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2022年10月 1日 (土)

意思無能力を見抜けなかったら

(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

売主が意思無能力であったために売買が無効とされた場合の司法書士の関わり方としては、次のようなものが考えられます。

1.司法書士が意思能力の確認(面談等)を行わなかった。
2.司法書士が意思能力の確認を行ったが、
2.1 意思無能力ではないと判断した。
2.2 意思無能力であると判断し、取引中止(延期)を勧めたが、当事者が了解せず取引を続行した。
2.3 意思能力低下の疑いがあると判断したが、意思無能力であると確定的な判断ができなかったため、意思能力ありとして取引の続行を容認した。
2.4 2.3.と同様だが、当事者に対して意思能力低下の疑いがあること及び意思無能力となった場合の効果(売買無効)を説明し、取引続行するか否かの判断を求めたところ、当事者が取引続行の判断をした。

1.(意思能力の確認を全く行わなかった)
司法書士は登記申請代理を受任するにあたり、本人確認、意思確認を行う義務があるとされていますから、それを怠ったこと自体が過失とされる可能性があります(仮に本人確認をしても意思無能力に気づくことが難しかったとしても)。

2.1.(意思無能力ではないと判断した)
意思能力に疑念がある場合司法書士には調査を尽くすべき義務があるとした裁判例(東京高判 平27・4・28 ウエストロー・ジャパン)があります。
これに照らしますと、
1 意思能力に疑念があるか
2 調査を尽くしたか
が問題になります。

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