ライブドアの辿った道 復習編 2 投資事業組合によるマネーライフ株取得
2004年6月にVLMA2号投資事業組合がマネーライフ株を全株取得しています。ここでいう「投資事業組合」というのは複数の投資家から資金を集めて投資・運用して利益を投資家に還元(分配)するしくみ(ファンド)を組合によって形成しているものです。
ファンドとして利用されるのは組合だけでなく、会社(株式会社や有限会社)や、資産流動化法上のSPC(特定目的会社)や投資法人、信託などがありますが、ここでは組合についてご説明致します(他の形態については稿をあらためてご説明したいと存じますが、簡単な説明はこちらをご覧下さい)。
組合が用いられるのは、会社などの法人に比べて小規模(投資家の人数の少ない)で短期間(10年程度)の投資に適しているからです。
組合としては民法上の任意組合、商法上の匿名組合、特別法上の投資事業有限責任組合、有限責任事業組合(所謂日本版LLP)といったものがあります。
民法上の任意組合とは「各当事者が出資を為して共同の事業を営むことを約する」ことによって成立する「契約」と定義づけられます(民667Ⅱ)。
一般に良く知られている例としては建設などのジョイントベンチャーや映画などの「製作委員会」などがあります。
任意組合の特徴としては①共同事業性、②無限責任、③財産が組合員(出資者)全員の共有になる④持分の譲渡に他の出資者の同意が必要、⑤利益分配は出資額に応じて決まる、といったところが上げられます。
匿名組合は出資だけをして、事業活動については表に出てこない者がいる形態です。「当事者の一方が相手方の営業のために出資をなしその営業より生ずる利益を分配すべきことを約する」契約と定義されます(商535)。
匿名組合の特徴としては①事業(運用)活動は営業者だけがおこなう、②有限責任、③財産は営業者に帰属する④利益分配額は契約によって決定、⑤出資者と営業者との二者間契約であり、出資者相互間の関係はない、といったところです。
投資事業有限組合とは投資事業有限責任組合法という特別法によって認められている組合形式ですが、そもそもは任意組合方式では無限責任がネックになり機関投資家の投資が得にくかったところから、平成10年に新しく作られた制度です(当初は中小企業の未公開株式に投資対象が限定されていたが、平成15年に対象を拡大)。
投資事業有限責任の特徴としては、①有限責任、②財源規制(債務超過時の利益分配の禁止)、③投資家の数の限定、④企業内容の開示制度(登記、決算書類の備置・閲覧の制度)、⑤会計監査人の監査の義務付、などがあります。
組合には法人格はありませんが、一つの団体性を有しますので、出資者とは独立した存在として捉えられます。また、任意組合や匿名組合は登記のような公示手段が設けられていませんし、そもそも任意の契約ですから法的規制もほとんどありませんでした(昨年の証券取引法の改正で一定の公募的性格を有する組合型ストラクチャーについては証券取引法の規制がなされるようになりました)。
「VLMA2号」は新聞報道によると任意組合とされています。
そして「実質的な支配者」がライブドア社であるとされています。「実質的な支配」の有無がどんな意味を持ってくるかの詳細は次の項でご説明いたしますが、会計上の要請と取引所の要請(上場のための要請)の二つの側面で問題になってきます。
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