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2025年7月31日 (木)

公証人でも弁護士でも

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ここ数日公正証書を悪用した事件の報道がメディアを賑わせています。「地面師たち」のモデルになった事件でも、登記識別情報に代わる公証人による委任状の認証(不動産登記法23条4項2号)が悪用されました。

公証人も司法書士同様、当初は事件・事故防止義務はないと考えられていましたが、近年の裁判例や法改正によってその役割が認められるに至っています。

司法書士の場合は東京高裁平成27年 4月28日判決ですし、公証人の場合は公証人法施行規則(昭和24年)です。

「公証人は、法律行為につき証書を作成し、又は認証を与える場合に、その法律行為が有効であるかどうか、当事者が相当の考慮をしたかどうか又はその法律行為をする能力があるかどうかについて疑があるときは、関係人に注意をし、且つ、その者に必要な説明をさせなければならない。」(第13条第1項)

尚、フクダリーガルでは、識別紛失で公証人認証が行われている場合でも独自に本人確認を行うことがルールですが、これは代理人が弁護士の場合でも本人確認を直接行うことと同じ発想です。

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2025年7月30日 (水)

訂正と補足

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

まず訂正です。依頼者が優越的地位にある(司法書士の選択権を一方的にもっている)から司法書士が不審な点を強く指摘できないと書きました。

しかし、選択権が依頼者にあるのは司法書士に限らず当然です。着目して頂きたいのはそこではなく、指摘を躊躇する司法書士がいる可能性と、その状況を作り出す遠因(差別化できないとの誤解)でした。

次に補足です。売買では「多額の金銭が動き当事者間の利害が先鋭的に対立する」と書きました。

これはその前に「司法書士が売主買主双方の登記代理人になれるのは利害が対立しないから」と書いたのと矛盾すると思った方がいるかも知れません。

そういう方は、売買という実体関係と、登記関係とを混同しています。

多くの初学者の方は「実体」と「登記」の関係性を正確に理解していないことが多いので、この際再確認してください。

売買(契約)が「実体」であり、「登記」はその実体をスクリーンに映し出したものだと考えれば良いでしょう。

映し出されたに過ぎないものに利害の対立を問題とする余地がないことはすぐに分かると思います。

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2025年7月29日 (火)

もう一つの「構造」

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日の仮説は自分達には全く当てはまらない(依頼者に対して劣位にはいない)という司法書士の方も少なくないと思います。

そういう方達の殆どは「BtoC」即ち依頼者である個人から直接登記の依頼を受けるモデルです。

そのマーケティング手法は主にコンサルティングです。相続や遺言、高齢者の財産保護等に関して、時には税理士など他士業とアライアンスを組んで、コンサルティングをおこない、遺言や家族信託の組成、後見、財産管理等の業務を行います。

つまり、そのモデルの場合登記はサービスの一部に過ぎません。

また、行う登記の多くは相続や遺贈、生前贈与、家族信託等の登記であり、売買の登記はあまりありません。

つまり、仮説が当てはまるのは売買の登記の場合が中心だということです。売買のように多額の金銭が動き当事者間の利害が先鋭的に対立するものでは、買主側(不動産会社や融資金融機関)が権利保全のために司法書士を指定する(BtoC司法書士は売主側)という関係性があるのです。

これは司法書士と依頼者ではなく、売主と買主との間の「構造」です。

※売主側も司法書士を依頼する関西地方の方式の場合は少し異なると思います。

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2025年7月28日 (月)

構造的問題の解決提案は

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

話が少しずれてしまいました(いつものことですが)ので、整理します。

司法書士自身が事件・事故の原因を作り出す、あるいは事件・事故を阻止する事ができないことがあるという問題の解決方法を探る中で、経験則に基づき一つの仮説を立ててみました。

それは、依頼者が司法書士に対して優越的地位にある(誰に依頼をするかの決定権を一方的にもっている)ため、たとえ司法書士が取引に不審な点を見つけても、取引の続行を望む依頼者に対して、その点を強く指摘できないのではないか、というものです。

そしてその遠因となっているのが「登記業務は誰がやっても同じだ」という伝統的な考え(それは双方代理の許容にも現れている)なのではないかと考えました。

その仮説に立った上で、その解決方法として提案したのが、「登記業務」とは実体を忠実に反映させる手続きのことだけを指すのではなく、高度で専門的な知識と技量を必要とする業務の総体からなるもの(会則で義務付けられた「本人確認・意思確認」はその一つ)であることを再認識・再評価することだったのです。

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2025年7月25日 (金)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その9

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「構造的問題」とは、登記業務に関する依頼者の無理解の原因は司法書士の側にもあったということです。

登記に関して自分たちの果たしている重要な役割や重い責任について、依頼者に理解してもらう努力をして来なかった。

そもそも自分達自身がそれを理解していたのか? つまり司法書士自身が「登記は誰がやっても同じだ」と考えていて、より良いサービスを提供して依頼者を幸せにしようという発想がなかったのではないか?

しかし環境は変わっています。

現在、日本標準産業分類で司法書士の業務は他の士業とともに「専門サービス業」に分類されていますし、かつての報酬や広告に対する規制は自由競争を阻害するとして撤廃されました。

それは、自由競争原理のもと、より良いサービスを提供し、それに相応しい報酬を受け取るという、依頼者との対等なパートナー関係を築くことは十分可能だということです。

そうなれば「うるさい」こと(調査に厳格)にも理解を得られ、怪しい取引を止めることを躊躇することもなくなるのです。

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2025年7月24日 (木)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その8

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

多くの司法書士が「登記なんて誰がやっても同じだろう」「司法書士の仕事なんて書類を集めるだけだろう」(だからもっと報酬を安くしろ)「うるさいことを言うなら他の司法書士に頼むぞ」というようなことを言われた経験があると思います。

確かに登記制度の目的は物権変動(所用権の移転や抵当権の設定など)の過程を忠実に反映させること(「不動産登記法の原則」)であり、結果としての登記の内容も誰が代理するかによって大きく変わることはありません。登記代理が双方代理禁止の例外に当たるとされるのもそのためです。

しかし、その結果を実現するために、専門知識を駆使して複雑怪奇な登記簿を精査し最適な登記選択を行い、犯罪者集団から高額な資産を守りつつ、タイトなスケジュールの中多数の関係者が必要事項を漏らさぬようチェックし、迅速かつストレスなく決済に至れるようリードするのは司法書士です。

それを理解していない方が冒頭の発言をするのですが、それは「構造的問題」の一端に過ぎません。

つづく

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2025年7月23日 (水)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その7

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

数十億円規模の取引では決済はセレモニー型(全ての安全確認を事前に完了させる)にしなければなりません。これは司法書士だけでなく、関係当事者全ての共通認識でなければなりません。

にも関わらず、実際にはそうならないことがあります(今回の事例のように当日初めて確認する書類があるなど)。なぜでしょうか。

一つには地面師のように、そうならないように仕向けて来る当事者がいる場合です。
もう一つは当事者間での共通認識ができていない場合です(何らかの事情で事前の確認ができていないにも関わらず当日の決済を迎える)。

いずれの場合でも(特に大型の案件)決済を行ってはなりません。

しかし、行ってはならないことが行われ、大きな事件・事故を引き起こしてしまうことがあります。

そうなってしまう原因の一つが、前述した「当事者との関係性」なのです。

それは、決済の席上で高圧的な態度を取られるといった表面的なことではなく、その背景にある依頼者と司法書士との関係の構造的な問題です。

つづく

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2025年7月22日 (火)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その6

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

前回の想定では皆さん礼儀をわきまえ高圧的な言動はとらないまでも、決済の席上で突然、書類の不備を理由に取引の中止を求められれば、簡単には了承しないでしょう。

ところで、決済には「立会型」と「非立会型」の2種類があり、立会型はさらに「セレモニー型」と「非セレモニー型」の2種類に分かれます。

「立会型決済」とは、決済当日に当事者が一同に会して書類を取り交わすという伝統的なもので、その中、より形式的で、実質的な確認や手続きは事前に完了させておくのが「セレモニー型」です。

「非セレモニー型」は立会現場で実質的な確認や署名捺印などの作業も行われるものです。

両者に明確な区分はなく、取引規模や安全に対する意識、企業体質等によって程度の差があります。

「非立会型決済」とは、関係者が一同に会することはなく、決済条件の具備が確認出来次第決済を行うという、近時採用されるようになって来た方式です。

数十億円規模なら安全面からも「セレモニー型」に近いものになるのが通常です。

つづく

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2025年7月18日 (金)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その5

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

事件事故を防げなかった原因が当事者との関係性にあることがあります。

例えば、当事者から高圧的な態度で確認行為を制止される(「地面師たち」にも描かれています)という状況に陥ることは、相手が地面師でなくても起こり得ます。

ここであえて「状況に陥る」と書いたのは、高圧的に制止されるには、何らかの原因があることが多いからです。

そしてその原因は、必ずしも相手がやましい意図を持っているからとは限りません。むしろ、自分自身がそうした状況を招いているとしたら 。

想像してみましょう。あなたは、数十億円規模の取引で、最終段階にあたる決済(売買代金の支払と不動産の引き渡し)に臨んでいます。

その場には、不動産会社の関係者に加え、双方の金融機関や仲介事業者など、多くの関係者が同席しており、全員が無事に決済が完了することを当然の前提としています。

そんな中、あなたが初めて目にする書類に不審な点を見つけたとしたら、それをその場で指摘し、決済の流れを止めることができますか?

つづく

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2025年7月17日 (木)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その4

(今朝のフクダリーガル社内ブログ 福田龍介のよしなしごと より)

司法書士の仕事は「債務履行の代理が本旨」で「過失を問われないことを最優先」し「形式的に証拠を残せれば良し」とは、まるで「司法書士の仕事は依頼されたことをその通りにやるだけで良い」と言っているようです。

そう考える司法書士はいないと信じたいですが、現に(地面師に限らず)防げる事件・事故を防げなかった司法書士がいる以上、そう疑われても致し方有りません。

もちろん、事件・事故に巻き込まれた司法書士が必ずしもそういう考え方をしているとは限りません。三つ目の場合がそれです。

例えば司法書士が当事者との関係性の中で弱い地位に立たされている場合などです。

先日のメディア関係者はある司法書士から「事件・事故の防止は勇気がいる」と言われたそうですが、これはまさしくこのことを象徴しています。

つまり、依頼者が司法書士に対して強い(優越的)地位に立つため、たとえ不審な点があっても、取引の成立を望む依頼者にその点を指摘することを躊躇してしまう事態が想定できるのです。

つづく

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2025年7月16日 (水)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その3

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

司法書士が不動産の売主買主双方の代理人になることが許されているのは、債務の履行の代理(民法108条1項但書)だからです。つまり、不動産の売買契約等により発生した登記申請義務の履行の代理だからということです。

実質的には既に確定した不動産取引の内容を登記に反映させるだけなので、利益相反が生じる可能性が低いということです。

しかしその職務内容には、形式的な債務の履行だけでなく、履行の有効性の担保まで含まれます。例えば「本人確認、意思確認」を行うことが書士会の会則で義務付けられています。

問題はこの義務の捉え方です。あくまでも債務履行の代理が本旨であり、義務違反の責任(過失)を問われないことを最優先とするか、もっと踏み込んで事件事故の発生を積極的に防ぐ必要があると考えるか。

前者であれば、仮に不審な点があっても形式的に証拠を残せれば良しという考えに傾く恐れがあります(三つ目の場合とも関連します)が、後者であれば、不審点は徹底的に除去しようと努めます。

つづく

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2025年7月15日 (火)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その2

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

司法書士が期待される事件・事故防止の役割を果たさないという状況には、さらに3つの場合が考えられます。

一つはそもそも事件・事故防止の知見や技術を身につけていない場合です。この場合の解決方法は難しくありません。この秋に出す私の本で勉強して貰えれば良いだけです(笑)。

二つ目は、それらを発揮する必要性について認識の齟齬や誤解がある場合、三つ目は、発揮したくても発揮できない状況に追い込まれている場合です。

後の二つの場合の問題解決は少し厄介です。まず、二つ目の問題から考えてみましょう。

事件・事故防止の知見や技術を発揮する必要性について認識の齟齬や誤解があるとはどういうことでしょうか。

これについては、そもそもの司法書士の仕事の成り立ちから考える必要があります。

それはこんなところからわかることです。民法では当事者双方の代理人となることは原則として禁じられています(108条1項本文)が、司法書士は不動産の売主と買主双方の代理人になることが許されています。

つづく

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2025年7月14日 (月)

不動産取引において事件・事故を引き起こすもう一人の登場人物 その1

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

これまで不動産事件・事故の原因については、加害者または被害者が作り出すものにだけ着目してきました。ところが先日、あるメディア関係者と話す中で、もう一人の「登場人物」の存在に改めて気付かされました。

それは、加害者でも被害者でもない「第三者」です。不動産取引には、仲介事業者、金融機関、司法書士・弁護士・税理士などの専門家、さらには親族など、当事者以外にも関わる人々が多数存在します。

実際、過去にはこうした第三者が事件や事故の一因を作り出したケースも少なくありません。特に大きなトラブルでは、加害者・被害者・第三者それぞれがもたらす要因が絡み合っていたと言ってもよいでしょう。

今回はその中でも、近年特に事件・事故防止の担い手として期待されている司法書士が、逆に事件・事故の一因を作り出してしまう、あるいはそれを促進してしまう場合について考えてみたいと思います。

問題が大きいのは、司法書士が期待される事件・事故防止の役割を果たさない場合です。

つづく

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2025年7月11日 (金)

実務家は科学者から何を得るのか その3

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

認知バイアスを避けるために科学者達が教える方略はここでも紹介しますし、執筆中の「教科書」も修正したいと考えています。

もちろん私なりにバイアスを防ぐ方法を考え、研修や講演で発信し、教科書にも書きましたが、これらの研究成果によってより科学的な説得力のあるものになると思います。

その理解を助けるのが、システム1/システム2の知識です。

現代人は、多くの判断を直感的なシステム1に任せ、その感覚に自信を抱きがちですが、それがいかに危ういかを知る必要があります。

皆さんもよく知っている例で説明します。

両端に矢じりを付けた2本の直線の図形―一方は外向き、もう一方は内向きの矢じりです。どちらも直線の長さは同じですが、多くの人は長さが異なると感じます。

これが、システム1が引き起こす典型的な錯覚=バイアスです。

この時、直線部分に定規を当てて測るのがシステム2の働きです。

正解を知らなければバイアスが働いていることに気づきませんし定規で図ろうともしません。

ここにバイアス防止のためのヒントがあります。

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2025年7月10日 (木)

実務家は科学者から何を得るのか の続き

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

もう少し具体的にご説明しましょう。

不動産取引における事件・事故の原因を考えていると、(後知恵で)なぜそんな失敗を犯してしまうのかと誰でも思う訳です。それで少し調べると認知心理学の研究成果として「認知バイアス」というものがあることがわかります。

認知バイアスは「認知のゆがみ」などと言われ、私達の日常の様々な場面で見られるものなのですが、なぜそのようなことが起こるのか、さらに調べると「二重過程(プロセス)理論」というものにたどり着きます。

これは、人の意思決定システムは、直感的(時に無自覚)に判断を行う「システム1」と、自覚的に論理的判断を行う「システム2」からなっていて、日常的な大半の意思決定はシステム1が行っているが、場合によってはシステム2が出てくるというものです。

システム1で意思決定しないととても日常生活を送ることはできず、大体その判断は間違っていないのですが、時々間違えます。これが認知バイアスです。

ただ、このエラーは系統的で予測できるものなので防ぐことができるはずです。

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2025年7月 9日 (水)

実務家は科学者から何を得るのか

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日の月次朝礼で、「神の領域」に近づく、すなわち合理的な価値判断ができるようになるための方法は、専門家(認知心理学や行動経済学など)の研究によって「与えられる」ものではない、と話しました。

少し分かりにくかったかもしれませんので補足します。

私たちはこれまで、仕事や私生活でのさまざまな課題―ミスやクレームも含め―を、自分たちの手で解決してきました。同じ問題が再発しないよう、対策も講じてきました。

その際には原因を究明し、再発防止の工夫をしてきましたが、それだけでは限界があります。本質的な原因や根底にある「原理」にたどり着けなければ、同じ構造の問題が別の形で現れたとき、うまく対応できません。

そうしたとき、私たちにヒントをくれるのが科学者の研究成果です。彼らは問題の背後にある構造や原則を明らかにし、私たちの手法に科学的な裏付けを与えてくれます。

その結果、私たちのやり方は場当たり的な対処から、再現性のある「正しい方法」へと進化していくのです。

これこそが、「科学的な仕事の進め方」です。

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2025年7月 8日 (火)

新しい心理学は私達の仕事に役立つか その2

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

さて、幅広い心理学の研究領域の中で、不動産事件・事故の分野で特に問題になるのは、判断や意思決定の場面での心理状態です。

「新しい心理学」(プロスペクト理論など)では、人間の判断や意思決定が必ずしも合理的に行われるものでないことが明らかにされて来ました。

それに影響を受けた行動経済学では、伝統的経済学が想定した合理的経済人ではなく「非合理」な人間をモデルとして設定します。

そして、非合理な人間(普通の人間)が犯す過ち(バイアス)は系統的で予測可能とされ、これを学ぶことが、事件・事故防止には非常に有益なのですが、これは、あらゆる場面で役立ちます。

例えば

・司法書士が職責上の判断・決定をするとき
・部課長がマネジメント上の判断・決定をするとき
・依頼者との間で条件や業務内容について交渉するとき
・業務上の問題・課題を解決する時
・噂やネット情報の真偽を判断する時

・・等々、仕事でも私生活でもあらゆる意思決定の場面で役立つものなのです。

具体的には今後各種の「教科書」の形で示して行きます。

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2025年7月 7日 (月)

新しい心理学は私達の仕事に役立つか その1

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

(休暇中、休載しておりましたが本日から再開致します)

現在私は「不動産取引における事件・事故防止の教科書」(仮題)を執筆しています。

これは、これまで事件・事故について問題意識をもって取り組んで来たことの途中経過の報告の意味も持っています。

この取り組みの過程の中で、被害者側の要因の重要性に気づき、否応なく人間心理の問題に着目するようになりました。

これは少し考えれば当たり前のことです。

事件・事故の加害者も被害者も人間ですから、その心理状態を無視することができないのは当然なのです。

さて、人の心の問題については古来から多くの専門家がその研究対象として来ました。

みなさんの中には哲学や心理学を学んできた方や、教養としての哲学や心理学に興味を持たれている方も少なくないと思います。

そして哲学や心理学が 自分達の生活に役立てるべきものであることも理解されていると思います。

しかし、私達の仕事の面では哲学や心理学がまだまだ十分に役立っているとは言えないと思います。

特に事件事故防止(不動産デューデリジェンス)の側面からそれを学びました。

つづく

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