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2025年12月26日 (金)

意思決定の改善 22

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ドーズは続けて、失敗経験からの学びは「命取りになることすらある」し、逆に
成功経験も「考えなしに学べば・・・否定的結果をも生む」と言っています。

筆者(ベイザーマンとムーア)は、「専門知識の獲得」が意思決定改善の「第二の方略」だとしています。

「専門知識」とは漫然とした経験知識の集積ではなく、「意思決定の戦略的概念化」であり、それを行う方法は「自己の意思決定プロセスを自覚し絶え間なく監視すること」です。

そしてそれを「進める最後の利点は知識の移転可能性に関係している」と言います。

例えば、「経験を積んだ意思決定者に成功の秘密を聞けば、彼らは型にはまったように、技能は自分の目で長年にわたって観察することで培われるものであって、そのような経験は教えられるものではないと主張する」が「専門知識を伴わない経験は知識を将来の世代に伝承する力が限られてしまう」と言います。

そして専門知識獲得(意思決定の戦略的概念化)の「鍵となる要素」は、数多く存在する「個人と集団のバイアスを回避することを学ぶこと」だとします。

それが意思決定改善の「第三の方略」です。

・・・・・

今年も一年、「よしなしごと」にお付き合い頂きましてありがとうございました。

最近は人の書いた本の引用ばかりで(そうする理由は「1」に書きました)、自分の脳がかく汗の量が著しく減っているので、思考力が衰えて来ているような焦りも感じています(笑)。

やはり苦しくても頑張って、ない頭を振り絞るのが良いなぁと感じています(そこで来年は「考える」をテーマにしたいと思います)が、今の「意思決定の改善」には大切な意味がありますので、しばらくお付き合い下さい。

大切な意味があるのでは「よしなしごと」じゃないじゃないかと言われそうですが、単なる本の引用ではなく、それを私が理解する過程ですので、やはり「よしなしごと」です。

では、みなさんよいお年をお迎え下さい。

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2025年12月25日 (木)

意思決定の改善 21

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

私達は「経験と専門知識は密接に関連していると考えがち」です。

しかし、マーガレット・ニールとグレゴリー・ノースクラフトによると、経験は「単なるフィードバックの繰り返し」に過ぎないことになります。

その一方で「専門知識」は「合理的意思決定プロセスを構成するのは何なのかを『戦略的に概念化』し、合理性を制限するバイアスを認識する方法を習得することで獲得されるもの」だそうです。

筆者も「最も『有能な意思決定者』と呼ばれる人々は特定分野で成功を遂げた人々であるが、その経験を専門知識のない異分野に当てはめようと」することは「非常に危険」だと言います。

「無知の程度が高まるほど、人は自分が下した誤った判断について自信過剰になる」

そしてロビン・ドーズはベンジャミン・フランクリンの有名な引用句「経験は高価な(dear)教師である」を「経験は最良の教師である」という意味に捉えるのは誤解だとします。

フランクリンは「高価な(dear)」を「高くつく(expenrive)」という意味で使っており、それに続く言葉は「ところが愚か者はそれからしか学ぼうとしない」なのだそうです。

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2025年12月24日 (水)

意思決定の改善 20

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

そしてオークション(会社の買収における価格決定)に関する実験、即ち、実際の金銭を使って20回の意思決定(買収金額のオファー)を行うという実験の結果はこうです。

「全米でもトップクラスのビジネススクールの学生からなる72人の実験参加者のうち、試行を重ねることで学習できたのは5人だけであった」。

「ここから得られる一般的な結論は、単に経験を重ねたりフィードバックを得たりするだけでは人は勝者の呪いを克服できないということである。」

「バイアスは意思決定者が経験を積めば無くすことができるという見解は妥当ではない」

事実、「実験参加者の大半は『会社の買収』実験の試行を何百回繰り返しても正解に到達できなかった。」

「このことは実際の投資家や不動産仲介者や医者やその他の多くの『専門家』集団の意思決定に広くバイアスが存在していることを示す」ものだ。

しかし一方で、「専門知識を獲得すれば意思決定のバイアスは回避もしくは削減される」とする見解がありますが、重要なことはこの「専門知識」の意味するところです。

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2025年12月23日 (火)

意思決定の改善 19

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「人生経験を積むことで人は多くの技術を向上させることができるし、悪い習慣をやめることもできる。」

この点に異論をはさむ方は少ないでしょう。

しかし、「あいにく、私たちの 判断上のゆがみはその対象には入っていないようだ。」と筆者は言います。

エイモス・トベルスキーとダニエル・カーネマンの1986年の研究論文によれば「判断における基本的なバイアスは時を重ねても自動的には矯正されない」

「反応的学習には正確かつ迅速なフィードバックが必要であるが、現実世界では それが利用可能な状況は滅多にない」。

その理由について、ヒレル・J・アインホーンとロビン・M・ホガースの1978年の論文を参照しつつ下記のように述べています。

「1 意思決定の結果が出るまでには時間がかかるし、何らかの結果が出たからといって、その原因を一つの特定の行動に帰することは容易ではない。

2 意思決定を下す環境にはばらつきがあるので、フィードバックの信頼性が損なわれる…。

3 もし違う意思決定がなされていたらどんな決定になっていたかを示す情報はないのが普通である。

4 最も重要な意思決定はそれぞれがユニークなので、学習の機会はほとんどない」

「経験を積むことで個別の誤りが回避できるようになるという主張を裏付けるためには、効果的な学習が成立する諸条件が満たされた状況を実際に作ってみせる必要がある」とも。

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2025年12月22日 (月)

意思決定の改善 18

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

専門家や経験豊富な意思決定者なら(実験参加者の学生達と違って)バイアスに影響されにくくなる、という説の例として、オハイオ州立大学のジョン・H・ケーゲル教授(行動経済学)らの1986年の研究報告が紹介されています。

「『現実世界』の大半の入札者と同じように自分の意思決定の結果についてフィードバックを受けながら十分な経験を積めば、私達の実験の参加者もどんな状況設定であっても勝者への呪い(※)を回避することができるようになる。勝者への呪いは不安定な現象であって、十分な時間と正しい情報のフィードバックによって是正することができる」

そしてケーゲル教授らは実際に「オークションの実験で、市場の参加者は(必ずしもすべての参加者ではないにしても)経験を積むことで『学習』が進むに従って勝者の呪いが減少することを示した」そうです。

しかし筆者は「オークションの『勝者』が常に損を出しているのを観察することによって、また別の学習が促進される」だけのことであって「判断上のゆがみ」が修正されるわけではない、と主張します。


※勝者への呪い オークションでの落札価格が市場価値を上回ってしまう現象

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2025年12月19日 (金)

意思決定の改善 17

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

さて、ここまで紹介したヒューリスティックやバイアスは科学的根拠のある(実験に裏打ちされた)信頼度の高いものですが、著者は疑問をさし挟んでいます。

これは、不動産事故の現場でなかなか認知バイアスが回避されてこなかったことにも関わることです。

曰く、「本書で考察して来たバイアスの多くは、学生を参加者とした実験で確認されたものである。学生は不慣れな分野の職業での意思決定を求められるし、実験で正しい意思決定をしたからといって余分に報酬が支払われるわけでもない。したがって、ひとつの楽観的な考え方として、現実世界での意思決定に立ち向かっている専門家や経験を積んだ意思決定者ならば、実験参加者と違ってバイアスに影響されにくい可能性がある。本書は判断のバイアスの蔓延を不当なまでに誇張していないだろうか。」

そして「経験と専門知識は意思決定の改善に有効かも知れないので、これは確かに重要な問いかけである。」「人は自分の過去の意思決定についてフィードバックを受ければ自然にその後の意思決定を改善するようになると考えている研究者もいる。」として、ある研究者の見解を紹介しています。

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2025年12月18日 (木)

(意思決定の改善 16) リニア・モデル 14 ~採用面接のリニア・モデル化~

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

以上のように様々なヒューリスティック(がもたらす認知バイアス)が原因となって、現在でも人材採用においてリニア・モデルよりも面接を重視する企業(乃至面接担当者)は少なくないと思われます。

しかし本書によると、「非体系的な面接試験よりも優れた選抜方法はたくさんあって、そのほとんどが面接試験よりも安上がりである。例えば知能検査がその一つである。」

そして、もしそれでも「組織が面接試験に固執するなら、構造化した面接法を使用するべきである」として、ピーター・F・シュミットとジョン・E・ハンターの1998年の研究成果を紹介しています。

それはこういうものです。「1つの面接担当者集団が全ての応募者の面接を執り行う。そしてそれぞれの面接担当者には受け持ちの質問があって、全ての応募者に同じ質問をするのである。」

更に、「面接による定量評価は、知能や当該職務の経験年数その他の項目とともにリニア・モデルに組み込む項目の一つとしてのみ取り扱うべき」だ、とするのでした。

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2025年12月17日 (水)

(意思決定の改善 15) リニア・モデル 13 ~人材採用にリニア・モデルが活用されていない原因~

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

④ 確証ヒューリスティック

確証ヒューリスティックについて本書は、「自信過剰バイアス」と関連付けてこう言っています。「人は自分の信念についての自信の度合いを考えるときに、記憶の中からその信念を裏付ける証拠を探し出すほうが、それを否定する証拠を探し出すよりも得意である」

米国の心理学者ヒレル・J・アインホーンとロビン・M・ホガースの1978年の共同研究報告では「多くの人を面接して、そのうちのひとりを採用したとして、その後にマネジャーが知ることができるのはその選ばれたひとりの成績だけである」と言っています。

要するに大半の企業(採用責任者)は自分の判断に確証をもっているので、不採用にした応募者のその後の業績を追跡調査することはしないということです。

つまり「マネジャーは不採用にした応募者よりもその人のほうがうまく仕事をこなすかどうかを知ることはできない。自分達の選定のメカニズムが効果的かどうかを評価するためのデータを持ち合わせていないのである。」

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2025年12月16日 (火)

(意思決定の改善 14) リニア・モデル 12  ~人材採用にリニア・モデルが活用されていない原因~

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

③ 代表性ヒューリスティック

代表性ヒューリスティックとは、本書では「人は誰か特定の個人について、または何かの物事について判断を下すとき、前もって抱いている固定観念に合致した特質を見つけようとする傾向」と説明されています。

そういう傾向があるため「マネージャーは直感的に、もし志願者が守備一貫して自分の目標や組織や仕事について話すことができれば、その人は仕事も同様にうまくこなすことができると思い込んで」しまう訳です。

しかし、「ほとんどの仕事で面接試験の成績と実際の仕事の成績との相関は弱い」と言います。

例えば、「外交的で社交上手で背が高く魅力的で愛想のいい人は、そうでない人よりも面接試験において 肯定的な印象を与えやすい。」

「ところが、このような特徴は誠実さや知性のように直接的に識別しにくい特徴ほどには仕事の成績にとって重要ではないのである。」

ここでいう「成績」が何を重視するものかは職種によって若干の違いはあるかも知れませんが、この結論は大半の職種に概ね妥当するのではないかと思います。

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2025年12月15日 (月)

(意思決定の改善 13) リニア・モデル 11  ~人材採用にリニア・モデルが活用されていない原因~

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

② 感情ヒューリスティック

これは言うまでもなく、意思決定が感情に従って行われるという思考のクセです。

米国の社会心理学者ナリニ・アンバディ他による1993年の研究報告によると、「人は初対面の人に会った時、気に入るか気に入らないかを極めて迅速に判断する。 その判断の根拠は 身体的な魅力や癖、自分との類似点のような表面上の特徴である。」

これに関して、やはりアメリカの社会科学者トーマス・W・ドハティらは1994年の研究報告で「採用面接の流れの中でマネジャーがこれらの第一印象を変えることはほとんどない」と言っています。

そして本書の筆者(ベイザーマンとムーア)によりますと「面接することで 志願者が自社と『相性が合う』かどうかが 査定できると主張する マネージャーがいるが、面接による査定は志願者の資質の体系的な測定に基づくものではなく、面接担当者の直感による感情的な反応と大差はない」 とのことです。

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2025年12月12日 (金)

(意思決定の改善 12) リニア・モデル 10

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

人材採用にリニア・モデルが活用されていない原因を形作る、皆さんもよくご存知の事象とは、そうです、認知バイアスです。そして、それをもたらすのが人は誰でも身につけている思考の近道、即ちヒューリスティックです。

同書ではこの点に関するヒューリスティックとして次の4つが挙げられています。①利用可能性、②感情、③代表性、④確証です。

それぞれ見て行きましょう。

①利用可能性ヒューリスティック
(思い出しやすいものほど発生頻度が高いと感じてしまう思考のクセ)

「面接担当者は、優秀な従業員が持っている特質を把握しているつもりかも知れないが、面接で得られる情報は全く不完全なものである。」

「従業員が特定の職位において、あるいは広く組織全体の中で成功するために必要な特性について、わざわざ手をかけて有用なデータを収集する会社はほとんどない。」

「そのため、マネジャーは応募者が成功に必要な資質を持っているか否かを見極めるに当たって直感に頼らざるを得ないのである。」

つまり面接官は応募者を面接して受ける印象から「思い浮かぶ」特質をその人に当てはめて判断してしまう、ということです。

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2025年12月11日 (木)

(意思決定の改善 11) リニア・モデル 9

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「新規採用の意思決定は組織的な意思決定の中で最も重要なものの一つ」ですが、同書によりますと、大半の企業の人材採用においてリニア・モデル(決定分析ツール)は有効活用されていません。

「実質的に世界中のどの企業も、第1次スクリーニングを通過した応募者の中から誰を採用するかを決定するにあたって、非体系的な面接を頼りにしている。」

「面接における評価が当人の採用後の業務成績をどの程度まで予測できるのかという問題について、産業心理学者はこれまで広範な研究を行ってきた。」

「その結果わかったのは、面接試験はあまりうまく機能しないということである。」

フランク・シュミットとジョン・ハンターの1998年の論文によると、「採用時の面接による評価は採用後の従業員の業績のばらつきの約14%しか予測できなかった。」

もちろん従業員の業績を予測することはそう簡単なことではありません。

それでも「いくつかの評価方法は非構造面接法よりも明らかに優れているし、コストも明らかに安上がりである。」

「にもかかわらず、なぜ人々はそんなにも面接試験の有効性をかたくなに信じているのだろうか。 」

答えは、皆さんもよくご存知の、あの事象にあります。

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2025年12月10日 (水)

意思決定の改善 10 リニア・モデル 8

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

心理学者のロビン・ドーズが大学院入学者選考のために開発したリニア・モデルの例が紹介されています。

4人からなる入学者選考委員会が以下の3つの要因からどのようにして入学者選考の意思決定を下したかを体系的に分析。
(1)大学院進学適性試験の点数
(2)出身大学で取得したGPA(Grade Point Average:成績平均値)
(3)出身大学の質

さらに各変数の重み付けを使い384人の出願者に付与されるであろう点数の平均値を予測。

「その結果、そのモデルは入学者選考委員会が実際に合格とした出願者をひとりも外すことなく、全出願者の55%を選考対象から除外できた」

「加えて、合格して実際に入学した学生の入学後の成績予測ではリニア・モデルの精度が当の委員会を上回っていた」

「1971年のドーズの計算によれば、アメリカ国内の大学院での選考においてリニア・モデルを使用すれば、担当者の人件費換算で年間約1800万ドルの節約になる。入学者が大学院よりずっと多い学部の入学者選考や、企業の採用選考などで使用した場合の節約効果については推して知るべし」

「現在の物価水準と大学院出願者数に換算すると、今ではその額は軽く5億ドルを超えるであろう。」

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2025年12月 9日 (火)

意思決定の改善 9

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

次に同書は大学院の選抜における不合理さの例を挙げています。

まず「教育の質や入学難易度が同程度の大学」であっても「成績の付け方に相当の差がある」。

そして「甘く成績をつける大学の学生は、大学の質と学生の質を統計学的にコントロールしても、大学院に合格する確率・・が高い」。

これは「代表性ヒューリスティックの一つの変形である『対応バイアス(correspondence bias)』」によるものである。

それにより「大学院は、成績付けの甘い大学の出身である受験生が高いGPA(成績平均値)を取っているのを見て、それが本当にその受験生の能力の高さを表していると誤解してしまう」。

対応バイアスとは「人間が、他者の行動(もしくはGPA)はその人の内面をそのまま反映していると額面どおりに受け止めて評価してしまう傾向のこと」。

しかも「このバイアスは入学者選考の担当者が、各大学の成績の付け方の慣行について熟知している場合でもなくなることはない」。

そして、「それとは対照的に、この誤りを回避できるリニア・モデルのプログラムを作るのは容易」だと言います。

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2025年12月 8日 (月)

意思決定の改善 8

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

リニア・モデルが普及しないもう一つの理由は、「 組織内でリニアモデルを使うためには困難な組織変更を伴う必要がある」という考えです。

これは現在(同書日本語版が出されたのは15年近く前です)AIに仕事を奪われることが問題化されているのと同じことで、リニア・モデルによって「コンピューターが決定を下すようになったら、銀行の貸出担当者や大学事務局の責任者は何をすればよいのか」という声が上がるだろうというわけです。

しかし、「実際にはリニア・モデルで人間は重要な役割を演じている。どんな変数をモデルに取り込むか、またそれにどれくらいの重みを付けるのかを決めるのは人間である。人間は また、モデルの成績をモニターし、必要に応じて改訂を施す。ただしそれでも、変化に抵抗があるのは自然であり、意思決定のリニア・モデルの使用への抵抗もその例外ではないのは明らかである。」

「専門家の意思決定をモデル化したコンピュータのプログラムに判断を任せることに向けられる人間心理のバイアスを克服することは、あなたの意思決定能力を向上させるための次の一歩となるであろう」

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2025年12月 5日 (金)

意思決定の改善 7

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

その仲裁人はこう続けたそうです。「他の仲裁人ならあなたの質問に何がしかの返答をするかもしれません。でもそれで得られるのは取るに足らない断片的な返答だけです。」

さらに「仲裁人がある紛争について自分ならどんな意思決定を下すと思うか話したとしても、そこからは仲裁人が実際に何に動かされて意思決定をしているのかについて価値のある情報は何も得られない。それは取り分けて立派な長所を持っているわけでもない女の子に夢中になっている若者に、なぜ君はあの子に夢中なのか尋ねるようなものだ」と言ったそうです。

この仲裁人に限らず多くの判断者はリニア・モデル等の「意思決定プロセスの体系的な研究への実現可能性について否定的」ですが、リニアモデルが彼らの意思決定モデルを説明できることは研究者によって明らかにされています。

以上のような抵抗感の他に「 リニアモデルのような決定分析ツールに否定的な議論のもう一つは、直感や虫の知らせのような感覚が排除されている」ことだということです。

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2025年12月 4日 (木)

意思決定の改善 6

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

リニア・モデルが普及していない理由として、多くの方が抵抗感を感じるということがあります。

その抵抗感の例をみてみましょう。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校心理学部が面接もせずに書類上の点数だけを根拠に自分を不採用としたことに対して、「恐ろしく不公平だわ」「あの大学はどうして私がどんな人間なのか分かったのかしら」と若い女性が憤慨しているのを同書の著者の一人(ベイザーマン)が目撃したそうです。

彼は「採用専攻で3年半にわたる学業の成績書と卒業判定試験によって手間暇をかけて作成された適正評価に含まれた情報よりも30分間の面接の方が優れた予測をはじき出すと信じるとしたらそれは 倫理に反するうぬぼれである」と言っています。

もちろんその情報だけでその方が「どんな人間なのか」大学には分かりません。しかし、面接をしてもそれは分からないのです!(これは多くの方が経験していることだと思います)

次に、彼は著名な仲裁人に数多くの仮想的な意思決定をしてくれるように頼んだそうです。

その時に返ってきたコメントがまた奮っています。まず、「あなたは幻影を求めています」と言われたそうです。

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2025年12月 3日 (水)

意思決定の改善 5

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

我々は日常的に「金銭的な意思決定や企業の人事」「定型的な購買に関わる意思決定」などを行っています。

そこでは「意思決定者は同じ一組の変数に基づいて意思決定を下すので、リニア・モデルにうまく合った作業」なので、この「モデルを使うことで、組織は 専門家が意思決定を下すのに重要な要因を特定」することができます。

ですから「専門家の卓越した 予測能力をあてにせずとも、リニア・モデルが提供するフィードバックと訓練はマネジメントの価値ある道具」 となるはずです。

しかしみなさんはリニア・モデルを使っているという実感はあまりないのではないかと思います。

これはみなさんに限ったことではなく、世間一般でもリニア・モデルはあまり普及していないようです。

何故なのか。その理由を考える前に、次のように言われたら自分がどう思うか考えてみて下さい。

「会社の人材採用では、面接を行わない方が適切な採用ができる」

どうでしょうか。この主張には同意できない方が多いのではないでしょうか。

ではなぜ同意できないのか。そこにリニアモデルが普及していない(そして正しい意思決定ができない)理由の一つがあるのです。

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2025年12月 2日 (火)

意思決定の改善 4

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

なぜリニア・モデルが優れた決定を導くことができるのでしょうか。同書は理由を3つ挙げています。

1 情報を統合する(データから予測を立てる)力

人間は情報の選択やコード 化(どの変数をモデルに組み込むかなど)に長けているが統合力は劣るのに比し、リニア・モデルはその点に優れている

2 人の内面の非一貫性

「同じデータが与えられても、人は常に同じ意思決定をするわけではなく、その場の気分や主観的解釈、環境、締切、ランダムなゆらぎやその他多くの不安定な要因に影響を受けている」

「対照的にリニア・モデルはインプットが同じなら常に同じ決定を下す。つまり、リニア・モデルは専門家が判断に際して心の底で用いている方法を取り込みながらも、専門家がランダムに陥る エラーを回避することができる」

3 バイアス
「専門家はまた特定のケースが誘発するいくつかのバイアスに影響されがちであるが、リニアモデルには予測力を持つと経験的に知られている実在のデータだけが含まれていて、データの持つ顕著性や代表性に影響されることはない」

4 まとめ
「リニアモデルは人の判断を損なうと考えられているバイアスを避けるようにプログラムできる」

だいぶ感じがつかめて来ました?(笑)。

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2025年12月 1日 (月)

意思決定の改善 3

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

決定分析研究では「数多くの選択肢の1つ1つについてあなたの評価と選好順位を明確化すること」と「意思決定がもたらす将来の不確実な結果について、それぞれの生起確率を特定すること」がそれぞれ要求されます。

また「通常の決定分析が意思決定を正しい方向に導くために使うのは『期待値(expected value)』の論理である。選択肢の期待値はその価値と確率を掛け合わせて得られる。」

そして、決定分析ツールの一つの例として、「リニア・モデル(linear model)」というものを挙げています。

リニア・モデルとは「関連した 予想変数を重み付けて加算する公式で、定量的な予想をするために用いられる」ものです。

「研究者は極めて多岐にわたる領域においてリニア・モデルの予測力が専門家を凌ぐことを発見した」そうです。

その例として「PECOTA」が挙げられています。​これは「野球チームの選手の年齢や 身長、体重 、過去の成績などのデータを使ってその選手の将来の成績を予測する」手法だそうですが、これでリニア・モデルのイメージはつかめると思います。

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