司法書士の予防法務機能の用途を開拓?
(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
私が予防法務を新しい領域として考えることに消極的だったもう一つの理由は、予防法務機能の担い手は私達司法書士だけではないということです。
即ち、予防法務機能は、不動産や融資の各事業者もその役割を担っています(5月18日のよしなしごと※)。
取引内容や当事者自身に法的な問題がないかどうかは、まずこれら事業者が確認します。
これを行うのはコンプライアンスの担い手として当然のことなのですが、きちんと各事業者が役割を果たした場合、取引当事者に対する予防法務機能に関しては私達の出る幕はなくなります。
ここで再認識せざるを得ないのは、事業対象(対価を受け取る対象)が、取引当事者(即ち費用の出捐者)であるかどうかが、事業領域となるかどうかの重要な要件になるということです。
現在の取引構造上、取引当事者に直接予防法務機能を働かせるのは各事業者であり、司法書士ではない、即ち、対象が取引当事者ではないため、予防法務機能が司法書士の事業領域にはなり得ないということになります。
例外的に各事業者が十分な予防法務機能を果たしているとは言えない場合にのみ司法書士の予防法務機能の発揮機会が与えられるに過ぎません。
これが、私達の予防法務機能が新しい事業領域にはなり難いと考えたもう一つの理由です。
ところで、私達は度々予防法務に関する講演や研修の依頼を各事業者から頂きます(昨日も不動産事故予防対策をテーマとした講演を2件!やらせていただきました)。
これは、私達の予防法務機能が、事業者から評価される、価値の高い技術であることを意味しています。
柴田教授の言葉を借りればこれは「有望な技術領域」であり、その「用途を開発する」必要があるとも考えられるのが悩ましいところです。
※ http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-d4eeb6.html
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