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2006年5月25日 (木)

企業買収の際、取締役が気をつけるべきことは?

いえいえ住宅新報様。

1面トップにでかでかと写真入で掲載(5月23日号)して頂いたことに感謝こそすれ、不快感など感じようはずもございません。

まして、「中立派」というのはヤキソバオヤジの日和見主義的なところをやさしい言葉でくるんで表現して頂き、さすがプロフェッショナル・ライターと、感動すら覚えました。有難うございました。

話は変わりますが、挨拶について。

先日、朝の出勤時に事務所のビルのエレベーターホールで、他の会社の社員の方といっしょになりました。先に一人が来ていて、後からもう一人が来たのですが、その挨拶が、「チー」とか「スー」とか、そっぽを向いてそんな「音」を出すだけなのです。これが朝の、一日の始まりの挨拶(?)なのです。

060524chika それを見ていてこりゃろくでもない会社だな、と思いました。実際のところはわかりませんが、挨拶すら満足に出来ない者がちゃんとした仕事が出来るとは思えません。

ウチの事務所は挨拶やマナーについてはかなりお客様からも高く評価されていると思います。ですから今更ビジネスセミナー(先日御紹介しました)で挨拶の仕方やマナーを勉強することに抵抗を感じる者もいたと思います。

しかしウチの事務所でも、まだまだ不十分なところもあると思っています。

特にワタシ達(一応)スペシャリストの場合、ともすると(特に内輪の者にたいする)挨拶など自分の提供する専門的サービスの内容や質とは関係ないと考え勝ちです。

しかし、挨拶はビジネスマナーというよりそれ以前の、社会人として他人との関わりをもつ者は当然身につけていなければならない最低限の礼儀だとおもいます。

以前に、周りの人を元気にする「ヒーラー」になれたら、という事を書きましたが、少なくとも周りの人の元気を奪うような存在にだけはなりたくありません。

きちんとした(元気のある)挨拶ができないというのは、そういう存在に近いと私は思っています。

では本題です。

先ほどある上場企業の方から、会社買収をした場合に買収側の会社が気をつけなければならないことは何か、というご質問を頂きました。一時間後に取締役会で説明するので、簡単にポイントを教えて欲しいという事でした。

この件に関しては、関連契約書の作成などで前々から関わっていましたが、簡潔にわかりやすく注意点を説明するという事をしていませんでしたので、大急ぎでまとめてみました。

要は、買収後に買収対象会社が破綻した場合はもちろん、そこまでは行かなくとも当初の予測どおりの業績が上がらなかったような場合、さらに資産としての瑕疵(欠陥)があったような場合または買収行為そのもので損害が発生した場合等に、責任を問われることがないよう、買収の際に取締役はどんな注意が必要かということです。

簡単に言えば、次のようなことです。

先ず、買収するか否か(及び条件)の経営判断の問題です。

もちろん経営者は、その経営者としての才覚に基づいて経営判断を行うという裁量権をもっているわけですが、これにも限界はあります。

これを法的に言うと、取締役は会社と委任関係にありますから、受任者として善良な管理者としての注意義務(会社法330条、民法644条)を負うとともに、会社のために忠実に職務を執行すべき忠実義務を負っており(会社法355条)、これらの義務に違反して会社に損害を与えた場合は債務不履行として会社に対して損害賠償の責任を負うことになる(民法415条)ということです。

そして、経営判断にこれらの義務違反があったといえるかの一つの判断基準として、「経営判断にあたり事実認識の不注意な誤りまたは意思決定過程の著しい不合理がないか」というもの(野村證券損失補填訴訟第一審判決)があたえられています。

ではどのような注意をしなければならないのか。まず、企業買収にも通常の取引行為と共通する部分が多いですから、通常業務におけると同程度の注意をする必要があります。

例えば未公開株式の評価。企業も一つの資産であり、株式の価格を決めるという事は、資産を買取る値段を決めるという事ですから、通常の売買取引で売買価格を決定することと本質的には同じです。

一方で、日常の取引行為とは異なる部分も多いはずです。例えば、全く新しい分野の事業の場合、経営のプロであってもそこでの適正な事実認識のためには外部の専門家等の意見を求めたり、社内的にもプロジェクトチームを作るなど十分な検討を重ねる必要が生じてきます。

そして経営者の責任が生じるのはこの経営判断のミスだけではありません。

法令違反の場合にもその責任が生じる場合があります。

例えば証券取引法。ライブドアの堀江前社長は、まさしくこの点で刑事責任を問われているわけです。

その他独占禁止法違反等が問題となる場合もあります。

これに対処するためには、こういった法令についての知識を有する必要もありますが、その適用に通じた専門家をブレーンとして置いておくことも重要です。

近年はMAに限らず、専門家自身の責任も大きく問われるケースが増えていますが(監査法人、一級建築士、そして信託銀行まで)これに関してはまた改めてお話させていただきます。

※以上に関しては西村総合事務所編「MA法大全」(商事法務)、加美和照「会社取締役法制度研究」(中央大学出版部)を参考にさせて頂きました。

写真は、不動産起業塾の?次会でのものです。どこかは内緒(イッシ立ち直ったかな? シーさんどうでしたあの後は?)

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の、前回の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の

⇒「会社法よくある質問」シリーズの第1回目の記事、前回の記事

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

⇒このブログのトッ

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コメント

お世話になっております。石塚です。

毎度、毎度、素敵なお店を紹介してもらって
本当にありがとうございます。
先生の行くとこ行くとこ、本当にいいお店ばかりで
毎回楽しませていただいております。
(次回、予約の件に関して、確かに承りました。)

あのあとは。。。
涙、涙でございます。
そのわけはブログにて(/_;。)

ありがとうございました。

投稿: 石塚雄一 | 2006年5月25日 (木) 23時28分

やあやあどーも毎度残念・・・。
しかもそのあと涙涙とは・・。
早速ブログ拝見します。

投稿: ヤキソバオヤジ | 2006年5月29日 (月) 01時19分

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