« 会社法よくある質問 3 有限会社だが取締役2人で「取締役会」を開いていた。これからはどう変わる?・・・・そもそも既存の有限会社はどうすべきか。 | トップページ | ベビーカーってどう思いますか。 »

2006年5月 4日 (木)

会社法よくある質問 3 有限会社だが取締役2人で「取締役会」を開いていた。これからは何が変わる?・・・・そもそも既存の有限会社はどうすべきか。・・の続き

今日は事務所でたまっていた書類の整理をしました(終わってません)。

休日には日頃できなかった書類の整理や懸案事項に集中して取り組めます。

色々と興味のあるセミナーや勉強会に参加しても、なかなか「復習」ができていないのですが、こういったまとまって時間の取れるときにざっとでも見返すと、記憶がよみがえり、定着していきます(細部まで記憶すると言う意味ではなく、自分の頭の中で有機的なつながりが出来、普段は忘れていてもひょんな時に表面に浮かび上がってくるようになるということです)。

但し、全ての情報がそういう「有益」(?)な情報であるわけではなく、「復習」してもさほど興味を呼び起こされなかったり、そもそも何を聞いたか思い出せないような情報も少なくありません。そういう類のものは、そもそも今の自分にとってあまり「縁」のない情報として、しまい込むか捨ててしまいます。情報も「人」や「仕事」と同じで「縁」であり、自分が求めているものであれば自然と集まってくるものだと思っています(ただし日頃求め、探していなければなりません)。

そういえば、ある方のブログに、今一番興味のあるのは「人」であるという意味のことをコメントしました。実はこの時まであまり意識していなかったのですが、そのブログの投げかけに応じて考えてみたら、改めて気付きました。

これについては話すと長くなるのでまた改めてどこかでお話したいと思います。

さて、昨日の続きです。

質問は次の様なものでした。

「有限会社で取締役が2名います。今までは取締役会を開いて決議をしてきました(代表取締役選任など)が、これからはどうなるのでしょうか。取締役会設置会社という事を登記する必要が出てくるという事も聞いたのですが・・・。」

昨日は、既存の有限会社が会社法施行後は「特例有限会社」と言う名の株式会社として存続するが、いくつかの特例が認められていると言うところまでお話しました。

この特例は、法改正により、不利な扱いを強制されないようにするためのものですが、逆にこの特例を受ける限り甘んじざるを得ない制約があります。次のようなものです。

     公開会社たりえない

非公開会社と公開会社の違いは色々ありますが、また改めて。

     取締役会を置くことはできない(整備法17条1項)。

  旧有限会社では制度上取締役会という機関は存在しませんでしたから、特例有限会社も(会社法上の)取締役会を置く事はできません。

    業務監査権限のある監査役を置くことは当然にはできない(定款変更必要)

  監査役を置いていた場合、定款で監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定めているものとみなされます(整備法24条、会社法389条1項)

     株主総会の特別決議の要件が異なる(整備法14条3項)

旧有限会社と同じく、「総株主の半数以上かつ総議決権の4分の3以上」とされます(株式会社は「総議決権の過半数を有する株主が出席し、出席者の議決権の3分の2以上」会社法309条2項)。

特別決議とは、重要事項を決定する場合の決議の要件であり、定款変更の場合がその典型です。

さて、今回の質問によると、旧有限会社で取締役が2人おり、取締役会を開いて決議していたとのことです。旧有限会社では取締役が複数あるとき、業務執行は取締役の過半数で決定するのが原則とされていました(旧有限会社法26条)。

しかし、上記しましたように旧有限会社法上は取締役会という機関は規定されておりませんでしたから、この場合の取締役会というのは会社が任意で設置した機関(あるいは単なる呼称)と考えられます。

そして特例有限会社でも(会社法上の)取締役会は設置できず、取締役が複数の場合、業務執行は取締役の過半数の一致で行います。もっともこれは通常の株式会社でも同じことです(取締役会非設置会社では業務執行は取締役又はその過半数の一致で行うのが原則、会社法348条)。

従って当然取締役会設置会社である旨の登記も不要です(不可能)。

以下続きます。

⇒「会社法FAQ」シリーズの第1回目の記事、前回の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

⇒このブログのトッ

※会社法の事ならフクダリーガルウイキ支店

この場合の「公開会社」とは発行する株式の全てについて譲渡制限のない会社を言います(会社法2条5号)。旧有限会社法では持分譲渡には制限がありました(社員以外の者に譲渡する場合は社員総会の承認が必要)が、特例有限会社もそれを引き継ぎ、定款上譲渡制限規定がある(及び株主に対する譲渡は承認されている)ものとみなされます(整備法9条)

株式の譲渡制限というのは、会社にとって都合の悪いものが株主になることを防ぐためのものです。一般的には株式に広く流通性を持たせて資金調達を図る必要が無い限り、譲渡制限を設けています。逆に株式の流通性を高めようとするのであれば、特例有限会社としての保護を受ける事は許されません。

| |

« 会社法よくある質問 3 有限会社だが取締役2人で「取締役会」を開いていた。これからはどう変わる?・・・・そもそも既存の有限会社はどうすべきか。 | トップページ | ベビーカーってどう思いますか。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 会社法よくある質問 3 有限会社だが取締役2人で「取締役会」を開いていた。これからは何が変わる?・・・・そもそも既存の有限会社はどうすべきか。・・の続き:

« 会社法よくある質問 3 有限会社だが取締役2人で「取締役会」を開いていた。これからはどう変わる?・・・・そもそも既存の有限会社はどうすべきか。 | トップページ | ベビーカーってどう思いますか。 »