何がリスクなのか?
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
前回までは買った古屋の所有権移転登記をしない場合のリスクの扱い方について書きましたが、リスクとは「不動産事故」のことであり、「当事者が経済的・法的な損失を被る」ことが要件です(※)。
例えば古屋の場合の最も典型的な不動産事故として、売主が税金を滞納していたことにより売買対象不動産が滞納処分による差押えを受ける場合がありますが、同じことは新・中間省略登記でAB間決済を先行したがBC間決済をせず、Aに所有権を留保している場合にも発生します。
しかし、両者には「損失」の面で違いがあります。
前者の場合は後者の場合とは異なり(正当な売買により)買主に所有権が移転していますから、差押そのものが不当であって、争えば(訴訟をすれば)勝てる、だから「損失」はないと考えることもできます。
しかし、「不動産事故」の観点からは訴訟コストの発生そのものをリスクと考えるべきだと思います。
ところで、移転せずに滅失するのは物権変動の過程を忠実に登記簿に反映するという不動産登記法の原則に反し許されないのではないでしょうか?
※「不動産事故」の定義:「不動産を巡る経済活動・権利変動(売買・信託・担保化、相続等)において、何らかの不正、不都合な行為が行われ、それによって当事者が経済的・法的な損失を被ること、またはその危険が発生すること」(「不動産事故防止の教科書」)
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