法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その19 仕事のできる奴はキャリアアップも速い 中編
昨日の続きです。
まず、昨日の話の中で、コトバ足らずな点や不正確な表現がありましたので補足します(思いついたことをそのまま書いてるもので・・・)。
まず復習です。昨日は、キャリアとして、複数の得意分野を持っていたほうが良いが、他の分野を勉強する際に「法的思考」を働かせることが必要であることをお話しました。そして他分野(隣接分野)の経験を積んだり勉強をしたりする際にその分野の「基本理念」を理解することが重要(それがとりも直さす「法的思考」)であること、そしてその「分野」の例として、法律と税務と会計をとり上げることにしました。
その中で、その分野のノウハウ・スキルを身につけるために経験が不要というようなことを書いたのですが、言いたかったことは、経験を積むに当たって「法的思考」ができるかできないかで、その経験が生きるか否かが格段に異なるという事です。
さて、今日はそれぞれの分野についての基本理念を見て行きたいと思います。
まず、「会計」から。
「会計」とは「ある経済主体の経済活動に関する情報を利害関係者に伝達するシステム」と定義付けられます(若杉明編・会計用語小辞典)。簡単に言えば、経済活動の「まとめ」です。家計簿から国家会計まで様々な規模・目的のものがありますが、その「まとめ」を、それを必要とする人々に伝える手段が会計です。
ここでまず(法的思考を発揮して)理解しなければならないのは、「誰のためにまとめるのか」という点です。これに関しては、企業外部の利害関係者(株主、債権者=銀行・取引先等や当局)のためのもの(「財務会計」)と企業内部の関係者(経営者や管理職)のためのもの(「管理会計」)との2種類があります。
次に理解しなければならないのは、何のためにまとめるのか、という事です。つまり会計の「機能」ということです。企業会計の機能は「責任(経営者の株主に対する責任)解明」機能、「利益分配」機能、「資源配分」機能の3つだといわれます(伊藤邦雄「ゼミナール現代会計入門」)。
これらの機能を発揮するために求められる理念(「特性」)は次のようなものです。
責任解明⇒「信頼性」・「検証可能性」(数値の根拠を確認できる)・「中立性」、利益分配機能⇒公正性(このために「企業会計原則」が必要とされました)、資源配分機能⇒有用性(将来のリターンとリスクをできるだけ合理的に予測することを可能にすること)(前掲書)。
これらの基本理念を常に念頭においておかないと、会計実務の経験をいくら積んだとしても良い仕事はできないという事です。
続きはまた明日・・・。
⇒このシリーズの最初の記事
⇒法的思考シリーズ次回の記事(その20「キャリアアップ」後編1)
⇒このブログの
トップ
| 固定リンク | 0
« 法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その18 仕事のできる奴はキャリアアップも速い 前編 | トップページ | 法的思考のできる奴が仕事のできる奴その20 仕事のできる奴はキャリアアップも速い 後編 1 »
コメント