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2025年10月28日 (火)

「未解決事件」 後編

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ものごとの判断に「後知恵」を用いることへの警鐘(拙著でも注意喚起しています)として、ある文章をご紹介します。

※文中の「上告人」は司法書士を、「A」は不動産所有者(売主)を、「本件会合」は事前の本人確認・資料確認の場を、「b社」「被上告人」は不動産の買主をそれぞれ指しています。

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上告人が本件会合においていかなる意見を述べるべきであったかを論じるに当たっては,自称Aは本人ではないという事後的に明らかとなった事実をいわゆる「後知恵」として用いないように留意する必要がある。

本件会合の時点においては自称Aの本人性は定かではなかったのであるから,上告人が自称Aの本人性に疑問を挟む意見を述べるに当たっては,仮にb社や被上告人が上告人の意見を尊重して取引を中止し,しかる後に自称Aが本人であったことが明らかとなった場合において,取引の中止によって利益を逸したと主張するやも知れぬb社や被上告人に対していかにして自分が述べた意見の正当性を示し得るかについて憂慮しなければならなかったのである。

差戻審には,以上の諸点を勘案した上で,本件において上告人にはいかなる意見を述べることが現実的に可能であったのかを見極めた上でしかるべき結論を導き出してもらいたいと願う次第である。

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これは、ある地面師事件に関して司法書士が責任を問われた裁判の上告審の判決(R.2.3.6最高裁判決)に添えられた草野耕一裁判官の「意見」の一部です。

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