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2022年10月29日 (土)

コンピューターは正しい

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

Web上で登記書類を作成するサービスがグレーゾーン解消制度によって司法書士法(3条1項2号)に違反しないとされた根拠は、このシステムが「一義的」に結果を表示するから、即ち誰がやっても同じだからだ、と言いましたが、これは不正確でした。

誰がやっても同じ、ではなく、コンピューターによって行われるため常に同じ答えが出るから、です。

誰がやっても同じならそもそも資格を司法書士に限定する必要はありません。

即ち、法が規制する(司法書士のみが業として行い得るとする)「作成」には、コンピューターによる自動生成は含まれないということです。

これは、コンピューターが出す答えは一義的(常に同じ答え)であるというだけでなく、司法書士が行った場合と同等の、(形式的に)正しい答えであることが前提になっているということでもあります。

形式的に正しい、とは、俗な言い方をすれば「登記が通る」ということです。

適切にプログラムが施されたコンピューターによれば誰が入力しても「登記の通る」書類が作れるということです。

但し、「登記が通る」としてもそれが問題のない登記かどうかはまた別の問題です。

問題のない登記とは、有効である(無効でない)こと、取り消される恐れがないこと、そしてこれらの主張がなされる蓋然性が低いことを意味します。

コンピューターが作成した書類に基づいて行われた登記が、これらのリスクを内在させていないとは言えないのです。

コンピューターが作る書類はあくまでも形式的に正しい書類であるというだけで、実質的な問題の有無までは判断していないからです(少なくとも今回対象になっているシステムでは)。

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