バイアスは合理性の裏側
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
事件・事故防止の教科書では思考にかかるバイアスが事件・事故を引き起こす、と言っていますが、反面、バイアス(歪み)と評価されるのはその思考が否定的な結果をもたらす側面をもっているからで、その思考方法が時間と労力の節約であるという側面もあります。
例えば地面師などの劇的な出来事は実際以上に多く発生しているように思われますが、これは、人には「利用可能性ヒューリスティック」(思い出しやすさで発生頻度を判断するクセ※)があるためです。
これはある意味合理的な心の働きとも言えます。物事がどの程度の頻度で起こっているかを正確に知るためには、全ての物事を把握しなければならず、それは極めて困難です。しかし、自分の思い出しやすいものを基準に判断するのは難しくはありません。
メディアが発達していなかった時代であればそれで大きく外れることはなかったのですが、今はメディアが発達し、しかもそれらは発生頻度の少ないもの、つまり珍しいものほど多く取り上げるため多くの人が思い出しやすく、そこにバイアスが生じてしまうのです。
※「認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」(鈴木宏昭 2020年 講談社ブルーバックス)p.37
最近のコメント