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2006年4月29日 (土)

差押、仮差押、仮処分のなされている不動産を安全に買うには

昨日から、会社法について書いておりますが、会社法に関する最新情報については、フクダリーガルウイキ支店

を是非ご参照下さい。会社法だけでなく、登記や法務全般にわたりウチの精鋭スタッフが交代で執筆しております。エッセイも豊富(やはり交代で執筆)ウチの事務所を知って頂く「窓」としても面白いと思います(と自画自賛)。

さて、先日破産法の担保権消滅制度記事で、差押等がある場合の取引について書きましたところ、もう少し詳しく教えて欲しいという声が上がっていたのですが、なかなかその話題に触れることが出来ず、今日になってしまいました。

不動産の売買で、対象不動産には担保や処分制限(の登記)が付着していることは少なくありません。次のようなものがあります。

・(根)抵当権(本登記、仮登記)

・賃借権(同)

・地上権(同)

・所有権移転仮登記(売買予約、代物弁済予約等)

・差押

①税務当局(国税、地方税)による税金滞納処分

②担保権(抵当権・根抵当権)の実行手続

③一般債権者による強制執行(競売)の実行手続

・仮差押 一般債権者による強制執行対象物件の保全のため(民事保全法20条)

・仮処分 係争物の保全のため(民事保全法23条)

・地役権(承益地)

・買戻権(正確には買戻の特約=解除権留保特約)

これらを確実に消滅させられることを保証するのもワタシ達司法書士の仕事の一つです。

当事者の契約に基づいて設定されている権利(抵当権、賃借権、地上権、売買予約・代物弁済予約、買戻権等)については、相手方(金融機関等)から抹消の委任を受け、書類を預かります。通常は売買代金の中から債務を弁済しますから、お金の支払いと同時(引換え)にこれらの書類を預かることになります(もちろん事前に全て確認しておきますが)。

契約に基づかないもの(差押、仮差押、仮処分等)も基本的には考え方(支払いと引換え)は同じですが、違うのは抹消登記が「嘱託」(裁判所や税務当局が直接登記所に依頼)という手続きでされるという点です。

つまり、契約に基づく場合とは異なり、抹消登記の委任を司法書士が受けることができないので、代金支払い後すぐに(所有権移転と同時に)抹消登記の手続きをすることが出来ないということです。

税金滞納の場合は差押登記抹消嘱託書を司法書士に渡してくれますので(その場で納付手続きをしたのを確認した上で)、同時抹消は可能ですが、裁判所の手続き(差押、仮差押、仮処分)の場合はそうは行きません。

債権者が裁判所にそれらの取下げの手続きをし(もちろん債務の支払いと引換えに)、裁判所がそれを受理した後、登記所(法務局)に抹消登記の嘱託(郵送)がされます。

そこで司法書士としては確実に取下げられるかどうか(取下げの要件)を確認することが不可欠となります。この手続きについて経験の豊富な司法書士に依頼したほうがよいでしょう。

尚、破産登記がされている場合は所有権移転(任意売買)登記後に破産管財人から裁判所に対して抹消登記の嘱託を請求すると言う順序になります。

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

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