« 2025年12月 | トップページ | 2026年2月 »

2026年1月30日 (金)

意思決定の改善 41

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

別の研究でも、「交渉者がいくつかの異なった価値創出方略を学べるような多様な類比的推論トレーニングのほうが、特定の類推トレーニングよりも、根源的な価値創出の交渉原則の学習を大きく促進した」という結果が得られています。

そして、「この訓練を受けた参加者はかなり独特な課題にも知識を移転できるようになり、また以前に出会ったことのないものを含む多様な価値創出問題における成績も高い」ということが分かったとのことです。

そして「単に成績が向上しただけでなく、その問題に価値創出の余地がどれだけあるかの理解も深まっていた」そうです。

著者は、「多様な類比的推論の訓練によって高い水準の専門知識が得られ、異なった状況下でどの方略が効果的なのか、
またそれはなぜなのかが理解できるようになる」と言っています。

ただ逆に、「訓練の多様性があまりに高まると、教訓の適用可能性が失われてしまう」とも言います。

そこで、「どの程度のレベルの抽象化が理想的なのか、また類比的推論が個人的な意思決定にどこまで適用できるかは、今後の研究に残された興味深い課題である」ということになります。

| | | コメント (0)

2026年1月29日 (木)

意思決定の改善 40

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ログローリングのように一般化可能性の低い交渉戦略があることを検証する、ある研究では「交渉を通じて価値を創造するために視野を広くとることを教えた」そうです。

そして「特定のトレーニング(specific training)」と「多様なトレーニング(diverse training)」を比較しました。

特定のトレーニングとは、「学習者が同じ特定の方略(例えばログローリング)の実例となるふたつのケースを比較するもの」です。

多様なトレーニングとは「学習者が異なる複数の価値創出方略(たとえば、ひとつはログローリングでもう一つは両立性)の実例となるふたつのケースを比較するもの」です。

この結果について著者は「訓練の有効性は交渉のシミュレーションの成績と結果を見ることで評価された。そのシミュレーションには、参加者がすでに学んだ方略もまだ 学んでいない方略も含め多様な価値創出方略を適用する余地があった」と書いていますが、これはいささか分かりにくいですね。

恐らく結果は多様なトレーニングの優位性を示したということなのではないかと思います。

| | | コメント (0)

2026年1月28日 (水)

意思決定の改善 39

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

交渉者に「一般性の高い」交渉原則を教えることは、「焦点を絞った類推よりも、新しい交渉の課題に広範囲にうまく当てはめることができる」という研究成果が報告されています。

また別の研究では、一般的原則を学ぶことで、個別事例から学んだ 原則を積極的に移転する能力が向上するだけでなく、その適用範囲を識別する(ある原則をどこで適応しどこで適用すべきでないかを決定する)能力をも向上させることがわかっています。

ただ、交渉戦略によってはその一般化が限定的である可能性が指摘されています。その例として挙げられているのが「ログローリング」です。

ログローリングとは、「自分にとって優先度の低い交渉課題を譲歩する代わりに優先度の高い交渉課題を得ること」です。

ある研究によると、これについて類比的推論の訓練を受けた人は、全く異なった構造を持つ対面での交渉に直面したときはうまく立ち回れなかったそうです。

著者は、「ログローリングの他の価値創造プロセスへの一般化可能性は限定的なのかもしれない」と言っています。

| | | コメント (0)

2026年1月27日 (火)

意思決定の改善 38

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

この実験の結果、モンティホール問題とパイ分配問題を2つずつ組にして考える方が、それぞれの問題の2つのバージョン間の相違点の理解が進み、相手の意思決定とゲームのルールに注意を向けることの重要性を一般化して理解できるようになることがわかりました。

この結論は、「会社買収問題を解決する鍵」となっており、実際に実験参加者は会社買収問題で普通よりも明らかに高い成績を上げたとのことです。

この研究が示唆するものとして私達が意思決定の改善に役立てるべき点は、

「外見的に同種に見える複数の問題について相違を調べることが意思決定の改善の有効な方向かもしれない」

ということです。

次に気になるのは、「複数問題の類推の形成を促進するため」には、「どのレベルで抽象化するのが最適」なのか、という点です。

この点に関して著者はいくつかの例を挙げています。

一つは、交渉者に「一般性の高い」交渉原則(たとえば「価値は、創造できる」「交渉当事者の利害関係を理解することが重要である」など)を教えることの効用です。

| | | コメント (0)

2026年1月26日 (月)

意思決定の改善 37

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

他にもこの「類比的推論」の効果を示す研究報告は多数されています。

例えばこんなものがあります。

「複数の問題の相違点を理解することが、類似点を理解することと同様に、知識の移転のための非常に有用な方法になる」。

会社買収問題(同書でも例題として出されている、論理的に結論は明快だが、直感的に判断するのは難しい問題の一つ)に見られるバイアスは「他のいくつものバイアス補正テクニックに対して強い抵抗力を示すこと」が証明されていますが、「相違点をベースにしたトレーニングによって、会社買収問題のバイアスが低減される」。

それを示した実験はこんなものです。

意思決定の誤りをあぶり出す実験問題である「モンティ・ホール問題」と「パイの分割問題」の解答者を次の2つの群に分けます。

1  それぞれの問題の2つのバージョンを4つの独立した問題として考察させる群

2 問題を2つずつ組にして考察させる群

その後で、2つの群の全ての参加者と、この2つの問題を解かせていない参加者に会社買収問題を解かせました。

結果は明瞭でした。

| | | コメント (0)

2026年1月23日 (金)

意思決定の改善 36

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

類比的推論について著者はさらに分かりやすい説明をしています。

まず、比較をすることの効果は、複数の実例の類似性が浮かび上がり、それらの実例に共通した構造が見えやすくなるところにあるということ。

そして、それらの実例に「共通の構造」や「両方の実例が共有する法則」を特定することができれば、「特定の実例による、本質とは無関係な外見や文脈依存的な特徴の影響」を受けずにスキーマ(より一般化された枠組み)を形成しやすくなること。

そのような形で行う抽象化は、「本質的な文脈ではないところから抽象化した方法に比べ」、仮に「異なった文脈の新しい状況」に直面したとしても「うまく適用できる」こと。

そして著者は「類比的推論の有効性に関するこれらの印象的な研究成果」について、「バイアス補正の研究に価値ある新しい方向を示し、学習の一般化可能性を最大化するためにケースやシミュレーションをどのように使うべきなのかについて重要な指針を提供した」と称賛しています。

| | | コメント (0)

2026年1月22日 (木)

意思決定の改善 35

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

類比的推論について著者(ベイザーマンとムーア)は、課題の一つ一つを独立したものとして検討していたのでは良い意思決定に到達することができないと言っています。

そしてその理由について次のように述べています。「人は一度に1つの出来事から学ぶとき、しばしば その状況の表層の特徴に焦点を当てすぎてしまい、その教訓が特定の状況の意思決定(家の買い方を学ぶような)にしか当てはまらないと考えてしまう。 」

これには心当たりのある方も多いのではないかと思います。私達の日常でも、何か問題が起きたときにはその原因を究明することが再発防止のために不可欠ですが、その時に当該問題にのみ意識が向けられ、他の問題との関連まで考えが及ばないことが多いのではないでしょうか。

これに対して「2つの出来事から共通の教訓を抽象化するプロセス(家の購入とビジネスの交渉の演習から固定パイの神話の克服の仕方を学ぶような)は、より一般化可能性の高い洞察を培う」と著者は言います。

※「固定パイの神話」とは、「利益の総量(パイ)は最初から決まっていて増えない」という前提を指します。ここから交渉や競争は一つの固定されたパイの奪い合いであるという考え(ゼロサム思考)が生み出されます。
この考え方の下では、交渉とは相手の不利益の下に自分の利益を獲得することだという考えになり勝ちですが、現在有力な交渉術の講座では、双方にとってより利益になることを見つけること(パイを大きくする)が交渉だとされています。
つまり、「固定パイ」は神話(幻想、誤謬)であるということです。

| | | コメント (0)

2026年1月21日 (水)

意思決定の改善 34

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

バイアスを補正して意思決定を改善するための4番目の方略は「類比的推論」(analogical reasoning)です。

近年になって、バイアスの削減には類比的推論が非常に有効であることを示す研究がJ・ローウェンシュタイン 、 L・トンプソン、 D・ゲントナーらによって報告されています(1999,2000)。

これらの研究によりますと「ケースやシミュレーションや現実世界の経験から学ぶ時に、その学習で学ぶべきことを抽象的なレベルでつかむことができれば、ずっとうまく学び取ることが」できます。

逆の観点から言えば、例えば「交渉のシミュレーションで学習するとき、同じ教訓を含んだふたつの演習を課して、その後でそれぞれの演習で何を学んだかを別個に説明させても、あまり効果はない 」ということです。

では効果を上げるためにどうすれば良いかというと、「 同じふたつの演習を課して、そのふたつがどのように関連しているかを説明させると、バイアスの補正が格段に進む」のだそうです。

| | | コメント (0)

2026年1月20日 (火)

意思決定の改善 33

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

自分の意思決定過程を「解凍」し、変化を実現できた後は「再凍結」が必要になります。

なぜなら、「変化が達成された後でも、過去の行動や悪い習慣に戻る誘惑に駆られるもの」だからです。つまり「古いバイアスはまだ残っていて、無造作に また無意識に発動してしまう」のです。

「再凍結」とは「新しいやり方」を「直感的な方略に組み込む」ことです。それには「長い時間をかけて実践を積む」必要があります。「新しいやり方はこれまでのとは異質」だからです。

その方法は「様々な状況下で意識的に新しい方略を使うこと」で、「それが徐々に古いパターンに置き換わり、やがてはあなたの第二の天性」になります。

ただし「変化が持続するためには、高い頻度で それを使うことと過去の訓練を思い返すこと」が必要です。

「再凍結」を完成させるためには「ずっと後まで、あなたはバイアスのチェックのために自分の決定を吟味し続けなければ」なりません。

それを筆者は「定期健診」になぞらえて、このように言っています。

「あなたは直近に下した重要な意思決定を評価する定期検診のスケジュールを立てるべきである。」

「定期検診の対象には個人的な意思決定や交渉者としての意思決定、集団の一員としての意思決定が含まれる。」

「 あなたの判断の限界についての自覚が残っているうちに検診を行わなくてはならない。」

| | | コメント (0)

2026年1月19日 (月)

意思決定の改善 32

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

バイアス補正手段である「反対意見の検討」の具体的方法の第一段階は、自分の仮説が間違っている可能性について考えることでした。

そして第二段階は、その仮説の「代わりとなる別の仮説をいくつか考えてみる」ことです。

そして、その仮説の手がかりとして「それらを区別できるようなテスト」、例えば「友人の事業計画が本当に実行可能かどうかを識別するテスト」を考えてみるという方法が挙げられています。

テストとは、例えば「友人が銀行やベンチャーキャピタルから事業立ち上げ資金をかき集めるのに苦労しているという事実」に着目して、そこに意味を見出すことです。

このような事実に対して、「その計画が他の野心に燃えた企業者たちを向こうに回すと見劣りがすることを示す証拠かもしれない」と考えてみることができるか、です。

もちろん、「自分が間違っているかもしれないパターンを検討するのは確かにあまり愉快な作業では」ありません。

「しかし、自己満足に浸るのではなく妥当で正確な意思決定をするためには、これは欠かせない 段階なのである。」

・・・・・

​昨日は「フクダリーガルマラソン大会」でした!
​今年は昨年以上に多くのメンバーやご家族が参加・応援に駆けつけてくださり、会場は大いに盛り上がりました。「来年は3年目なので10倍にしよう!(笑)」なんて声も飛び出すほどでした。
​走り抜いたランナーの姿、それを支える応援の声……今年もたくさんのドラマと感動をありがとうございます。
​企画・運営の中心的役割を担って下さったEさん、それを陰で支えたKさんをはじめ、関わってくださったすべてのみなさんに、心から感謝申し上げます。

| | | コメント (0)

2026年1月16日 (金)

意思決定の改善 31

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

バイアス補正手段である「反対意見の検討(consider the opposite)」についての、J.Baronの「具体的なアドバイス」とは「どんなデータの断片を評価する時も 二つのことをすべきである」というものです。

一つは、自分自身に次のように問いかけることです。
「仮に私の仮説が間違っていたとして、それでも答えがイエスになる可能性はどのぐらいだろうか」

例えばあなたが、「友人の新しい事業のアイディアにお金を投資すること」を検討していて「彼の事業計画では1年で利益が出る予定になって」いるとします。

あなたは素直にそれが「計画の優秀性を示す証拠である」から「自分のお金の投資対象として好適である」と考えています(仮説)。

ここで行うべきなのは「この仮説が誤りであると仮定」することです。「つまり、この事業計画に投資するとはとんでもない考えであって、あなたのお金と友情の両方を危険にさらすことになるとしたら」と考えてみることです。

これは逆に「あなたの友人が、成功する見込みがさほど高くない割にはもっともらしく見える事業計画を思いつく可能性はどのぐらいだろうか」と考えることです。

| | | コメント (0)

2026年1月15日 (木)

意思決定の改善 30

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

さて、「解凍」によって自分のバイアスを認識したとしても、それだけでバイアスをなくす(変化を起こす)ことはできません。

ではどうすればよいのでしょうか。

筆者は「おそらく、バイアス補正方略の中で最も用途が広いのは、C.G.Lord,M.R.Lepper,&E.Preston(1984)のいう『反対意見の検討(consider the opposite)』であろう」と述べています。

これは、「自ら悪魔の代弁者(devil's advocate)となって、自分の暫定的な意思決定が間違っているとしたらそれはどこであるかを考える」という方法です。

これが「確証バイアス ―自分の見解を指示する情報だけを探し求め、反証には目をつぶる傾向―を回避する最も有効な手段であることは明らかである」と言っています。

しかし、「それができたら苦労はしない!」と思った方も少なくないのではないでしょうか。

確かにそうです。この、言われてみれば簡単なことができないのが人間なのです。だからこそ登記ミスや不動産事故がなくならないのです。

そこで著者はJ.Baronの1994年の「具体的なアドバイス」を紹介しています。

| | | コメント (0)

2026年1月14日 (水)

意思決定の改善 29

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「解凍」が行われた後は、「変化」が起こることが期待されます。

ただし、「 必ず変化が起こるという保証は全く」ありません。

なぜなら「内心まだ抵抗感が残っているかも」知れませんし、「果たして変化が望ましいのかと繰り返し自問するかも」しれないからです。

つまり、人が意思決定プロセスを変えるためには、3つの重要な段階があるのです。

第一段階は「人間の判断の欠陥について、その存在を一つ一つ明確にする」

これは、「人の目には表面的妥当性を持っているように映る」様々な「バイアス」を明確に認識することです。

第二段階は「それらの欠陥の根底にあるものを説明する」

これは、「なぜそのバイアスが存在しているのか」「バイアスの背後にあるヒューリスティックやその他の現象を明確化すること」です。

第三段階は「欠陥があることが自分の尊厳を脅かすものではないことを再確認する」

これは「ほとんど誰もが判断上のバイアスを受けやすい」のであり「不出来な意思決定者」だからでなく「ただの人間だからそうなるのだということを理解すること」です。

| | | コメント (0)

2026年1月13日 (火)

意思決定の改善 28

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

本書で「解凍」という言葉は「意思決定プロセスを解凍する」「改善は不要であるという認識を解凍する」「思考を解凍する」といった文脈で使われています。
 
多くの人達、特に比較的順調に社会や組織での経歴を積んで来た人達は自分の意思決定に至る過程に問題はないと思っています。

しかし実はそうではないのだということを、この本は様々な(周到に設計された)問題とその回答に対するフィードバックによって気づかせようとします。

自信満々の人達に、自分達の「認知方略」に問題があることの「確たる証拠」を与えるのです。

それを重ねることで、殆どの読者は自分の意思決定の問題に気づきます。

その気づきの過程を本書は「解凍」という言葉で表現している訳です。

これを他の言葉で表現するなら、「気づかせる」「固定観念を打ち破る」「思い込みから解放する」といったところでしょうか。

そして、気づきを得た読者の多くは「どこで間違えてしまったのか、どうしたらうまくできたのかを学ぶ心構えができ」、「他の選択肢に対して受容力が出てくる」はずですが、これだけでは行動変容は起こらないのです。

・・・・・

今回は自分の頭で考えた(構成した)部分がいつもより多くありました。

自分で考えるのは苦しいですし、必ずしも結論に自信は持てないことが多いですが、やはり考えるという行為自体に、「これだ!」と感じるところがありました。

先日、今年最初の月次朝礼で「考えると人生が楽しくなる」と言いましたが、改めて実感しました。

| | | コメント (0)

2026年1月 9日 (金)

意思決定の改善 27

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「解凍」が必要な理由と、同書でのその位置付けに関する次の説明を読むと、その意味するところがなんとなく理解できると思います。

「本書はあなたが現在用いている認知方略に疑問を投げかけるような確たる証拠を示すことで、あなたの判断に変化をもたらそうとして来た。まず問題を出してその回答に対してフィードバックを与えるという形式は、人間の意思決定プロセスを解凍するために特に設計されたものである。」

「ほとんどの読者はこれまでの項目でかなりの数の間違いをしてきて、どこで間違えてしまったのか、どうしたらうまくできたのかを学ぶ心構えができているだろう。」

「この形式は、自分の意思決定プロセスには改善は不要であるという認識を解凍するものである。」

「現在の自分の方略に疑問を持ち始めることで、他の選択肢に対して受容力が出てくるであろう。他のケース(紙幣のオークションのような)での生々しい例は、判断の欠陥の犠牲になった人々に自分を重ね合わせることで、あなたの思考を解凍するためのものであった。」

| | | コメント (0)

2026年1月 8日 (木)

意思決定の改善 26

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

第二の理由

「ある程度職業上の成功を収めた人(MBAやエグゼクティブ教育プログラムの生徒のような)は、自分が過去に下した多くの意思決定に対して正の強化を受けてきたと考えられる。」

そして、「人間は正の報酬を得られる行動を継続する傾向がある」(「強化理論」)。

従ってたとえば「成功したエグゼクティブの多くは直感的方略を使ってトップになってきたので、自分の判断に明白かつ系統的な欠陥があることを示すような情報には抵抗を示す」。

第三の理由

フリッツ・ハイダーが1958年に提唱したバランス理論(balance theory)によれば、「人間は自己の認知の一貫性と秩序を維持すべく努力する。」

従って「成功したマネジャーにとって『私の意思決定プロセスには根本的な誤りがある』という認識は自己の成功についての自覚と齟齬を来す。」

そして、「『今の私は優れた意思決定者である』という認識のほうが、成功しているという自覚とずっとよく調和する」ので、「そのような認識の方が優位に立つ傾向がある」。

| | | コメント (0)

2026年1月 7日 (水)

意思決定の改善 25

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

筆者(ベイザーマンとムーア)は人の行動変容の困難さについて、次のように述べています。

「個人、集団そして組織レベルでの行動の多くは人間の本性に深く根付いているので、それを変えることは相当に困難である」。

そして「個人レベルでの行動変容を妨げる要因」として次の3つを挙げます。

1「現状への満足」
2「リスク回避の心理」
3「革新的行動がもたらす不確かな結果よりも既知の行動がもたらす確かな結果のほうを好ましく感じること」

そこで、「解凍」というプロセスを提唱します。

曰く、「意思決定が改善され、それが長く持続するためには、深いところにある思考と行動を『解凍』する」必要がある(「古い認知方略を解凍することが必須」)。

そして解凍とは何かを説明する代わりに、それが必要である理由は少なくとも3つあるとしています。

まず第一の理由がこれです。

「人は長年にわたって、自分の直感による認知方略に信頼を置いてきた」ため「変化を望むことは過去の方略に欠陥があったことを認めること」になるので「自分の判断に欠陥があるという当惑する事実を直視したくない」から。

| | | コメント (0)

2026年1月 6日 (火)

意思決定の改善 24

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

対照的に、リチャード・P・ラリックは2004年の研究論文で、「人は訓練によってバイアスを克服できるという明るい見通しを提示している。」

ラリックはまた、「最も成功するバイアス補正方略は当該バイアスとその文脈に特化している傾向があるので、訓練と検証は密接に繋がっていなくてはならず、また時間的に近接していなければならない」と述べているそうです。

例えば、スコット・リヒテンシュタインとフィシュホフが1980年に行った「自信過剰バイアス」の研究報告では「意思決定者に個人に特化したフィードバックを集中的に与えれば判断の改善に一応の効果がある」とされますが、ラリックは「その効果は短期的なものにとどまる」とします。

「訓練がもたらすより広い効果について議論した論文」としては、例えばトーマス・ムスワイラーとフリッツ・ストラックとトーマス・ファイファー(2000年)やラリック(2004年)が、「単に『交渉相手が下す決定については何でも考慮に入れるように』と仕向けることで、自信過剰や後知恵やアンカー効果が減じられる」としたものがあります。

またジェニファー・ラーナーとフィリップ・E・テトロック(1999年)やラリック(2004年)は、「個人ではなく集団を使うこと、統計的思考の訓練をすること、自分の決定に責任を持たせること」で、「バイアスを部分的に補正できることを強調している」そうです。

| | | コメント (0)

2026年1月 5日 (月)

意思決定の改善 23

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

意思決定改善方略の3つ目は、「判断バイアスの補正」です。

「バイアス補正(debiasing)とは、意思決定者の認知方略からバイアスを削減もしくは解消する手続きのことである。」

同書によると、米国の心理学者バルーク・フィシュホフは1982年に、賢明な判断を促進するための「4つのステップ」を提案しています。

「1 バイアスがかかる可能性がある局面で警告を出す。
2 バイアスがどの方向に作用するかを示す。
3 しかるべきフィードバックを提供する。
4 フィードバックやコーチング、その他 判断を改善するようなものは何でも取り入れた広範囲なトレーニング・プログラムを提供する。」

フィシュホフはまた、「バイアス除去は非常に難しいプロセスなので、人の態度変容等に関する心理学的な枠組みに則って、 念入りにモニターし指導されなければいけないと主張する。」

例えば、フィシュホフの「後知恵バイアス」に関する研究(1977)では、「バイアスが参加者に明確に説明され、それを回避するように指導されてもなお バイアスはなくならないことが示されている。」

| | | コメント (0)

« 2025年12月 | トップページ | 2026年2月 »