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2015年9月18日 (金)

司法書士はリスクコンサルタントたるべしと高裁も認めた

私はかねてより、司法書士の仕事は取引当事者が決めた事をそのまま登記に反映するだけの手続屋ではなく、当事者の決定内容自体がそもそも妥当(安全)なのかどうかまでを調査・検討し取引続行の可否を助言出来るリスクコンサルタントでなくてはならないと主張して来たし、弊事務所(フクダリーガルコントラクツ&サービシス司法書士法人)もそういう仕事の仕方を貫き通して来た。

そしてこのノウハウは金融機関や不動産会社の社内研修でも提供させて頂いてきた(来月も某大手財閥系不動産仲介会社での研修を予定している)。

しかし残念ながらこれまで一般的には司法書士は決められたことをその通りに登記するだけの存在であるという認識が多くを占めていた。裁判所もそういった理解で、司法書士の責任を重く認める事はなく(全責任に対して)平均20%程度の責任しか認めて来なかったと言われている。

しかし最近、その認識に変化が見受けられる。司法書士に重い責任を負わせる裁判例が登場しているのである。大変喜ばしい事だ。

直近ではこんな裁判例がある。

高齢の不動産の売主の意思能力(判断能力)が問題となった事件。

第一審の東京地裁は従来の考え方を踏襲し、「司法書士は,登記手続の専門家ではあるが,意思能力について専門的な知見を有するものではなく・・・登記手続の委託を受けた場合,依頼者に意思能力がないかどうかについて調査確認すべき義務を一般的に負っていると解することはできない・・・・本件取引経過の詳細まで承知して,登記手続の委託を受けていたと認めるに足りる証拠はなく」司法書士は責任を負わないと判示した(平成26年12月 3日)。

これに対し控訴審の東京高裁はこの判断を覆し、「司法書士は,・・・依頼者の属性や依頼時の状況,依頼内容等の具体的な事情に照らし,登記申請意思の真実性に疑念を抱かせるに足りる客観的な状況がある場合には,これらの点について調査を尽くし,上記の疑念を解消できない場合には,依頼業務の遂行を差し控えるべき注意義務を負っている」として司法書士の責任を全面的に認めた(平成27年 4月28日。確定)

まさしく東京高裁は、「司法書士はリスクコンサルタントたるべし」と主張しているのである。

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2015年9月11日 (金)

素晴らしきグループとグループリーダー

今日は弊事務所(フクダリーガルコントラクツ&サービシス司法書士法人)を構成するグループとグループリーダーの話を。

弊事務所は10月1日で総勢23名(うち司法書士12名)になる。グループは4つ。コンサルティング第1グループ、第2グループ、第3グループと、アドミニストレーショングループだ。それぞれのグループにグループリーダーがいる。

コンサルティンググループは各6、7人で構成され、それぞれ売上目標をもっておりグループリーダーがチームを引っ張って競い合いながら目標を達成していく。

7月の「全国の司法書士法人の集い」で司法書士法人の組織運営についてのパネルディスカッションが行われ、私もパネラーを務めさせて頂いたのだが、その際にこのパネルディスカッションのコーディネーターを務められた(弊法人の顧問でもある)(株)コンサルティングファームの山口毅社長がウチのグループとリーダーについて次の様に仰って下さった。

「私は、福田さんの事務所のコンサルティングをさせていただく中で、賞与や昇給のときにリーダーが部下を評価する考課表をみせていただく機会があります。評価のコメントを見ると、チームリーダーが各メンバーについてよく理解して、よく指導しているなと感じます。併せて感じるのはリーダーのメンバーへの思いです。リーダーとしてはチームメンバーの賞与を上げてもらいたいわけですが、リーダーが「(チームの)この人を評価してください」と訴えている文言を見ていると、ほんとうに一体感があるなという感じがします。」

私はそういったリーダーの有り様を特別な事とは思っていなかったのだが、外の方からこう言って頂いたことで改めてウチのリーダーたち、そして彼らが大事にしているグループメンバーたちの素晴らしさを再認識させられたのである。

グループとリーダーに関してはこんなエピソードもある。

滅多にない事だがあるグループで業務上ちょっとしたミス(だが重要顧客を失うかも知れないというミス)が発生した事があった。そのグループのリーダーは私に対して繰り言は一切言わず、全て自分の責任としてリカバリーに動き、見事リカバリーして事なきを得た(その時担当者は安堵のあまり思わず涙をこぼしたらしい)。

実は当のリーダーはその何日間かは食べ物ものどを通らなかったそうだ(グループメンバーも同じ思いだったはずだ)。

私も大変心配し、最悪のケースも覚悟したのだが、そのリカバリーの過程を目の当たりにして、そのリーダーのリカバリーにかける執念と粘りに大いに感銘を受けた。
そして他のグループリーダー達も彼と同様のリーダーシップと責任感を持った者達であり、同様な状況になれば同じ行動をとると確信できる。

またもし万が一リカバリーに失敗し重要顧客を失ったとしても(それは大打撃ではあるが)、今のメンバー達であれば力を合わせてその難局を乗り切り新しい顧客を獲得していけるという事も容易に想像できたのである。

私はなんと(外にも中にも)人に恵まれている事だろう。ただ天に感謝するのみである。

※全国司法書士法人の集いの山口氏の基調講演とパネルディスカッション(他に司法書士法人ファミリアの金子代表が参加)の模様の詳細は月刊登記情報に近日掲載される予定である。

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2015年9月 2日 (水)

事務所を拡張移転します! の続き。

これが、ウチの事務所(司法書士法人)移転する「りそな九段ビル」。2_150827_6

「・・・新事務所の入居するビルは皇居からもほど近い九段下交差点に面し、地下鉄九段下駅から徒歩1分という好立地です。広さは現事務所の2倍強となり、更なる人員の増強にも備える事が可能となります。また、大小会議室、書庫、リフレッシュルーム等の設備も更に充実させ、より良いサービス、より高度なソリューションをより多くのお客様にお届けできる体制が整います。この様な好環境の下、所員一同一層気を引き締めて業務にまい進したいと決意を新たにしておりますので、引き続きご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます・・・」

上記は今月下旬に郵送する予定の事務所移転のご挨拶状の文案。

このビルは皇居外苑(北の丸公園、日本武道館、千鳥ヶ淵等)が至近であるし、靖国神社も最寄りである。

現事務所最寄りの飯田橋駅は交通至便(JR地下鉄5路線)である。それに比べると九段下駅は交通の便としては飯田橋駅には及ばない(地下鉄3路線)が、法律系専門職の事務所の立地としては九段下の方が一般の方のイメージにはより適合しているようだ。

神楽坂から遠くなるのがいささか残念ではあるが(笑)

住所は、千代田区九段南一丁目5番6号

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