司法書士はリスクコンサルタントたるべしと高裁も認めた
そしてこのノウハウは金融機関や不動産会社の社内研修でも提供させて頂いてきた(来月も某大手財閥系不動産仲介会社での研修を予定している)。
しかし残念ながらこれまで一般的には司法書士は決められたことをその通りに登記するだけの存在であるという認識が多くを占めていた。裁判所もそういった理解で、司法書士の責任を重く認める事はなく(全責任に対して)平均20%程度の責任しか認めて来なかったと言われている。
しかし最近、その認識に変化が見受けられる。司法書士に重い責任を負わせる裁判例が登場しているのである。大変喜ばしい事だ。
直近ではこんな裁判例がある。
高齢の不動産の売主の意思能力(判断能力)が問題となった事件。
第一審の東京地裁は従来の考え方を踏襲し、「司法書士は,登記手続の専門家ではあるが,意思能力について専門的な知見を有するものではなく・・・登記手続の委託を受けた場合,依頼者に意思能力がないかどうかについて調査確認すべき義務を一般的に負っていると解することはできない・・・・本件取引経過の詳細まで承知して,登記手続の委託を受けていたと認めるに足りる証拠はなく」司法書士は責任を負わないと判示した(平成26年12月 3日)。
これに対し控訴審の東京高裁はこの判断を覆し、「司法書士は,・・・依頼者の属性や依頼時の状況,依頼内容等の具体的な事情に照らし,登記申請意思の真実性に疑念を抱かせるに足りる客観的な状況がある場合には,これらの点について調査を尽くし,上記の疑念を解消できない場合には,依頼業務の遂行を差し控えるべき注意義務を負っている」として司法書士の責任を全面的に認めた(平成27年 4月28日。確定)
まさしく東京高裁は、「司法書士はリスクコンサルタントたるべし」と主張しているのである。
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