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2006年2月 6日 (月)

ライブドアの辿った道 番外編 M&Aの基本

セミナーの際に、M&Aの基本的な事も説明してほしかったというご意見を頂きましたので、今日はそのリクエストにお答えしたいと思います。

前回の記事(ライブドアの辿っ道 復習編 1)で、「M&Aという手法は、様々な目的で行われますが、それ自体は当然正当な経済活動であり、企業発展の手段として合法的なものです。今回の事件でMAや投資組合・投資ファンド自体が、何かダークなものであるかのようなイメージを一般の人達に抱かせることにならないことを願います」と書きました。では、M&Aの行われる目的とは何でしょうか。その合理性(必要性)はどこに見出されるのでしょうか。「M&A」がMergers and Acquisitions(合併と買収)の略であることは良く知られていると思います。しかし、(「乗っ取り」という言葉に象徴されるように)M&Aが何のために行われ、どのような意義があるのかということに関してはまだ誤解が多いのではないでしょうか。

本来的なM&Aの意義として、企業が他の企業を合併したり買収したりすることによって、スケールメリット、シェア拡大メリット、多角化メリット、シナジー(相乗)効果、といった効果を上げることが出来ます。もちろんこれらの効果は必ずしもM&Aという手段を用いなくとも実現は可能ですが、M&Aを利用することにより一から始めるよりコストが低く抑えられる(要する時間も短くて済む)という利点があります。

こういった効果を期待してのM&Aは合併・買収される側にとってもメリットとなる場合も多く、所謂「友好的合併買収」となるケースが多いと思われます(もちろん目的だけで買収される側が合意するとは限りませんが。オリジン東秀とドンキホーテのように)

もちろんM&Aの目的はこれらだけではありません。投資(投機)目的でのM&Aもあります。要は安く買って高く売るということです。会社の現存価値(純資産額)に比較して株式時価総額が安い(IR=対投資家広報活動や配当を十分行ってこなかったような会社ではよくあるケース)会社を買って資産を売却する、あるいは株価を上昇させて売却し差益(キャピタルゲイン)を得る、又は業績不振の会社を買って再建(リストラクチャリング)して、高く売る(上場する等)場合等があります。

これらの目的の場合は当然合併・買収される側の企業とは思惑が異なる場合が多くなり、所謂「敵対的買収」となるケースが多いでしょう。

ライブドアの場合、元々はウエブサイト構築の会社としてスタートしたのですが、その後M&Aにより金融その他広汎な業種の企業を傘下に収めて急成長して来ました。堀江氏は最終的には「世界一の」コングロマリットを目指しているという意味の発言もしていたようです。M&Aをビジネスの拡大・発展の手段として用いてきたのですが、一連の様々な「手法」が今回の事件で明るみに出てきましたため、その真の目的がどこにあったのか今となっては不明です。

次にこういった目的で行われるM&A、一口に合併・買収といいますが、その手法は幾つかに分かれます。合併、株式の買取、新株発行(引受)、株式交換、営業譲渡等が主なところです。

合併とは、合意により二個以上の会社が一つの会社になることです。これによって当事者である会社の一部又は全部が解散し、その財産が包括的に存続会社または新設会社に移転するとともに、その社員(株主)が存続会社または新設会社の社員(株主)となる効果が生じます。

一つの会社が存続して他の会社が解散する吸収合併と、全ての会社が解散して新たに会社を設立する新設合併とがありますが、実際に行われている合併の大半は吸収合併です。

株式の買取は、文字通り会社が株主から株式を買取るという手段ですが、上場会社ではこの買取方法に関する規制がなされています(詳細は後述いたします)。

株式交換は、完全親子会社関係を創出する手段として(金銭による買取ではなく)新株の発行または自社株式の譲渡を用いる方法です(これに関しても詳細は後述いたします)。

営業譲渡は、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値ある事実関係を含む)を譲渡し、その財産によって営まれていた営業活動を受継がせる行為を言います。

営業譲渡は合併に比べ譲り受ける営業財産を限定できる(欲しくない部門は譲り受けない)というメリットがあります。その反面合併のような包括承継ではないため、個々の財産についての移転行為や対抗要件の取得が必要されるというデメリットがあります。

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⇒このシリーズの第1

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