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2006年4月30日 (日)

「ゼロ円会社」に意味はある?

前々回の記事で、「ゼロ円会社」も可能であると書きました。

「可能」ではありますが、そうすることがどれほどの意味を持つのかはわかりません。

結果的に資本金が「ゼロ」であっても良いというだけです。

つまり、設立時の「資本金」というのは「株主となる者が当該株式会社に対して払込又は給付をした財産の額」(会社法445条1項)という意味はありますので、ゼロ、ということはそこから費用を差し引いたとしても、どのくらいの財産があったかという目安にはなるものだからです。

逆に負債が多くて債務超過であっても、必ずしもそれだけで会社が存立し得ないというわけではありませんし。

旧法下でも会社再建のための100%減資(同時に増資)をすることにより瞬間的に(そうでないと最低資本金規制に引っかかった)資本ゼロになることは、認められてきましたし、その限りにおいて資本(金)ゼロとなることを認める意義はありました。

会社法では、「全部取得条項付株式」(会社法171条1項、108条1項7号)というものを創設することにより、この100%減増資を利用しやすいものとしています。

⇒「ゼロ円会社」シリーズの第1回目の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月29日 (土)

差押、仮差押、仮処分のなされている不動産を安全に買うには

昨日から、会社法について書いておりますが、会社法に関する最新情報については、フクダリーガルウイキ支店

を是非ご参照下さい。会社法だけでなく、登記や法務全般にわたりウチの精鋭スタッフが交代で執筆しております。エッセイも豊富(やはり交代で執筆)ウチの事務所を知って頂く「窓」としても面白いと思います(と自画自賛)。

さて、先日破産法の担保権消滅制度記事で、差押等がある場合の取引について書きましたところ、もう少し詳しく教えて欲しいという声が上がっていたのですが、なかなかその話題に触れることが出来ず、今日になってしまいました。

不動産の売買で、対象不動産には担保や処分制限(の登記)が付着していることは少なくありません。次のようなものがあります。

・(根)抵当権(本登記、仮登記)

・賃借権(同)

・地上権(同)

・所有権移転仮登記(売買予約、代物弁済予約等)

・差押

①税務当局(国税、地方税)による税金滞納処分

②担保権(抵当権・根抵当権)の実行手続

③一般債権者による強制執行(競売)の実行手続

・仮差押 一般債権者による強制執行対象物件の保全のため(民事保全法20条)

・仮処分 係争物の保全のため(民事保全法23条)

・地役権(承益地)

・買戻権(正確には買戻の特約=解除権留保特約)

これらを確実に消滅させられることを保証するのもワタシ達司法書士の仕事の一つです。

当事者の契約に基づいて設定されている権利(抵当権、賃借権、地上権、売買予約・代物弁済予約、買戻権等)については、相手方(金融機関等)から抹消の委任を受け、書類を預かります。通常は売買代金の中から債務を弁済しますから、お金の支払いと同時(引換え)にこれらの書類を預かることになります(もちろん事前に全て確認しておきますが)。

契約に基づかないもの(差押、仮差押、仮処分等)も基本的には考え方(支払いと引換え)は同じですが、違うのは抹消登記が「嘱託」(裁判所や税務当局が直接登記所に依頼)という手続きでされるという点です。

つまり、契約に基づく場合とは異なり、抹消登記の委任を司法書士が受けることができないので、代金支払い後すぐに(所有権移転と同時に)抹消登記の手続きをすることが出来ないということです。

税金滞納の場合は差押登記抹消嘱託書を司法書士に渡してくれますので(その場で納付手続きをしたのを確認した上で)、同時抹消は可能ですが、裁判所の手続き(差押、仮差押、仮処分)の場合はそうは行きません。

債権者が裁判所にそれらの取下げの手続きをし(もちろん債務の支払いと引換えに)、裁判所がそれを受理した後、登記所(法務局)に抹消登記の嘱託(郵送)がされます。

そこで司法書士としては確実に取下げられるかどうか(取下げの要件)を確認することが不可欠となります。この手続きについて経験の豊富な司法書士に依頼したほうがよいでしょう。

尚、破産登記がされている場合は所有権移転(任意売買)登記後に破産管財人から裁判所に対して抹消登記の嘱託を請求すると言う順序になります。

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2006年4月28日 (金)

会社法よくある質問 1 ゼロ円会社が可能って本当?

昨日の記事の中で、ウチの事務所会社法部隊が忙しさのピークを迎えているという事をお話しました。

ここのところ連日、睡眠時間を削っての活躍なのですが、その評判をどこかで耳に060426_011 して頂いたのか(申し訳ございませんご紹介者の方のお名前をまだお聞きしておりません)、これまでお取引の無かった某大企業(ホールディングカンパニー、委員会等設置会社でもあります)の総務ご担当者の方からお電話があり、急遽ご来社頂いてご相談に乗らせて頂くことになりました。

この、会社法部隊の八面六臂の活躍でご提供している情報-中小企業の機関構成や定款実務から、大企業・委員会等設置会社の会社法対策まで-につきましてはこのブログでも御紹介して参りたいと思っております。

というわけで、今日からは会社法について、主に実際に私たちのところへ寄せられたご質問を中心にお答えして行きたいと思います。

まず、第1回はこんな質問です。

060426_007_1 「資本金がゼロでもよいと聞きました。資本金がゼロということは出資者(株主)がいないということになりませんか」

「発起設立では銀行の払い込み証明に代えて預金通帳や残高証明でも良いという事ですが、それがゼロでもよいというならそもそも通帳や残高証明は要らないということにはなりませんか」

お答えします。

まず、「資本金がゼロ」というのは、資本金の額がゼロとなっても構わないということであり、出資金がゼロでも良いという事ではありません。

すなわち、資本金の額は出資として払い込まれた金額から設立に要した費用を差し引くことが出来るのです(会社計算規則74条)。その結果がゼロ又はマイナスとなることもあり得るわけです(マイナスの場合はゼロ)。

ということは、発起設立の場合の払い込みを証する預金通帳や残高証明書も払い込み金額として最低1円は記載される必要があるということです(当たり前のことですが)。

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2006年4月27日 (木)

物納制度大改正・会社法も大改正

060426_009_2 先日、上級相続アドバイザー資格講座についての記事で、物納制度の改正に触れましたが、今日はそこにスポットを当てたセミナに出席させて頂きました。

主催は株式会社国土工営。しかも講師はあの右山昌一郎先生。同社編著、右山先生の監修になる、「物納制度大改正・その実務と対応」(大蔵財務協会)をテキストに、さらに官報で政令・省令の条文も検索し、大変わかりやすい講義をして頂きました。

今までの「とりあえず物納申請してあとの手続き(境界確定・権利調整等)はゆっくりと」と言うことが出来なくなったという事で、早めに測量や境界確定の準備をしておく必要性が高まったということなのです。

060426_003 これまでも開発山内先生の様に相続対策としての測量という事を訴えてきた方はいらっしゃいましたが、ますますその必要性が高まってきたという事になります。山内先生、今後ますます忙しくなりますね。

もっとも、今日右山先生の言葉の中で印象に残ったのは、相続や物納じゃなくたって土地を処分しようとしたら、境界確定や測量は必要なんだから、資産家地主は早めに準備しておく必要がある、という事でした。

そういえば明日は明日でまた物納のプロ、ナレッジバンク伊藤社長とお会いします(ある地主さんの登記の仕事を頂いてます)。これは偶然ですが、最近は物納や遺言・遺産分割・意思能力の問題(認知証=痴呆・アルツハイマー)後見、等々、高齢化社会の到来を象徴するような仕事が急増しています(会社法の関連業務だけでなく)。昨日、朝日信託皆見社長のお話を伺ったのもあながち偶然ではないのかもしれません。

早速朝日信託様を連休の谷間にお尋ねして、皆見社長様と、私共との連携の可能性についてお話をさせて頂く予定になっております。何か私たちの仕事になる事があるような気がします。

先ほど少し会社法に触れましたが、施行が目の前(5月1日)に迫ってきておりまして、ウチ事務所会社法部隊も忙しさのピークを迎えております。

060426_006 今日もウチのクライアントの某電鉄系事業会社(一部上場)へ改正と登記の対応方法についてレクチャーにお伺いし、大変喜ばれたとの由(この時間もまだ仕事をしているようですが-ワタシは一足先に失礼して自宅でこれを書いています)。

そして明日はワタシと朝一から、連休明けに予定しております、税理士会計士の先生方向けのセミナーの打合せ、その後午後からはおなじくクライアントの大手損害保険会社にレクチャーに行く予定です。

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月26日 (水)

唯一の個人信託会社

060426_005 ワタシばかり毎日毎日素晴らしい出会いを体験させて頂きましてほんっとうに申し訳ございません。

今日は(なぜか昨日の日立キャピタル信託高井部長様に続きまして)日本で3番目の(そして唯一個人信託を目的とする運用型信託会社)株式会社朝日信託皆見一夫社長様。

相続アドバイザ協議会の特別研修講座「オーダーメイド相続、個人信託の活用」、大変興味深く拝聴いたしました。

新井先生、申し訳ございません、劣等生の分際で皆見先生となぜか親しくお話をさせて頂きました。

060426_008 皆見先生、酒の席とはいえ偉そうな事を申し上げまして本当に失礼申し上げました。

ただ、ワタシも先生同様、ウソ偽りを申し上げるような人間ではございません。

先生の熱き志に感銘を受けたからこそ、もっともっとよく伝わる方法があるのではないかとおもって申し上げたことですが、先生には謙虚に受け止めて頂きまして、本当に有難うございました。

資産を保全し、適切な財産承継を守っていくことを出来るのは(後見と組み合わせた)個人信託しかないという、先生の信念には心動かされました。

060426_009_1 先生に「商才」があるかどうかなど、非才の私は申し上げるべくもございませんが、先生のお人柄には誰しも惹かれ、その志の高さに感銘を受けるものと思います。

明日まで覚えていて頂けるかどうかわかりませんが、明日またお電話させて頂ければ有難く存じます。

ぜひFを御紹介させて頂きたいと思いますので・・・。

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月25日 (火)

会計参与、会社法施行前の設置は可能? その3

今日は不動産フォーラム・第二期信託法研究会の第4回。株式会社サタスインテグレイト本社にて、立キャピタル信託株式会社の高井敏男経営管理部長を講師にお招きして、日本で未だ4社しかない運用型信託会社の免許取得まで、そして営業開始半年間の、極めて興味深いお話をお聞かせいただきました。

コーディネーターは信託法の権威、波大学法科大学院長の新井先生。新井先生、質疑応答で二度に渡って話題を振って頂いたにも関わらず満足なお答えが出来なくて申し訳ございません!

エスクローの倒産隔離に関して証券化ストラクチャーが使えないかという事は以前検討したことはあったのですが、信託宣言の応用というところには考えが及んでおりませんでした。お恥ずかしい限りです。セキュリティトラスティに関しても、勉強不足で申し訳ございません(改正信託法案をさらっと読んでわかったような気になっていました)。

最終回までには名誉挽回いたします・・・。

さて、今日の本題です。

060422_004昨日の記事で、会社法施行前の会計参与設置(選任)は、現行商法上に根拠規定が存在しないためそもそも決議不可能であるとする「会社法施行前後の法律問題」(郡谷大輔編著、商事法務)の見解を紹介しました。

しかし同書は、会社法施行前であっても、「会計参与設置会社となる旨」の「定款変更決議」は可能であるとしています(4頁)。

この違いはどこにあるのでしょうか。

060422_003 同書によれば、「定款の変更は、現行法の定款変更の規定に基づくものであり、条件付で会社法の制度を前提とした規定を設けることができるかどうかは、当該規定に基づく定款変更の内容の話であり、定款変更自体は、現行商法に根拠があるものといえる。」

しかし、「会計参与設置会社となる」ということも、現行商法上は根拠規定がないわけですから、やはり設置(選任)自体と同様に会社法施行前には決議不可能であると考えざるを得ないのではないでしょうか。

逆に、会社法が公布されている以上、施行日前であっても総会において十分な議 060422_002_2 論が可能であり、決議自体が可能である(効力は施行日まで発生しない)と解することもできるのではないでしょうか。

確かに、定款という会社の根本規範を定める行為と、会計参与選任という個別具体的な決定とを同レベルで考えるのは妥当でないかもしれません。条件付決議を認めるか否かについて、定款変更とそれ以外とで別異に取り扱うというのも不合理ではないかもしれません。

しかし、その理由を前掲書のように現行商法上の規定の有無で説明するのは今一つ説得力に欠けるのではないでしょうか。

それよりも、葉玉さんのブログ(会社法であそぼ)にあるように(質問いろい())、「条件付定款変更は、これまでも例があるので良いけれども、定款以外の決議については、条件付が広がるのは良くないのではないか」という、実質的判断に基づくものであると正直に言った方が良いのではないでしょうか。

⇒会計参与の条件付決議の最初の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月24日 (月)

会計参与、会社法施行前の設置は可能? その2

1月31日の記事で、「会社法施行前の会計参与設置決議は可能」である、という事を書きましたが、これに反する見解が会社法立案担当者の執筆した書籍の中で示されました。

060422_001 その書籍は「会社法施行前後の法律問題」(郡谷大輔編著、商事法務)。今月20日に発売されたばかりの本です。

同書は「施行日前には会計参与の選任をすることができない」(6頁)としています。

理由は、現行商法上に根拠規定が存在しない決議事項については、施行日前の株主総会は、これを決議する権限を有しないから、決議の効力発生を施行日以後としたとしても、そのような決議をすることはできないというものです(5頁)。

060422_009 言われてみればもっともなような気もしますが、ワタシがブログを書いた1月当時は、この点については可(条件付で)とする考えが実務上も有力でした。それはそうです。4月中に定時総会を開催しなければならない企業(1月決算の会社)にとっては、株主数によっては再度株主総会を招集するというのは大変な負担増になるのですから。

従いまして、この書籍の元となった商事法務の連載記事中でも条件付であれば可としており、照会した法務局の見解も当然「OK」でした。

当時の記事はこれらの調査・検討を十分行った上で、自信を持って書いたものです(といっても元原稿はウチ事務所の商事グループに書いてもらったのですが)。

結果的に、立案担当者の見解(おそらく法務局の取り扱いも同様となる?)とは反対の結論となってしまいましたが、その理由についてはワタシの力不足もあり今一つ十分には納得できていないのですが・・・。

その点はまた明日。

今日の写真は、昨日の続き。看板シリーズです。エリアもほぼ同じです。

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月23日 (日)

上級相続アドバイザー講座に引き寄せられた!?

連日素晴らしい方達との出会いが続きます。昨日は相続アドバイザー協議会の「上級アドバイザー資格講座」。日頃の勉強不足を補うつもりで参加したのですが(日程の都合で上級アドバイザー資格試験は受けられないので)、060422_008 10時から5時まで、法律編・税金編の二講座、大変密度の高い講義をして頂きました。

法律編の野口賢次先生(協議会副理事長、アルファ野口代表取締役)、税金編の佐藤治夫先生(同監事、佐藤治夫税理士事務所所長)、お二人ともヤキソバオヤジは同協議会でお世話になっており、仕事上のお付き合いもさせて頂いているのですが、昨日の講義はその完成度の高さにおいて他の同種講座に比較しても群を抜いたものだと思います。

060422_002 実務上不可欠な知識を(通常の教科書には載っていない)短時間にメリハリをつけて教えるという、本当に素晴らしい講義でした。レジュメも過不足無く大変よくまとまったもので(例題も充実)、これを使って是非事務所の研修を行いたい(基本レベルから上級レベルまで)と思いました。

そしてもう一つ。

前回の記事で、「ヒーラー」の集いに参加したお話をしましたが、ある方からなぜそこへ行ったのかという質問を受け、誘われたからと答えると、それはアナタが引き寄せられたのではないですか、と言われました。

そういう考え方からすると、野口先生、佐藤先生の感動的な講義、ひいては相続アドバイザー協議会に参加できたのも、何かが引き寄せてくれたのかも知れません。そういえば、同協議会の理事長の芳賀則人先生(不動産鑑定士、東京アプレイザル代表取締役)を御紹介していただいたのはヒーラーの集いに誘ってくださったK先生でした。

本日の写真は前回に続き「標識・看板シリーズ」。看板を掲げている店の内容とは全く関係なく、面白いと思った看板を勝手に掲載させて頂きます。今回は東京都新宿区高田馬場~西早稲田。

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物納制度の変更などの最新情報も網羅。これに関しては理事の斎藤紀明先生(株式会社国土工営)に「補講」して頂きました。ワタシも同社やナレッジバンクの伊藤英昭社長(物納.ット)との仕事上のお付き合いもさせて頂いておりまして、物納の勉強は不可欠です。

せっかくですので、このブログ上でもいずれ「復習」をしたいと思います。

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2006年4月21日 (金)

ヒーラーと法改正

今日はウチのコンサルタントのKさんの御紹介で、「ヒーラー」と「普通の人」の集いへ行ってきました。

自分で事務所を持ってからここまでやって来るうちに、科学や常識では説明できない不思議な「力」が絶対あるという事を身をもって実感するようになって来たので、「ヒーラー」の話を聞いたとき大変興味を惹かれました。

060404 行ってみると、いきなり「過去世」の話をされたり、4次元・5次元という言葉が出たり、ソプラノ独唱から忍術まで様々なパフォーマンスがあったり(自己紹介の中でですが。ワタシの自己紹介は、当然このヤキソバオヤジの売り込みです)、訳がわからなく(?)なりましたが(笑)、一番感動的だったのはその場の「気」でした。

要は居酒屋での飲み会なのですが、K先生以外は初対面の方達ばかりであるにも関わらず、とても居心地が良いのです。ワタシも色々な異業種交流会やセミナーなどに参加させて頂いていますが、ここまで気持ちの良い会合と言うのは初めてといって良いくらいでした。

これは何がそうさせるのか良くわかりませんが、おそらくは参加されている方達一人ひとりの「心根」が、純粋で明るくて前向きだからなのかなーと思いました。

感動的な一時を本当に有難うございました。ヒーラーのEさん、Yさん、Sさん。素晴らしいお話を色々聞かせて頂いた皆さん。そしてKさん。

さて、今日のカタい話は・・・、と思ったのですが、時間切れなので(というか眠くて)明日以降に回します。

予定としては色々な改正(予定の)法について語って行きたいと思っています(会社法、信託法、信託業法、証券取引法、民法法人規定等々・・・)。

もっとも明日は終日「上級相続アドバイザー養成講座」なのでそちらの話題になるかもしれませんが。

ところで写真は、全然今日の話しとは関係なく、最近気に入っている(色が特に)デザインの標識です。東京メトロのです。

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2006年4月20日 (木)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その27 知らない時事用語をどうするか? 後編

060419_008 昨日は「不動産起業塾」第3期の第2回。不動産証券化の正しく第一人者、サタスインテグレイト佐藤社長の講義を聴講させて頂きました。

名著「不動産証券化の実践」にかかれていらっしゃること(いや書いていらっしゃらないこと)を生々しく、立体的にお話しして頂き、感動的な講義でした。最後の一言、「日本人の自助自立を助ける商品を作る」は忘れることが出来ないと思います。

その後は例によって懇親会。すみませんSさん、Mさん、Iさん。次会まで連れ060419_004 まわしてしまいまして。お陰様でまだ良い気分です(写真は2、3、4、5次会の、「手」シリーズ?です)

では昨日の続きです。

失踪宣告の制度について

人が住所地(生活の本拠地)を離れ長期間経過すると、その人の財産関係や身分関060419_003 係に色々と不都合が生じてきます。そこで、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらったりしますが(民法25~29条)、さらに長期間にわたったり、死亡している可能性が高い場合に不確定な法律関係を確定させるのが「失踪宣告」という制度です(民法30~32条)。

7年間生死不明の場合(普通失踪)、戦争・船の沈没・飛行機の墜落・大震災その060419_005 他死亡の原因となるような「危難」に遭遇したものの生死が1年以上不明の場合(特別失踪または危難失踪)とがあります。

利害関係人の申し立てにより家庭裁判所が審判を行い、失踪宣告がされると、死亡したものと看做されます(旧住所地における権利関係について死亡と同一の効果が生じる)。

戦時死亡宣告」は、「失踪宣告」制度に関して、「未帰還者」の場合の特別規定を定めるものです(未帰還者に関する特別措置法2条)。

※「未帰還者」とは、旧陸海軍に属していた者でまだ復員していない者、昭和二十年八月九日以後ソビエト社会主義共和国連邦その他の地域内において生存していたと認められる資料があり、且つ、まだ帰還していない者などの事です(未帰還者留守家族等援護法2条)。

上野さんは後者に当たると思われます。

未帰還者について民法上の失踪宣告制度の特別規定を設けた趣旨は、①失踪宣告の申し立てを出来るのは遺族その他の利害関係人のみであるが、これは情においてしのび難いため件数が少なかった②戦時死亡宣告を受けたものの遺族には弔慰金を支払う③恩給法などの適用において公務により死亡したものと看做される、といったところです。

そして、戦時死亡宣告を受けた人が実はまだ生存していたという事がわかった場合は、当然この宣告は取り消され、遡って権利を回復することになります。

⇒前回の記事

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月19日 (水)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その26 知らない時事用語をどうするか? 前編

今、ウチの事務所では全体ミーティングを毎週水曜日の午前中に行っています。業務関連の議題の他、全員が「グッド&ニュー」(フクダリーガルウィキ支店にも出てきますので是非ご覧下さい)の発表を行い、またコンサルタントの先生のコーチングを受けたりもしております。

_060414_001 今日の主要議題は登記案件の管理シートの運用方法について。最近紙(Word)からデータ(Access)に切り替えたのですが、運用を徹底するために紙の廃止を指示しましたところ異論が相次いだため、事前に意見を募り(メールで皆が送ります)、ミーティングでさらに議論し、集約することとしたものです。

最近は皆意見表明が大変活発になってきており、議論の行方よりもその点がとても意義のあることだと感じています。

その象徴(?)が写真のミーティングテーブルです。以前の記事で取り上げた応接セットに換えて設置しました。人が増えて手狭になってきているのですが、もう少しミーティングスペースを増やしたいと思っています。形を整えることで実質も伴ってくると思いますので。

さて、本題です。久々に法的思考シリーズです。

日々のニュースの中にわからない言葉が出てきたときに、貴方はどうしていますか。例えば昨日のこのニュース。

「第二次大戦後に樺太(サハリン)に残ったまま行方不明になり、戦時死亡宣告を受けた元日本陸軍兵士で岩手県出身の上野石之助さん(83)が、ウクライナに在住していたことが17日、厚生労働省などの調査で確認された。上野さんは19日から28日まで息子と一緒に一時帰国し、家族と約60年ぶりに再会する。(中略) 2000年に戦時死亡宣告が確定し、戸籍から削除されているため、厚労省は戸籍の回復手続きを進めている」(NIKKEI NET 41815:01)。

ここに出てきている「戦時死亡宣告」という言葉。あまり耳慣れないと思います。

そういう言葉が出てきたら、どうしますか。辞典をひいてみますか。ネットで検索してみますか。人に聞いてみますか。どんな方法でもおそらく答えは導き出せるでしょう。しかし、法的思考者として大切なことは、まず自分なりに考えてみることです。

この記事の後半を読むと、戦時死亡宣告の効果として「戸籍から削除」されていたことがわかります。つまりこれによって生死不明の者について、法律的にも死亡したと同様の扱いがされる制度なのだろうという事が推測できます。

ここまで考えるとさらに、民法を少し勉強したことのある人でしたら、これに似た制度について勉強したことを思い出すのではないでしょうか。「失踪宣告」の制度です。ここから類推するのです(類推能力については法的思考シリーズを是非ご覧下さい)。

さあ、ここまでがヤキソバオヤジ流「法的思考」(広義の法的思考)の真髄です。

ここから先は具体的な法律知識を前提とした、ヤキソバオヤジに言わせると「狭義の」法的思考です。

まず、失踪宣告の制度について簡単にご説明しましょう。

以下続く・・・。

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の

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2006年4月18日 (火)

新しい出会いと発見と謝罪と感謝

Photo_3 今日も新しい出会いと発見と謝罪と感謝の一日でした。

午前9時30分。連日登場いただくインブルームLLP緒方先生木村先生。今日は社会保険労務士の春原先生が加わります。弊事務所を高く評価していただき、そしてウチのポテンシャルを生かすという漠然としたご相談に対し、明確なご提案を頂き、また新たな可能性が広がりました。

午前10時40分。マンションデベG社のK社長様。実は昨日大変な失態を演じたにも関わらず、寛大なお言葉。謝罪はいつでも良い。それよりも登記が受理されたかどうかが問題だ。

午前11時〇〇分。事業会社T者のU部長様。御紹介頂いた関与先と、登記費用の額の点の行き違いで、成約しなかったにも関わらず、また別の関与先を御紹介頂けるとのお言葉。有難うございます。

午後1時30分。事業会社系デベS社のY課長様。ウチの契約書ドキュメンテーション力を評価して頂き、新規事業の契約書作成をお任せ頂き、感謝いたします。

午後4時00分。エグゼクティブ・コーチング専門の先生。ウチの様な若手主体のオフィスの社員育成「人間力強化」プログラムをお引き受け頂き、大変光栄です。是非とも新しいフクダリーガルのDNAを全世界に発信できるようにして行きたいと思います。

午後7時30分。銀座8丁目Lの魅力あふれる「自由な」ねーさん達。ちょっと心配していたワタシの友人を暖かくつつみいたわって頂いており、感謝です。

写真はそこで出会った屋久島のみかん(買ってきた友人いわく、「世界最高のみかん」。確かに大変美味。値段も・・)です。乗っかっているのはねーさんの一人の手です。

ところで内臓脂肪を燃やすサプリって何だっけ。

_060418 それと、療養中の貴方がねーさんたちの九州弁にすっかり感化されているのを見て思い出したのはこの本です(写真下)。絲山秋子の「逃亡くそたわけ」(中央公論新社)。

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2006年4月17日 (月)

山田真哉先生有難うございました!

060416_002

山田真哉先生(「さおだけ屋はな潰れない」、サイトは)、超ご多忙の中、快く青山の会講師をお引き受けいただきまして感謝申し上げます。

フリートーク・しかも初めての業界という悪条件にも関わらず、極めて興味深く感動的なお話を有難うございました。綿密な執筆戦略とマーケティングに裏打ちされた上での「さおだけ屋」の大ヒットであったことに大変感銘を受けるとともに、「プル型営業」の真髄を見た思いでした。

例によってこの会らしい色々な角度からの質問攻勢(不動産ファンドストラクチャーから税制改正まで)に、鋭く・的確にお答え頂き、本当に有難うございました。

無理にお願いしながら、あまりにも雑駁なご依頼の仕方だったと大変反省しております(レジュメまでお作り頂きまして非常に恐縮しております)。

冒頭に、初めての経験(こういった業界の方達の前でのフリートークが)だったので、興味があったのでお引き受けしましたとのお言葉を頂いたことは大変な救いでした。

にも関わらず終了後気を許して、(先生がCFOを勤められている会社の代表の)重里さんてどんな方ですかなどとミーハーな質問までしまして、申し訳ございませんでした。

もちろん出席者の皆さんはとても感銘を受けておられたようで、終了後の懇親会も大変盛り上がりました。本当に有難うございました。

そして、山田先生を青山の会に御紹介させていただける機会を頂きました、インブルームLLP緒方美樹先生(サイトはこちら)、木村聡子先生(ブログはこちら)、有難うございました。木村先生には会にご出席頂き、「オーナー課税問題」への対処法など有意義なお話を頂いたばかりでなく、二次会にまでお誘いして申し訳ございませんでした。

さらにお二人と知り合うきっかけを頂きましたビジネス会計人クラブに感謝申し上げます。

個人的にはこの会の間に相反する2件の連絡が入っておりました。新しい仕事のご依頼と、仕事のお断りの連絡でした。お断りの方の理由は、前に使っていた司法書士よりも報酬が高いからという理由でしたが、単純に金額だけで比較されて、提供するサービスの内容を見ずに判断されたという点で大変残念な事ではありました。しかし、初仕事だからという事でお受けしたとしても長続きはしなかったことと思います。もっとも、やり取りの間に誤解があったのかも知れませんし、私どものご説明の仕方が悪かったかも知れないと反省はしております。また、御紹介を頂いた皆様の顔をつぶしてしまったことになり、大変申し訳なく思っております。

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

⇒「法的思考シリーズ」の第1回目の記事

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2006年4月16日 (日)

土手(?)の花

060416_001_1

今日はウチの近所の土手(?)で見つけた花の写真を。

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

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2006年4月15日 (土)

おでんとレトロと会社法

060414_002今日は完全オフで、ブログもお休み、と行きたいところでしたが、貧乏性で(?)書き始めました。

昨日は大学時代(奥島ゼミ)の友人達と、病気療養中の友人を励ますべく(それを口実に飲みたいだけ?)早稲田のおでんや「志乃ぶ」へ。いつもの事ながら満杯。友人の一人A(某大手電機メーカー勤務)は家族で来るそうで、「色々有名店はあるがここのおでんが一番おいしい」とか。確かに旨い(ただし西麻布「かぶいて候」も負けていません)。おみやげに持ち帰ると次女が「薄味だけど味がしみてておいしい」などと生意気なことを・・。

2次会は高田馬場駅近くの「レトロ」を売り物にした飲み屋へ。名前は確か「半兵衛」。ここも学生で満杯。オジサンたちは懐かしいハムカツや揚げパンや串カツやらでホッピーを飲んで大喜びでした。そこで撮ったのがこの写真です。

さて、今日のカタイ話は、会社法の改正に伴って、増えているご相談について。新たに会社を立ち上げようとする方達から、機関設計(取締役や監査役)の自由度が高まったので、どのような役員構成にすれば良いでしょうかというご相談が増えています。

ここでまずワタシが申し上げていますのは、将来会社をどのようにしたいのかをお聞かせ下さい、ということです。

会社を作る目的が、(実質的には個人事業主と変わらない=自分の自由に会社を動かしたい=にもかかわらず)単に「株式会社」という名前により対外的信用を高めるという発想(名前が会社となっただけで信用が高まるとも思えませんが)であればもっとも簡易な構成(取締役1名のみ、任期10年)が実体に合致しており、コストもかからず問題はないでしょう。

しかし将来的に発展を考えるのであれば今のうちからどのような機関設計をしていくかを十分考えておくべきだと思います。

すなわち、法律を「規制」と考えて、それに違反しないように気をつけるという時代は終わったのです(会社法も「原則規制」から「原則自由」に変わったと言われています)。法律を自己の経済活動を実現するため手段(道具)と捉え、積極的に法制度を活用していくべき時代になったのです。

適正な業務執行を行い、周囲(取引先や金融機関だけでなく、従業員等も)の信頼を高め、「優れた」会社にしていこうと思うのであるならば、会計参与や取締役会及び監査役設置の設置等を起業当初から積極的に検討していくべきだと思います。特に会計参与の設置は検討に値すると思います(もっとも顧問税理士さんが引受けてくれるかどうかは別問題ですが)。

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

⇒「プチ信託登記入門」シリーズの第1回目の

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2006年4月14日 (金)

プチ信託登記入門  13  「REIT」

用語説明の続きです(4月12日の記事から)。

「REIT」(リート)。Real Estate Investment Trust,不動産投資信託の事です。日本の場合は「投資信託及び投資法人に関する法律」で規制され、「J-REIT」と呼ばれています。

簡単に言えば、不動産に対する出資を証券として市場で取引できるようにするというものです。今日の日本経済新聞証券欄を見ると、三井不動産他の「日本ビルファンド」からモリモト他の「ビ・ライフ」まで、32の銘柄が東京証券取引所他に上場されています。

証券欄といえば、ライブドア株が本日付で上場廃止となりますね(上場廃止に関してはこちらのをご参照下さい)。同じ日経の別の記事では、USENがライブドアを子会社化することを検討しているが「難題」があるとしています。

株価が下落している(13日の終値で94円)とはいえ、1000億円近い時価総額(株式総数約10億株)のライブドア株を取得するにはそれなりの資金が必要ですし、現金の調達が不要な株式交換(こちらの記事をどうぞ)の方法による場合、USEN側はもちろん、強制的に株式を取り上げられる(USEN株と交換させられる)ライブドア側の株主総会の承認も必要になるのが「難題」であるということです。

話が横道にそれてしまいましたが、要はREITとは不動産に対する出資について、株式と同様な小口投資を可能とし、流通性を高めるものであるということです。

先日(11)のお話で、受益者が有限会社であり投資法人になっていないのでこれはREITではないと言いましたが、J-REITの場合、証券化の器(ビークル)が「投資法人」に限られるという事です。

この様にJ-REITでビークルが(設立・運営に厳しい制限のある)投資法人に限られるのは(本場米国ではビークルの限定はない)、不動産投資信託の最大のメリットである「課税所得の90%超を配当すれば配当分は法人税非課税」にあるとされています(佐藤一雄「不動産証券化の実践」107頁)。

⇒前回の      

⇒このシリーズの第1回目の

⇒「ライブドアシリーズ」の第1回目の

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2006年4月13日 (木)

プチ信託登記入門 12 土地信託と建物登記

__060410_1

⇒今日の「ジャケ買い」。当然まだ読んでませんが、賑やかしということで・・・・。

ここで少し用語の説明をしておきましょう。

まず「土地信託」。これは、不動産を対象とする信託のうち、特に土地所有者が土地の有効利用を目的として、信託銀行等に土地を信託し、受託者がその土地に建物の建設を行い、そこからの収益(賃料収入、まれに分譲収益)を受益者(=受託者)に分配するというものです。

この場合の建物の登記が特徴的です。

建物の登記記録(甲区)の記載・・

1|所有権保存

 |所有者 東京都○○区○○四丁目5番6号

|      ★★信託銀行株式会社

 |――――――――――――――――――――

 |信託

 |信託目録 第○○○号

※所有権保存登記とは初めてする所有権の登記のことです。

信託銀行が建物を建築して原始取得者(始めての所有者)となりますが、土地信託の場合、あくまでも信託として所有権を取得したという事になるのが通常です。

というのは、信託財産である土地を担保として融資を受けて建物を建てるのが通常で、その場合建物も信託財産となるのです(物上代位性、信託法14条)。従って、所有権保存登記と同時に信託登記をする必要が出てくるわけです。

これが建物信託(既存の建物を信託する)であれば、登記の内容は土地と同様、所有権「移転」登記と信託登記を同時に行う、という事になります。

1|所有権移転

 |平成○○年○○月○○日信託

 |受託者 東京都○○区○○四丁目5番6号

|      ★★信託銀行株式会社

 |――――――――――――――――――――

 |信託

 |信託目録 第○○○号

なぜか所有権保存登記の場合は「受託者」でなく「所有者」と登記されます。

藤原勇喜先生は信託行為の本質論について実質的法主体説(四宮説)を支持する根拠の一つとして、登記実務上所有権移転の場合に「所有者」と表示せずに「受託者」と表示する点を上げています(「信託登記の理論と実務」改訂増補版172頁)。

ところが所有権保存登記の場合は(信託という原因が使われないから)受託者でなくて所有者と記載すると言う考え方で処理しているとしています(同、登記研究469号142頁)。

信託行為論に関しましてはまた改めてご説明いたします。

⇒前回の      

⇒このシリーズの第1回目の

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2006年4月12日 (水)

プチ信託登記入門 11 受益者変更

10」で、土地信託、REITのための信託、私募ファンド(オフバラ目的の信託)、それぞれの「信託目的」を比較しましたので、今日は信託の目的との関連で着目すべき点として、受益者を見てみましょう・・。

登記記録(甲区)の記載・・

1|所有権移転

 |所有者 東京都○○区○○一丁目2番3号

|  株式会社 A

――――――――――――――――――――――

2|所有権移転

 |平成13年2月1日受付 第1001号

|平成13年2月1日信託

 |受託者 東京都○○区○○四丁目5番6号

|      B信託銀行株式会社

 |――――――――――――――――――――

 |信託

 |信託目録 第○○○号

信託目録(旧信託原簿)の記載・・

1|委託者の|東京都○○区○○一丁目2番3号

 |住所氏名|  株式会社 A

――――――――――――――――――――――

2|受託者の|東京都○○区○○四丁目5番6号

 |住所氏名|  B信託銀行株式会社

――――――――――――――――――――――

3|受益者の| 委託者に同じ

 |住所氏名 |

――――――――――――――――――――――

変|3.受益者変更

更|  平成13年2月1日受付 第1002号

 |  原因 平成13年2月1日 受益権売買

 |  受益者 東京都○○区○○7丁目8番9号

 |      有限会社C

(注)以降受益者変更なし

――――――――――――――――――――――

4|信託条項|1.信託の目的

 |    |  (略)

 |    |2.信託財産の管理運用及び処分方法

         (以下略)

さて、これは土地信託、REIT、私募ファンド(又はオフバラ目的の流動化)、どの目的の信託でしょうか。

答えは私募ファンド、です。

信託と同時に受益権売買をして受益者が変更されている点にご注目下さい。

※「受益者の住所氏名」の欄の「委託者に同じ」という表示に下線が施してありますが、これは抹消を意味します

まず、土地信託であればこのような受益者変更は通常考えられません。土地所有者が土地の有効活用のためにする信託だからです(委託者=受益者)。

次に、REIT(J-REIT)であれば受益者は(最終的に)「投資法人」となっているはずですから、この信託がREITを組成するものであるとは考えにくいと思います。

⇒前回の記事      

⇒このシリーズの第1回目の

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2006年4月11日 (火)

有限会社と消費税 後編

__060410

今日の「写真」は「ジャケ買い」の第2弾。

西條奈加「金春屋ゴメス」新潮社。これも「大三角」同様、装丁と書名にヤラれちゃいました。当然まだ読んでません・・。

さて、昨日の続きです。

会社(個人事業主も同じですが)が消費税の課税業者となるかどうか(納税義務があるかどうか)は、現在は、2期前の課税売上高が1000万円超かどうかで決まります。

設立して2期経っていない会社の場合は(個人事業主とは違い)、当初の資本金額が1000万円以上(「超」でなく)かどうかで消費税の課税業者となるかどうかが決まります。

つまり、現行法の下では、原則として株式会社は1000万円以上の資本金を必要とされていますから、必ず1期目から消費税の課税業者となります。それに対して有限会社の場合は最低資本金は300万円でよいですから、1000万円以下の資本金にすれば1期目及び2期目は消費税の課税業者とはなりません。

そこで、有限会社の方が消費税に関しては有利、という事になるのですが、これは会社法が施行される(平成18年5月1日)までの話です。

会社法の下では、最低資本金の制度は廃止されますから、株式会社でも1000万円以下の資本金額とすることができ、その場合は当然消費税の課税業者とはなりません。

従って、消費税の課税を避けるためという目的のためだけでしたら、会社法が施行される前(4月中)に急いで有限会社を設立するという必要は無いのです。

もちろん、昨日ような、その他の簡便さはありますから、そのために有限会社を作っておくということは考えられますが、あくまでも「有限会社」という表示をする必要があり従来と同様、「株式会社」のもつ社会的イメージは得られませんし、将来的には会社を大きく発展させて行こう(株式公開なども視野に入れて)という事であれば、簡便さは特段メリットとは言えませんから、会社法施行後に1000万円未満の資本金で株式会社を設立するという選択の方が良いと言えるでしょう。

前編

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2006年4月10日 (月)

有限会社と消費税 前編

最近増えてきているご相談の一つに、今のうち(会社法が施行される5月1日以前に)有限会社を作りたいのだがというものがあります。

皆さんすでによくご存知のように、今般の改正で有限会社の制度は廃止されます。従いまして、新しく有限会社を作ることは出来なくなりますし、既存の有限会社も株式会社として扱われることになります(特例有限会社)。

但し、特例有限会社については今までの有限会社特有の規律は残されます。例えば、役員(取締役・監査役)の任期の制限がない、決算書類の公告の必要がない、大会社でも会計監査人の設置の必要がない、などです。

従いまして、これらの簡便さを求めて、会社法施行前に有限会社を設立しようとする動きもあります。

そしてもう一つの動機として、「消費税」の課税業者になるのを避けるためという理由で有限会社を設立しようとする方もいらっしゃいますが、これには誤解もあるようです。

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2006年4月 9日 (日)

「登記」は「スクリーン」です。

_060405_011 060405

今日の写真はまず、まだまだ盛りの桜。都下の某斎場で見つけた枝垂桜です。

そしてもう一枚が、先日お話したTさんの「マルエム」のカバン。確かに相当使い込んでいますが、全然壊れそうに無いそうです。

では、本題です。

昨日、実体取引の部分の知識経験と、高度な法的知識の双方を兼ね備えた人材を育てて行きたいということをお話しました。

この意図は不動産取引や金融の分野だけのことではなく更に企業法務の分野(M&Aや企業再編に限らず、特に新しく事業を起こし、拡大・成長し、株式公開を経てさらに成長していくにあたっての適切なアドバイス)でも同様の展開をしていきたいと考えています。

このブログの「法的思考シリーズ」(第1回目は)もそういった人材に是非身に付けてもらいたい素養としての、広い意味での「法的思考」についてお話させて頂いているものです。「信託登記シリーズ」(第1回目は)も同様な意図があるわけですが、今後はさらに様々な分野の基礎的な考え方について情報を発信していこうと考えています。

そこで今日は「登記」の基礎の基礎、特に登記に何らかのかかわりのある仕事をされている方達に一番協調したいことをお話したいと思います。

それは、「登記」とは、不動産登記も商業登記もその他の登記も、すべて目に見えにくい実体取引関係を目に見えるように映し出す、いわば「スクリーン」の役割を果たすに過ぎないという事です。

従って、登記簿(最近はデジタル化されて来ていますから「登記記録」と言います)を見て、それが何を意味しているかを理解するためには、実体取引関係(何のためにどんな取引をするか)と、それをめぐる法律=実体法の知識、そしてそれらがなぜ登記を要求しているかの理解が絶対不可欠だという事です。

さらにこれを敷衍すると、登記に限らず様々なディスクロージャー制度においても同様なことが言えますし、登記以外の手続法(訴訟法等)でも全く同じ事(実体取引を実現するための方法を規定したものであるという事)が言えるのです。

ここら辺の理解がないと、未経験の事態に対する対応が全く出来なくなります

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2006年4月 8日 (土)

アクイジション・クロージング業務

昨日は事務所の歓送迎会。新人2名と司法書士受験準備のため休みに入る1名、そして某REITの組成・上場準備のため、ある企業に送り出す1名。会は例によって(?)大いに盛り上がり、閉店時間を大きくオーバーし終電の終わる時刻まで続きました。

060407_001

送り出す人間の中でもこの最後の「出向」者がやはり一番気になるところでした。彼もプレッシャーが強すぎたのか、少々飲みすぎたようでした。しかし、非常に高いポテンシャルを持った男ですから、きっとうまくいくと思っています。もっとも全く新しい取り組みですから100%うまくいかなくても仕方ないと思っていますが(それを知るだけでもでも大きな収穫です)。いつでも戻る場所はあるのですし。

ウチの事務所のビジネスモデル(?)として、今まで手がけたことの無い仕事でもどんどん受けて、勉強させてもらいながらノウハウやスキルを身に付けていくというところがあります。

今回もREITのための所謂「アクイジション・クロージング」と言われる業務で、デューデリジェンスから始まって目論見書対応、クロージングドキュメンテーション(現物・受益権の売買契約書、信託契約書、信託目録等々・・)まで広範な実務経験と知識が要求されるものですが、この全てに一人で対応できる人材は残念ながら弊事務所にもおりませんでした。

おそらくこの実体不動産取引の部分の知識経験と、高度な法的知識の双方を兼ね備えた人材と言うのは業界にもそんなに数が多くは無いのではないでしょうか。

先日新聞報道もされた、JPモルガン・チェース銀行、JPモルガン信託に対する金融庁の処分の対象となった案件は恐らくそういった人材不足にも一因があるのではないかと思われます。

ウチの事務所では今後こういった人材をどんどん育成し、証券化だけでなく不動産取引全般に渡っての実体取引及びリーガルの両面での支援をするビジネスを展開していくつもりです。

今回の弊事務所の動きに対して、大変勇気付けられるアドバイスを頂いた弁護士の「ROOT」先生、本当に有難うございました。これからもまた頼らせていただくことがあると思いますので、よろしくお願い致します。

写真は最近の「ジャケ買い」(CDじゃなくて本)の一冊、吉野万理子の「秋の大三角」。装丁と書名が一目で気に入り、衝動買いしました。今夜は久しぶりにゆっくりと読書でもしようかと思っています(衝動買いしても大体はしばらく飾っておくだけなので・・)。

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2006年4月 7日 (金)

トップランナー達の言葉

_060405_004 今日は今週お会いした、時代のトップランナーお二人の言葉を御紹介します。

まず、個人向け不動産コンサルティングの「教祖」さくら事務所の長嶋会長

一昨日の不動産起業塾第3期で、第一講座の講師をつとめられましたが、そこで最 も印象に残った言葉を。

_060405_003_1 (事業の成否には)「経済・社会の環境の変化より、人の気持ちがどう変わっていくかを捉えられるかどうかが重要である」。

次に「さおだけ屋はなぜ潰れないか」の公認会計士山田真哉さ

昨日のビジネス会計人クラブ100回記念定例会でパネリストをつとめられました。そのお話の中で最も印象に残った言葉。

_060405_002_1 難しい会計についての苦手意識を克服する方法は二つ。一つは身近なテーマを取り上げること(例えばさおだけ屋や住宅地の高級フランス料理店)、もう一つ自分で考えさせることである」

写真は干支(戌)に因んで事務所の「犬」達を。

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2006年4月 6日 (木)

プチ信託登記入門10信託の目的②

今日はに引続き「信託の目的」を見ていきます。

まず「土地信託」の場合。

都内の某ホテルの信託目録を見ると、信託の目的は次のように書かれています。

土地を信託し、当該土地を敷地として本信託契約に定める内容の建物を建築し、信託財産として管理・運用すること」

管理・運用の方法は項を改めて記載されています。

次にREIT(不動産投資信託の場合)

これは都内のある賃貸マンションの信託目録です

「信託財産を管理・運用・処分すること」

そして、「7」で見た流動化(オフバラ)のための信託のものをもう一度見てみましょう。

「委託者は、信託不動産の管理・運用・処分を目的として信託し・・」

さて、ここで着目すべきなのは「処分」という言葉の有無です。一つ目のもの(土地信託)のみ「処分」の語がありません。

これは土地所有者が土地を有効活用するために信託し、受託者が建物(ホテル)を建てて一定期間運用(賃貸)するものだからです。証券化のための場合のように「出口」としての売却処分を予定していないのです。

ここで、目的に反した処分の抑制の効果が発揮されます。つまり、受託者が勝手に土地(及び建物)を売却したとしても、その登記(信託目的に反する登記)は受け付けてもらえません(却下される)。

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2006年4月 4日 (火)

プチ信託登記入門 9 信託法改正案②

060404_003 今日の「写真」は事務所の応接セットです。1年半前に西新宿(事務所を立ち上げた場所です)から現在の飯田橋の事務所に移転して来たときから、東側の窓際で、沢山のお客様をもてなしてくれた赤いソファとテーブルです。手狭になり、高いタイプのテーブルと椅子に換えることにしたため(今度も赤い椅子にしたいと思っています)不要になりました。行き先は決まっていませんが、とてもお世話になっ060404_001 た、愛着のある品です。大事にしてくれる人のところにもらわれていって欲しいのですが(粗大ゴミにはしたくありません)・・・。

Wさん、よろしく手配お願いしますね。

さて、今日の本題は昨日に引続き信託法改正案から。

060404_002 まず信託の対象となる「財産」と「処分」の内容について争いのあった点を明確に規定している点です。

信託の対象となる財産としては、「金銭的価値に見積もりうる全てのものが含まれ、特許権などの知的財産権はもちろんのこと、特許を受ける権利、外国の財産権等も含まれる」(補足説明)とされることを確認しています。この点は現行法上も認められていると解されていましたが、次の「処分」の内容に「担保権の設定」が含まれることが明文で規定されました。所謂「セキュリティ・トラスティ」の容認です。

セキュリティ・トラスティとは債権者と担保権者を切り離す形の信託(債務者を委託者、担保権者を受託者、債権者を受益者として担保権を設定することをいいます。

現行法では、担保付社債信託法でのみ認められている方法であり、これはあくまでも例外であり、原則としては認められないとされており、これに対しては有力な反対意見が主張されていましたが、今般の改正案はそれを明文で認めようとしています。

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2006年4月 3日 (月)

プチ信託登記入門 8 信託の目的と信託法改正案

_060403 携帯をカメラつきに替えて嬉しくてとりまくっている(と家人には言われております)わけではなくて、今日は愛用のカバンのご紹介です。マルエムのKARUWAZA(写真上)。皮ですが大変軽い。そしてPC対応(写真下)と言うところがなんといっても気に入ってます。ソフトタイプですが極めて頑丈で、ワタシのようなズボラ人間の酷使にも耐えてくれてます。不動産起業塾でもご一緒した人材コンサルの_060403_2 Tさんもマルエムの愛用者で、壊れたら買い換えようと思っているけどなかなか壊れないとおっしゃってました(アタッシェタイプです)。いずれ写真を撮らせてもらいたいと思っています。

さて、本題です。

今日は「信託の目的」について少し角度を変えて、信託法の改正案でどうなっているかについて。

すでにご案内のように信託法は制定されてから80年以上経ち、その間の経済情勢の変動にそぐわなくなってきているため、改正が検討されてきており、信託法改正案が国会に提出されました。

もちろん信託の本質である「目的拘束性」という点は変わりようもありませんが、受託者が自己の利益を図るものを除くという事を明文で確認しようとしています。これは現行法でも当然要請されていると解されています。だからこそ信託財産の独立性が認められているわけです(現行信託法15条、16条)。

そして、現行法においても受託者のなしうる行為が管理又は処分(1条)に限定されるものとは解されていませんが、改正案ではそれを明確にするべく、「その他の当該目的の達成に必要な行為を行うこと」を含めています。

この「目的の達成に必要な行為」とは、「補足説明」によると、「借入れ行為、権利取得行為等を含む」とされています。

そしてより重要なのはこの目的の対象となる「財産」と「処分」の内容について争いのあった点を明確に規定している点です。

この点についてはまた明日。

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2006年4月 2日 (日)

プチ信託登記入門 7 信託の目的

_060402 やっと携帯をカメラつきに替えましたよ清水さん。今の機種に替えてからまだ半年なので1万円も余計に取られました(このからくりの詳細は良くわかりませんが、安売り店で買う以上は仕方がないのでしょう)が、カメラ付はどうしても欲しかったので半年も待てませんでした。

この携帯で早速とったのがこの写真です。地元の「夜の街」の伝統的なところ(上)と新しいところ(下)の象徴的な「絵」を撮っ_060402_2 て見ました・・・。

さて、本題です。

昨日お話した「信託条項」についてご説明してまいります。本日は「信託の目的」

で、信託の本質の一つとして「目的拘束性」というものがあるという事をお話しました。受託者は財産権の移転を受けますが、事由にその所有権を処分できるわけではなく、一定の目的に従った処分でなければならないのです。

従って、信託目的の登記には、委託者はその目的に反した処分を抑制する効果を期待しますし、当該不動産に関心のある第三者としては、その不動産がどのような目的による拘束を受けているかを知るために必要になるわけです。

但し、前回例に挙げた資産流動化のための信託の例を見てみますと、「信託の目的」は次のように記載されています。「委託者は信託不動産の管理・運用・処分を目的として信託し、受託者はこれを引き受けた。」

この表現はむしろ総論的な表現で、その具体的な内容はそれ以降の条項で詳しく表示されています。

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2006年4月 1日 (土)

プチ信託登記入門 6 信託条項

_060401 先週に引続き今週も近所の桜をめでに。

近場の神社を何箇所か回った後、少し足を延ばして今日本で(海外でも)最も有名(だと思います)な神社へ。人出の多さと出店の猥雑さに吃驚。日頃の厳かさからは想像もつかないほどで桜を眺めるどころではありませんでした。もっと驚いたのはその近くの「桜の名所」です。そこへ行くまでの道はまだ午前中だというのに身動きが取れない程の人ごみ。見物は断念しました。写真は近所の人出もまばらな神社のものです。

では、本題です。

昨日、信託の登記事項のうちもっとも注意を要するとお話した「信託条項」。

これは4で説明した「信託目録」(信託原簿)に記載される部分です。もちろん信託の目的によって内容は違うわけですが、今日は不動産流動化のための信託の場合の実例を見てみましょう(信託目録は登記簿の一部となりますから、登記事項証明書とともにその証明書(謄本)を入手することが出来ます)。

主な記載事項は次の様なものです。

・信託の目的

・信託の期間

・信託不動産の管理・運用方法

・信託不動産の処分方法

・瑕疵担保責任

・受託者の義務

・受益権の内容

・受益権の譲渡(担保差入)

・信託の終了事由

・信託契約の解除

・信託終了後の管理

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