売渡担保に入っている不動産を買っちゃったら。
「金融法務事情」最新号の判決速報に、買戻特約付き売買の形式を採りながら目的不動産の占有の移転を伴わない契約について、譲渡担保と解すべきであるとした最高裁の判決(平成18年2月7日)が紹介されていましたので、今日はこれに関連した話題です。
この訴訟は当事者間のもの(申請売買としての所有権移転請求を争う)ですが、今日は第三者との関係の話を。
融資の担保として不動産を提供させる方法として多いのは抵当権、根抵当権です。この場合第三者(その不動産を買おうとか、担保に取ろうとしている人)にそれら担保権を対抗(主張)するためには登記する事が必要です。実際には債務者の信用度と登録免許税(債権額・極度額の0.4%)の関係で、登記を留保する場合もあります。
逆にもっと強い(実行が容易な)方法をとる場合も少なくはありません。
その典型が、所有権を移転する形式のものです。今回の判決でも問題となった譲渡担保や売渡担保と言われるものです。これらの場合、所有権を移転してしまうので、抵当権のような裁判所による実行(競売)手続は必要ありません。但し、丸取り(不動産の価格が債権額を上回っていても全額を取得する)は許されず、精算の必要はありますが。
このような、担保に入っている不動産を取引の対象とする場合、譲渡担保であれば「譲渡担保」を原因として所有権移転登記がされますから、それを前提として取引に入ることが出来ますが、気をつけなければならないのは「売買」を原因としている場合です。
ここに「真正売買性」の問題が出てくるわけです。
例えば 所有者Aの名前で登記されている不動産をBさんがAさんから買った(売買契約)登記をしたとします。しかし、実はAさんは前の所有者(登記上の所有者、真の所有者)Xさんから、その不動産を担保として所有権の移転を受けたに過ぎず、占有も移転していなかった(引渡しを受けておらず、Xさんが使用を継続)という場合。
この場合Bさんは所有権を取得できるでしょうか。
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