実体のない登記を依頼されたら その5
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
司法書士が本人確認・意思確認をするために行う質問の中には実体の存否に関連するものもあります(取引の目的など)。
その回答が予め準備された虚偽のものであっても、矛盾点がなく実体の存在に疑いを抱かせない程度のものである場合には、本人性や意思能力に疑いがない限り、それ以上の確認は困難です。
また、それによって仮装を見破れなかったとしても過失は認定されにくいと思います。
ただ、売主の資産状況についての情報を掴んでいる場合には別の問題があります。
例えば、自己所有の不動産を売却する者に多額の負債があり、その返済が滞っていて他に資産もないことを知った時には、売却が詐害行為にあたる可能性を疑うべきです。
これは売買が仮装かどうかとはまた別の問題です(そもそも無効である虚偽表示は詐害行為取消権の対象となりません)。また、売買代金が適正だから良いということでもありません(民法424条の2)。
疑いだけなのか、さらに事実関係と買主側の認識を確認し、取引中止の進言、場合によって委託の拒絶もあり得ます。
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