司法書士の存在意義
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
では、登記申請が不要となった場合に司法書士の出る幕がなくなるのかどうかについて考えてみましょう。
登記簿に記載する内容は、その効力が発生すると同時に自動的に登記簿に反映され、完了します。登記を完了させること自体には司法書士の関与は不要です。
しかし、登記申請を不要とするしくみは、現在の制度を技術的に改良(IT化)することによって作り上げられるに過ぎませんから、一度完了した登記が後から無効や取消によって覆される可能性は残ります。
そして、登記に公信力を認めないという法制度上の原則が変わらない限り(これは単なるIT化の問題ではないので、登記制度そのものを抜本的に変えない限り変わらないでしょう)、登記が後から無効になったり取消されてしまうと、大きな損失を被る方が出てきて、大変不都合です。
これを防ぐためには、登記管理者または信頼のおける第三者に登記内容についての審査権限を与えることが必要になってきます。
そこで、現在はこれをどうしているのか、を考えることになりますが、言うまでもなくこの責任の大半を担っているのは司法書士です。
そして、登記の申請が不要となったとしても、司法書士以上にこの責任を全うできる存在はいないと言って良いでしょう。
形式的には登記に関する「手続」を代理するのが司法書士の仕事であり(司法書士法3条1項1号、「手続」とは申請だけではない)その一環として司法書士はこの責任を全うする必要性があると言えます。
実質的にもこの点についての十分な知見・技術を持っているのが司法書士だけであり、この責任を全うすることが求められるのです。
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