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2006年5月10日 (水)

会社法よくある質問 5 1年の猶予を与えられたものとは?~合併等対価の柔軟化

いやー、サッカー日本代表戦(キリンカップ、対ブルガリア)。久しぶりに(ビデオですけど)見ました。サッカーの教科書(?)通りの失点でしたねー。開始後5分と終了前5分が一番危ないって。まあこれはサッカーに限ったことではなくて、「過ちは、易き所に成りて、必ず仕るべきものなり」って高校の古文の時間に教わりました(徒然草らしい)。受験生の皆さんも同じです。簡単な(に思える)問題こそ細心の注意を払って、取りこぼしの無いようにすることが重要です。

そうそうkid83さん。ベビーカーの話題の時に、歩行喫煙が許しがたいという事を仰ってましたが、私も全く同感です。火のついたタバコを持って歩く危険性ももちろんなのですが、ケムリを吸わされる不快感、ホント嫌ですよね。

只、私も昔はタバコを喫っていましたし、若いときなんて、かなりヒドいマナー違反をやっていたので(今思うととても恥ずかしいですが)、批判もちょっと腰が引けるのです・・・。

さて、今日の質問はこれです。

「今回の会社法のうち施行が1年後になる取り扱いがあると聞いたが、どうして1年の猶予を置いているのか、その内容と理由を教えてください」

お答えします。

1年延ばされたのは、「合併等対価の柔軟化」です。

「合併等」とは、吸収合併、吸収分割、株式交換をさします。

「対価の柔軟化」とは、これら合併等の場合に、消滅会社・分割会社・完全子会社となる会社、それぞれの株主に対して、存続会社、承継会社、完全親会社となる会社の株式を与えるという方法だけでなく、金銭やその他の財産を与える事も可能にするということです(会社法749条1項2号、758条4号、768条1項2号

これによって所謂「キャッシュアウト・マージャー」(現金合併)や「三角合併」(消滅会社の株主に存続会社の親会社の株式を与える)が可能になります。M&A、組織再編を容易にする、規制緩和の一環です。

ところが、これが1年延ばされました。厳密には施行後1年の間に合併(会社分割、株式交換)契約が締結される場合のこれら合併等には、対価柔軟化の規定が適用されないということです。

これは、特に株式時価総額の巨大なものが多い外国企業による国内企業の買収への警戒や、ライブドア事件等を契機に、敵対的買収への防衛策(「黄金株」や「ポイズンピル」だけでなく、企業価値を上昇させるというようなことも含まれます)を整える猶予期間を与えようという目的であると説明されています。

しかし、合併、会社分割、株式交換、いずれも当時会社同士の合意(契約)によって行われるものであり、常に「友好的」であり「敵対的買収」(上場株式が経営者の意思に反して買い集められる)とは次元が異なり(相澤哲「一問一答新・会社法」商事法務、224頁)、こういった懸念は妥当しないと思われます。

⇒「会社法よくある質問」シリーズの第1回目の記事、前回の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

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※会社法の事ならフクダリーガルウイキ支店

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