プチ信託登記入門 12 土地信託と建物登記
⇒今日の「ジャケ買い」。当然まだ読んでませんが、賑やかしということで・・・・。
ここで少し用語の説明をしておきましょう。
まず「土地信託」。これは、不動産を対象とする信託のうち、特に土地所有者が土地の有効利用を目的として、信託銀行等に土地を信託し、受託者がその土地に建物の建設を行い、そこからの収益(賃料収入、まれに分譲収益)を受益者(=受託者)に分配するというものです。
この場合の建物の登記が特徴的です。
建物の登記記録(甲区)の記載・・
1|所有権保存
|所有者 東京都○○区○○四丁目5番6号
| ★★信託銀行株式会社
|――――――――――――――――――――
|信託
|信託目録 第○○○号
※所有権保存登記とは初めてする所有権の登記のことです。
信託銀行が建物を建築して原始取得者(始めての所有者)となりますが、土地信託の場合、あくまでも信託として所有権を取得したという事になるのが通常です。
というのは、信託財産である土地を担保として融資を受けて建物を建てるのが通常で、その場合建物も信託財産となるのです(物上代位性、信託法14条)。従って、所有権保存登記と同時に信託登記をする必要が出てくるわけです。
これが建物信託(既存の建物を信託する)であれば、登記の内容は土地と同様、所有権「移転」登記と信託登記を同時に行う、という事になります。
1|所有権移転
|平成○○年○○月○○日信託
|受託者 東京都○○区○○四丁目5番6号
| ★★信託銀行株式会社
|――――――――――――――――――――
|信託
|信託目録 第○○○号
なぜか所有権保存登記の場合は「受託者」でなく「所有者」と登記されます。
藤原勇喜先生は信託行為の本質論について実質的法主体説(四宮説)を支持する根拠の一つとして、登記実務上所有権移転の場合に「所有者」と表示せずに「受託者」と表示する点を上げています(「信託登記の理論と実務」改訂増補版172頁)。
ところが所有権保存登記の場合は(信託という原因が使われないから)受託者でなくて所有者と記載すると言う考え方で処理しているとしています(同、登記研究469号142頁)。
信託行為論に関しましてはまた改めてご説明いたします。
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