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2006年6月30日 (金)

「海外組の幻想」と「民度」との関係は?/まだまだ出てくる会社法のミス!

今日はいよいよドイツ=アルゼンチン戦ですね。楽しみです。受験生の皆さんごめんなさい(あさっては司法書士筆記試験です)。ウチの事務所にも受験生が沢山います。皆受かって欲しいですが・・(だったらこき使うなー!って?)。

060630_1 今日の日経で沢木耕太郎さんが「海外組の幻想」という事を書かれていましたが、これはヤキソバオヤジが、日本国民のサッカー「民度」を上げなければ強くはならないという事に繋がると思います(またコジツケとか言われそうですが・・)。

つまり、日本サッカーのポテンシャルを上げなければ、いくら海外に行ってもレベルには限界があるという事です。つまりJリーグ自体がレベルアップすることが不可欠なのですが、そのためには国民のサッカーに対する理解が深まらねばならず、そのためには・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、これまで何度か(月1020など)触れてきた、会社法への対応の遅れ。会社法の勉強会やセミナーの依頼を受ける機会が多いのですが、大変誤解が多くて、正直なところ驚いています。

例えば、監査役の監査権限に関する誤解。閉鎖会社(定款で株式譲渡制限が定められている)なら会計監査権限しかないと考えていた資本金1億5000万円の会社の社長さん。これは会社法以前の問題なんですが、旧商法下では資本金が1億を超えると(次の営業年度から)閉鎖会社でも監査役は業務監査権限を持つことになっていたのです。

060628_002 この会社の社長さんの誤解はさらに会社法になったことによって監査役が業務監査権限を持つようになるのは嫌だ、と考えているということ。

もっとも会社法ではこの点でも閉鎖会社にとっては自由度が増しており、閉鎖会社では資本金が1億を超えていても、定款の規定によって監査役の権限を会計に関するものに限定することが出来ます(会社法389条)。

また逆に、株式の譲渡制限がない会社=「公開会社」(中小企業では今は殆どありませんが、この制度が出来た昭和41年以前の会社では時々あるようです)について会社法では資本金1億円以下(旧法下で言っていた「小会社」)でも、監査役の権限は業務監査権限に及ぶとされ、従って公開会社で資本金1億円以下の会社の監査役は(会計監査権限があるものとして選任されていないので)会社法施行時点(平成18年5月1日)で退任します。

つまり、再度選任しなおさなければなりません(退任と就任の登記が必要になってくる)。もちろん公開会社のままであれば業務監査権限のある監査役として。

060628_001 さらに、上場会社でも(東証一部でも)会社法の理解不測から登記もれや誤登記がある(今まで触れたものの他にも)のですが、詳しくは又明日。

それにしてもこういった登記漏れや誤登記を良く発見するんです。ウチの会社法チームは。もちろんウチで見させていただいている会社にはないのですが、最近仕事のご依頼を頂くようになった会社様とか、さらに、たまたま会社登記事項証明書(昔で言う登記簿謄本)を入手した会社、果てはホームページで見ただけの会社とかでも。

ご心配のある会社様は登記事項証明書をファクスして頂ければチェックさせて頂きますよ。もちろん費用は多少か060630 かりますが・・・。

一番下の写真は今日の昼飯(のところの置物。銀座2丁目のブタ屋さん。ブタ大好きなんですよ。

真ん中の2枚は神楽坂の、えーとどこだったけ・・。

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2006年6月29日 (木)

信託法研究会終了/目標はYサービサー?

今日は、先日状態(!)書けませんでしたサタス・インテグレイト不動産フォーラム主催の信託法研究会の事を少し。

060629 このブログでも何度か触れましたし、プチ信託登記入門なるシリーズを始めたのもこの研究会が契機でした(まだほんのさわりですが)。一昨日が最終回だったのですが、信託法の権威の筑波大学法科大学院教授であり同院長でもいらっしゃる新井誠先生をコーディネーターにお迎えして、信託法の概要(特に改正案)を勉強すると供に、信託業法の改正により可能になった事業会社(金融機関以外)による信託会社設立の実例を、実際に当該信託会社の方々をお招きして、免許(運用型)・登録(管理型)を受けるに至るまでの過程などについて、生々しいお話をお伺いすることが出来ました。

出席者は、皆さん不動産ビジネス・証券化ビジネスの最先端の部分で活躍されている会社の方々ばかりで、中には自社でも後に続いて信託会社を設立しようという計画をお持ちの会社も何社かあったようです。

この研究会(昨年に引続き第2期という事になるそうです)に参加させていただき、如何に自分が信託というシステムの一部しか知らなかったかを痛感(これは自分が不勉強だっただけですが)したばかりでなく、信託が本来極めて多様な機能を果たすことができるにも関わらず、そのごく一部の機能にしか注目されてこなかったのかを知ることが出来ました。

現在不動産証券化のビジネスの中では信託を利用したスキームを用いることが不可欠であり、信託銀行の受託能力を超えている(行列が出来ているという言い方をされていた方も)だけでなく、ずさんなチェックで処分を受けるところ(外資系他)も出てきている有様ですが、信託の用途はそれだけではないのです。

060629_1 お招きした信託会社各社の皆様はそれぞれ多種多様な目的と信念をもって信託会社の設立を企図したという事に大変な感銘を受けました。そういえば桐生信託様(28記事登録完了おめでとうございます!。同社は日本初の不動産の管理型信託会社として注目を集めています。

最終回にお招きした日本エスクロー信託(安井取締役様、大変分りやすいご講演を有難うございました)は、私と同業(といっても規模も歴史も桁が違いますが)の司法書士の山田晃久先生の会社(山田サービサ総合事務所、上場企業です)が母体となって設立されたもので、「不動産エスクロー業務をフルラインで提供する」という大きな目的をもって臨まれているものです。

ヤキソバオヤジの事務所も色々なビジネス展開を行っていて、あるコンサルタントの方から「福田先生、目標は山田先生ですか」と聞かれたくらいですが、今回のお話はエスクロービジネスだけでなく金融事務代行、不動産調査・ドキュメンテーション代行等、登記業務とシナジー効果のある業務を展開するに当たってのヒントを色々と提供して頂けた様な気がします。

ウチはまだ「フルライン」で提供できるだけの陣容もノウハウもありませんが、先進的な取り組みに注目してくださっている会社様も少なからずあるようです。

人材のポテンシャルもモチベーションも低くはないと思っていますので、山田サービサーを目標に出来るかどうかはわかりませんが、まだまだ伸びていく(課題ももちろん多いですが)と思っています。

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2006年6月28日 (水)

走るサッカー?/解散した法人の元代表取締役が預金の払戻に来たら?

フランスはやっぱりジダン、ジダンは凄かったですが、他のメンバーのタフネスも凄まじいものがありますね。やはり相当走っているのでしょうね。

オシムさんもとにかく走りに走るサッカーだそうですが、それって一時期だけ集まる代表でやれることではなく、各クラブでやるべき問題ではありますよね。

法人といっても色々ありますが、ここでは株式会社に限定します。株式会社は破産手続開始決定、合併(消滅会社)の他、定款で定めた存続期間の満了や株主総会の決議等により解散します(会社法471条)。

060628oまた、休眠会社(12年間登記をしていない会社)のみなし解散の制度というのもあります(同法472条)。

解散をしても(合併以外は)それで直ちに消滅するわけではなく、破産または清算の手続を行わなければならず、その目的の範囲内で存続します。

ここで問題となっているのは上記のうち存続期間の満了や株主総会決議、休眠会社のみなし解散の場合です。

これらの場合、会社の代表権は清算人に移り、取締役は退任します。清算人には原則として取締役が就任します(同法478条)が、定款で定められた者がいたり、株主総会で選任された者がいればその者が就任し、取締役は退任します。

清算人の職務は①現務の結了②債権の取立て及び債務の弁済③残余財産の分配です(同法481条)。会社名義の預金の払戻もその職務権限の中に当然含まれます。

従いまして、「元代表取締役」が清算人に就任していれば、その者に対する預金の払戻は当然有効です。もちろん清算人に就任しているかどうかの確認は必要です。清算人は登記されますので、登記事項証明書を取得して確認することが必要です。本人確認(運転免許証等)も。これらの確認(もちろん預金約款に基づく確認=通帳の提出、払戻請求書と印鑑届の氏名と印影の照合=をすることは当然の前提として)を怠った場合、万が一元代表取締役が清算人でなかった場合、銀行は免責されない(法律的にいうと、民法478条=債権の準占有者への弁済=による救済がうけられない)ということになります。

これに関連して、さらに手続が進んで、清算結了した(はずの)会社の元清算人から預金の払戻の請求を受けた場合どうするか、という問題が出てきますが、これに関しては又機会を改めて。

※今日の写真はウチの事務所のO君。長男が誕生して、同僚達からのプレゼントを貰っていたので、早速ネタに。

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さて、25に問題として出したのは、解散した法人の「元代表取締役」が預金の払戻に来たらどうするか、というものでした。検討してみましょう。

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2006年6月27日 (火)

信託法研究会ラスト

060627 いやーイタリアの方達どうですか満足してますかオーストラリアの方達憤懣やる方ないですか。

でもこれが「実力」ってものなんでしょう。

だれだって一次リーグの肘ウチ一発退場の事は覚えているでしょう。マラドーナの「神の手」と同じくらい。でないと未来はないと思うサッカーの。

さて、真面目な話は今日は無理です。不動産フォーラムの「信託法研究会」の最終回だからというわけではなく、その研究会員のごく一部で盛り上がっているだけすけどこれは神楽坂の駅からの発信・・。

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2006年6月26日 (月)

オシムで日本サッカーは強くなる?/銀行預金を払戻したらそれに反する遺言書が出てきた その③ 検討編

Photo_4 最初はまたまたサッカーの話題で恐縮です(実は高校途中までサッカーコゾウ)。

日本チームは気迫に欠けている(それは間違いないでしょう、今朝のポルトガルとオランダの試合、凄まじかったですよね。レッドカードが飛び交って。これをコントロールしたロシア人レフェリーも凄かった=カード出しすぎなんかじゃないですよ。只汚ねーことはすんなよオランダ)とか、ジーコの選手起用がどうとか、システムがどうとか、理屈は色々立てられますが(何か理屈を付けないと「評論」が成立しない)、要は日本の実力がまだそのレベルまで行っていないということです。

もちろん、ワタシなんかはクロアチア戦を見ていて、良くぞここまで力がついた(ウチのムスメなんて「いい試合だった」と感涙にむせんでいた)と感慨深かったのですが、上を目指すにはまだまだ力不足だという事です。

Photo_5 そして、実力を付けるためには、国民全体(オーバーでなく)のサッカーに対する理解度のレベルが上がらなければダメだと思います。

スポーツマスコミはその点をリードしていって欲しい。視聴率や部数を伸ばす事も重要でしょうが、目先の数字に捉われることなく、真にサッカーの「民度」を上げていくことを考えてもらいたい。

それなのに、なぜヒーローインタビューは点を取ったフォワードだけなんですか。なぜフリーキックのリプレイは、キックするところからなんですか。そこまでの過程を見たい(聞きたい)とサッカー好きは思うはずです。国民が結果しか見ないのであれば、もっと奥深い喜びを見出せるように、国民を啓蒙して行って欲しいのです。特に独占放映権を買ったテレビ局は。サッカー協会もそういう事のできないメディアには放映権を与えるべきではないと思います。

Photo_6 そうならなければ真の理解は生まれず、真にサッカーを愛する国民とはならず、サッカーのレベルも上がっていかないでしょう。男の子が生まれたらサッカーボールを与える国にかなうようになるわけはないのです。

そういえば先日ジェイエル社長の清水さん(人脈社長、不動産起業塾塾長)が、サッカーは「」のある相撲や野球と違って日本人のメンタリティーには合わないと思っていたという事を仰っていたと思いますが、ある意味同じ切り口なのかもしれません。野球も相撲も「過程」が実に分りやすい。

只、日本人には、碁や将棋といった、ダイナミックなメンタリティーもありますから、必ずしもサッカーが日本人に合わないとは思いませんが。

さて、本題です。こんな問題でした。

Photo_7 「遺言書がない事を確認した上で、相続人に対する普通預金の払戻手続きを行いましたが、手続き完了後に別の人に預金を渡すという遺言書が出てきた場合にどう対応すればいいのでしょうか。

また、その際、銀行預金を渡す、とされた人が相続を放棄していた場合はどうなりますでしょうか。」

この設問の事例をもう少し分りやすくすると、遺産分割協議により預金債権は共同相続人中のAさんが相続する事になり、その分割協議に基づき銀行はAさんにたいして払戻しを行ったが、遺言により当該預金は共同相続人中のBさんに相続させる遺贈する)、または共同相続人以外のXさんに遺贈するとされていたた__1め、BまたはXが自分に対して再度払い戻せと請求してきたというようなケースだと思われます。

では、先日ピックアップしてみた「論点」に従って検討を進めて行きたいと思います。

   

遺贈と遺産分割が矛盾する場合の効力

遺言内容が遺贈である場合は、受遺者は当然相続人に遺贈を主張できます。相続人は遺贈義務者の地位を承継するからです。

 遺産分割方法の指定に従わない遺産分割の効力

遺言の内容が遺産分割方法の指定(「Bに相続させる」という文言)の場合、判例は相続開始と同時に分割の効力が生じ、遺産分割の手続きを要しないとしています(最判平成3年4月19日)。この考え方に従えば、相続開始と同時にB又はXに確定的に帰属し、「遺産分割」の余地はないという事になります。

   

預金債権(可分債権)の相続 

Photo_8 この判例は不動産に関するもので、金銭債権のような可分債権についても適用になるかどうか一応問題にはなります。可分債権は相続開始と同時に共同相続人各自に分割して帰属する事となると解するのが判例の大勢だからです(つまり相続人各人から払戻の請求を受けたら銀行は払わなければならない)。

しかし、本件ではこの点は争点になっていない(一人の相続人が、自分が相続したから払い戻せと言っている)ので、この点を検討する必要はありません。尚、預金債権も分割の対象となりうるとする裁判例も少なくありません(大阪高決昭和31年10月9日他)し、銀行実務もその様に扱っています。

 相続人と称していたが相続人でなかった者に対して預金の払戻をした場合の効力

となるといずれにせよ預金債権はB又はXが取得することになり、無権利者のAに対して支払ったことは無効であると主張されることが考えられます。

確かに、受領権限なき者への弁済は弁済の効力を生じず、債務は消滅しないということになるということも考えられます。

060528_001 しかし、分割協議に基づき、遺言書がないことまで確認した上で支払った銀行に、支払いが無効であるというのは少々酷な感じもします。

この場合にそのような主張に対抗して銀行を救済できる方法として、債権の準占有者への弁済の規定(民法478条)の適用が考えられます。債権の準占有者とは、本当は債権者ではないのに、あたかも債権者であるような外観を有する者をいい、通帳と印鑑を盗んだ者が典型ですが、表見相続人もこれにあたるというところは争いないと思います。

但し、この規定の適用をうけるためには弁済者(銀行)には善意無過失が要求されます。つまり、銀行が債権者の外観を有する者が真の債権者であるかどうかを確認するために十分な注意を払ったかという事です。

この点、通常の銀行実務として相続人に対する預金の払い戻し又は口座名義の変更の手続きをするに当たり、戸籍謄本(及び遺産分割協議書)で相続人を確定した上で、法定相続人全員の署名捺印した「相続届」を提出させる(遺言書がないことも書面上で確認を取る-設問中の「遺言書がないと確認し」というのはこの事を指すものと解される)という手順を踏んでいると思われます。

ここまでやっていれば十分な注意義務を果たしたと言える、つまり過失はなく、弁済は有効に認められるのではないでしょうか。

  特定受遺者が、自分に対する遺贈があることを知らないで相続放棄をした場合の効力

060514_001_1 まず放棄者は初めから相続人でなかったことになりますから、「相続させる」という遺言(遺産分割方法の指定)であっても、放棄者は分割の当事者ともなりえず、預金を取得することはあり得ないと解して良いでしょう。

仮に、自分が預金をもらえると分っていたら放棄しなかった(錯誤)という事を主張したとしても、これは動機の錯誤に過ぎず、無効主張は原則としてなしえないと考えるべきではないでしょうか。

次に、遺贈の場合、受遺者は相続人でなくても良いわけですから、放棄をした相続人も受遺者にはなれることになります。もちろん、特定遺贈を放棄することも可能です(民法986条)が、遺贈を受けていることを知らなかったわけですから、別途放棄の意思表示は必要になると解されます。仮に放棄しない場合でも上述した表見法理(債権の準占有者に対する弁済)で保護されることになると思います。

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2006年6月25日 (日)

「どうしていつも笑っているの?」/解散した法人の元代表取締役に預金払戻可?

060625ronaldinoどうしていつも笑っているの?」という質問に対して、彼は「幸せだからだよ。僕はサッカーをしている。子供の頃から夢だった生活を送っている。健康に恵まれ、家族も元気だ。悲しむ理由がどこにあるだろう。」ここまで立ち読みして、この本「ロナウジーニョThe Smiling Champion」(ルーカ・カイオーリ、ゴマブックス)を買うことを決めました。

そしてマウリーシオ・デ・ソウザが彼を主人公にしたコミックのテーマについて「問題は必ず解決するのだから、前もって定めた目標や最終目的だけにこだわらず、ロナウジーニョにならって、今このときを楽しく生きるべきだということを示したい」と語ったと書いてあるのを読み、この本はもしかするとオヤジの書棚に常備して置くことになるのかもしれない、と思いました(今まで何度もオヤジを救ってくれた浅見さんの本と同じように)。

いつだったか(金メダルを取った頃か)、マラソンの高橋尚子さんが同じように「考えてもしょうがないことは考えない」という事を仰っていて、それはオヤジの行動指針というか支えの一つになってきました。

今日のNHK大河ドラマ「功名が辻」でも同じような話が出てきます。山内一豊の妻千代が夫に、「笑顔が幸せをもたらす、暗い顔は人に疑いを抱かせる」という意味の事を話していました。

さて、今日の課題は、解散した法人の「元代表取締役」が預金の払戻に来たらどうするか(前の課題の回答は長くなるのでまた明日)。

みうらさん、コメントお待ちしています。

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2006年6月24日 (土)

銀行預金を払い戻したら、それに反する遺言が出てきた。その2 論点は?

040829_164502001_1 昨日も御紹介しましたが、今、事務所のコーチングをしていただいているM先生から勧められた本「なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか」若松義人・PHP新書。さっそく読み進めています(って不動産起業塾・塾長の清水さん調)。

まだ3、40ページ読んだだけですが、思い当たるところ、反省すべきところが既に沢山出てきました。ウチの事務所のW君(本当はM先生はW君にこの本をプレゼントされたのですが、彼が読んだ後にオヤジも読ませていただいています)からも読んだ感想を聞かせて欲しいと言われていましたが、なるほどW君がワタシにこれを読ませたいと思った意味も分ったような気がします。

そして昨日のM先生のアドバイス「スタイルをつくる」ということもこの考え方が生かせると感じました。なんだかわくわくしてきます。読了しましたらまた詳しく感想を書きたいと思います。

ところで昨日課題ですが、とりあえず論点を考えてみると、

      

遺贈と遺産分割が矛盾する場合の効力

      

遺産分割方法の指定に従わない遺産分割の効力

      

預金債権(可分債権)の相続

      

相続人と称したが相続人でなかった者に対して預金の払戻をした場合の効力

      

特定受遺者が、自分に対する遺贈があることを知らないで相続放棄をした場合の効力

といったところでしょうかね。

060528_15410002_1 みうらさん、簡潔なコメントありがとうございます。

ところでサッカー、スイスの気迫(流血ヘッド)も凄い。残念ながら韓国を上回ってました(やっぱりこんな時は韓国を応援しちゃいますね。同じモンゴロイドとして)。

※写真はW君シリーズの続き。

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2006年6月23日 (金)

銀行預金を払い戻したら、それに反する遺言が出てきた。

サッカーは気迫負けだと思いますよ初めから言ってましたが。気迫を外に表さないと。燃え尽きたのはヒデだけだったようだし。

ジーコ監督は選手の自主性を尊重したそうですが、気迫を外に出すことをチームのDNAとする事が出来なかった。その点ヒディンクという人は気迫を外に表すことを植えつけるのが上手だったのかもしれませんね。オーストラリア選手は、クロアチア戦でキーパーごとボールをゴールへ押し込もうと(しかも二人がかりで)していましたから!!

060622bac_001_1 いま、事務所のコーチングをしていただいているM先生。昨日のアドバイスは、今後の課題として「スタイル」を作ること。営業のやり方、業務の進め方について。これもカタチを外に表すということに一脈通じるものがあると思います(と例によって無理やりこじつけて見ました)。

ところでまたサッカーに戻りますが、ジーコ監督の選手起用については良くわかりませんが、少なくとも柳沢は最終戦外すべきではなかったと思うのですが。絶対、死に物狂いでゴールを決めに行ったと思います。

さて、今日の「法的思考」は課題だけ。

ある金融機関からのお問い合わせです。

「遺言書がない事を確認した上で、相続人に対する普通預金の払戻手続きを行いましたが、手続き完了後に別の人に預金を渡すという遺言書が出てきた場合にどう対応すればいいのでしょうか。

また、その際、銀行預金を渡す、とされた人が相続を放棄していた場合はどうなりますでしょうか。」

今日の写真はビジネ会計人クラブの3次会、H先生。なかなか歌わなかったのですが、最後の最後に。実は一番盛り上がったのはWさんなんですけど。

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2006年6月22日 (木)

じゃがポックル三度

060621_002 北海道のMayumiさんすみません、また「じゃがポックル」の話題です。

先日稚内・紋別へ旅行した時にどうやらじゃがポックルじゃがポックルと騒いでいたらしく、グループ(金融ビジネス業界の方々の交流会の主催です)の中のお姉さま、Mさんが札幌へ行かれたときにわざわざ買ってきて下さいました。

オヤジ、感激。Mさん、本当に有難うございます!!

相変わらず希少で、ネット通販でも品切れ状態のようですね。

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2006年6月20日 (火)

会社法の見落としがとても多いです。

この週末すっかり「脱力」させて頂き、ブログもお休み。ついでに月曜も。ワールドカップのせいだけではありませんが。

今日はまず、歯科医の「ゴッドハンド」とワールドカップというお話を。

060620_002 土曜日は歯科医の友人夫妻に久しぶりに(二人がかりで)歯の治療をしてもらいました。半年以上仮歯で放置(しっかりした仮歯なのでつい・・)していたため久しぶりの治療でした(その後は夫妻を神楽坂に拉致)。

その歯科医の友人のところに、今ドイツで戦っているサッカー日本代表選手の一人が、ドイツ行き直前に駆け込んできたそうです。

虫歯ではなく、口が開かなくなってしまったとかで。原因は極度のストレス。人は寝ている間は通常口はあいており、1時間に3~4回だけ噛むそうなんですが、ストレスが強いと、寝ている間に無意識に相当な力でかみ続け、それが原因で口が開かなくなったり(「顎関節症」?)、場合によっては歯が割れてしまうんだそうです。

サッカー選手にとっては、口が開かない、つまり、強く噛み締められない、ということは強いキックができないということで、致命的なんだそうです。

それを友人は1回の治療で(患者の時間が限られているため)なんとかある程度口が開くところまで治してあげたのだそうです。

彼の元にはその他にも、女性タレントのKさん若手人気俳優のIさん等、数々の有名人や芸能人が治療を受けに来るそうです。皆、ストレスで口が開かなくなったのだそうです。

まさしく「ゴッド・ハンド」だ!とおだててかえってきました。

さて、昨日(6月19日)の日経、日経産業、日経金融各紙で、同社の行った「会社法対応調査」の結果が報じられていました。

各社ともかなり積極的に会社法の新制度を活用しようとしているようです(改正の趣旨から言ってある意味当然ですが)。

しかし、改正点の見落としも(少なくともウチで扱っているケースでは)かなりの数に上っています。先日の記事でお伝えした、法律の規定の構成の変更による見落としなどばかりでなく、そもそも改正を全く無視しているケースも。

一例を挙げますと、会社法下でのストックオプションの付与について、です。

詳しくはまた明日。

それにしても、日本・クロアチア戦。柳沢選手は特別非難される言われはないと思いますよ。たまたまもっとも目立つところでミスってしまったという不運はありますが、ああいうチャンスをどれだけ作り出せるかがチーム力だと思います。玉田だって同じような(原因と思われる)ミスはしているし、大黒なんて気迫がなさ過ぎ(少なくとも外に現れてない)。そしてクロアチアは日本以上に「決定力不足」でしたし。

写真はナレッジバンク伊藤社長のオフィスのミーティングルームに飾っていただいた、移転祝いの花。日比谷花壇のプリザーブドフラワー。ウチは大体お祝いはこれです。造花じゃありませんよ伊藤さん。

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2006年6月16日 (金)

所有者のいない土地の譲渡、続き。

 

一昨日はライブドアの臨時株主総会だったそうです。

で、今日の写真は、ライブドアとニッポン放送の株券不動産起業塾第3期生の「Oヒルズに住む社長」M氏のご提供。

 060614_003             

               

               

060614_002                

                

               

               

次が第3期から参加のアイビー女史の「手」。で、でも、ク、クスリ指に・・。

060614_001_1 さて、12日の記事で、「所有者のいない」突っ込み道路の登記名義を宅地所有者名義に変える方法は?というなげかけをさせて頂きました。コメントも頂きまして、有難うございます。

まず、土地の「名義を変える」とは所有権が移転するということであり、所有権が移転するためにはその原因となる契約(売買や贈与)や事実(相続等)が必要です。

このケースで、例えば宅地開発をした会社から宅地所有者がこの「つっこみ道路」も併せて購入していれば、売買契約により所有権が移転しており、単に所有権移転登記を忘れてしまったという事になります。

もし、道路については売買契約の対象としていなければ、あらためて売買や贈与などの契約をして、所有権の移転を受ける必要があります。但し、開発会社はその契約に応ずる義務はないことに注意を要します。

そこで、開発会社の意思に関わらず所有権を取得する方法として、「時効取得」が考えられます。「所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を」20年間(善意無過失なら10年間)占有した者は所有権を取得します(民法162条)。私道なので、「占有」と言えるかどうか微妙なものがありますが、時効取得が成立する余地は十分あると思われます。

次の問題は、当事者がいない(会社が解散し、清算も結了)という点です。所有権取得原因が成立している場合(売買にしろ時効取得にしろ)一番簡単なのは、裁判所に特別代理人を選任してもらうという方法でしょうね(民事訴訟法35条)。清算人の選任をしてもらうという事も可能だと思いますが、訴訟手続きの中でおこなわれる特別代理人の選任の方が簡便だと思われます。

これから売買契約を締結するという事であれば裁判所に清算人を選任してもらい、清算人との間で売買契約を締結するという事になるでしょうね。

                   

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2006年6月14日 (水)

「気持ちを表す」ってのは

こういうことさ。

060611_016                  

                  

                  

                   

                 

                  

                 

                   

こうじゃなくて。

060611_010                    

                   

                    

                  

                  

                   

                  

                   

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2006年6月13日 (火)

果報は寝て待て?

すみません今日もネタがなくて・・。

実はまた大きなチャンスを頂きまして。

これからその準備にかかります。

Yさん、本当に有難うございます。

昨日の続きは明日以降という事でご勘弁を。

コメント付けていただいたようでありがとうございます。

レスも明日以降付けさせていただきます。

あーでもサッカーの負けは「気持ち」以外のなにものでもないと思います。ずっとヒデが言い続けていたように。

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2006年6月12日 (月)

所有者のいない土地を譲り受けたい 

今日はネタがなくなってしまったので、問題提起だけ。

住宅地の私道、所謂突っ込み道路なんですが、所有名義が開発をした不動産会社のままになっている。ところがその会社が今はない。つまり法人が解散し、清算も結了して50年近くたっている。

この土地の名義を住宅所有者のものに変えたい(所有権移転)のだが、何か方法はないか、というご相談が以前にありました。

さて、どうすれば良いでしょうか。 

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2006年6月11日 (日)

裁判員制度は何のため?ワタシでも出来るの? 「法的思考ができる奴が仕事のできる奴」 その31

いやーオランダ先制しましたね軽快に美しく・・。こりゃやっぱりオランダだな、というところでこれを書き始めることに・・。でもサッカー見ながらだとやはりなかなかはかどりません。

060611_001 今日は午後から「束芋(たばいも)」の個展「ヨロヨロン束芋」に行ってきました(御殿山の原美術館)。

いやー面白い。大好きですあーいうの。アニメーションなんですが、有名な「日本の台所」はそれを台所の「セット」の中で投射します(台所を囲む障子は巨大な日章旗)。新作「公衆便女」は展示室全体の3面の壁に公衆トイレが映し出されます。真っ暗な窓のない部屋を上から見下ろすとその底に映し出される「真夜中の海」。どれも絵自体にはグロテスクで残酷な毒を含んでいますが、なぜか自分の感性が喜ぶ部分がある。思わず拍手。

昨日(10日)の日経で特集されていたんですが、その中で束芋さんは手首から先は「別の生き物という感じをずっともっていた」と言っています。ヤキソバオヤジも昔ある晩ヒーターに手をかざしていて、人間の手ってなんてグロテスクなんだと思ったことがありました。こんな感性が、ひかれるのか・・。

さて、それでは今日の本題です。

060611_004 前に堀江さんの保釈ので、公判前整理手続(刑事訴訟法316条の2、316条の3)について書きました。裁判の迅速化の為に新たに採用された制度なのですが、その目的の一つが裁判員制度の導入であるということも触れたと思います。

裁判員制度とは、国民の中から選任された裁判員が、裁判官と共に刑事訴訟手続きに関与する制度です。選任は抽選によって行われますから(衆議院議員の選挙権を有する者の中から)皆さんもこの裁判員になる可能性はあるわけです。

一般人が刑事裁判に参加する制度として、「陪審員」という言葉を聴いたことがあるのではないでしょうか。ヘンリーフォンダ主演のアメリカ映画の名作「12人の怒れる男」はこの陪審制度を描いたものです。三谷幸喜の「12人のやさしい日本人」も同じテーマを扱ったものです。

060514_16250001 この陪審制度と裁判員制度の最大の違いは、陪審員(12名)が裁判官とは別に有罪・無罪の決定のみを担当するのに対して、裁判員(6名)は裁判官(3人)と協議をした上で、事実の認定(首を絞めたという事実の存在を認めるか)と法律の適用(殺人罪にあたるか)や刑の量定(死刑か無期か)にも関与するという点にあります。

そして、一般の方々にとって心配なのは(自分の仕事や日常生活があるのに時間をとられてしまうという事の他に)、素人が人を裁くという重大な事に関与することができるのかどうか、というところだと重います。

この点について、法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)は「裁判長は、裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧におこなうとともに、評議を裁判員に分りやすいものとなるように整理し、裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十分にはたすことができるように配慮しなければならない(66条5項)としています。

060503_11580001 まあ、よく分らないかもしれませんが、要は、この制度を導入した目的の一つが、国民に分りやすい刑事訴訟制度ということであり、この意味では国民を代表して刑事裁判に関与する裁判員にとっても分りやすいものでなければならないということになるわけです。

そして、それがひいては、刑事訴訟制度の目的は何かという問題にもつながっていくのですが、それについてはまた改めて・・。

あっ、すみません「法的思考」でしたね。今日はこじつけるのを、いやテーマとの結びつきを説明するのを忘れてました。そうですねー、陪審制度との違いに目を向けるとか、裁判制度に自分たち一般人が関与することの意味を考え、それが、刑事訴訟制度の目的はなんだろうという発想に繋がっていく、そういった「思考」をして欲しいという事ですね。

あー、セルビアモンテネグロ、残念!!

※写真は上から「ヨロヨロン」の作品のイメージ(リーフレットから)、原美術館の庭のオブジェ、下の二枚はW君フォト(作品といった方が良い?)の第二弾(第一弾は一昨日)。

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2006年6月10日 (土)

会社法は体系を知らないとコワい。 「法的思考のできる奴が仕事のできる奴」 その30

060610_001_1 スポーツグラフィック雑誌の「ナンバー」というのがあります(創刊の時は第一号で「Number 1」なので、「ナンバーワン」という雑誌かと思いました)。 その最新号でカズ(そのプロフェッショナリズムという点で日本最高のサッカー選手だと思います)こと三浦知良選手と、ヒデこと中田英寿選手が対談しています。

その中でヒデがこんなことを言っています。

今の日本代表について「一生懸命やるとかやる気を見せるとか、そういうのはやっぱり本人にしか分らないし、実際やっていると思うんだけど、表現の仕方が昔に比べて下手なんじゃないかと。周りの人に伝わらないんです。伝える必要はないかもしれないけど、周りから見えないのはどうか・・・。」「おとなしいという意味じゃなくて。表現するというのは、相手にもそういう態度を見せるということで、恐怖を与えられるかもしれないってこと。」「対戦したときに『あ、このチーム、見た目がヤバいな』とか」「そういう印象を与えるだけで、相手の戦い方もだいぶ変わってくる。」

この点を「ナンバー」は「オーラ」という言い方をしています。

060610_004_2 これは私達の仕事の上でも似たようなことが言えますよね。いつもいつもしつこく言い続けている「挨拶」なんて、そのもっとも基本的なところです。と思っていたら今朝(6月10日)の日本経済新聞の別刷り「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」、テーマは「集合住宅、本当は言いたい苦情」。その第一位は「顔をあわせたら、きちんとあいさつして」。理由として多かったのは、「あいさつは近所づきあいの基本中の基本」。

ヤキソバオヤジもマンションに住んでいるのですが、子供でもきちんと元気に挨拶できる子がいると思えば(もちろん親がその様に躾けているということですが)、いい年をしたジジイ(失礼!)でもろくすっぽ挨拶の出来ない人もいます。挨拶の仕方も問題です。明るく、大きな声で、はきはきとやってもらいたい!・・・いやマンションの住人にはそこまでは言えないか。でも人の気持ちを暗―くさせるような挨拶の仕方はやめてもらいたいっ!!

余談はこれくらいにして(少々興奮しました)、本題に入りましょう。

060610_003_1 法的思考シリーズの第30弾。今日の「法的思考」の要素は、法律の「体系」(構成)を理解していること、です。これは「狭義の」法的思考の問題といえるのかも知れません。以下はウチの担当者のレポートから。

大企業(一部上場)A社では全ての子会社に株券不発行の定めを設定し、株式譲渡制限をしていない会社については譲渡制限を設定することにしました。株式譲渡制限を設定するには、効力発生の20日前に株主に通知することが必要だったのですが、この点をA社は見落としていたのです。

もちろんA社も上場企業ですから、法務・登記に関しても担当セクションが十分に準備をしていたことと思います。実際、A社ではマニュアル(書類雛形付き)を作成してグループ全社に配布していたそうです。にも関わらずこの点を見落とししてしまったそうです。この通知書が登記の添付書類ではなかったということも、見落としの原因になったのかもしれません。

060610_002_1 ウチの担当者が、この点に気がついて指摘し、通知書のひな形も提供させていただきました。登記の事しか考えていない担当者でしたら、気付くことも指摘することもなかったと思います。

総務・法務ご担当者の皆様、御社では大丈夫ですか?只、今日申し上げたいのはこの点ではありません。なぜこのような見落としが生じたのかという事です。担当者はこれに関しても鋭い分析をしております。つまり、ウチの担当者は「法的思考」を働かせることが出来たという事ですね。

「なぜ落としてしまったのかと言うと、それは『条文の配置』にあるのだと思います。六法で条文を見ていただければ分かりますが、商法では譲渡制限を定める際の規定は348条からまとめて記載してあり、何の手続きが必要かそこだけ見れば、まぁ分かります。これに対して会社法では全部の株式の内容として譲渡制限が置ける旨が107Ⅰ、決議要件は309Ⅲ、株券提供公告が必要な場合が列記されているのは219Ⅰ、株式買取請求権を行使できる場合が列記されているのが116Ⅰ、その場合に株主へ通知が必要とする116Ⅲ・・・と、ある程度会社法全体の構成を分かっていないと、どんな手続きが今回必要なのかを漏らしてしまうおそれがあるということです。」

いかがでしょうか、総務・法務(登記)ご担当者の皆様。十分「法的思考」を働かせてください。そして、難しいなーと思ったらウチの事務所にお任せ下さい(笑)。                                                                                                                                                                                                                                      

※写真は上から、「ナンバー」、今日の迎え酒、今日の昼食(ソーニヤのピロシキ)、そして、護国寺の骨董市で見つけた50年前のスイスの腕時計。

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2006年6月 9日 (金)

企業内部の問題解決は「与えられるもの」ではなく「つかみとるもの」であるとは。

昨日の記事で、問題点の解決は「与えられるもの」ではなく「つかみとるもの」であると書きましたが、この点について(特にウチのスタッフに)誤解を与えないよう(一晩寝て気になってきました)、少し補足します。

060528_11070001 この話題の最後の部分で、問題点について「改善の努力」が続けられていると書きましたが、具体的にいうと次の様な「努力」です。

経営者(マネジメント)側から正当な評価がされていないのではないかという不満・不公平感を従業員側が訴えることは、ウチの事務所でもこれまでにもあったことですが、これは評価システムの不備が大きな原因となっていることが多く、ウチの場合もその点が不十分である(昔に比べれば随分改善されました)という反省のもとに、評価システムの整備にまた着手しました。

只、これも経営者サイドが「与える」ものではなく、従業員自らが作り上げていくものです。こういった「システム」も単にカタチだけ存在すれば良いというだけではなく、システム自体の内容が適正である必要がありますし、また、その運用が適正に行われなければ何の意味もありません。こういった点は従業員自らが作り上げていくべきものであると思うのです。

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※これもW君の写真です。

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2006年6月 8日 (木)

企業の社会的責任の意味がわかってますか? 「法的思考のできる奴が仕事のできる奴」 その29

050528_123301001_1 先日(6日)の記事で、「ESemployee satisfaction従業員満足)」がなければ「CScustomer satisfaction、顧客満足)」は実現できないという事を書きました。オヤジは経営者として、「ES」が実現できるような条件整備に努めて来たつもり(まだまだ不十分ですが)ですし、これからももっともっと改善していきたいと考えています。

只、ここで気をつけなければならないのは「ES」は経営サイドから一方的に与えられるものではないという事です。いくら素晴らしい待遇や福利厚生、オフィス環境が与えられていても(ウチの場合はまだまだですが)、従業員個々人がそれぞれの仕事にやりがい、満足感を感じることが出来なければ「ES」が実現されているとはいえません。

そして個々人が仕事にやりがいや満足感を感じるためには、それぞれが主体的に仕事に関わっていく事が不可欠なのです。そして、そのためには仕事に関して従業員全員が共通の価値観、共通の目標を持っているかどうかということが重要だと思います。そのテーマとして、ウチでは「No.1」というコンセプトを取り上げたことは、前にも書きました(5月29日の記事)。

残念ながらウチの事務所もまだまだ組織や対人面についての色々な問題を抱えています。こういった問題がない(少ない)という事も「ES」の重要な要素です。しかし、こういう問題も、従業員全員が共通の目的意識の下に主体的に仕事に関わっている事務所であれば、おのずと自然に(主体的に)解決の方向へと向かっていくのではないでしょうか。

050730_153301001_1 様々な問題を単なる不満と感じ、それを誰かに解決して欲しい(その問題は自分のせいではなく誰かのせいだから)と思っていたのでは(そう考えるのが普通のサラリーマンかもしれませんが)、決して自分の思うとおりの解決は与えられないのではないでしょうか。

事務所の問題を自分の問題と考え、主体的に解決しようとしなければ、解決は期待できないと考えた方が良いと思います。解決は「与えられる」のではなく、自分で「つかみとる」ものです。

※この点につき、誤解が生じないよう翌日の記事で補足しました。

それでもウチの事務所の場合は問題意識の高いメンバーもおり、問題提起や改善提案は比較的活発に行われてはいます(ものが言いづらいという事はないと信じています)。でもその提案を「上」が取り上げるのを待っているという傾向もなきにしもあらずですし、意識の低い、あるいは忙しすぎて考えられなくなっている同僚・上司・部下に対する不信感ないし無力感がないとは言えないですが。

こういった問題点についても、改善の努力は続けられていますから、確実に良い方向には向かっていると思っています。

さて、今日のテーマです。

先日、エレベーターに高校生がはさまれて死亡するという痛ましい事故があり、その製造をした会社の対応に批判が出ていますが、最近それと似たような話(ヤキソバオヤジ流「法的思考」の話の絶好の材料)をある上場企業の監査役の方からお聞きしました。

060503_11550001_1 その会社が販売している製品が不具合で発火するなどの事故が頻発し、その対応について法務担当者が顧問弁護士に相談したそうです。

するとその弁護士は、代理店を通して販売しているのであるから責任は代理店にあり、当社にないとコメントするように、と言われたので、法務担当者もその様に発表しようとしていたというのです。

確かにその弁護士さんの回答は、弁護士としては正しいのかも知れません。しかし、少なくとも会社の法務担当者が、私の提唱する(広義の)「法的思考者」であればその様な回答をそのままプレス発表しようなどとは考えなかったと思います。

その監査役の方も激怒したそうです。当社は誰の為に業務を行っているのか、お客様のためなのか、弁護士のためなのか。弁護士のいう事が大事なのか、会社の経営理念が大事なのか、と。

そうです、会社はお客様の為に業務を行っているのであり、顧客の利益を第一に考えなければならないのです。顧客の利益を考えていれば、誰が(当社か代理店か)責任を負うのかという事を真っ先に考えるという事はなかったはずです。どうやってお客様に与えた不利益を回復するかを先ず考えたはずです。

060304_12320001_1 そしてこれは初めに書いた「CS」の問題でもあり、さらに「CSRCorporate Social Responsibility、企業の社会的責任)」の問題であるともいえます。

何度も言いますが、法律というのは説得のための「技術」、「道具」に過ぎないものです。法律が真に奉仕するものは何なのか、それを常に考えるというのも「法的思考」の重要な要素なのです。

・・・今日は「沈黙の臓器」カンゾウを少し休ませます(3件重なったのですが仕事が入り全てキャンセル)。ところで昨日は最後(朝?)までお付き合いできずスミマセンでした不動産起業塾第三期・神楽坂部隊「は」チーム「み」チームの皆様。それにしてもキュリアスのパワー恐れ入りました。その凄い歴史も垣間見せて頂きました・・。そして4期から参加予定のいivyさん。お付き合い頂いて有難うございました。貴女のお陰で4期の参加予定者が急増したとか・・。

今日の写真はウチの事務所のWクン提供。貴方がこんな綺麗な写真を撮るとはね・・。季節感は、まぁいいやね。

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2006年6月 7日 (水)

交渉力がありますか?  法的思考のできる奴が仕事の出来る奴 その28

昨日はヤキソバオヤジの出身高校、福島県立磐城高等学校の在京同窓会幹事会「青年部会」でした(オヤジ青年かよというツッコミは覚悟しております)。渋谷(先輩の経営する会社の会議室)でミーティングの後、懇親会。渋谷で飲んだ後はのあとは六本木だったのですが結局その後先輩1名、後輩1名を神楽坂へ拉致。スミマセンでしたH先輩、Nさん。いかがでしたか。

そして神楽坂Hでは不動産起業塾の塾生Aに遭遇。すっかり三期の分科会会場となった感のある「H」ですが、A氏は単独個人授業を受けに行っていたようです。

060606_004 それにしても二件目六本木の「アミューズメントレストラン」。美しい「オネエサマ」方(声は野太いデスが)が乱舞。後輩のYさん(オヤジと同業)が御執心で、是非に、と連れて行かれたのですが、いやー本当に美しい。ハマルのもわかります。写真は彼女(彼?)の「手」。

さて、先日不動産フォーラムで、証券化支援業務のプレゼンをしたところ、あるAM会社様からお問い合わせを頂いたというご報告を致しましたが、昨日打合せにお伺いして参りました。そのお話の中から拾ったネタです。

証券化の仕事(アクイジション・クロージング業務)の中に各種契約書等の調整という仕事があります。これはもちろん事後の紛争を防止するために取り決めをしておく、というのが主たる目的なのですが、ここで重要なのが相手方との折衝能力です。つまり、自社サイドに不利な条項(法的なものだけでなく、経済的なものも)が規定されている場合に、相手方と交渉して、それを自社サイドに有利なように(少なくとも不利にならないように)修正してもらうことが出来なければなりません。

ここでやはり必要なのが(広義の)「法的思考力」なのです。つまり、自分がやることの目的を理解するということです。自分が何のために(誰のために)契約書の調整をしているのかがわかっていなければ、それが自社にとって有利なのか不利なのかすらわかりませんし、まして、相手方に文言を修正するよう交渉する事など思いもよらないことでしょう。でもこれが出来なければ、「仕事」をした事にはなりません。

これは当たり前のようですが、以外と難しいことかもしれません。証券化の仕事に限らず、目の前の問題点にだけ気を奪われて自分のやっている仕事の「意味」を見失ってしまうというのはありがちなことです。

まして膨大な量の契約書のレビューとなればなおさらです。でも、それでは雛形を引き写しているのとなんら違いはないことになってしまいますよね。

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2006年6月 6日 (火)

村上氏のインサイダー取引、「過失です」??~ライブドアの辿った道その14

前回、ウチの事務所の会社法チームが忙しいというお話をしましたが、忙しいのは会社法チームだけじゃありませんよという声が聞こえてきそうなので補足します。

当然不動産チームや、その他の不動産関連取引の支援部隊(メガバンクで融資書類の集中・チェック業務を行っている部隊やREITでのアクイジション・クロージング業務を行っている者)も、そしてプライバシマークの取得準備をしている者も当然多忙で、ハードな業務をこなしています(ただ会社法チームは昨夜は徹夜だったようですが・・)。

そして、多忙になればなる程、ストレスや疲労による精神面・肉体面の不調が生じてきますし、組織や対人面での問題も発生してきます。こういったマイナス面を解消し、活き活きと働き甲斐のある事務所にしなければ、つまり「ES」employee satisfaction、従業員満足)を実現しなければ「CS」customer satisfaction、顧客満足)は実現できない、という事なんですよねー。

060605_005 さて、村上ファンドの村上氏、逮捕されました。

以下は「読売オンライン」から

「村上容疑者の説明などによると、村上容疑者は2004年9月15日、ライブドアの前社長・堀江貴文(33)、前取締役・宮内亮治(38)両被告と会い、「ニッポン放送はいいよ。あなた方も買って」と勧めた。同年11月8日には、両被告らから「ニッポン放送はいいですね、ほしいですね。経営権取得できたらいいですね。僕らもいっぱいお金を準備します」との意向を伝えられた。05年1月6日にも、重ねて「経営権がほしい」と言われたという。

 村上容疑者は04年10月~05年1月、同放送株約200万株を買い増してお060605_004 り、一連の経緯から、特捜部では、村上容疑者の同放送株買い増し行為は、発行済み株式の5%以上を買い占める側から未公表の情報を入手し、その株を購入したインサイダー取引に当たると判断したとみられる。2006651731  読売新聞)」

「インサイダー取引」というと、会社の関係者がその会社の株についての内部情報を利用して株を売買して一儲けするというイメージがありますが、証券取引法はもう一つ、「公開買付等関係者」による行為も禁止しています(167条)。

もう少し正確にいうと、株式の公開買付又は(総株主の議決権の)5%以上の買い集めを行おうとする会社の「関係者」(及び関係者から事実の伝達を受けた者)が、その公開買付に関する重要事実を知り、その公表前に取引をして060605_003 はいけないという事です(証券取引法167条、同法施行令31条)。

つまり、ニッポン放送株の5%以上の買い集めをしようとする会社の関係者、つまりライブドアの役員から、買い集めをする事という情報を得て、その情報が公開される前にニッポン放送株を購入した行為が、この禁止規定に該当するということです。

これは河本一郎・大武泰南「証券取引法読本」(有斐閣)の表現を借りれば、入学試験の問題を関係者から入手して入学するようなもので(347頁)、アンフェアな行為であり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金という厳しい制裁が課されることになります(証券取引法198条19号)。

村上氏は「聞くつもりはなかったのに聞いちゃったから故意ではなく過失060605_001 と言っているとかの報道もありました。上記読売の記事によれば、村上氏がホリエモンに買い集めを勧めたとありますから、うっかり聞いちゃったということは考えにくいと思いますが、仮に偶然聞いてしまったのだとしても、禁じられているのは「聞く」(事実を知る)行為ではなく、(聞いた上で、公表前に)購入する行為であり、購入自体に故意がないと主張するならともかく、聞いたのが偶然だったという事が犯罪の成否を左右するものには到底なりえないのです。

写真は久しぶりの(起業塾関係以外で)神楽坂。起業塾メンバーとはまた違った「ルート」です(それにしても初めの赤提灯「T」は久しぶりだったんですが、異常な混み方にますます拍車が掛かってます。月曜だというのに・・。二件目のバーは雰囲気はかなりのものでしたが、バーテンさんがシロウト。どうやら昼間はサラリーマンらしい。そういえば料亭の息子がやってるバーもあるけど)。

そして桐千。いつも最新情報を有難うございます。スミマセン昨日は偉そうに経営コンサル(?)をしてしまいまして・・。でもママさん神楽坂15年ですが謙虚で素直ですよね(またまた失礼)。

信託銀行のYさん、前デベロッパーのNさん、遅くまで連れまわしてしまってスミマセン(しかも割り勘で)。でもなかなかだったでしょ。Yさん、来週は六本木⇒西麻布、よろしくお願いします。

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2006年6月 4日 (日)

会社登記の難しさを理解して下さい。

060604_005 今日は午後から事務所に出て、たまりに溜まった書類・資料の整理(事務所メンバーには「宝の山だ」と言ってますが、段ボール箱にいくつもあり、それだけでも事務所を狭くしてひんしゅくを買っています恐らく・・)。

行って見ると、高知から「小夏」が一箱届いていました。高知出身のある装飾品会社の社長さんからの贈り物でした(以前にもメロンを送っていただきました)。T社長様、いつも有難うございます!

そして家に戻ると、不動産起業塾でいつもおなじみのIさんから、パイナップルとパパイヤが届いていました。嬉しい!!今日はフルーツデー・・・。Iさんかえって気を使わせてしまって済みません。

060604_004_1 さて、事務所の方の話に戻りますが、今日は「会社法チーム」のメンバーが休日出勤をしていました。昨日もセミナーのコメンテーターを努めさせて頂いた事を御紹介しましたが、会社法チームの実力の高さが評価され、ここのところ会社 法・会社登記の案件のご依頼が急増してまして、休日(ウチは完全週休二日です)出勤をしないと追いつかないようです。

ところで、新規にご依頼を頂いた会社では彼らは少なからず苦労させられることになります。それまでの処理が不正確な会社があるからです。これは上場、非上場を問いません。

特に商法が全面的に改正され、会社法が新しく制定されたにも関わらず、商法の規定に基づいて、会社法ではあり得ない内容の決議をしているというよう060604_002_1 なケースも少なくないようです(プレスリリースまでしている所も)。

もちろん基本的な、任期計算の誤りを犯しているようなケースもありますが(初歩的なミスでも後からの修正はホネ)、やはり、会社法の理解不足によるミスが今後(これから総会シーズンを迎え)増えてくることが予想され、わが会社法チームの出番が多くなると思われます。

先日のセミナーの際にも申し上げましたが、実力のある(税理士さん・会計士さんのついている)会社様はどんどんご自分で登記申請をして頂いて結構なんです。

逆にシロウト(失礼!)でも出来るような登記でワタシ達専門家はビジネスをしようとは思っていません。

060604_001 ただ、難しい・面倒な登記に関してはどうぞワタシ達にご依頼下さい。確かに費用は掛かりますが、それなりの価値はあると思います。そしてお願いですから電話相談の「価値」を評価して下さいね。

おっと、もうサッカーが始まっちゃいました、と思ったら早速玉田があっさり1点取っちゃいましたね。でも相手、削ってくんなよ大事な時期にこのヤロー!(すみませんつい興奮して・・)。

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2006年6月 3日 (土)

山田真哉さんの会社法セミナーでコメンテーターを。評価は?

060603_006 いやー、村上ファンドがインサイダー取引!? まだ任意捜査段階ですが、あのライブドアに対する周到な捜査の中から掴んだ証拠に基づくものでしょうから、特捜部も確信を持っての事でしょう。これに関しては「ライブドアシリーズ」の続編として書きたいと思います。

そして「共謀罪」。どうなんでしょうねーこれは。教育基本法もそうですが、政治的なものも絡んできて、微妙ですね。もう少し勉強します。で、やっぱり信託法は・・・。

さて、昨日は公認会計士の山田真哉(あの150万部の大ヒット「さおだけない」の山田さんです)が主宰される「インブルームLLP」主催の「 新会社法養成講座」にコメンテーターとして参加させて頂きました。

060603_009 第一部の会社法の全体像に関する山田先生の講演に引続き、第二部は図解や書式も豊富な100頁を超えるテキストを中心にインブルームの先生方(流石に「会社法」の著者だけあって日本でも最も会社法に詳しい税理士先生方です)パネルディスカッション形式で短時間(賞味3時間)ですがポイントを抑えた名「講義」が繰り広げられました。

ウチのメンバー(ヤキソバオヤジの他に会社法務・登記グループから、脇慎一・押田健児2名=顔写真は)は、講義の中で登記に関連して先生方や受講者が疑問を持ったことや、実務上注意を要する点等を中心にコメントをさせて頂きました。

ほぼ満席の会場(税理士・会計士の先生方が中心)からは活発な質問も発せられ、予想以上にレベルが高く、密度の濃い講座でした。ウチの「回答」も(打ち合わせのないぶっつけ本番だったにも関わらず)、的確で十分レベルの高いものだったと自負しております(エース二人を投入したのですから当然ですが)。

終了後、ある先生(ビジネス会計人クラブその他で顔見知りの先生方も多く見えていました)から、「大変的を得たコメント、有難うございました」と仰って頂けました。「こんなに大きな事務所だとは知らなかった」とも。まだまだ認知度が足りませんね。

最後にPRの時間も頂きました(ヤキソバオヤジのPRを忘れてしまったのが心残り)。

060603_002 素晴らしい情報発信の場を与えていただき、山田先生、インブルームの先生方(緒方先生、木村先生、宮崎先生、そして吉田先生)、本当に有難うございました(長江先生にお会いできなかったのは残念でした)。

毎日毎日が感謝です。

※写真は旧古河庭園のバラ。

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2006年6月 2日 (金)

たれぱんだは熱かった!?

060601_004 先日、不動産フォーラムで「不動産証券化支援業務」についてプレゼンをしたというをしました。

早速翌日、あるAMの会社から電話があり、詳しく話を聞きたいという事でした。 確かに業界関係者の多い会ではありましたが、反応の速さにこの業務へのニーズの高さを感じました。来週訪問してまいります。

それに関連するのですが、現在J-REITへ派遣しているN君から、こんなメールが届きました。

「あくまで確固たる司法書士業務が基盤となって信用を得ているフクダリーガルなのですから、・・さんが司法書士業務以外にプレッシャーを感じずとも今までどおり司法書士業務に邁進してくださればよいのではないかと思います。」

本来的司法書士業務から少しはなれた業務に力を入れている事について、一部の者がかなりプレッシャーを受けている(と彼が受け止めている)事についてのコメントなのですが、なるほどと思いました。

確かに自分達の信頼の基盤となっている業務を疎かにしてはいけないという事を、派生業務の只中にいるからこそ強く感じているのだと思い、戒めとして強く心に刻み付けました。

さて、昨日は私がライブドアシリーズを書くきっかけを与えて頂いた福岡県人会の、第6回一木(オヤジは第4を担当)がありました。

昨日の講師はあのたれぱんだの生みの親、すえさん。講演そして懇親会とお付き合いさせて頂いたのですが、その情熱には圧倒されました。

終始熱く語る語る!!仕事の企画や自分の密かな夢の事、現在教えている多摩美(すえまささんの母校でもある)の事、江戸時代の事、等々、自分の興味のあることは「話し始めるととまらなくなる」と仰っていましたがまさにその通りでした。

またとても気さくで謙虚な人柄で、サインを頼むと気軽にさらさらと絵を書いて頂きました(冒頭の写真)。

060601_006 そして単なるデザイナーであるわけではなく、ビジネスマンとしても確固たるビジョンを持っていらっしゃいました(現在はご自分の会社「てててん」を経営され、新しいキャラクターの展開をされています)。

自分に引き比べてみて、果たして自分の仕事についてあれほどまで熱く語れるだろうかと、またまた考えさせられてしまいました。

それはともかく、その魅力的な人柄に皆さん惹き付けられ、これから「ぴよだまり」を応援しよう!という気持ちになったことと思います。

一木会の皆様、いつも素晴らしい出会いを与えて下さって、本当に有難うございます。

2枚目の写真は、本日は「手」シリーズではなく「髪」シリーズ。すえまささんが絵を描かれている時の、「ちょんまげ」。誰かの(Oさん?)余計な手が写ってますが(しかも透けてる!)

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2006年6月 1日 (木)

外国人名義の不動産を取得するには?

今日は時間がなかったので、過去のネタを引っ張り出してきました。久しぶりに司法書士らしい(?)題材です。

以前にこんな質問を受けました。

《日本人女性が中国人男性と結婚し、日本に居住。夫(中国籍)名義で住宅(土地付一戸建)を買った。その後夫は中国へ帰国。帰国の際、夫は住宅の権利を放棄する旨の念書を妻の許に残した。

この場合妻名義に所有権移転登記をすることが出来るのか。出来るとすればどんな書類を取得する必要があるか(住民票や印鑑証明にあたるもの)。また、夫には何がしかの「ハンコ代」のようなものを支払う必要はあるのか》

それに対してこんな回答を致しました。

まず、「権利放棄」する旨の念書があるという事ですが、それは奥様に譲渡すると解釈できるものでしょうか。不動産所有権を「放棄」しても、その不動産は誰のものでもないということになり、法の規定により国のものになるだけです(民法239条2項)。

不動産が奥様との共有であり、自己の持分を放棄するという事であれば、その持分は奥様に移転します(「譲渡」と同じ)。民法255条。

次にこの「譲渡」の意味ですが、これは奥様に贈与するという事でしょうか。あるいは奥様が対価を払って買い取ったという事でしょうか。買い取ったというのであれば代金の授受が必要ですが、代金の授受が無ければ贈与となり、贈与税がかかる可能性があります。これは共有持分の放棄であっても同じであり、対価の支払いが無ければ贈与となります。

上記の問題がクリアされたとして、登記に必要な印鑑証明書や住民票に代わる書類は、住所の変更について、及び登記委任状にされた署名が本人のものである事についての在日中国大使館・領事館又は中国公証人の証明書です(昭和25.2.15-民甲432民事局長回答、昭和34.11.24民甲2542民事局長通達)。


また、この場合贈与証書又は売渡証書(登記原因証明情報)も作成が必要で、これについても署名が必要となります(先の念書にその旨の記載があれば別ですが)ので、同様の証明書を取得することが望ましいでしょう。但し、本人が公証人役場へ出向いて、その場で委任状及び贈与証書・売渡証書に署名する必要があります。

登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、司法書士が本人の意思確認をすることが必要になります。面談して本人性及び売却意思の確認をしなければなりません。帰国前に司法書士による確認が出来ていない場合は、日本に来て頂くか、司法書士がこちらから出向いて確認を行う必要があります。来日される場合は、先の証明書は在日中国大使館又は領事館で出してもらうことも出来ます。

面談での意思確認が難しい場合は司法書士に委任することは困難だと思われます(書面の授受は郵送でも可能ですが)ので、本人申請(書類作成及びアドバイスのみ司法書士に依頼)でやって頂くことになると思います。

ところで「ハンコ代」という事ですが、上記の権利関係が解決しているのであれば、特に心配する必要は無いと思いますが、新たに署名したり公証人の証明書を取得してもらったりという手間がかかりますので、その実費と手間賃程度はお支払いした方がよいでしょう。所謂利害関係人(例えば後順位担保権者)に支払うような額の「ハンコ代」までは不要だと思います。

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