四次会の会場は満員だったそうな。平日の夜中の一時だと言うのに。三次会に強引に皆を連れこんだのはオヤジなので、多少ココロが痛みましたが、お陰で面目が立ちました。もともと四次会予定だった「H」を教えてくれたのは三次会の「T」のママなので、Iさん許されよ。Mさんも。そしてSさんもね。

結局その後どこか行ったんですか(アツく語ったのでしょうか)。

写真はその三次会で。「国際派」司法書士のAさんの「手」。おにぎりはみそ。おにぎりといえば「W」行かなきゃね。

さて、今日は事務所で、コンサルタントのM先生K先生との打合せ。来週土曜日に「リーガルセミナー」と銘打ったウチ事務所の人材育成セミナーをM先生とT先生のコーチの下で開催するのですが、これまで週一でコーチングをしていただいてきたK先生と情報交換をしていただきました。

これまでのK先生のセミナーの内容をM先生にも把握していただき、プログラムに生かして頂くとともに、今後はお2人で事務所を見て行っていただくことになるので、その顔合わせの意味もありました。

M先生は60代、元都市銀行役員。K先生は30代、サムライ業でコンサルティングネットワークを立ち上げてきた方。M先生には専門(?)のCSを、K先生には「営業力」と「業務の効率化」を主に担当して頂くのですが、なぜか話は気功や算明学から茶道華道、そしてヒーリングやチャネリングの話にまで及び大いに盛り上がりました。気功はチャネリングの一種だとか・・・。

もちろんオヤジがなぜお二人にお願いして人材育成に力を入れようと思ったかもお話させていただきました。

ウチの事務所は2人で始めて3年で急拡大し今20人になりました。これからももっと拡大を考えてはいますが、今年は先ず中(スタッフ個々人)の充実・レベルアップを図ろう、そうでないと単に規模を拡大してもすぐダメになるだろうと思ったのです。

レベルアップといっても各人がそれぞれ自分自身の意思で成長していこうとしなければなりません。一人ひとりが同じ方向性で伸びていこうとすることにより自然に事務所は発展していくと思うのです(そうすることが司法書士会のみならず、社会全体に対する貢献でもあると考えています。結果的に巣立っていく者が出てきても、それも社会貢献となると(やせ我慢でなく?)考えています。

ところで一つ印象的だったのは、M先生がセミナーを「楽しくやろうよ」と仰っていたことでした。そうですよね。自分で考えて自分でやるのですから、楽しくやらなきゃつまらない、というより楽しくなければウソ(人に命じられて厭々やってる)です。

そういえば、このミーティングの前に、HPのコンサルをお願いしているT社のMさん(この方はまだ20代)との打合せがあったのですが、彼は「あっかるい事務所ですねー」と仰ってました。打合せの最中に、昨日家で料理中に指を怪我したスタッフが通りかかったので声をかけてからかったりしていたからなんですが(Mさん失礼しました)、普通、司法書士(に限らずサムライ業の事務所)はカタイところが多いので、ウチみたいに明るいところは珍しいのだそうです。若いメンバーが多いからということもありますが。

いずれにしても今私の一番興味があるのは「人」。一番大事なのも「人」。

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