法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その21 仕事のできる奴はキャリアアップも速い 後編 2
まず、フクダリーガルウィキ支店からのご紹介第2弾です。
今日は「司法書士補助者日記」です。司法書士アシスタントであり受験生である筆者が、毎日の体験を中心に、写真入りで軽妙に綴って行きます。トップページからどうぞ。
では、本題に入ります。
まず復習。昨日までは、他分野の業務の経験を積んだり勉強するにあたって、「法的思考」を働かせて各分野の「基本理念」を理解することが重要であるということをお話しし、「会計」と「税務」の基本理念を見てみました。昨日は「税務」における第一の疑問点、なぜ税金を払わなければならないか=納税根拠論(利益説と義務説)のところまでお話しました。
ところで、納税根拠論は、課税の目的が国等の公的サービスを提供するための収入を得る点にある事が前提でしたが、税制度の創設・運用はそれ以上に様々な政策的目的でわれています。これが理解できていないと、「なぜ税金を払わなければならないか」という理解が十分にはいきません。
次に、法的思考者は、誰がいくら税金を払うのか、またそれがどういった基準で決定されるのかという点に疑問をもつ筈です。
そして、現実に支払っている税金の実態を見てみたり、税金に関する解説書などを読むと、現在の税制は何らかの財産的な対象物に対して、その多寡に応じた額の金銭の支払い義務が発生するという仕組みになっていることがわかってくると思います(事実関係から一定のルールを見つけ出すというのも「法的思考」の重要な要素です)。
もう少し具体的にはこういうことです。税金をかける基準とされる「対象物」は、厳密には「物」だけでなく、「行為」や「事実」も含みますが、税法上では「課税物件」と総称されています。この課税物件によって、税の種類は次の4種類に大きく分類することができます
① 収得税(所得税、法人税、住民税、事業税等)
② 財産税(相続税、贈与税、固定資産税、自動車税等)
③ 消費税(消費税、酒税、たばこ税等)
④ 流通税(登録免許税、印紙税、不動産取得税等)の4種類に分けられます。
これらの課税物件の発生に際し、又は継続的存在に対し、その帰属主体等に対して、一律に一定の課税標準・税率が設定され課税されます。その詳細は前回も触れました租税法律主義(憲法84条)により、法律によって規定されています。
税に関して規定した法律としては、各課税物件毎に課税の内容(納税義務者、税額の計算の方法、申告や納付の手続等)を定めた法律(例えば所得税法、法人税法、相続税法、消費税法、登録免許税法等)と、それら諸税に共通の事項を定めた法律(国税通則法、国税徴収法、地方税法等)があります。
そして法的思考者は果たしてこれらの法律に規定されていることや、その解釈・運用の仕方が果たして正当なのかどうかという疑問をもつ筈です。そしてその際の根拠になるのが「基本理念」であり、前回お話した「納税根拠論」に戻っていくという事になるわけです。
今日はここまで・・・。
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⇒法的思考シリーズ次回の記事(その22「キャリアアップ」後編3)
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