ライブドアの辿った道 復習編 1 バリュークリック・ジャパンの買収
先日「予告編」を掲載した「一木勉強会」のセミナーが昨日終わりました。
そこで今日からは「復習編」としてレジュメに補足を加えて(特にもう少しM&Aの基本的なところも聞きたかったという声もありましたので)掲載していきたいと思います。
まず今回のセミナーの機会を与えていただいたDさん、事務局のGさん、そして多くの鋭い質問を寄せていただいた参加者の皆さんに、心から感謝申し上げます(Dさん最後までご迷惑かけてすみません)
さて、今回は「ライブドア事件」として最初の逮捕容疑になったマネーライフ社の買収を中心にライブドアの手法、何を目的にどんなことを行って、何が犯罪行為として摘発されたのかお話させて頂きました。
皆様ご承知のように、ライブドア社はM&A(合併・買収)を繰返して多数の会社を傘下におさめ、急成長してきた会社です。
そしてこのM&Aという手法は、様々な目的で行われますが、それ自体は当然正当な経済活動であり、企業発展の手段として合法的なものです。今回の事件でM&Aや投資組合・投資ファンド自体が、何かダークなものであるかのようなイメージを一般の人達に抱かせることにならないことを願います。
今回の容疑になった行為もこうしたM&Aの手続きとして行われた行為です。
具体的に見ていきましょう。新聞報道によると、下記のような経緯とされています。
2004年 3月 ライブドアがバリュークリックジャパンを買収、子会社化(社名変更は05年06月)
2004年 6月 VLMA2号投資事業組合がマネーライフ株を全株取得
2004年10月 バリュークリック・ジャパンがマネーライフを完全子会社化する旨を発表
2004年11月 バリュークリック・ジャパンの売上高・経常利益を水増しして発表
2004年11月 バリュークリック・ジャパンの株を100分割すると発表
2004年12月 バリュークリック・ジャパンの株価高騰(ピークの12月には45倍)
2005年 1月 バリュークリック・ジャパンが自社株式とVLMA2号組合の有するマネーライフ社株とを交換(バ社によるマ社の子会社化)
1. バリュークリック・ジャパンの買収
まず、2004年3月にライブドアがバリュークリック・ジャパン(現ライブドアマーケティング)を買収しています。ここでいう「買収」というのは(株式交換ではなく)株式の取得(買取)です。
これ自体は特に問題にはされていないようです。
株式の買取の方法としては、公開(上場)している会社では市場での買付と市場外での「公開買付」の二つの方法があります。もちろん公開していない会社では、相対での売買ということになります。
「公開買付」とは全ての株主に対して平等な条件で株式を売却する機会を与えるために、広く株主に呼びかけてその持ち株を譲渡させる方法をいいます。「不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付等の申込又は売付等の申込の勧誘を行い、取引所有価証券市場外で株券の買付等を行うこと」と定義されています(証取27の2Ⅵ)。原則として一定の会社の株式について買付後の株式数が総株式数の3分の1を超える場合等に公開買付によることが義務付けられています(証取27の2Ⅰ、所謂3分の1ルール)。
ところで、ライブドアがニッポン放送株の買付について行った「立会外取引」というのがあります。これは市場の開いてない時間についての市場、ToSTNeT-1、2という東証が提供するシステムを利用した取引で、これに関しては(一応市場取引にあたるという解釈から)公開買付は義務付けられていませんでした。これを利用して、大量に買付を行ったわけですが、これは実質的には相対取引であり、公開買付制度の趣旨を潜脱しているということで、証券取引法を改正し、所謂3分の1ルールの適用範囲が広げられ、立会い外取引にも公開買付が義務付けられることになりました。
(今日はここまで)
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