養子は養親の「姓」を名乗らなければならないか
久しぶりに「フクダリーガルwiki支店」からのご紹介です。 今日は「プチアロマ講座」。アロマテラピー検定1級の筆者が、花粉症から二日酔いまでアロマテラピーの効能をお話して参ります。リラックスや元気付けだけじゃなかったんですね~。奥が深い。フロントページ「フクダリーガル自由帳」のところにあります。
では、本題に入ります。
日曜日に、遺言のご相談でお伺いした先でこんな質問を頂きました。 養子縁組をしても、親(養親)の姓を名乗らなくても良い場合があると聞いたのだが・・・。
そこで今日はこの点についてお話したいと思います。
まず子は親の姓を名乗らなければならないという原則があります(親子同氏の原則、民法790条)。これは実の親子だけでなく、養子縁組をした親子(養親と養子)でも同じです(民法810条本文)。
例えば鈴木一郎さんが松井太郎さんの養子になると、一郎さんは松井の姓に変わり「松井一郎」となります。
また、夫婦の姓は同じでなければならないという原則もあります(夫婦同氏の原則、民法750条)。夫婦別姓は社会的には浸透しつつありますが、あくまでも「通称」であり、戸籍制度上認められているわけではありません。 従って鈴木一郎さんが長嶋シゲ子さんと結婚し、鈴木シゲ子になっていた場合、一郎さんだけが松井さんの養子となったとき、姓が松井に変わるのは一郎さんだけでなくシゲ子さんもです。
しかし、逆にシゲ子さんだけが松井さんの養子になった場合、シゲ子さんの姓が変わることはありません(民法810条但書)。
夫婦同氏を親子同氏に優先させているということです。
要するに冒頭のご質問の回答は、結婚して姓を変えた配偶者が養子縁組した場合は姓が変わらないということです。
これらの議論は、姓(民法上は「氏」)が家制度が廃止された新しい民法のもとでは戦前の古い民法のように「家」を表すものではなく「個人」を識別するものであるにもかかわらず、戸籍・氏が完全に個人単位ではなく、親子・夫婦といった「家族」を表わすものとなっているという矛盾を象徴するといえるのではないでしょうか。
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