「認知バイアス」との戦い
(本日のフクダリーガル社内ブログ「福田龍介のよしなしごと」より)
「良い人達」(不動産の売買や融資取引を仕事としている方達)に取引が孕む危険性を理解して頂き、調査等に協力して頂くのは「戦い」にも等しい困難さがあります。その大きな原因となっているものの一つが「認知バイアス」です。
「認知バイアス」とは「先入観にとらわれて物事の一側面にだけ注意が向けられ、その他の側面についての思慮が足りない」(※)状態のことです。
ここでいう「先入観」とは、「問題のない取引が大半」(4月13日の「考えること、疑うこと(その3)」)であるため、今回も大丈夫だという意識のことです。
注意が向けられる「物事の一側面」とは、購入や融資の実績を作るという職責、希少な優良物件の場合の売主優位の状況、あるいは急がされる(「怪しい」取引は必ず急がされます)ことによる時間的制約、等々の要因のことです。
そして思慮が足りなくなる「その他の側面」が、その取引に潜む危険です。
この場合の「認知バイアス」は「正常性バイアス」とも言われ、大半の人が陥るものでもあります(非常ベルがなっても大丈夫だと思った経験は大多数の方がお持ちだと思います)。
つまり、私達司法書士が「良い人達」に取引に潜む危険に目を向けて頂く努力は、正しく「正常性バイアス」との「戦い」であり、それは誰もがとらわれるものであるからこそ非常な困難を伴うものなのです。
もちろん、これまで私達フクダリーガルはこの戦いに勝利して理解を得、危険を除去できたことが大半なのですが(結果的に「良い人達」からはもちろん感謝されます)、稀に理解を得られず、仕事の依頼を断られることもあります。その場合、継続された取引では(私達が知りうる限りでは)必ず事故が生じています。
司法書士はこの戦い方も学ぶ必要があるのです。
ではまた明日。
※鈴木宏昭「認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」(講談社ブルーバックス)p.4
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