登記知見の意義
(今朝のFLC&S社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
8月30日の本欄で、登記申請行為が不要となった場合に備えて私たちが行っていくべきことの一つは、「私たちの登記知見・技術を申請に関するものとそれ以外とに峻別すること」であると言いました。
これについてもう少しつっこんで考えてみましょう。
例えば司法書士の有する重要な登記知見として、当事者、例えば不動産の売主の意思能力確認に関するものがあります。
なぜ司法書士は売主の意思能力を確認する必要があるのでしょうか?
一般論として、意思能力の有無を気にするのは、それが法律行為の有効要件だからです(民法3条の2)。
そして、売買を原因とする所有権移転登記申請を司法書士が行う時に関係してくる法律行為は次の2つです。
1 売買契約(不動産取引当事者同士)
2 委任契約(不動産取引当事者と司法書士)
さて、司法書士の仕事について、既に成立・発効している売買契約に基づく債務の履行(の代理)に過ぎない(だからこそ双方代理が可能である/民法108条但書)という考え方があります。
この考え方に立ちますと、司法書士が気にしなければならない意思能力は、委任契約についてのもののみ、であり、売買契約が意思無能力により無効(登記も無効)になっても司法書士に責任はないということになります(2つの意思能力を別個に判断)。
この前提のもとで登記申請が不要な時代が来ますと、当然司法書士に対して登記申請を委任するということもなくなりますから、司法書士が意思能力を判断することも不要となります(そもそも司法書士が不動産の売買に関わる必要がなくなります)。
しかし、はたしてそうでしょうか?
| 固定リンク | 0
コメント