特約その2「所有権留保」―今さら聞けない「新・中間省略登記」⑧
「超・入門」の続きです。
前回は、1番目の特約「第三者のためにする契約」についてお話しました。
今回は、2番目の特約です。
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【第一の売買契約の2番目の特約】
「Bによる所有権の移転先の指定がない限り、売買代金完済後も所有権はAに留保される」
これはいわゆる「所有権留保の特約」です。
不動産の売買契約というのは、売主が不動産(に関する一切の権利)を買主に移転する事を約束し、それに対して買主が代金を売主に支払う事を約束する事によって成立します。
従って通常の売買では、買主が代金を全額支払うと同時に所有権も売主から買主に移転します。
しかし、直接移転売買では、1番目の特約(第三者のためにする契約)で、所有権は直接AからCに移転するとされていますので、Bが代金を全額支払ったとしてもそれだけでは(所有権の移転先としてC又はBを指定しなければ)所有権は移転しません(Aのところにあるままで動きません。これが「留保される」ということの意味です)。
それを言っているのがこの2番目の特約です。
もっとも、この特約がなくても、1番目の特約から、Cが指定されていない段階では所有権がAに留保されるのは明らかです。
にも関わらずこの特約をあえて規定するのは、直接移転売買が、先に書いた「通常の取引形態」とは異なり、買主が代金全額を支払っても所有権を取得せず売主に留保するという、かなり変則的な取引態様であるため、その権利関係をより明確にしておく必要があるからです。
尚、この特約を実際に契約書に書く場合はこんな表現になります。
(所有権留保)
第○条 売買代金全額を支払った後であっても、買主が買主自身を本物件の所有権の移転先に指定しない限り、買主に本物件の所有権は移転しないものとする。
→かなりくどいですが明確で、違う解釈をされる余地を極めて少なくしています
(続く)
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