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2022年5月31日 (火)

コンサルティングノウハウ創出の具体例 その2(つづき)

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

売主が認知症の診断を受けている場合に「コンサルタントとしての司法書士」が行うべきことは、「1 まず、「逃げない」/2 逃げずに問題に立ち向かう。つまり解決策を考える。/ 3 解決策を実行(提案)する。」(※)です。

具体的には、こういう手順です。

1 認知症とは何かを考え、認知症と意思無能力が同義ではないことに気づく。即ち、認知症の診断がされていても、意思能力が認められる場合があることを知る。
2 当該事案での対象者(認知症の診断を受けた所有者)に意思能力が認められるかを検討する。
3 意思能力が認められれば取引の続行を承認する。
4 後日の紛争を防止する手当をする。

これが、(私が本来司法書士が行うべきと考える)コンサルティングのノウハウです。

詳細は、2019年の社内研修「予防法務にインパクトを与えよう!/1 認知症発症者の経済活動」のレジュメ(共有用)及び住宅新報紙の連載記事「認知症でも不動産取引はできる 上、中、下」(2018年1月23日号~2月6日号)をご参照下さい。
〈住宅新報記事〉
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000034853
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000034938
https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000035039


※ http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-67737a.html

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2022年5月30日 (月)

コンサルティングノウハウ創出の具体例 その2

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

2 誰の目からみても問題が生じている場面

既に問題が発生していて、通常だと取引の続行が不可能と思える場合です。

典型的な例が、売主が認知症の診断を受けている場合。

大半の司法書士は「認知症の診断を受けている」と聞いただけで「法定後見人を立てる必要があり、後見人が選任されるまでは取引続行は不可能」という判断をするでしょう。
「認知症」と医師が判定している以上、意思能力の低下は明らかですから、司法書士が取引続行不可能という判断をしても司法書士の使命(司法書士法1条)、職責(同2条)を果たしていないとはいえないでしょう。

しかし私は、司法書士の使命は単に危険を回避することではなく、安全かつ迅速に取引を成立させることだと考えています。

法定後見人を立てれば、意思能力の問題は間違いなく解決でき、危険回避にはなりますが、後見人の選任手続きには2~3ヶ月を要し、それだけ取引が遅延してしまいます。場合によっては買主がそれを嫌い、取引中止に追い込まれるということにもなり兼ねません。

また、法定後見の制度はまだまだ運用が硬直的であり、当該取引のためだけに後見人を立てるということができませんし、専門職後見人の場合の費用(※)も無視できません(これらの点はようやく問題意識が共有され、改善の方向にはありますが)。
ですから、後見人を立てずに取引ができれば、それに越したことはありません。

また、一律に取引続行不能とするのは、危険回避というよりも安易な責任回避に過ぎないのではないかとも思えます。もちろん後日(意思無能力を原因とする売買無効を申し立てられて)売買が無効とされた場合に責任を問われる可能性は否定できませんが、認知症の場合について一律に取引続行不能とするのは安易過ぎると思います。

何よりも、法定後見人を立てるという、誰でも思いつく対処方法では、優れたコンサルティングノウハウとは言えません。

では、どうするか。

それはまた明日。

※ 被後見人の資産状況に応じて裁判所が決定しますが、最低でも毎月2~3万円はかかり、それが後見終了(通常は被後見人の死亡)まで続きます。

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2022年5月29日 (日)

コンサルティングノウハウ創出の具体例

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

では、コンサルティングのノウハウを身につける方法について、具体例でご説明しましょう。

1 「一見問題が生じていない場面」

一見問題がなさそうに見えるが、実は問題があり、もっと良い(合理的・効率的な)方法がある場合です。

例えば、各種不動産トラブル(地面師等の詐欺事件、無権代理事件※1、意思無能力事件等)の「予防方法」です。

「予防方法」としてこれまで一般的に言われてきたことは、「本人確認・意思確認や書類確認の厳格化」です。これは「一見問題がなさそうに」見えます。
しかし、これらの「予防方法」を声高に叫んでも、事件は一向になくなりません。
そこで、「考え・疑う」わけです。「なぜ事件がなくならないのか」「この方法が最善・最適なのか」「この方法に問題はないのか」。

こういった不動産トラブルの危険に日頃から晒されている私たちは、その経験の中からこの疑問に対する解答を見つけ出すことができます。
即ち、事件に巻き込まれる原因は実は敵(詐欺師や無権代理人、意思無能力者)の側ではなく味方(自分)の側にあるということです。
前にお話しした「認知バイアス」です(※2)

そこで、これらの事件の「予防方法」として最善のものは、この「認知バイアス」(正常性バイアス)から逃れること、即ち「自分との戦い」である、というノウハウ(謂わば発想の転換です)を導き出すことができます。
このノウハウを顧客に提供することがコンサルティングです(※3)。

2 誰の目からみても問題が生じている場面

これについてはまた明日。

※1 親族や役員等が代理人と称して本人(会社)所有の不動産を本人(代表者)の了解なく処分するケース。
※2 http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/04/post-1fb6b5.html
※3 このノウハウは6月7日に行う2件の講演で公開します

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2022年5月28日 (土)

コンサルティングのノウハウを身につける方法

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日、コンサルティングのノウハウは「『ぼーっと』仕事をしていなければ当然身につく」と言いました。

ここで言う「ぼーっと」とは、4月11日~15日の本欄で論じた、「考えること・疑うこと」を放棄すること、つまり、登記の依頼を受けた際に、言われたことをそのまま登記するだけで満足している状態です。

しかし、言われたことをそのまま登記するだけで満足せず、その対象となった実体関係について「考え・疑う」ことで、コンサルティングのノウハウが自然と身につくのです。

それを行う場面は大きく2つに分けられます。
一つは、一見何の問題も生じていない場面。
もう一つは誰の目から見ても問題や危険が発生している場面です。

【一見問題が生じていない場面】

依頼された登記手続きを実行する際に、当然のこととして行われてきた事に疑問を持ち、次のことを行います。

1 「このやり方が最善・最適なのか」「このやり方に問題はないか」と考える。
2 そのやり方が最善・最適でない、あるいは問題があるのであれば、最善・最適なやり方は何か、あるいは問題を解決するためにはどうしたらよいか?と考える。
3 最善・最適なやり方、あるいは問題解決方法を提案する。

【誰の目からみても問題が生じている場面】

取引や実体形成過程に明らかな問題があり、そのままでは危険が現実になることが明白な場合に、次のことを行います。

1 まず、「逃げない」
2 逃げずに問題に立ち向かう。つまり解決策を考える。
3 解決策を実行(提案)する。

もう少し具体的にご説明しましょう。

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2022年5月27日 (金)

コンサルティング技術は自然に身につく(はず)

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

次に、「司法書士としての在り方」(※1)の二番目、「コンサルタントとしての司法書士」についてご説明します。

「専門家(士業)としての司法書士」(「在り方」の一番目)は法によって司法書士の業務とされたものを行う司法書士ですが、「コンサルタントとしての司法書士」はそれを超えたサービス、つまり「法律事務」(司法書士法1条)という受動的なサービスではない、能動的なサービスを行う司法書士です。

一言でコンサルタントと言っても様々な分野がありますが、私達が行うコンサルティングは「専門家として」のサービス提供を行っていくうちに自ずと身についてきた知識、技術を積極的に顧客の問題解決や提案に活用していくものです。

不動産登記でも商業登記でも、前提となる実体関係(不動産取引、企業活動)そのものに踏み込んで、民法、会社法や関連法規にも照らし最適な取引手法を提案したり、その適否を判断し、危険を除去します。

フクダリーガルもこれまでの登記業務の経験から編み出し(?)た様々なコンサルティングメニューを持っています。

不動産取引分野で代表的なものが、「新・中間省略登記」コンサルティングおよびその土台となる「クッションモデル®」コンサルティングです(※2)。
その他にも(地面師等の)不動産トラブル防止コンサル(※3)、認知症対策コンサル(※4)、等があります。

企業法務分野は最も登記とコンサルティングが密接に関連している分野です。フクダリーガルでも企業法務分野でのコンサルティング経験を活かし、内山さんが書籍を執筆しました(※5)。佐久原さんも出版予定がありますし、雑誌記事も書いています(※6)。

これらのノウハウは本来「ぼーっと」仕事をしていなければ当然身につくものです。


※1 http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-b6bd46.html
※2 その集大成が「新・中間省略登記が図解で分かる本」(住宅新報出版、2022年12月改訂版刊行)です。https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000050349
※3 大手ハウスメーカー様研修「不動産詐欺の被害に遭わないために」:(省略)
※4 「認知症でも不動産取引はできる」(住宅新報紙連載)https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000034853
※5 「議事録作成の実務と実践」(第一法規)https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/104413.html
※6 「バーチャル開催における役員登記・議事録作成の実務」(ビジネス法務)chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.fukudalegal.jp/pdf/20210125122219032.pdf

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2022年5月26日 (木)

参入する業務分野の選択基準

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

例えば、不動産の売買は人口減少にともなって減少しているので、競争が激化するからやめておこう、とか、商業登記は元々本人申請(司法書士に依頼しない)の比率の多い登記だし、本人申請を容易にするツールがどんどん市場に投入されているのでやめておこう、と考えると、これら以外の登記をやっていこうということになるかも知れません。

しかし、上記のような考え方はあくまでも自分たちの「在り方」(※1)を「専門家(士業)としての司法書士」に限定した場合のはなしです。

フクダリーガルも不動産売買マーケットの将来を決して楽観視しているわけではありませんし、商業登記も本人申請が増えていく可能性は否定できないと考えています。
しかし、フクダリーガルは自分たちの仕事を「専門家(士業)としての司法書士」に限定しているわけではありませんから、不動産売買や企業法務のマーケットはまだまだ開拓の余地が残されていると考えています。
そしてこれが、先日お話した、フクダリーガルの「使命」(※2)につながっていく訳です。

ただ、独立開業を目指す新人司法書士のみなさんが、フクダリーガルが描く未来と同じ将来像を今の時点で描くのは難しいと思いますから、まずは「専門家として」の司法書士像を描いて欲しいと思います。

その意味では、登記以外のサービス(訴訟、後見等)のマーケット(23日の話※3では、フクダリーガルがこれを基本的に扱わない方針であるため、詳しくは触れませんでしたが)への参入は、新人司法書士の皆さんにとって十分検討に値すると思います。

ところで昨日の図では不動産売買のマーケットが、新築と中古、実需と投資、という分野に分かれていますが(さらに不動産はオフィス、住宅、商業、福祉、リゾート、物流、再生可能エネルギー、データセンター、等々に細分化されます)、どの分野を狙うかの選択は技術的な違いだけでなく、マーケティング手法の違いでもありますので、新人のうちはそこまで想定しての選択の必要がない(というよりできない)と思います。

※1 http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-b6bd46.html
※2 http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-9c933c.html 
※3 http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/05/post-90d6aa.html

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2022年5月25日 (水)

何の登記をやるか、登記はやらないか

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

一昨日(5月23日、「専門家の多様性 その1」)、提供するサービスの種類として「登記か登記以外か」という選択肢があるとお話しました。
そして、登記を選択したとしても、その中でもさらにいくつもの選択肢があります。
簡単に図示すると下記のとおりです。

                     司法書士としての業務(※)
                         |
                   ーーーーーーーーーーーーーー
                  |                  |
                 登 記              登記以外   
                  |          (訴訟、後見、財産管理等)
                  |               【 BtoC 】
             ーーーーーーーーーーーー
            |                |
          不動産登記         不動産以外の登記
            |          (商業、動産・債権譲渡等)
            |             【 BtoB 】
         ーーーーーーーーーー
        |             |
      売買の登記     売買以外の登記(相続、信託等)
      【 BtoB(toC) 】      【 BtoC 】
        |       
     ーーーーーーーーーーー
    |              |
   実 需           投 資
(自己居住目的)       (賃貸目的)
    |              |
  ーーーーー        ーーーーー
 |     |      |        |     
新 築   中 古    新 築     中 古

それぞれはマーケティング手法が異なり、競争も厳しくなりますので、まずはどれか一つを選んでそこに注力するのが賢明でしょう。

どれを選ぶかは、もちろん何をやりたいかという点も基準になりますが、やはり稼ぐことも必要ですから、その観点からは、対象とする実体マーケットをどう考えるかが重要な基準となります。

それについてはまた明日。

※あくまでも司法書士の「専門家(士業)として」の(独占)業務(司法書士法3条他)であり「コンサルタントとして」の業務は含みません。

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2022年5月24日 (火)

「専門家」の多様性 その2

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

4 個人か法人か

これは主に独立開業する方が、事業規模をどうしたいかという観点です。一般の企業と同じことです(勤務司法書士にも個人事務所に勤めるか、法人に勤めるかという選択肢はありますが、その違いは本質的な違いをもたらさないと思います)。
事業規模を大きくするためには、小規模事務所とは異なる問題を解決しなければなりません。例えば「人を使うのは色々面倒だから、気楽に一人で(あるいは家族で)やりたい」という方もいらっしゃいます。
この点も改めてお話します。

5 仕事以外の生活についての考え方

これはどちらを選択するか、という問題ではありません(「ワークライフバランス」という言い方をされることもあります)。就職(転職)する場合も、独立して人を使う場合も、この点は良く考える必要がある、ということです。
例えば、出産や子育て、介護への対応(産休・育休・介護休暇)、有給休暇の付与、時間外労働への対処、趣味と仕事との両立やリカレント教育についての考え方、等々、検討事項は色々です。

フクダリーガルでは、産休・育休・介護休暇・有給休暇は積極的に取得してほしいと考えています(ご存知のように今月から一人が「パパ育休」に入りました)。時間外労働に関しては、決して望ましいとは考えていませんが、事業の急成長に増員や業務改革・意識改革が追いつかなかった部分があり、まだ多い方もいます。しかし、年々残業時間は減少してきていますし、今後も増員と業務改革・意識改革を進めることで残業の削減を実現していく計画です(先日の朝礼でもお話しましたが、来月以降、本格的な対策に着手する予定です)。

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2022年5月23日 (月)

「専門家」の多様性 その1

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「専門家としての在り方」と言っても一様ではありません。自分はどれを選択するのかについてもある程度見通しを立てておいた方が良いでしょう。後から方針変更するのは非効率的です。

1 誰から依頼(または紹介)を受けるか
事業者か非事業者(個人)か。マーケットと言い換えても良いです。法人マーケットか個人マーケットか。またはBtoBかBtoCか、あるいはBtoBtoCか。
その違いによって依頼を獲得する方法が大きく違って行きます。
その方法を学ぶためには同じモデルの事務所に勤めることが効果的でしょう。
フクダリーガルはBtoBtoCモデルが過半ですが、最近フクダリーガル出身者でBtoCモデルで独立する方が何人か現れていますので、あながちウチでの経験が役に立たないこともないようではあります・・・。

2 提供するサービスの種類は何か
登記か登記以外(訴訟、後見等)か。
これも、それを(多く)扱っている事務所でなければ知識、技術を磨くことは出来ません。フクダリーガルは訴訟、後見は扱わないのが基本的な方針ですから、将来訴訟業務や後見を積極的にやって行こうという方にはあまり勉強にはなりません(但し、訴訟も後見も、登記業務を行う上でその基本的知識は必須です)。

3 独立開業するか、勤務するか
新人の方にこの点を尋ねると、「いつかは独立したい」という答えが返って来ることが多いと感じます。自分は勤務司法書士を貫く(さらに法人の中でトップを目指す)という考え方を明確に持たれている方は少数派だと思います。
もし本気で独立したいと考えている方は、「司法書士としての在り方」を早めに明確にし、それに従った戦略を立てることが必要です。
この点はまた改めてお話します。

続きはまた明日。

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2022年5月22日 (日)

「専門家(士業)としての司法書士」とは

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「司法書士の在り方」の一番目、「専門家(士業)としての司法書士」とは、司法書士という資格に与えられた独占業務(司法書士法第3条で司法書士の業務とされていること)を行うという「在り方」です。
これは全ての司法書士に与えられているものであり、選択するか否かの問題ではないように思えます。

しかし、新人司法書士の皆さんに考えて頂きたいのは、この「在り方」を選択するかどうか、ではなく、これ以外(以上)の在り方も選択するか否か、です。

そして、これ以外の「在り方」も選択するかどうかを判断するにあたって考慮して頂きたいことは、この「在り方」が次の2つの特質を持っているという点です。

1 誰かからの依頼があって初めて仕事になるという、受動的なものであること。
司法書士法はそれを想定しているようにも読めます(「司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。」同法3条柱書)。

2 仕事の内容は依頼を受けたことを忠実に(もちろん安全かつ円滑に)行うことであること。

例えば不動産登記の分野で言えば、不動産の買主から、不動産を買ったから登記して欲しいという依頼を受けて初めて仕事になります。
また、その仕事の内容は、登記の手続きを当事者に代わって行う(安全かつ円滑に)ことです(「登記又は供託に関する手続について代理すること。」司法書士法3条1項1号)。

もちろんこれは、司法書士業務の中核であり、法が司法書士の「使命」であるとしているように(「司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする」司法書士法1条)、最も司法書士が社会に貢献する場面であると言っても良いでしょう。

ですから、これ以外の「在り方」を選択しないということも何ら問題がない、というよりもこの「在り方」でその機能を果たし、成果を上げるだけで十分ですし、大半の司法書士はこの「在り方」のみを選択しています。

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2022年5月21日 (土)

司法書士としての「在り方」

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「色々な登記を体験してみたい」そう望むのは新人ではなくある程度(1,2年?)の経験を積んだ司法書士です。

新人であれば、まずは登記の実務を(何でも良いから)経験してみたいと思うのが普通だと思います。
そして、自分がどんな司法書士になりたいかという、司法書士としての将来像を描くこともこの段階ではまだできません。新人司法書士にその点を聞くと、殆どの方から、まずは仕事を覚えたい、将来像についてはまだよくわからない、という答えが返って来ます。

ただ、できれば早い段階で、自分がどんな「在り方」の司法書士になりたいか、方向性を漠然とでも良いので頭に描いておくことをおすすめしたいと思います。
どんな「在り方」の司法書士になるかによって、学ぶ知識や技術の内容や、学ぶ姿勢、働く姿勢も異なってくると思います。
また、学ぶ環境としても最初から同じ「在り方」の司法書士事務所に籍を置いて学ぶことのほうが当然望ましいでしょう。自分の望む方向性と違う「在り方」の事務所で学んでも、学ぶものは多くないと思います。

もちろん、司法書士の実務がどんなものかわからない段階で、どんな「在り方」の司法書士になりたいかを考えろというのは無理かもしれません。どんな「在り方」があるのかもわからないかもしれません。

そこでまず司法書士の「在り方」としてどのようなものがあるかについての私の考えをお伝えしたいと思います。

私は、司法書士の「在り方」には大きく分けると次の4つがあると考えています。

1 専門家(士業)としての司法書士
2 コンサルタントとしての司法書士
3 職業人としての司法書士
4 事業家としての司法書士

もちろんこれらはそれぞれ相反するものではなく、それぞれの要素を兼ね備えることが多いでしょう。また各人の「在り方」が変化していくこともあり得るでしょう。
しかし、新人の段階ではこれらのうちのどの「在り方」に重きを置くのか、価値を認めるのか、を考えておくことをおすすめしたいと思います。

では、続いて、それぞれの「在り方」の意味についてご説明しましょう。

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色々な登記を経験してみたい

(昨日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

フクダリーガルでもBtoCが必要なのではないか、という声は、色々多様な種類の仕事を経験してみたいという要請から出てくるものです。

もっとも、多様な仕事を経験するためにBtoCマーケティングが必ずしも必要なわけではないのですが、色々な仕事を経験したいという気持ちは良くわかります。

勿論フクダリーガルでは昨日お話したように多種多様な登記を扱っていますから、多様な種類の仕事をする機会はあるわけです。

ただ、フクダリーガル全体では多種多様な仕事を扱っておりそのノウハウもありますが、全ての仕事を万遍なく扱っている部門があるわけではなく、また、時代の要請によって依頼の少なくなる種類の仕事もあります。従って自分が所属する部門での取り扱いが少ない仕事や、今の時点で依頼のない仕事は当然経験する機会が少なくなります。

これを解消する方法は色々と考えられますが、これに関しては今後着手予定のキャリア支援プログラムと合わせて仕組み化していける見込みです。また改めてお話する機会があると思います。

ところでフクダリーガルが多様な種類の仕事を経験してきたのは、その仕事を積極的に取りに行ったからに他なりません。

そして、当然最初はやったことのない仕事を受注することになります。普通は経験のない司法書士にその仕事を依頼するということは考えられませんが、フクダリーガルはそれを受注してきました。

どうやって来たかについては、また改めてお話します(例えば「NPL」についての登記ーこれが時代の要請によって多寡がある典型ーなどです。「NPL」とは何かも含めてまたの機会に)。

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2022年5月19日 (木)

フクダリーガルはBtoBモデル

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

売買の登記に関してBtoCマーケティング(個人の売主や買主に直接働きかける)は成り立たないか?

結論から言いますと、現在の取引構造を前提にする限り難しいですし、当面はこの構造は変わらないでしょう(「やがて来る時代」※になれば劇的に変わりますが、それがいつ来るかはまだわかりません)。

またそもそもその意味があるのか?

フクダリーガルは2002年の開業以来20年間、主にB2Bマーケットを切り開いて来ました。

この分野では高度なノウハウを保有し、「toB」の「B」である不動産事業者および融資事業者からも高い評価を獲得してきました(某融資事業者さまが実施して下さったアンケートでの高評価はみなさんもご存知の通りです)。
 
また、BtoBマーケティングからは、不動産売買以外の法人取引の登記(信託、債権、動産、NLP、賃借権、用益権、企業法務等々)も当然受託し、幅広いノウハウの獲得につながってきました。
従って今後もこの分野に力を入れて行くことは基本的な方針としてお示ししている通りです。

一方でB2Cの分野、即ち個人のための登記(例えば相続や家族信託)や後見、債務整理等のマーケティングには特に力を入れて来ませんでした。それはBtoBのモデルとはかなり異なったマーケティングスタイルだからです。

もちろんBtoBのマーケットでも当然個人向けの業務のニーズはありますし、それらが法人取引の前提になることも多いため、この知識は必須です。
フクダリーガルでも(全体の登記件数ー昨年は年間約3万件ーからすればごくごく僅かですが)ノウハウを蓄積するには十分な件数を扱っています。

ただ、それが内外に十分共有・発信されているかどうかというと疑問符がつきます。
それで、フクダリーガルでもBtoCが必要なのではないかという声が出るのです。

※4月10日の「よしなしごと」
http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/04/post-e6051b.html

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2022年5月18日 (水)

司法書士が仕事を得るしくみー不動産売買はBtoBが必然か

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

司法書士のサービス提供対象として、不動産の売買に関してはBtoC(事業者対消費者)市場は育って来ませんでした。何故でしょうか?

それは不動産売買における当事者(売主と買主)以外の登場人物を考えればすぐにわかります。ほとんどの取引に不動産事業者が関わりますし、銀行などの融資機関も高頻度で関わります。

典型的(古典的)な不動産売買のスタイルはこうです。
不動産を買いたい(売りたい)と思った人は、不動産事業者を訪ねて希望の物件を紹介して(買い手を探して)もらう。これは不動産事業者が仲介(媒介)者、あるいは代理人として関与するということです。

今は、現実店舗ではなくネット上(各企業単体またはプラットフォーム上)での集客が増えていますが(集客ばかりでなく契約等の手続きも電子化が解禁ーちょうど今日改正宅建業法が施行されます)、登場人物や機能は変わりません。

不動産事業者の役割(媒介や代理)は単に物件や買い手を探したり、交渉するだけではなく、昨日お話したように予防法務機能も果たします。そこに司法書士の選定、紹介等も含まれるのです。

また、買主が融資を利用する場合は、対象不動産に担保を設定し登記することが多く(法人等その属性=信用度によっては設定あるは登記をしない場合もありますが)、その手続を行う司法書士の選定は銀行等の融資機関の果たす予防法務機能の一環として行われます。

いずれにしても不動産の売買における司法書士の指定ないし紹介はこれら事業者によって行われることが大半であるということになります。

これを司法書士の側から見ると、不動産売買の登記の仕事を受注するためには、上記事業者に働きかける(営業する)必要があるということになります。
即ちBtoBマーケティングにならざるを得ないのです。

では、売買に関してはBtoCマーケティング(売主や買主に直接働きかける)は成り立たないのでしょうか?

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2022年5月17日 (火)

司法書士は顧客がライバル?

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

仮想空間(メタバース)での土地売買に潜む危険について考えるきっかけになったのが、ある方の「(不動産事業者もそうかもしれないが)一般の人は特に、不動産を安心して買えるという司法書士のサービスを必要としている。そしてそれは仮想空間でも同じ」というアドバイスだったことは先日ご紹介しました。

これは私達の仕事の中核である「予防法務」に新しい視点(約束が守られているか)をもたらしてくれたのですが、もう一つ気づかされたことがあります。

それは、予防法務が「単体」でも評価される(ビジネスになる)という事です。

フクダリーガルでは大半の業務はB2B(2C)です。そしてB2Bの仕事では特に予防法務の部分が「単体では」評価されにくい面があります。

もちろん私達の仕事の本来的な価値である予防法務はB2Bの仕事でも大変高く評価されて来ましたが、それは予防法務単体ではなく、登記申請業務と一体となっての評価でした。
残念ながら少なくとも売買の局面では予防法務単体での評価は殆どされて来なかったと言って良いと思います(多くの他士業にも共通)。

B2B(2C)市場では、「C」(登記申請の依頼者)との間に「B」(不動産事業者、金融機関)が存在し、「B」が私達司法書士に先んじて予防法務(安心して土地を売買できるようにする)の役割を担っています。

そのため司法書士が「C」に対し予防法務のサービスを提供する範囲は限定的であり、また、直接的ではないのです。
司法書士の予防法務が単体では評価されてこなかった原因はこういったところにもあります。

つまり、B2B(2C)市場では、予防法務ビジネスに関しては私達の顧客である「B」が競争相手ともなっている訳です。

しかし、先のアドバイスは予防法務が単体で評価される可能性に気づかせて下さいました。つまり売買におけるB2C市場の可能性です。

しかし、これまでこの市場は育ってきませんでした。何故でしょうか?

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2022年5月16日 (月)

メタバース内の土地売買トラブル

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

土地の売買が「安全か危険か」は、「約束が守られているか否か」の問題です。

私たちは、現実空間内での土地売買におけるトラブルを経験則上次の4つに類型化し、その危険を除去する努力をしてきました。

1 犯罪によるもの(詐欺、脅迫)
2 金銭トラブルによるもの(債権債務問題)
3 相続トラブルによるもの
4 認知症による意思能力の低下ないし喪失によるもの

これらを「約束が守られているか」という観点から見るとこうなります。

1 犯罪・・・刑法という「約束」に反する行為。
2 金銭トラブル・・「借りた金は返す」という「約束」に反する行為。
3 相続トラブル・・相続法という「約束」、遺言という「約束」、遺産分割協議という「約束」に反する行為。
4 認知症による意思能力の低下ないし喪失・・法律効果を発生させるためには意思能力が必要であるという「約束」に反する行為

これらの「約束」は仮想空間内でも現実空間と基本的には同様に存在します。
従って、これまで現実空間で私達がこれらに対して対処して来た方法が仮想空間内でも応用できます。仮想空間特有の修正は必要ですが。

現実空間での危険とその対処の詳細に関してはフクダリーガルホームページの「実録・不動産トラブル」や、福田の講演録等をご参照下さい。
https://www.fukudalegal.jp/12/post_38.html

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2022年5月15日 (日)

現実空間の取引も「仮想」である。

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日、(メタバースにおける土地取引を安全に行うための)「知見は私達の中にある」「実体の不動産の取引での知見と変わらない」と申し上げました。

確かにメタバース内の土地は(ブロックチェーン技術=NFT=によって代替性のないものとされますが)、データに過ぎず、実際に手で触れる(3次元世界に存在する)現実空間の土地とは異なります。

しかし、現実空間でも土地に人(個人、法人)が関わるための技術は、「約束」で成り立っています。例えば土地を売買するとは、それに対する権利(所有権や賃借権等)というものの存在を「約束」し、その権利(及びその反射である義務)の発生を「約束」する事です。これらに強制力を与えるのも法律という「約束」です。いってみれば「仮想」なのです(土地の境界線もそうですね)。

現実空間は、人が作り出したものではなく、人以前に存在したものです。一方メタバースは空間そのものも「約束」によって作り出されたものです。そういった違いはありますが、空間内での活動はいずれも「約束」(仮想)によって成り立っており、その意味では現実空間も仮想空間も違いはありません。

そして、不動産の取引が「安全か危険か」とは、その「約束が守られているか否か」の問題なのです。

私達司法書士が現実空間での不動産取引についての安全確保(危険排除)のためにどんなことを行ってきたかは皆さんご存知のとおりです。

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2022年5月14日 (土)

メタバースでの土地購入に潜む危険

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日ある方(いずれご紹介します)に「社内で『SFプロトタイピング』のマネごとで『やがて来る時代の不動産取引』という話をした(4月10日の「よしなしごと」参照※)」と話しましたところ「それなら、メタバースでの土地購入が安心してできるサービスを提供することを考えたらどうでしょう」というご助言を頂きました。

要するに「(不動産事業者もそうかもしれないが)一般の人は特に、不動産を安心して買えるという司法書士のサービスを必要としている。そしてそれは仮想空間でも同じ」という訳です。

それを聞いてすぐ、「面白いが知見がない」と思いました。メタバースという仮想の空間での仮想の不動産の取引ですから、その取引にどんな危険が潜んでいるかを判断するためには、仮想空間や仮想化技術についての知見が必要なのではないかと思ったわけです。

それで、「私達がこれまで行ってきた予防法務とは違う知見が必要だ」とお答えしたところ、その方は「そういうサービスの検討をはじめたという情報発信をするだけで、感度の高いところ(テックのスタートアップなど)から情報が集まってくる」といわれました。なるほど、と思いました。

それで検討を始めたのですが、少し考えてみると、既に知見は私達の中にある、ということに気が付きました。実体の不動産の取引での知見と変わらないのです。

詳しくは明日以降に。


ところでこの方からは「福田さんは色々なことを沢山考えすぎだ」とも言われました。それでここでの話が「よしなしごと」になってしまうのかも知れません(笑)。


※http://hap.air-nifty.com/phytoncid/2022/04/post-e6051b.html

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2022年5月13日 (金)

業務工程見直しの必要性

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

他社が行った、登記申請の電子化(「司法書士が売主、買主それぞれとウェブ面談を行い、マイナンバーカードや商業登記電子証明書を使用し、電子署名による完全オンラインでの登記申請も行った。」)に関して、フクダリーガルでも「例えば、マイナンバー電子署名を使用した登記、識別のデジタル化、郵送の電子化、e-KYC、完了後確認の廃止(オンライン申請)、等々」が実現、ないし、検討・提案されており、これらを更に加速する必要がある、と昨日申し上げました。

これらの諸施策の意味するところを一言で言えば、業務工程の見直し(及びITでの代替)です。これら見直しがフクダリーガル内で行われていることについて、みなさんは当然ご存知、というより皆さん自身がその担い手である訳ですが、さらに重要なのはこれらが何故必要なのかということの認識です。

もちろんこれらは第一義的には社内の業務の効率化、生産性の向上を目的として行われているものです(業務工程の見直しの前提である業務工程の可視化は業務ミスの極小化の大前提でもあります。この点は昨年12月の朝礼等でお話ししましたが、さらにこれを進める必要があります)。

しかし、さらにもう少しだけ広い世界に目を転じれば、これらによる業務の効率化は不動産取引全体の効率化、ひいては日本全体の生産性を上げることに繋がるものです。だからこそ業務の見直しやITツールへの置き換えは、取引に関わる利害関係者、特に「業」として関わる方達から強く求められているものなのです(遅れていた不動産業の世界でも法律が改正・施行され、今回も大手不動産会社が実証実験に参加していることがその何よりの証左です)。

だからこそ、私達もさらにイノベーションの速度を上げて行く必要があります。
とはいえ、いたずらに焦っても仕方ありませんので、まず何を行うべきかを再確認しましょう。

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2022年5月12日 (木)

「価値創造」のうち特に加速すべきもの

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日の報道の中で「フクダリーガルの価値創造」に現在最も関係するのはこの部分です。

「司法書士が売主、買主それぞれとウェブ面談を行い、マイナンバーカードや商業登記電子証明書を使用し、電子署名による完全オンラインでの登記申請も行った。」

こういったことに関してはフクダリーガルでも一部実現したものもありますし、検討、(取引先への)提案段階のものも少なくありません。

例えば、マイナンバー電子署名を使用した登記、識別のデジタル化、郵送の電子化、e-KYC、完了後確認の廃止(オンライン申請)、等々です。
これらの実現を加速していく必要があることは他社の動向からも明らかです。

明日からは、これらについて少し具体的に見ていきましょう。

・・・・・

こんな話をしていると、ちっとも「よしなしごと」じゃないじゃないかという声も聞こえそうです。確かにここに書いていることはフクダリーガルにとっても私個人にとっても重要なことが多いですが、あくまでもここに書いているのは、問題点の整理や、私の思考過程(試行錯誤、自問自答)の公開に過ぎず、重要だから読んでね、という趣旨のものではありません。関心のない方にとってはまさに「よしなしごと」でも仕方がありません(フクダリーガルのメンバー全員に読んで、かつ理解し、賛同して欲しいことは別の場でお伝えします)。

・・・・・

ところで、今回の「再構築」で、昨年11月に改定した基本理念は修正を余儀なくされそうですが、すぐには行いません。暫く寝かせて(笑)おきます。

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2022年5月11日 (水)

「価値創造」でフクダリーガルの先を行く会社

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日お伝えした、理念の修正「フクダリーガルの価値創造」では
「1 これまでフクダリーガルが創造して来た価値」
「2 近い将来においてフクダリーガルが創造していくべき価値
  (既存のしくみの枠内)」
「3 近未来に向けてフクダリーガルが創造していくべき価値」
と段階を踏んで今後の弊社の進むべき道を示しました。
このうちの「2 近い将来」の「(4)登記申請手続きの改革実行」を既に他社が先行して現実化しました。
下記の報道を御覧ください。今朝の日刊不動産経済通信です。

**********************

野村不ソら、登記申請までをデジタル化

 エスクロー・エージェント・ジャパンと、サイバーリンクス、野村不動産ソリューションズの3社は、共同研究してきた不動産取引の完全オンライン化に関して、実際の売買仲介で、マイナンバーカード(公的個人認証)を活用することで登記申請までを電子署名によるオンラインで行った。

 (以下略)

2022/05/11 日刊不動産経済通信

*********************

これだけをみると、大変だ、いよいよ司法書士の仕事が奪われる!、と極端な反応を示す方もいるかもしれませんが、この報道だけではまだなんとも言えませんね。
具体的にこの中身を知り、それによって私達の行うべき価値創造に影響があるのかどうかを考えるのが先決です。
もちろんこれまでの情報(※)から当然予想はしていたことですので、驚くほどのことではありません。
※https://ssl4.eir-parts.net/doc/6093/tdnet/2113906/00.pdf
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000406.000025694.html

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2022年5月10日 (火)

「使命」の再構築

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ここまでの検討(自問自答)にもとづいて、「FLC&Sの目指す事業の形」と「Mission ~使命~」とを合体・再構築するとこのようになりました。

****************************

Mission ~使命~

新しい価値を創造していくことにより、
より合理的で効率的な、「楽しい世界」をつくる

フクダリーガルの価値創造

1 これまでフクダリーガルが創造して来た価値
(1)正確・迅速な登記申請手続及びその合理化
(2)実体判断(安全性・最適性判断)≒予防法務
(3)実体形成手段の合理化
(4)登記申請手続きの改革提案
2 近い将来においてフクダリーガルが創造していくべき価値
  (既存のしくみの枠内)
(1)登記申請手続の最適化
(2)実体判断(≒予防法務)及びその共有方法の合理化・最適化
(3)実体形成手段の最適化
(4)登記申請手続きの改革実行
3 近未来に向けてフクダリーガルが創造していくべき価値
  (しくみそのものの変革)
(1)第一段階
  申請手続きを要しない構造
(2)第ニ段階
  登記記録、実体的変動記録の方法そのものの変革
(3)第三段階
  実体形成手順そのものの変革

****************************

※予防法務=①実体形成手続きにおける法的問題の発生の予防、②最適な法的手順の提案・助言(法的最適化)、③判断の根拠となる法的、物的な情報の提供、評価等、により、その目的達成を支援すること。

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2022年5月 9日 (月)

「価値の創造」の中身

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日の、(フクダリーガルの使命(Mission)は)「FLC&Sの目指す事業の形」と同様に「しくみの変革」ではなく「価値の創造」とすべきだ、という結論にもとづいて、「フクダリーガルのしくみ変革に対する関わり」を見直しましたところ、このようになりました。
できる限り元々使っていた言葉を残しました。

************************

フクダリーガルの価値創造

I.これまで創造してきた価値
1.技術
正確・迅速な登記申請手続き
2.知見
(1)実体判断(安全性・最適性判断)
(2)合理的な登記申請手続き
II.これから提供(創造)していく価値
1.進化・・既存のしくみの中で新しい価値を生んでいくこと
(1)登記の局面
i.技術(申請手続き)の合理化(必要に応じたデジタル化を含む)
ii.知見及びその共有方法の合理化(    〃         )
(2)実体の局面
i.技術(実体形成手段)の合理化(必要に応じたデジタル化を含む)
ii.知見及びその共有方法の合理化(    〃         )
2.変革・・しくみそのものを変革すること
(1)第一段階
申請手続きを要しない構造
(2)第ニ段階
登記記録、実体的変動記録の方法そのものの変革
(3)第三段階
実体形成手順そのものの変革

**************************

なんだか、「FLC&Sの目指す事業の形」が「創造していくべき価値」へと変容させた(5月7日の「よしなしごと」)のと似て来ました。

尚、上記の見直しでは、次の2つの観点からの見直しも行っています。
◆デジタル化はあくまでも手段に過ぎないこと
◆「取引」だけでは私達の価値創造の対象として狭いこと

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2022年5月 8日 (日)

「しくみの変革」ではなく「価値の創造」

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

昨日「FLC&Sの目指す事業の形」を見直しました。この見直しの主眼は取引基幹「情報」に「システム」が含まれていた点(ここ数日の混乱の原因の一つ)の見直しにありました。

そこで次に、使命として変革すべき「しくみ」の中に予防法務という「知見」を含めていた点(混乱のもう一つの原因)を見直してみました。

これは、「目指す事業の形」の見直しほど面倒なことではなく、(しくみ変革に対するフクダリーガルの)「これまでの関わり」の項に記載していた「知見・・・実体判断(安全性判断)」を削除するだけで済みました。

つまり、こうなります。

**************************

フクダリーガルのしくみ変革に対する関わり
~「士業から日本の生産性を上げる」~
I.しくみに対するこれまでの関わり
1.正確・迅速な登記申請手続き
2.合理的な登記申請手続き
II.これからの関わり

(以下変更がないため省略)

**************************

ただし、そうなると、私達が提供してきた価値である「知見 実体判断(安全性判断)」の部分が基本理念の中に示されないことになってしまいます。

つまり、「FLC&Sの目指す事業の形」と同様に、「しくみの変革」ではなく「価値の創造」とすべきだということなのだと思います。

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2022年5月 7日 (土)

「目指す事業の形」から「創造していくべき価値」へ

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

この3日間(5月4~6日)の検討に基づいて、「FLC&Sの目指す事業の形」(ver.3 2017年6月)を整理し直しますと、次のようになります。

1 これまでフクダリーガルが社会に提供して来た価値は、次の3つ。
(1)登記申請手続
(2)予防法務
(3)しくみ改革の提案
2 フクダリーガルが今後未来に向けて創造していくべき価値は、次の3つ。
(1)登記申請手続の進化
(2)予防法務の進化
(3)しくみ改革の実行
※予防法務とは、取引(不動産、企業、その他重要な財産の売買及びそれに準ずる重要な取引/組織再編、企業再生、等々)参加者の抱える法的問題の発生を予防し、また、最適な法的手順を提案・助言(取引の法的最適化)し、また判断の根拠となる法的、物的な情報の提供、評価等を行うことにより、その目的達成を支援することです。
※登記申請手続の進化とは、登記業務の完成度を高めること、および、登記業務の効率を高めることです。

これが「フクダリーガルのしくみ変革に対する関わり」、そして「未来を創る」という基本理念(2021年11月)につながって行きます。

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2022年5月 6日 (金)

「Mission ~使命~」=「FLC&Sの目指す事業の形」

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

ここまでの説明(一昨日、昨日)はいささか迷走気味でした。自分で提示したものでありながら混乱させてしまい失礼しました(「よしなしごと」ですのでご容赦下さい(笑))。

結論から言いますと、「Mission ~使命~」と「FLC&Sの目指す事業の形」とは、同じことを言っています。

混乱の原因は、「取引基幹情報」が「情報」と言いながらそこに「システム」を含めていた(昨日の「よしなしごと」)ことと、「しくみ」といいながら予防法務という「知見」を含めていた(※)ことにありました。

要するに、「取引基幹情報」=「変革された世の中のしくみ」(予防法務も含む)であり、「FLC&Sの目指す事業の形」=「Mission ~使命~」だということです。

ただ、「取引基幹情報」、「しくみ」という言い方はわかりにくく、混乱を招きますので、再考します。


※「Mission ~使命~」の中核であるしくみの変革の中身について、次の通り書いています。

************************

フクダリーガルのしくみ変革に対する関わり
~「士業から日本の生産性を上げる」~
I.これまでの関わり
1.技術
正確・迅速な登記申請手続き
2.知見
(1)実体判断(安全性判断)
(2)合理的な登記申請手続き
II.これからの関わり
1.進化・・これまでの関わりをさらに進化させること
進化の諸段階、諸局面
(1)登記申請の局面
1 第一段階
i.技術(申請手続き)の合理化
ii.知見の共有方法の合理化
2 第二段階
i.技術(申請手続き)のデジタル化
ii.知見の共有方法のデジタル化
(2)取引の局面
1 第一段階
i.技術(取引手段)の合理化
ii.知見の共有方法の合理化
2 第二段階
i.技術(取引手段)のデジタル化
ii.知見の共有方法のデジタル化
2.変革・・取引の構造そのものを変革すること
変革の諸段階、諸局面
(1)第一段階
申請手続きを要しない構造
(2)第ニ段階
登記記録、取引記録の方法そのものの変革
(3)第三段階
取引構造そのものの変革

********************

つまり、「しくみ」の中には「知見 実体判断(安全性判断)」として予防法務も含めていたのでした。

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2022年5月 5日 (木)

「取引基幹情報」

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

使命と目指す事業の形の内容をもう少し見てみます。

5年前(2017年)に提示した「FLC&Sの目指す事業の形」は、「取引基幹情報の提供者」であるとしています。「取引基幹情報」の内容は次のように記載されています。

**************

Ⅱ.「取引基幹情報」の具体的内容
「取引」=不動産、企業、その他重要な財産の売買及びそれに準ずる重要な取引/組織再編、企業再生、等々
「基幹情報」=取引基幹システムそのもの及び取引をめぐる法的、物的な情報、助言、提案、問題解決、評価等

**************

「基幹情報」のうち「取引基幹システム」は、現在「Mission ~使命~」の中で「しくみ」と呼んでいるものに相当します。
また、「取引をめぐる法的、物的な情報、助言、提案、問題解決、評価等」はこれまでいろいろなところで(4月14日の「よしなしごと」でも書いています※1)司法書士の仕事の本質であると述べてきた、「予防法務」(あるいは「法的問題の予防と解決」※2)をさらに発展させたものです。
これら2つの概念を合わせて表現しようとしたためにいささかわかりにくくなってしまったようです。

「取引基幹情報」という呼び方(あるいは内容)を再考します。


※1「よしなしごと」の過去掲載分は「ヤキソバオヤジのブログ」で見ていただくのが早いと思います。http://hap.air-nifty.com/phytoncid/
※2フクダリーガル求人ページ「代表社員福田龍介からみなさまへ」で述べています。https://www.fukudalegal.jp/recruit/

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2022年5月 4日 (水)

「使命」と「目指す事業の形」

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

「フクダリーガルの教科書」、「序文」の次は「第1章」です。
ここにはフクダリーガルの「基本理念」を掲げています。

Philosophy ~基本理念~
未来を創る

Mission ~使命~
世の中のしくみを変革していくことにより、
より合理的で効率的な、「楽しい世界」をつくる
 →フクダリーガルのしくみ変革に対する関わり(別ページに飛ぶ)

Vision ~目指す企業の姿~
世界一楽しい会社

Value ~価値観/行動指針~
 →社員と会社の約束(別ページに飛ぶ)

ここは昨年11月に改定したばかりですので、フクダリーガルの皆さんはよくご存知だと思います。
しかし、「Mission ~使命~」と、第1章の後段に載せている「FLC&Sの目指す事業の形」(第3版、2017年6月9日制定)との関係がわかりにくいのではないでしょうか?

上記の通り、フクダリーガルの「使命」は、手段としては「世の中のしくみを変革していくこと」であるとしています(かなり大きく出ました(笑))。
一方、「FLC&Sの目指す事業の形」は「取引基幹情報の提供主体」です。
即ち、「使命」で謳っているのは「世の中のしくみ」という、謂わば「外」のことであり、目指す事業の形(主体)という「中」のことには触れていません。

両者の関係を考えてみます。

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2022年5月 3日 (火)

思考は現実化する

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

司法書士を代えようとする動機として、3つあげましたが、もちろんこれだけではありません。この3つは、取引に潜む危険の回避行動に関連するものだけです。言うまでもないことですが、念のため。

さて、話題を変えます。

ここまでの「よしなしごと」の中で、何度か「フクダリーガルの教科書」について触れました。みなさんは当然目を通されているでしょうが、古くなりつつあり、少しずつ改定もしています。今日からはこれについて少しお話しします。

「フクダリーガルの教科書」の意義について、「序文」にはこう書いてあります。

人は皆自分が考えたとおりの人間になる。
今ある自分の姿は全て自分の思考の投影である。
フクダリーガルの教科書は、私達がこうなりたいという思いの現れであり、
より高みへと上がるための指針である。

この点は特に古びた感じはしません。これはナポレオン・ヒル、アンドリュー・カーネギーの「思考は現実化する」という考え方が下敷きになっています。同名の書籍もありますが、私が読んだのは「成功哲学」という本です。若い頃は(やる気のない人間だったにも関わらず、いやだからこそ?)こういった自己啓発書をよく読みました。もう一冊題名を良く覚えているものに「眠りながら成功する」というのがあります(笑)。
これらの自己啓発書がどれだけ役に立ったのかはわかりませんが、こうやって影響を受けているものもあります。

いずれにしても「思考は現実化する」というのは現代でも意味のある考え方だと私は思います。

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2022年5月 2日 (月)

司法書士を代えようとする動機

(今朝のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

依頼者から司法書士を代えると言われた場合、それ自体が取引に危険を与える懸念要素である可能性は高いので、司法書士はその動機を見極める必要があります。
この動機には以下のようなものがあります。

◇「懸念要素」はあるが、それが問題にならないと自分(依頼者)はわかっている。それなのに、確認あるいは除去が必要であるなどと「うるさいこと」を言う司法書士は困ったものだ。
・・・例えば、高齢で意思能力の怪しくなってきた母親の所有する不動産を、母親の高齢者施設入居費用捻出のために売却することにしたが、これまでの経緯から母の売却意思には疑いはないし、子どもたちも全員が賛成していて、問題の発生する可能性はない、などといった場合です。

◇不正・不当な行為をしようとしているため、それを妨害する司法書士は邪魔だ。
・・・これは地面師のような犯罪行為を画策している者の場合が典型ですが、そういう類の者に限らず、例えば所有者の意思に反して不動産の売却を画策している役員や親族などもこれに該当します。

◇当事者に損害を与える可能性はあるが、そのままうまくいく可能性もある。取引が進めば自分の実績や手数料等の利益になる。仮に損害を与えたとしても責任は(取引を進めた)司法書士が負ってくれる。だから、取引を止めようとする司法書士には退場してもらいたい。
・・・これは、たとえば危険発生の可能性を会社や本人に隠してことを進めようとしている法人の社員や仲介事業者などの場合が該当します。

それぞれについて、どう対応すべきかは、考えてみて下さい。

ところで私も(現場に出ていた頃)司法書士を代えろと(主に反対当事者や一見の依頼者から)言われたことは何度かありますし、実際に代えられてしまったこともあります。しかし、多くの場合は弊社の実績を良く知る依頼者あるいは紹介者がその申し出を拒絶して下さいました。代えられてしまった場合にその結果が良くなかったことは言うまでもありません。

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2022年5月 1日 (日)

司法書士を代えようとすることが「懸念要素」

(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)

司法書士を「代える」と言われることは、あり得ることですが、問題なのは、その動機です。
危険が現実化して損害が発生することがあっても、その損害よりも、取引が成立することによって得られる「利益」の方が大きいことが、司法書士を代える(排除する)動機となっているとすると、それは問題です。

なぜなら、(少なくとも除去のために司法書士の力が必要となるような危険の場合は)損害よりも利益が大きいなどということは考えられないからです。
例えば、不動産の売買が無効となれば、売主も買主もなんの利益も得られませんが、少なくとも取引にかけた費用は損害となります。損害のみが発生して利益は得られないのが通常です。
ですから、たとえ取引が成立しても、後でそれが覆されるような危険があるにも関わらず、司法書士を排除してまで取引の継続を望むことは通常はない(躊躇する)はずです。

しかし、いかなる動機で司法書士を代えようとしているか、その内心は見えません。
そこで、司法書士を代えようとすることそのものを「懸念要素」と考え、なぜ代えようとするのかを見極めることが必要になってくるのです。

続く。

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