実体法を忘れる
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
先週合格発表があり、全国で数百人の新人司法書士が誕生しました。弊法人への新人の方の入社も続々と決まってきておりますが、採用面接の際に新人のみなさんによく聞かれるのが、出社するまでの間にどんな勉強をしておいたら良いかということです。
その時にお話するのは、第一に実体法(民法や会社法)の勉強をお勧めし、余裕があれば周辺法領域の勉強をすると良いということです。
実体法の勉強を勧めるのは、実務の世界に入ると登記法が中心になり、実体法の重要性を忘れてしまう嫌いがあるからです。
登記は実体法の世界で起こった出来事(物権変動など)を可視化するための手続き(ディスクロージャー)ですから、あくまでも物権変動(実体法)が「主」で登記(手続法)が「従」の筈なのですが、登記手続きを担う仕事をしていると、その認識が逆転してきます。
特に、決まったことを依頼者に言われた通りに行うだけの仕事をしていると、「登記が通るかどうか」という発想に陥りがちで、実体関係に関する問題意識が希薄になってきます。
これは実体関係の適法性や安全性に関する認識の欠如という意味で非常に危険なことは言うまでもありませんが、さらに問題なのは、新しい事象(法が想定していないこと)への対応ができなくなる危険性があるということです。
つまり法律に書かれていないことや、先例がないことをどう扱えばよいかを考えるには、法(実体法)の趣旨を考えることが不可欠なのですが、そもそも実体法を意識した仕事をしていないとそういった発想すらできないことになります。
これは法律家としてもコンサルタントとしても由々しきことです。
| 固定リンク | 0
コメント