« 諸先生方、残暑お見舞い申し上げます。 | トップページ | 司法書士間でも熱い議論があったのです / 証券化記事の補足もさせてください。 »

2005年8月21日 (日)

「第三者方式」の法的検証。

村田さん、コメント有難うございます。

村田さんは「第三者のためにする契約」がなぜ今まで利用されて来なかったのかという疑問を提示されていらっしゃいます。確かにこれまで通常の不動産売買の場面ではあまり使われてこなかったとは思います。

しかし、実は「通常」の売買でない場面では頻繁に使われて来ているのです。資産の流動化・証券化の場面における信託契約がそれです。信託はまさしく第三者のためにする契約を基本構造に含むものなのです。

また、業界団体の作成している売買契約書の雛型には「買主または買主の指定する者に引き渡す」という規定の仕方がされています。この「買主の指定するものに引き渡す」はまさしく(地位の譲渡ではなく)売買契約を維持したまま、履行を第三者に対して行うものであり、「第三者のためにする契約」に他なりません。

さらに、第三者のためにする契約自体は、契約当事者と第三者(受益者)との間の対価関係を問題とはしておりません(受益の意思表示を必要とするのみ)。これは、第三者のためにする契約が売買・贈与等の契約諸類型の一つというよりは、各契約に共通して採用される特約としての位置づけにあるからだと思われます、法的には対価関係の有無に関わらず第三者のためにする契約は有効に成立します。

要は、(通常の売買で)「第三者のためにする契約」が利用されて来なかったのは、その必要がなかったからという事に尽きると思います。

他人物売買についての業法上の規制についてもクリアしています。業法では不動産を取得する「契約」を締結していることばかりでなく、その効力の発生が条件に係るものでないことも要求していますが、本方式では契約の効力発生自体が条件にかかるものではありませんので全く問題ありません。

ところで、信託を用いることにより証券化スキームでは登録免許税を始めとする不動産諸税の節減が実現されているため、中間省略登記の「代替案」として信託スキームを考えた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、実体関係を相当見直さなければならないこと、さらに緩和されたとはいえ信託業法上の制限もあることから、採用は難しいと思います。

さて、今日は、証券化の話が出ましたのでそれに関連したPRを一つ。

NETdeBIZ.com経営塾というサイトの「税・会計・法務の羅針盤」というコーナーで、「商法改正が証券化ビジネスに与える影響(有限会社制度廃止後、SPCとしての適格性を有する企業体は何か)」という記事を書かせていただいております。会員制のサイトですが、登録及び利用は無料です。不動産関連ばかりでなく、税務、会計、会社法務などについての有益な情報が掲載されておりますので、是非ご覧になってみて下さい。筆者は参加団体の一つであるビジネス会計人クラブのメンバーとして、定期的に情報を提供させていただいております。

|

« 諸先生方、残暑お見舞い申し上げます。 | トップページ | 司法書士間でも熱い議論があったのです / 証券化記事の補足もさせてください。 »

コメント

福田先生
久しぶりにブログ拝見しました。盛り上がってますね。私は登記のプロではありませんが実務家として感じた事を簡単に記したいと思います。権利の登記はやはり実態を反映していた方が望ましいと思います。しかし、登録免許税が高額であり、転売目的とする不動産業者の仕入れコストの削減の為、こぞって中間省略登記をしてきたのが実態だと思います。ということは問題なのは「登録免許税」なのではないでしょうか。したがって、例えば、「転売目的の場合、所有権移転の登記後、6ヶ月は登録免許税を猶予する」等の税制改正案を業界団体で課税庁に提案したら宜しいのではないでしょうか。そうすることにより、登記と実態が限りなく近づき、課税サイドにしてみても、登録免許税が取れる可能性が広がる事、取得税の課税対象者を把握しやすくなることからメリットは大きいと思います。登録免許税率が倍になる来年4月以降はもっと申告な問題になると思います。大なり小なりエンドユーザに価格転嫁されますからね。ちなみに取得税の場合は分譲業者などに、一定期間は課税しないよう措置をとっています。
 そのような動きが既にあるのかも知れませんが、勝手に思ったこと書いてしまいました。すみません。

投稿: 伊藤英昭 | 2005年8月22日 (月) 14時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「第三者方式」の法的検証。:

« 諸先生方、残暑お見舞い申し上げます。 | トップページ | 司法書士間でも熱い議論があったのです / 証券化記事の補足もさせてください。 »