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2016年3月25日 (金)

認知症と不動産-最もホットなテーマ

早稲田大学出身の不動産関係者の団体(不動産稲門会・金融経済研究会)で講演させて頂いた(3月22日)。
160322 テーマは「不動産取引に潜む危険~認知症リスクを中心に」。この勉強会での講演は先月に引き続き2ヶ月連続だ。

日頃から「不動産リスクコンサルティング」(不動産売買取引における事件・事故の発生を防止するアドバイスや研修)を不動産会社様や金融機関様向けに行わせて頂いている。

研修に関しては大手仲介会社さま向け開発分譲会社さま向け業界団体向け等、このブログでも報告済みだ。160322_2 今回も特に高齢者が関わっている場合を中心に、犯罪系、債権トラブル系、相続系と、不動産トラブル全般について講義した。事例も弊司法書士法人が未然に事件・事故を防いだケースや、新聞記事にもなった有名な事件を中心にいくつか取り上げた。

参加者は前回(新・中間省略登記の最先端情報)ほど多くはなかったが、出席者の方はこのテーマに強い関心をお持ちの方ばかりだったようで、質疑応答も非常に活発だった。気が付いてみたら会場の使用時間をオーバーしてしまった程だ。

Img_6960 そこで出された質問は下記の様なものだ。

・家族信託で受益権を売買するためには意思能力が必要か(必要)。

・高齢者が相続対策で資金を動かす(赤字法人に出資等)場合に税務署に意思無能力で訴えられる心配はないか(基本的にないと思う)

・公証人や公正証書は意思能力がある事の証人・証拠にはならないのか(ならないことはない)

・その他ご自身が関わられている案件の中で、高齢者の意思能力が問題になっているケースのご紹介もあった。

 ・・・兄弟同士の争い。兄がぼけた母に、財産を全部自分に相続させるという遺言を書かせた。
 ・・・まだらボケで、不動産の処分に後見人を立てたいが
本人が医師(医療法人代表)で自分は正常だと思っているので、困っている。

今後益々高齢者がらみの問題は増えていくが、まだまだ業界の認識は全般的に低いと思う(この日参加された方達は意識が高いといえる)。

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2016年3月24日 (木)

用地仕入れ担当者向けリスク管理セミナー

先週、某開発・分譲会社様の用地仕入れ担当者向けの研修の講師を務めさせて頂いた。
Img_6875
テーマは「土地仕入れリスク管理の基本的知識」。対象は本支店の用地仕入れ担当の若手、中堅社員の方25名程。遠隔地の支店にはテレビ会議システムで同時中継された。

約2時間に渡って土地の調査から仕入れ完了後に至る諸段階でリスク防止のために仕入れ担当者に必要となる知識・スキルについて、実例(実際に弊法人が事件・事故を未然に防いだ数例)も交えて講義させて頂いた(項目については後述)。

2時間では少々駆け足だったかと思ったがやはり講義後、受講者代表の方から「私や、ある程度経験の長い他の社員も
各項目についてもう少し掘り下げてお聞きしたいと感じています」というメールを頂いた。Img_6878_2

一方同席した弊司法書士法人の若手司法書士達からは「日頃自分達が扱っている事について取引当事者の側に立って考えるという視点が新鮮だった」「日頃の疑問が解消された」という感想。

不動産開発分譲会社の用地仕入れ担当者も販売担当者も営業的な観点(商品化に相応しい土地を良い条件で購入する/良い商品を作り良い条件で販売する)だけでなく、リスク管理の視点も持つことが必要である。勉強する事が多く大変だとは思うが、競争が激しくなればなるほどリスク管理の重要性は増してくる(購入元、売却先の対象範囲を広げざるを得ない)ので頑張って勉強して頂きたいと思う。

私達も出来るだけお手伝い致しますので。

・・・・

尚、今回の講義の概要(目次)は下記の通り。

※こうやって見てみると確かに2時間では足りなかったかも・・・。

Img_6882_2 一. 調査段階

1.
 登記簿の確認

 注意を要する登記原因

I.   相続

(ア)  問題の所在

(イ)  確認資料

II.   譲渡担保

III. 代物弁済

IV. 買戻特約

V.   残存仮登記

VI. 休眠担保権

VII. その他

 旧登記簿の調査

 登記されてからの期間

 詐欺師に狙われやすい登記

二. 検討(交渉)段階

1. イレギュラーな取引形態

 一体不可分

 中間省略

 一部払い下げ

 その他

2. 高齢者の場合

3. 相続登記未了の場合

三. 契約段階(問題発生の防止)

1. 本人確認

 本人確認は何故必要か=何を確認するか

 方法

 法の要請

2. 手付

 意義

 ゼロ契約

 仲介預り

3. 瑕疵担保責任

 意義

 対象(土壌汚染・地中障害他)

 免責・期間

4. 条件

四. トラブル発生後

1. 契約解除

 意義

 種類

2. 損害賠償

3. 当事者の責任

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