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2006年2月28日 (火)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その11 仕事のできる奴はだまされない 中篇

まずいつもの「余談」から。今日は「初めと終わりのありがとう」です。このブログのはじめのころに、「ちょっぴり幸せネタというのを書かせていただいたのですが、それに関連した、こんなエピソードがありました。私はよく、町や駅で目の不自由な方を見かけると、声をかけてお手伝いをすることがあります。色々な方がいらっしゃいます。喜んで腕につかまって下さる方もいれば、丁重にお断りされる方もいらっしゃいます。なかには怒ったように断る方もいます。

ある日、やはり目の不自由な方-若い女性でした-に腕を貸して、駅の中を改札口まで一緒に歩いていました。歩きながら世間話をするのですが、大変ぞんざいな口の利き方で、内心(年上の者に対して失礼な!)と思いながら歩いていました。でも最後に大変丁寧にお辞儀をして「ありがとうございました。本当に助かりました。」と言われました。その一言でそれまでの怒りはどこかへ行ってしまい、清々しい、礼儀正しい印象だけが残りました。

終わりよければ・・・・。

それで、最近ウチの事務所の電話の応対ルールに、はじめの「ありがとうございます」だけではなく、最後にも「(お電話)ありがとうございました」というのを加えました。守られているかどうか、皆さん是非お電話してみてください。

それでは本題、昨日の続きです。

L先生「よいかな。ものごとがうまく運んでいるときの言動などというものは参考にはならんのぢゃ。世の中何をやっても人の集まるところトラブルはつきものぢゃが、トラブルの起こったときの言動によく着目するのぢゃ。その言葉を発したときのその人の真意を見極めるのぢゃよ。」

M君「きれいごとを言っているように見える時が要注意なのですね。」

L「そうぢゃ。わかってきたようぢゃな」

M「そういえばこんなことがありました。幼稚園のバザーで、私とXさんともう一人のお父さんでジューススタンドをやったときのことです。バザーのアトラクションやショップは、現金ではなくて買い物券・食事券・飲み物券を買って、それを使ってゲームや買い物、飲食をするシステムでした。」

L「ふむふむ。よくあるやつぢゃ」

M「ところがこのジューススタンドの事でちょっとしたトラブルがありました。バザーが終わってから、幼稚園側にクレームが入ったのです。あるお客様(ご近所の方です)が、ジュース券1枚で1杯しか飲ませてもらえなかった、券にはお代わり自由と書いてあったのにというものでした。たわいもないことで、普通ならわざわざクレームをつけるようなことではないかもしれません。何か別の理由があると思われました。」

L「ふーむ、それは幼稚園側も困るのう。ご近所の方とは仲良くしておかないと、日頃子供達が迷惑をかけているのぢゃから。それで園長先生はどうしたのぢゃ。」

M「ジューススタンドの責任者だったXさんに事情を聞くことにしたのです。」

L「なるほどの。」

M「園長先生にXさんはこう答えました。『それは全て私の責任です。Mさん達には責任はありません。ジュースの残りが少なかったので、それを考えてチケット1枚で1杯だけに限ったのですが、お客様にとっては約束違反ですから怒られても仕方がありません。』」

M「私も後でその話を聞いて感激したのです。そうだ、確かにそうなのです。ジュースが残り少ないから、お代わりを断ろうという事に決めたのです。皆で決めたことなのですからXさんが一人で責任を負う必要はないのですが、私達をかばってくれたと思っていたのですが・・・。」

L「どうぢゃ。なにか法的思考に引っかかることはあるかの。」

さぁ、どうでしょうか。M君ここでちょっと法的思考を働かせて、Xさんの正体を暴くことになるのです。

この続きはまた明日・・。

⇒法的思考シリーズ次回の記事(その12「だまされない」後編

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2006年2月27日 (月)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その10 仕事のできる奴はだまされない 前編

相変わらずの体調不良のせいか今朝見た夢は二日連続の「悪夢」(少し大げさ?)。「内容証明」を貰った夢でした。仕事柄出すほうはありますが、もらった事はありませんでした。内容は、所謂「本人確認情報」(権利書紛失のときに司法書士が本人に間違いないかを確認して出す書面)のケースで、ウチが「所有者本人に間違いない」と「情報」を提出し売買を終えた方が実は真の所有者ではなかった-譲渡担保(売渡担保)で移転したに過ぎず、権利書は真の所有者の元に留保してあった-というもの。

冷や汗だらだらで目覚めましたが夢とわかってほっ。でも良く考えればウチの場合そういう事はありえないはずなのです。個人身分証明資料・物件資料を基に徹底的にヒヤリングしますし、買ったときの売買契約書等の資料や公租公課水道光熱費の領収書等も最大限揃えて頂きます。もちろんコピーは保管しておきます。そして、権利書を紛失(滅失)したかどうかも十分確認します。また、前所有者から買ってからの期間が短い場合は真正売買かどうかを前所有者にも確認しますし。

でも最終的に決め手となるのは面接した者の「心証」かもしれません。これだけやるとむしろ権利書あるとき(立ち入った質問をするのは大変)より確信持てる場合も。

さて、「法的思考」の話です。

今日はこんな話。おなじみのM君、子供の幼稚園つながりで知り合ったXさんがあるビジネスをはじめると言うので、手伝って貰えないかと誘われたとか。さぁどうしようか、困ったM君、例によってL先生に相談しました。

L先生「何が心配なんぢゃね。そのビジネスの内容かね。」

M君「いいえ。そのビジネス自体はカタいものだと思います。問題はXさんなんです。子供同士が友達だというだけで、実はよく知らないんですあの人の事。」

L「そうかね。ではまた法的思考の出番ぢゃね」

M「また法的思考ですか。でもいくらなんでも彼を信頼できるかどうかまではわからないんじゃないんですか」

L「いやいやそんなことはないのぢゃ。法的思考とは何だったかね」

M「なぜと考えることです」

L「その通りぢゃ。ちゃんとわかっているではないか。Xさんの言動をよ~く思い出してごらん。」

M「言動をですか・・・。そうかわかった。そこに法的思考を働かせるのですね」

L「そうぢゃよ」

この続きはまた明日・・・。

⇒法的思考シリーズ次回の記事(その11「だまされない」中編

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2006年2月26日 (日)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その9 仕事の出来る奴は類推がうまい 後編

今日は久しぶりに「スーパーヒーローになって空を飛ぶ夢」を見ました。但し、飛ぼうと思っても思うに任せず、ネットのようなものに引っ掛けられたり、目に見えない力にコントロールされたり。散々な夢でした。どうやら体調の不良がそのまま夢に現れたようです。

昨日の遅れを取り戻そうと、今日は早めに起きたのですが、どうも体調が優れず(頭痛がし、寒気までしました)無理をして仕事をしても良くないと思い少し眠ることにしたのですが、そこでこんな夢を見たのです。2時間ほど眠りましたが、まったく状態はよくならず、頭痛薬を飲んでパソコンに向かいましたが、一向に薬は効かず、うー・・・。

さて、昨日の続きです・・・。

L先生に、「銀婚式と似たものを探してご覧」といわれたM君、「結婚披露宴、誕生パーティ、法事・・・」と答えたのですが、「それでは法的思考とはいえないのぢゃ」といわれてしまいました。

M「どういうことでしょうか」

L「法的思考とはなんのことぢゃったかな?」

M「えーと、『なぜ、と考えること』です」

L「そうぢゃ。なぜ銀婚式をするのかを考えるのぢゃ」

M「なぜってそれは、25年も続いたことをお祝いしてあげる事です」

L「それだけかな。もっとあるぢゃろう。」

・・・・と先生からヒントをもらい、結婚披露宴や誕生パーティ、法事等からの「類推」からM君が考えついた「銀婚式をする理由(目的)」は次のようなものでした。

純粋に祝う気持ち/関係者に対する感謝の気持ち/関係者に知らせる/世に知らせる/お酒を飲んだり、おいしいものを食べたり、騒いだりする口実/日ごろ会えない人に会う機会/新しい出会いの機会を提供する/自分の仕事の宣伝をする/参加者に自己表現の場を与える/参加者の仕事や商品の宣伝の機会を与える/地元の活性化に一役買う・・・。

実はこんなに色々な目的があったのです(中にはそれまで考えてもいなかった事もありましたが)。

これさえ分れば当日何を(企画)すべきかという問題の解答はすぐ出てきます。

例えば、お客様一人一人からメッセージを頂く/当人たちから感謝の言葉を話してもらう/関係者や世間に知らせるために沢山の人を招待する/ウエブサイト等で結果を報告する/おいしいお酒とご馳走を用意する/自己紹介タイム(名刺交換タイム)を設ける/ビンゴの景品を参加者(の会社)に提供してもらいそれを宣伝する/応援しているストリートミュージシャンに余興をやってもらう/施設の方達を招待する/地元のレストランを会場として使う・・・・

当日の企画案はいくらでも出てきます。あとはこれをどう準備するかです。段取りの問題です。ここでも「法的思考」が威力を発揮するのですが、果たしてM君、法的思考をうまく発揮できたでしょうか・・・。

⇒法的思考シリーズ次回の記事(その10「だまされない」前編

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2006年2月25日 (土)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その8 仕事の出来る奴は類推がうまい。 前編

 今日午前中は自宅で件の原稿の仕上げをするつもりだったのですが、仕事の電話がひっきりなしに入り殆ど進みませんでした。土日は一応事務所は休みにしています(良質のサービス提供には休みも重要と考えています)が、電話は私の携帯に転送するようにして、(スタッフが20名を超え、全員の仕事について一人で対応するのもそろそろ限界かもしれませんが)最低限の対応は出来るようにしているのです。

もっともウチの標榜している「サービスポリシー」からすれば、お客様の立場に立って土日も事務所を開けた方が良いのでしょうが・・・。(少し事務所の宣伝入りましたスミマセン。)

さて、本題です。今日は「法的思考力」のもつ機能のうち、類推機能についてのお話です。

またまたM君登場です(大丈夫ですよM君フィクションですから。唯、実在人を想定するとイメージが湧き易いもので)。

M君のご両親が結婚25周年(所謂銀婚式)を迎えることになったので、弟や妹と話し合って、お世話になった方や親戚を招いて盛大なパーティを開いてあげようということになり、M君が幹事役を引受けました。でも、銀婚式なんて当然ですが経験はありません。簡単に幹事を引き受けたのは良いのですが準備をするにしても何から手を付けて良いものか、さっぱり分りません。困ったM君は恩師のL先生に相談することにしました。

L先生「何を言ってるんぢゃねM君。こういう時こそ法的思考を働かせるのぢゃ。」 

M君「法的思考ですか?銀婚式ですよ。」 

L「ぢゃあもっと分りやすく教えてあげよう。法的思考のうちの『類推機能』を働かせるのぢゃ。」

M「類推機能?」

L「そうぢゃ。銀婚式と似たものを探してご覧。」

M「ああ、分りました。そうですねえ、結婚式(披露宴)、誕生パーティ、法事とか、どうでしょうか」

L「なるほど、どこが似ているのぢゃね?」

M「結婚に関するものと、何周年を記念するものと言う点が・・・。」

L「確かに。だがそれでは法的思考とはいえないのぢゃ」

この続きはまた明日・・・。

ところで先ほどテレビで、元大証二部上場の電気機器メーカーの元社長らが、架空の増資を偽装してで虚偽登記を行い逮捕されたというニュースが報道されていました。

どんな事をして、どんな犯罪に該当したと言うのでしょうか。「法的思考」を働かせて考えて見ませんか・・・。

⇒法的思考シリーズ次回の記事(その9「類推」後編

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2006年2月24日 (金)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その7 仕事の出来る奴は話が短い

原稿の締め切りを延ばして頂いたので(重ね重ね申し訳ございませんS先生!)、今日からまた「法的思考」シリーズの続きをお届けいたします・・・。

日頃「話が長い」「しゃべり過ぎ」とか「うざい」とか(?)いわれている人はいませんか。なぜそういわれるのかを一度良く考えて見てください。とにかく何でも良いから沢山話さなければならないという強迫観念(?)に駆られてはいませんか。また、とりあえず話し始めたけれど話せば話すほど何を話そうと思ったのか(自分がどこにいるのか)分らなくなってしまったということはありませんか。

これは要は「何故と必ず考える」という法的思考の基本(思考習慣)が出来ていない、ということなのです。

つまり、「話が短い」というのは(ヤキソバオヤジ流)法的思考の一つの要件(であり効果)なのです。法的思考をするためには話が短くなければいけませんし、法的思考の出来ている人は自ずと話が短くなるのです。

優れた法的思考のできている人間は自分が話をする目的がよく分っているので、無駄な話をしませんし、逆に話の正体を見極める(何のために話すのかを理解する)ためには無駄なものをそぎ落として要点のみにする必要があるということなのです。

それが出来ていないケースの多くは(漫談を除き)話し手が自分の話す目的を理解していない(つまり法的思考が出来ていない)ということなのです。

おっと、少し話が長くなりすぎましたね(文章も同じですね)。しかもまとまりがない。

⇒法的思考シリーズ次回の記事(その8「類推」前編

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2006年2月23日 (木)

なぜか中間省略登記の話(マニアックですみません)

申し訳ございません、今日は「法的思考」シリーズ(シリーズ最初はこちら)はお休みさせていただきます。

急遽原稿を書く機会を頂いたものですから(というか締め切りを忘れてました。スミマセンS先生)。しかもなぜか(理由はもちろんあるのですが)今になって「中間省略登記」をテーマに。「中間省略」について昨年は専門のブログを立ち上げたりして張り切って情報発信していたのですが、最近は姉歯問題や東横イン、ライブドア事件等他に興味を引かれることが立て続けに起こりましたし、事務所経営に関しても(大変ではありますが)色々と面白くもなって来ておりまして(「フクダリーガルWiki支店」をご覧下さい!)、中間省略登記問題に割ける時間は殆どなくなってきておりました。 

そこで、今の時点でこのテーマで何を書こうかと考えたのですが、中間省略登記に関する議論はあらかた出揃ったということもあり、今回の原稿は、主な論点とそれをめぐる見解(結論)を書いてみようかと考えました。以下、その論点を列挙してみます。 

 不動産登記制度が「物権変動を忠実に公示するもの」であるとする根拠

 義務のない不動産権利登記について登記義務を課することになってしまうのではないか。

 判決による場合は中間省略登記が認められるのに申請では認められないのはなぜか。

 中間省略登記は登録免許税・不動産取得税の脱税を目的とするものではないのか

 第三者のためにする契約を用いれば中間省略にはならないのではないか。

 地位譲渡契約を用いれば中間省略にはならないのではないか。

・・・・これらに対する回答はもちろん「法的思考」を施したものになるはずです。

(原稿は明日が締め切り・・・)

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2006年2月22日 (水)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その6 問題解決能力2

昨夜、風邪でモーローとした頭で「法的思考」という単語でググっていたらあらびっくり「法的思考力のあるは仕事ができる」という本がヒット(しかも浜辺陽一郎先生著)。まるでワタシがパクったみたい。でも、ブックレビューをよく読んでみると、内容的にはかなり違うものなので一安心。ワタシの方はもちろん超一流弁護士でかつ指導者である浜辺先生のような高度な法律知識があるわけではありませんし(先生のご講演は一度だけですが拝聴したことがございまして、大変感銘を受けました)、ワタシがここで言いたいのは、法律の知識ではなくものの考え方です。何だ、じゃあ「法的」というのはおかしいんじゃないと言われそうですが・・。確かに必ずしも「法」という概念に結び付ける必要はないのかも知れませんが、単なる「論理的」な思考というのとも少々異なっていると・・・。

さて、昨日の続きです。

M君、レンチを持ってくるとやおら自転車のペダルを取り外しにかかりました。すっかりペダルを取り外してしまうと、「さあやってみようか」と子供を自転車にまたがせました。そして、荷台のところを持って勢いを付けて押しながら、「なにもしなくていいから、ハンドルを軽く持ってどこまで持ちこたえられるかやってごらん」と言いました。

そうです。まずバランスのとり方から覚えさせることにしたのです。自転車に乗るという事に「法的思考」を働かせて分析し、どんな要素から成り立っているかが明確になると、身に付けるべき事柄を一つ一つ順を追って着実に身に付けさせることにしたわけです。自転車に乗るという事は無意識のうちに沢山のことをやっていたわけで、それを全部いっぺんにマスターしようとしても無理なのは当たり前です。一つのことをマスターしてから次の段階へと進んで行くという方法を取った方が、結果的には却って早く全てをマスター出来るということです。

M´ちゃん(M君の子供)はこうして、惰性で進みながらすぐバランスが取れるようになり、次にペダルをこいでより長い距離を持ちこたえられるようになり、少しずつ距離を伸ばしていき、上手に乗れるようになるまでそう時間はかからないでしょう。

このように「法的思考」は問題点を発見し、それに対処する方法を見つけるという働きも持っているのです。つまり、問題の対象となっている事柄についてその「正体を見極める」手段として「法的思考」が使えるのです。

まだまだ続きます・・・・。

(「M君」の一人からクレームが来ましたが、この話はあくまでもフィクションですから・・・。)

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⇒法的思考シリーズ次回の記事(その7「話が短い」

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2006年2月21日 (火)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その5 問題解決能力1

今日あるコンサルタントの方と話をしたのですが、その中で昨日のたとえ話でテーマにしたのと似たような話(ブログを持つ目的)を聞くことができました。

彼は私とは違いブログはもちろん、ホームページも持っていないそうです。いわく、これ以上仕事を増やす必要はないし、逆に見ず知らずの人からの不正なアクセスなどがあったら困るから・・。かれの仕事は全て口コミで成立しているそうです。コンサルタントと言っても様々な情報を集めて来て必要としている人に提供してフィーを稼ぐというビジネスモデルです。情報を集めるのも、売るのも、色々なつきあいのある方たち(彼を良く知っていて評価してくれている人達)が相手ですから、ネットで情報の売り手や買い手を集める必要はなく、むしろ弊害のほうが怖いというのです。

なるほど、と納得しながらも(今のところ)私の方は断る程沢山の仕事がある訳ではないし、そもそも「サービス業」でありビジネスモデルが違いますし、多くのスタッフの自己実現の場としての意味もあるし、やはりウエブサイト(ブログやウィキ、そしてホームページ)は必要だよなーと思いつつも、たった一人でビジネスを展開している同い年の彼の姿を見ながら、俺もビジネスモデル考え直したほうが良いかなー、などと考えてしまうのでした。

・・・・さて、余談はさておき昨日の続きです。

法的思考の三番目の機能として問題解決機能というものがあるというお話をしました。

例えばこうです。

またまたM君登場です。子供さんは順調に成長し、幼稚園に通うようになりました。活発な子供で、自転車の乗り方を教えてくれとせがまれました。M君張り切ってある土曜日に公園に連れて行き、朝から特訓を始めました。自転車にまたがせて後ろか荷台の所を支えてやり、勢いをつけて押し、手を離す、というオーソドックスなやり方です。これを何度も繰り返しますが、なかなか思うようにいきません。1~2m進むと倒れてしまうのです。

M君も子供も真剣に一生懸命練習を繰り返しますが、昼の休憩を挟んで、とうとう夕方になっても一人で乗れるようにはなりません。M君も子供も疲れ果て、困り果ててしまいました。どうすれば良いのでしょうか。

ここで「法的思考」を働かせて見ましょう。自転車に乗るとはどういう事なのか考えてみるのです。「自転車操縦」はそもそもどんな要素から構成されているのでしょうか。それはこんな要素から成り立っています・・・・・①サドルにまたがる。②地面をけって前に進む。③倒れないようにバランスをとる。④前進しスピードを上げるためにペダルをこぐ。⑤ハンドルを支える⑥曲がるためにハンドルをその方向に向ける。⑦止まりたいときはブレーキをかける。

そうか、とM君は膝を叩きました。M君子供を公園に置いたままやおら家にとって返すとレンチをもって戻ってきました。いったい何を始めようというのでしょう。

この続きはまた明日・・・・・。

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⇒法的思考シリーズ次回の記事(その6「問題解決能力2」

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2006年2月20日 (月)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その4 ルールを作る

「法的思考」の2つ目の機能として、「(ある目的のために)どのようなルールを定めるべきかを導き出す」というものをあげました。例えばこうです。

件のM君、ついに彼女にプロポーズしました。結果は当然「OK♥」。結婚式も無事終わり、赤ちゃん誕生。親馬鹿(いや失礼子煩悩)のM君、子育ての模様を掲載するブログを立ち上げることにしました。そしてそのブログには奥さんと交代で記事をアップして行くことにしたのですが、ここで二人の意見が分かれました。

奥さんは「宣伝容認」。つまりSNS(ソーシャルネットワーキングサイト)やメールでどんどん告知をしたり、リンクを貼ってもらったり、他のブログにトラックバックしたり(逆にトラバを受け付けたり)してなるべくたくさんの人に見てもらいたい。逆にM君は「宣伝禁止」。つまり一切告知や宣伝はしない、トラバも当然禁止というのです。さあ、どう解決すべきでしょうか。

ここで「法的思考」を働かせて見ましょう。つまり、何のためにブログを立ち上げるのかを考えてみるのです。M君夫妻は早速その点を考えて見ました。すると、ふたりの意見の違いが、そもそもブログに対する考えの違いからきていることが分かってきたのです。

M君がブログを立ち上げる目的は、自分達の日記代わりとしてでした。見てもらうのはごくごく内輪の人達だけ。つまりおじいちゃんおばあちゃんをはじめとする親戚と、親しい友人たち。だから特別に告知をしたり、宣伝したりする必要はない。むしろどこの誰とも分らない人に子供のことや家庭内の事を知られると、どんな悪戯をされるか分らない。

これに対して奥さんの方は、ウチの子供は世界一、だから世界中の人達に見てもらいたい。当然ありとあらゆる手段を使ってブログの宣伝をして行きたい。

このようにはじめから目的が違うのですからルールも違ってくるのは当然です。ではどうすればこの違いをなくすことが出来るのでしょうか。二人は話し合いました。ブログを立ち上げる目的について。そして宣伝をすることの弊害について(それがなければM君は奥さんの意見に反対する必要はないはずですから)。

この例え話に結論を与えるのは皆さんにお任せしますが、法的思考というものの意味は分って頂けたのではないでしょうか。ものごとにルールを設定するためには、その目的を理解する必要があるという事です。当たり前のようですが実はなかなか出来ていないのです。

これは別の見方をすると「問題解決機能」であるとも言えます。

この項まだ続きます・・・・。

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⇒法的思考シリーズ次回の記事(その5「問題解決能力1」

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2006年2月19日 (日)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その3 説得の技術

今日はこんなたとえ話から・・・。

うちの事務所のM君(「フクダリーガルWiki支店」の「司法書士補助者日記」の執筆者)が彼女とデートの約束をしたとします(まぁ例え話ですから別にM君でなくても良いのですが)。「今度の土曜日に表参道ヒルズに行こう。10時に原宿駅前で待ち合わせね。」とメールをしたところ彼女からは「OK♥」という返信がきました。にも関わらず彼女は当日約束の時間に現れません。30分待っても来ないので、M君ケータイに電話したところ通じません。さて・・・・。(これはあくまでもフィクションであり実際にあったことではありませんので念のため)

この場合彼女が約束を忘れていたとしたら、M君は当然約束を果たすよう要求するでしょう。そしてこの時たぶん彼は無意識に「法的思考」を働かせて、なぜ10時に原宿まで来なければならないかを説明するはずです。「だって約束したじゃない!」と。そうです彼女は自分の意思で約束(彼の提案に対して「OK♥」という返信)をしたのですから。自ら行った約束だから守らなければいけないのです。こうやって相手が何故約束を守らなければならないかを説得力のある論理で説明するのが「法的思考」の一つの機能なのです。

よく、「法律は人を説得するための道具である」という事が言われます。昨日、法的思考とは「何故か」を考える事、自分に突きつけられたルールに何故従わなければならないかを考えることだと言いましたが、法律は自分と違う考え方の人に自分の主張を納得させる道具だというのです。

この法律による「説得」というものにも程度の違いがあります。それこそ判決に基づいて強制的に法律に従わせるというものから、当事者同士の話し合いでお互い納得するというレベルのものまで。しかしそこで使われる思考方法はすべて同じ、「法的思考」なのです。

たとえばこの最も強力な、判決に基づく強制の場合、なぜこの判決という「決まりごと」に従わなければならないのでしょうか。それは「法律」に基づくものだからです。では何故「法律」に従わなければならないのでしょうか。それは法律を定めたのが「自分(達)」だからです。国を統治する権利は国民にある、すなわち法律を制定する権利も国民にあるというのは国の根本規範である憲法によって保障されているものなのです(国民主権)。手法としては法律は国民の選挙によって選出された国会議員からなる国会によって定められるという方法を採用していますが。

法律が説得の道具だというのは説得・強制の根拠を力の源泉まで遡って論理的に導き出すことができるという事です。もちろん説得の道具となるのは「法律」だけではありませんが、なぜルールに従わなければならないかという説得の根拠として誰がそのルールを定めたのかと言うところまでさかのぼって説得するというのが「法的」思考です。

相手を説得するという機能のほかに、「法的思考」のもう一つ重要な機能として、ある目的のためにどのようなルールを定めるべきかを考えるというものがあります。これは昨日の「申請書の綴じ方」の例の場合です。そして三つ目の機能として、「問題解決」があります。

・・・・・・・・・

話がだんだん膨らんできてしまいましたのでこのテーマはもう少し続けます。

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⇒法的思考シリーズの記事(その「ルールを作る」

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2006年2月18日 (土)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その2 目的を考える

昨日、今日と人間のすばらしさを改めて感じた二日間でした。って少し大げさですが、やっぱりワタシは人間が好き(で嫌い)です。昨日はとあるホームパーティで、今日は高校の同窓会で、新しい出会いと、今まで知っていた人達の知らなかった一面の発見がありました。そういった色々な人達のすばらしさ、会を主催してくれた人達のすばらしさ、本当に出会いに感謝です。

さて、昨日の続きです。

登記申請書の添付書類の「綴じ方」を教えるとき、私が重要視しているのはなぜそういう綴じ方をしなければいけないのかを考えるという事です。そして、「綴じ方」を考えるにはその書面(申請書及び添付書類)がどのような目的でどう使われるのかを考えることが必要です。

登記申請書(及び添付書類)はいうまでもなく不動産や商業の登記を登記簿(登記記録)に搭載してもらうために登記所(法務局)に提出する書類です。おおまかにいうと受付→調査→チェック→登記簿(登記記録)への記入という順番でこれらの書類が流れて行き、登記後書類は一定期間法務局内に保管されます。

従って、申請書の「綴じ方」もこれら一連の流れのために最も良い方法で行う必要があるわけです。つまり、受付や調査担当の方たちが処理しやすいように考えるという事です。よく私は「自分が登記官になって申請書の調査をすると思って考えてみろ」と言います。要は相手の立場に立って考えるというサービス業の精神に他ならない訳です。そう考えると申請書の作り方、綴じ方もおのずと分かってくるのです。

これがどうして「法的思考」なのかと考える方もいらっしゃるかも知れません。しかし法的思考というのは「何故か」を考えるということなのです。何も大上段に憲法9条問題を考えるというような事だけが法的思考であるわけではないのです。自分に突きつけられたルールが何故定められたのか、何故従わなければならないかを考えることなのです。そこには大きな問題も小さな問題もありません。ここではたまたま(司法書士事務所関係の読者も多いので)司法書士の初歩的業務を例に挙げましたが、日常的な決まりごと、たとえば皆さん家庭での決まりごと-門限とか、家事分担とか-であっても同じことです。

続きはまた明日・・・。

⇒法的思考シリーズの記事(その3「説得の技術」)

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2006年2月17日 (金)

法的思考のできる奴が仕事のできる奴 その1 疑問を持つ

昨日までの「ライブドア」シリーズにお付き合いいただきましてありがとうございました。シリーズはここでひとまず小休止です。一つ触れていなかった話題に「資金洗浄」がありますが、これは流石に今の私にとりましてはかなりの「勉強」を要しますのでまたいつか機会があれば勉強して書いてみたいと思います。

もちろんこれからもM&Aの話は書かせていただきたいと思いますし、IPO、証券化やファンド、金融・債権回りの話、そして会社法、もちろん登記(卑しくも司法書士ですから!)のお話など、様々な話題で(最先端の話題から初心者向きの基本的なレクチャーまで)書かせて頂くつもりですのでお付き合い頂ければ幸いです(コメントも頂けると有難いです)。

さて、今日はがらりと趣を変えまして、いつも私が事務所スタッフや若い方達に話しているお話をさせていただきたいと思います。これは、法律の勉強の導入部分での話であり、法律実務家にとって身に付けておかなければならない最も基本的な考え方であるばかりでなく、どんな業種・職種の仕事をするにも、「良い仕事」をするには絶対的に必要なものの考え方である、と私は考えています。

それは、いつでもどんなことについても「なぜ」という疑問を持たなければいけないということです。世の中には様々な決まりごとがあります。憲法・法律から、身近なところでは校則や就業規則、業務のマニュアルなどもそうです。契約も決まり事の一つと言ってよいでしょう。暗黙の了解の決め事と言うのもあるでしょう。そういったもののすべてについて、一度は必ずなぜそういう決まりなのか、なぜそうしなければならないのかを考える事が大変重要だということです。

例えば、私が事務所の新人に、登記申請書の添付書類の「綴じ方」を教えることがあります(最近はあまり自分で教えることはなくなりましたが)。そういう初歩的・基本的な業務知識の場合でも私が重要視するのは、なぜそうしなければならないのかということです。もちろんルールを教えるということも重要ですが、なぜそのような決まりになっているかを考えさせるということはもっと重要です。むしろそれがわかれば、ルールを教える必要はないのです。自分で「ルール」を見つけ出す(あるいは作り出す)ことができるはずです。

では、添付書類の「綴じ方」にはどんな「基本原則」がありそれはどんな理由から「決まって」いるのでしょうか?

続きはまた明日・・・。

⇒法的思考シリーズの記事(その2「目的を考える」

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2006年2月16日 (木)

ライブドアの辿った道 復習編 その11 投資家の救済(損害賠償請求)2

(昨日の続き)

取締役の会社に対する責任の追及は株主が会社に代わって訴訟を提起する制度が設けられています(株主代表訴訟制度、商法267条、会社法847条)。会社に対して責任を負っている取締役に対していわば「身内」の取締役が責任を追及することは期待し難い場合も多いからです。

次に、「偽計、風説の流布」(証券取引法158条、本シリーズでは参照)の点ですが、法令違反行為、任務懈怠行為として取締役又は執行役は会社に対して損害賠償責任を負います(商法26615号、監査特例法21条の17第1項、会社法423条第1項)。

そしてさらに不法行為責任(民法709条)を問うことも可能です。不法行為とは故意又は過失によって他人の権利を侵害し、損害を生じさせる行為であり、不法行為者はその損害を賠償する責めを負います。

ちなみに西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載事件の場合、証券取引法違反および不法行為を理由として、西武鉄道、コクドおよび両社役員を被告とする損害賠償求訴訟(原告数は1次2次併せて約280名)が提起され、現在も係属中です(詳細は弁護イトをご覧ください)。

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⇒このシリーズの第1

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2006年2月15日 (水)

ライブドアの辿った道 復習編 その10 投資家の救済(損害賠償請求)1

堀江氏は起訴され、「被疑者」から「被告」になりましたが、依然として起訴事実を否認しているようです。これは堀江氏の「犯罪」を裁こうとするものですが、彼の行為によって損害を被った投資家はどのような救済を受けられるのでしょうか。

まず、「粉飾決算」(本シリーズでは)に関しては、商法は、取締役又は執行役が貸借対照表その他の決算書類の重要事項につき虚偽の記載をした場合、自ら注意を怠らなかったことを証明しない限りそれによって生じた損害を第三者に対して連帯して賠償する責任を負うと定めています(商法266条の32項、監査特例法21条の222項、3項、会社法4292項)。

また、証券取引法は、役員(取締役、執行役、監査役等)および公認会計士、監査法人が、有価証券報告書その他のディスクロージャー書類に虚偽の記載をした場合、善意(虚偽記載があることを知らない)の「投資家」(有価証券を取得した者)に対して損害を賠償する責任を負うと定めています(証券取引法2111号他)。

(続きます)

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2006年2月14日 (火)

ライブドアの辿った道 復習編 その9 起訴と上場廃止

昨日(13日)、東京地検特捜部はライブドア前社長の堀江貴文氏他を証券取引法違反で起訴しました。起訴事実としては、この記事でも取り上げてまいりましたように、旧バリュークリック・ジャパンの株価を引き上げて売却し、利益を上げることを目的に、すでに投資事業組合の実質的支配下にあったマネーライフをバリュー社が子会社化する旨を発表、これが「偽計」に当たるとされた点が一つ(「」)。もう一つはバリュー社の利益を水増しして発表、いわゆる粉飾決算を行ったとされた点です(「」)。

では、この起訴によって上場廃止となる可能性はあるのでしょうか。結論としては、起訴そのものが上場廃止基準に該当することはないようです。

昨日書きました東証マザーズの上場廃止基準に照らし合わせますと、廃止基準に該当する可能性として現在問題視されているのは、粉飾決算、すなわち有価証券報告書の虚偽記載の点です。そして、それを東証が認定するためには起訴だけでは足りず、当該企業による訂正や証券取引等監視委員会の告発などが必要とされています。

現在、ライブドアサイドによる訂正は期待できませんし告発もされておりません、そこで、「株券上場廃止基準」のうちの一般条項「公益または投資者保護」という基準の適用が現在検討されているようです。有価証券報告書虚偽記載罪で起訴されたことをもって「公益」または「投資者の利益」を害するものであるという判断を下すと言うことでしょうか。

(それにしても過去記事を読み返してみて、ホントに読みづらいですね。長いし、箇条書等の工夫もされていないですし・・・。反省です。)

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2006年2月13日 (月)

ライブドアの辿った道 復習編 その8 上場廃止?

読者の皆様から、記事が長すぎるし難しい(良く言うと「アカデミック」)という声(声なき声?・・コメントがほとんどないので)が寄せられましたので(実は書く方もいささかしんどかったのです)今後は少し短めにかつより噛み砕いた内容のものにさせて頂きたいと思います。

コメントもお待ちしてます(と言いましたら「読むだけで精一杯」という声も)。

・・・・・・・・・・・・・・・

ライブドアの株が上場廃止になる可能性があるそうです(すでに管理ポスト割当)。なぜでしょうか。ためしに務所のスタッフ達に尋いてみましたところ「証券取引法に違反したからじゃないですか」「上場基準に抵触するからじゃないですか」という答えが返ってきました。まあ大体そういったところです。厳密には東証マザーズの「上場廃止基準」に該当してしまうことになるからですが、証取法に違反するだけで上場廃止になるのでしょうか。上場基準、そして上場廃止基準とは何でしょうか。

株式の「上場」とは、簡単に言えば株式市場において売買取引の対象となる株式とすることです。

ではなぜ株式を上場するのでしょうか。この上場の目的が理解できれば、上場の基準(すなわち上場廃止基準)も理解できるはずです。

株式上場の目的としてはまず会社・創業者サイドのものとして、資金調達(流通性の高い株式ほど投資家は投資しやすい)、会社の対外的信用度・知名度を高める、従業員の目的意識を高める、人材獲得、創業者利潤の実現といったところが上げられます。

次に投資家サイドからのものとして、投資インフラの享受(有価証券報告書、適時開示規則等によるディスクロージャー、信頼できる契約・決済システム、不公正取引防止システムの提供)、信頼できる投資対象の存在、流動性の享受、といったところです(これらに関しては久保先生上場基準・審査ハンドブック中央経済を参考にさせていただきました)。

すなわち、これらの上場目的を達成するために設けれられているのが上場基準というわけです。

具体的に東証マザーズ基準を見てみますと、次のようなものがあげられています。

上場株式数、株式分布状況(株主数)、上場時価総額(10億円以上)、売上高、虚偽記載・不適正意見等(がないこと)

この裏返しですが上場廃基準は次のようになります。

売上高(1億円未満)、上場時価総額(5億円未満等)、株主数(150人未満等)、売買高、債務超過、その他(会社の信用状況の悪化、有価証券報告書虚偽記載等)。

では、今回、ライブドアの株式はなぜ上場廃止になる可能性があるのでしょうか。

(答えは明日・・・・)。

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2006年2月12日 (日)

ライブドアの辿った道 復習編 その7 バリュークリックジャパン株式の100分割

先日、「福田さんを見かけたよ」という方がいらっしゃいました。日本橋かどこかの駅を歩いていたのを「発見」したのだそうです。そしてその様子が「いつもと同じだった」というのです。え、どういう意味かな、と思ったのですが、要は「よく、普段はとても明るくて愛想が良いのに一人でいるときは全然違って暗いとかって人がいるけど、あなたの場合は全く普段と変わらなかった」から「つまらなかった」ですって。これってどう受け取ればよいのでしょうね・・・。

今度見かけたときは声をかけてくださいねH編集主幹。

さて、本題です。

2004年11月、バリュークリックジャパンは自社株式を100分割すると発表しています。株式の分割自体は一株をいくつに分割しようが法律上全く問題はありませんが、この分割は株価の上昇を目的としたものであるとされています。東京証券取引所は1月18日この株式分割の経緯、買収との関係、証券取引法違反の認識の有無について適切な開示をするよう要請しました。それに対してライブドア自身は当然それを否定する発表をしております(これが説得力あるかどうか、そのレをご覧ください)

株式の分割は、現在は会社が自由に行うことが出来ます。そして理論的には(法律上は)それによって全体の株式の価値は変わらないはずです。例えば1本の羊羹を10切れに切ったとしても羊羹の量が増えるわけではないということと同じです。むしろ小さくて食べやすくなります。株式の分割も通常は羊羹を食べやすくするのと同じ目的で行われます。つまり、取引単位(1株当りの金額)を小さくして、個人投資家等が買いやすくするために行われるのです。

ところが現実には市場価値が上がってしまう場合があります。この主な理由は供給不足から来るとされています。例えば1株を100株に分割した場合、市場に10000株出回っていたとして、100万株になりますが、新たに99万株の株券を発行しなければならず、その期間が4~50日かかるため、市場では供給不足がおこり、株価が上昇するというわけです(詳細は先にご紹介した葉玉匡美氏ブログをご参照ください)。      

しかし、これは適正な株式の評価とはいえないとして問題視され、東京証券取引所も上場企業に対して5分割以上の分割は自粛するよう要請していました。さらに、分割後の株式は株券が発行される以前に売買可能とし、この問題は解決されたとされています。

ただ、このときは思惑通りバリュークリックジャパンの株価は急上昇し、マネーライフ株との交換によって取得した株を「VLMAⅡ」は市場で売却し、数億円の利益を計上したといわれています。

この利益が最終的には出資者である(間に複数の組合等が介在し、さらに海外の口座や海外証券会社等を利用したマネーロンダリングの疑惑も出ているようですが)ライブドアに還流したという結末のようです。

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2006年2月11日 (土)

ライブドアの辿った道 復習編 その6 子会社化発表は「偽計」か

ハンドルネーム占いというサイトを発見。ハンドルと生年月日を入れると大吉から大凶まで7段階の評価とコメントが・・。例えば「末吉」は「いまいち危なっかしいです。一歩間違えば貴方に悪運が・・・。」、「大吉」だと「おお!貴方にピッタリのハンドルをお使いになられてますね。運気も最高ですので将来安泰。」

でも、「福田龍介」で入れたら「凶 う~ん、イマイチ。愛着がなければすぐ改名しよう!」だって。信じませんこんな占い!!

では、本題です。

昨日、バリュークリックジャパンがマネーライフを完全子会社化する旨を発表し、その方法が「株式交換」であったとお話しました。

問題はこの株式交換にあるのではなく、子会社化するという発表をした点にあります。バリュークリックジャパンは当時ライブドアの子会社でしたが、マネーライフも既に投資事業組合「VLMAⅡ」の傘下にあり、実質的にはライブドアの支配が及んでいたわけで、そういう意味では既に買収は完了していたといっても良いともいえます。この時点でさらに子会社化すると発表したのは証券取引法158条の「偽計」、即ち「他人の正当な判断を誤らせるような謀略的行為」に当たり、それが「相場の変動を図る目的をもって」為された場合は5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処するとされています。

要は、例えばA社の子会社B社がC社の株式を全株所有している場合に、A社がC社の株式を取得するあるいは株式交換を行ってC社を子会社化するとしても、それによってA社の価値が増加するというわけではないというのと同じ事です。

ですから、この場合は子会社化がA社の評価(株式の市場価格)に影響することはありません(A社とC社が無関連の場合は当然影響してきます)。これはB社が株式会社でなく組合(所謂投資事業組合)だった場合でも同です。今回もそのような関係を第三者(マーケット)が知っていれば、A社(バリュークリックジャパン)の評価に影響するようなことはなかったはずです。ところが、この組合との関係が明らかでなかったため、子会社化が評価に影響した(少なくとも影響させることを目論んで子会社化を発表した、これが良くない(証券取引法違反)ということになったようです)。

繰り返しになりますが、これらのことを会計的に見ると、B社(組合)が子会社だとすると、A社にとってB社(組合)は「連結対象」であるということになります。つまりA社の決算書はB社のものも取込んで(合算して)作らなければなりません(連結決算書)。そして親子間で売買をした場合、その売上と経費は相殺しなければならず、売り上げに計上することは粉飾となる可能性があるということです。

また、東証の適時開示規制との関係も先に述べたおりです。

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2006年2月10日 (金)

ライブドアの辿った道 復習編 その5 粉飾、株式交換

さて、バリュークリックジャパンでは、連結対象となる投資事業組合との取引を売上に計上し、また、2004年11月には、同社の売上高、経常利益を水増しして発表したとされています。ライブドア本体でも投資事業組合の利益をライブドア本体の利益として計上したという報道もされています。これらは所謂粉飾決算として商法、証券取引法によって罰せられる(特別背任罪、違法配当罪、有価証券報告書虚偽記載罪、風説の流布等)可能性のある行為です。

次に、04年10月25日にバリュークリック・ジャパンがマネーライフを完全子会社化する旨を発表しました。

ここでの手法は株式交換によるものとされています。

ある会社を自社の完全子会社(100%子会社)とする方法(完全親会社を作る方法)として、従来は現金による株式の買取か、新しく会社を設立し、そこに営業全部を現物出資するしかありませんでした。しかし、前者では買取のための資金を用意しなければなりませんし、後者では現物出資に対する規制が厳しく(裁判所の関与が必要)、大変使いにくいものでした。

そこで平成13年の商法改正により新しく設けられた制度が株式交換の制度です。前者の方法で、現金を用意するために、増資(新株発行)をする場合がありますが、この新株発行を子会社にしようとする会社の株主に対して行い、それに対して株主が自己の株式を譲渡するのが株式交換です(いわば株式の現物出資)。

つまり、この場合、バリュークリックジャパンが新株を発行し(又は自己株式を譲渡し)、代わりにマネーライフの株を取得するという手続きになります。

但し、普通の新株発行や株式買取と異なるのは、これを買取られる(子会社となる)会社自体の意思として行われることです。株主個々人が交換契約をするのではなく会社自体が株主総会の特別決議(議決権の過半数出席し3分の2以上の賛成)で決定します。反対することも出来ますが、可決した場合は手放さざるを得ません(会社に「公正な価格」で買取ることを請求できます)。分かりやすく言うと「株主の持っている株式を、無理矢理全部取り上げて、他の会社のものにしてしまうこと」(葉玉匡「会法であそぼ。」)ということです。

 只、問題となったのはこの株式交換という手法そのものではありません。

 詳しくはまた明日・・・。

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2006年2月 9日 (木)

ライブドアの辿った道 復習編 その4 連結、適時開示

また、ライブドアが組合の売上を自社に付け替えていた、ともされていますが、これは連結対象であれば組合の会計が開示されなければならないため、困難であったと思われます。

さらに、東証の適時開示規制との関係も問題となります。適時開示とは有価証券の投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営または業績等に関する情報を「適時開示規則」に従い公表することです。上場会社には、重要な会社情報が生じた場合に、直ちに「適時開示規則」にのっとった適切な公表措置、すなわちTDnet(インターネットを通じ、全国の証券取引所の上場会社の開示情報等を手元のパソコンで閲覧することができるサービス)への登録を行うことが義務づけられています。

すなわち、この規制に従って開示を行っていたとすると、売上の付け替えなどの行為は行われ得なかった、少なくとも株価に大きな影響を与えることはなかったと思われます。

これに対しライブドア側は、前にも引用しましたレポで、適時開示の例外となる軽微基準の適用を受けるため「開示をした可能性は非常に低い」と述べております。

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近々オンラインでの不動産登記申請を行うのに備え、☆☆区役所で住民基本台帳カードと電子証明書(住民基本台帳カードに格納)を取得する手続きをして来ました。近所のサービスセンターでは取り扱いをしていないということで、電車で30分の本庁舎まで行かなければなりませんでした(しかも窓口の対応は決して気持ちの良いものではなく。時代錯誤的な方がまだ生き残っているのですね。しかも一人や二人じゃないようです)。

用意するものは運転免許証等の身分を証明する書類だけですが、申請書を2枚(住民基本台帳カード交付、及び電子証明書交付)書き、手数料はそれぞれ500円ずつ、計1000円かかります。また、その場で数字4桁の暗証番号(住基カード)と16文字までの英数字のパスワードを入力させられるので、慣れていない人(慣れている人はあまりいないと思いますが)は予め用意しておいた方がよいでしょう。

あれこれやっておよそ4~50分かかりましたが、導入推進している区でさえこの有様ですから、利用者はあまりいないのではないでしょうか(尤も、住基カードや電子証明書を使うことによるメリットがあまりにも知られていないということの方が問題かも知れませんが)。

私も、オンライン申請に必要ということでなければ、取得することはなかったと思いますが。

余談はさておき、昨日の続きです。

連結対象とすべき(支配力基準から)であるにも拘わらずそうしなかった場合。

まず、連結財務諸表は基本的には親会社と子会社の財務諸表を合算して作成されるのですが、例外として連結グループ内の取引は相殺されなければなりません。例えば親会社が子会社に製品を売る場合を考えると、この取引はグループ外の第三者から見れば、グループ内部における製品の移動に過ぎないからです。

つまり、バリュークリックジャパンと投資事業組合が連結対象である場合、自社株を売ったとしても、それは取引とはされない、つまり売上としての計上は許されないのです。もっとも自社株の売却益を売上として計上できるのか(資産性の取引ではないのか)という問題はありますが。

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番外編の番外編

eiconoさん失礼しました。昨日は「番外編」のままでした。でも内容は「復習編その3」に繋がるものですので。で、「その3」をアップしたのは昨日午後でした。見れるわけないですよね。すみません。

清水さん、「義務でやっている」確かにそうなんですが、義務を課したのは自分で、監視しているのも自分しかいなくて、というより今一番楽しい仕事です。

そしてKid83、例のトラバからアクセス急増ですがコメントもトラバも頂けません。貴兄のところと違っていささか寂しいです。

今日は残念ながらまっすぐ帰る途中で書いてます(気になったところだけ取り急ぎ)。

「その4」はこの後書きます。

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2006年2月 8日 (水)

ライブドアの辿った道 復習編 3 「組合」と「連結」

幣事務所の「ウィキ」(メンバー全員で投稿できるブログのようなもの)「フクダーガルWIKI支店」が評判を呼んでいます(スミマセンちょっと誇張しました。まだごく一部の内輪だけです)。中でも「面白いねー」「本にしたら」などといわれていますのが(これもまだウチワですが)、「みんなのGood & New…フクダリーガルメンバーの日公開します 

これは幣事務所メンバーの「メール日報」に書き込まれたコメントをピックアップし、簡単なコメントを付けたものです。事務所の実態(?)を知って頂く(ホームページ顔写真とあいまって)と同時に、事務所メンバーの自己表現・情報発信の第一歩としようというものです(これだけでは表現し足りないというメンバーは自分のページをこの「ウィキ」内に作り始めています)。

内容もデザインも今後もっと充実させていくつもりですが、試しに一度覗いてみてください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、余談はこれくらいにして、昨日の続きです。会計的興味というのは、ライブドア社が投資事業組合(及びマネーライフ社)を連結対象とすべきだったかどうか(適時開示は会計というよりは市場の要請ですが)という点です。

「連結対象」であるということは、ライブドア社が財務諸表(貸借対照表、損益計算書、付属明細書、計算書等)を作成する際に、投資事業組合やマネーライフ社の財政状態や経営成績を反映(合算、但し連結グループ内の取引は相殺)したものにする必要があるということです。

連結対象とするかどうかの基準は、単なる持株数による親子関係ではなく「支配力基準」というものが用いられているそうです。要は、法的評価でなく経済的実態として支配従属関係にあるかどうか、より具体的には「他の会社の意思決定機関を支配しているかどうか」が基準になるということだそうです。

つまり、「支配」の要件は①他の会社の議決権の過半数を実質的に所有している場合、②他の会社に対する議決権の所有割合が100分の50以下であっても、高い比率の議決権を有しており、かつ当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合(改定連結原則第3・1)であり、②の例としてはア.議決権を行使しない株主が存在することにより、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることができると認められる場合、イ.役員、関連会社等の協力的な株主の存在により、株主総会において議決権の過半数を継続的に占めることが出来ると認められる場合、ウ.役員もしくは従業員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続して占めている場合、エ.重要な財務及び営業の方針決定を支配する契約等が存在する場合、があげられています(改定連結原則注解5)。・・・・なんとなくイメージが沸いてきませんか。

※ここまでの記載は伊藤邦雄先生の「ゼミナール現代会計入門」(日本経新聞社)を一部参考にさせて頂きました。私のような素人が申し上げるのもおこがましいですが、さすがロングセラーになるだけある素晴らしい本だと思います。

これに対してライブドア社及びイブドアマーケティング社(旧バリュークリック・ジャパン社)は「業務執行組合員が異なっているなどの理由からLDグループ会社として連結決算に組み入れることは妥当でないという判断を致しました」とのレポートを行っております(平成18年1月19日付「社内調査に関すお知らせ」)。

当然検察側は、ライブドアが組合に支配力を及ぼしており、連結対象とすべきであったと判断しているわけです。

では、連結とすべきところを連結としなかった場合に、どんな問題が生じ、どんな犯罪が成立するのでしょうか。

(答えは明日・・・。)

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2006年2月 7日 (火)

ライブドアの辿った道 番外編 その2 ライブドアとさおだけ屋

昨日、の打合せで、あのさおないの山田真哉さんとお目にかかってまいりました。

山田さんは、堀江氏もされていらっしゃるようですし、事件後ライブドつい発言もされています。

しかし私は山田さんの発言にというよりは、世界一しいの読者でもある会計学初心者として、ライブドアの辿った道について純粋に会計的な関心があります(というより事件を通じて会計の勉強もさせて頂いたといった方が良いかも)。

ライブドア社が投資事業組合を通してマネーライフ社株を全株取得しているという評価を受け、それによって証券取引法上の犯罪(偽計、粉飾)に該当しているとされていることから、一つにはマネーライフ社が連結決算の対象となるかどうか、もう一つはなるとした場合に東京証券取引所の適時開示規則に基づく開示が必要だったのではないかという点です。

・・・・・・・すみません、今日はアタマがウニなのでこの辺で失礼します。続きはアタマを少し休ませてから・・・・。あー眠た。

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2006年2月 6日 (月)

ライブドアの辿った道 番外編 M&Aの基本

セミナーの際に、M&Aの基本的な事も説明してほしかったというご意見を頂きましたので、今日はそのリクエストにお答えしたいと思います。

前回の記事(ライブドアの辿っ道 復習編 1)で、「M&Aという手法は、様々な目的で行われますが、それ自体は当然正当な経済活動であり、企業発展の手段として合法的なものです。今回の事件でMAや投資組合・投資ファンド自体が、何かダークなものであるかのようなイメージを一般の人達に抱かせることにならないことを願います」と書きました。では、M&Aの行われる目的とは何でしょうか。その合理性(必要性)はどこに見出されるのでしょうか。「M&A」がMergers and Acquisitions(合併と買収)の略であることは良く知られていると思います。しかし、(「乗っ取り」という言葉に象徴されるように)M&Aが何のために行われ、どのような意義があるのかということに関してはまだ誤解が多いのではないでしょうか。

本来的なM&Aの意義として、企業が他の企業を合併したり買収したりすることによって、スケールメリット、シェア拡大メリット、多角化メリット、シナジー(相乗)効果、といった効果を上げることが出来ます。もちろんこれらの効果は必ずしもM&Aという手段を用いなくとも実現は可能ですが、M&Aを利用することにより一から始めるよりコストが低く抑えられる(要する時間も短くて済む)という利点があります。

こういった効果を期待してのM&Aは合併・買収される側にとってもメリットとなる場合も多く、所謂「友好的合併買収」となるケースが多いと思われます(もちろん目的だけで買収される側が合意するとは限りませんが。オリジン東秀とドンキホーテのように)

もちろんM&Aの目的はこれらだけではありません。投資(投機)目的でのM&Aもあります。要は安く買って高く売るということです。会社の現存価値(純資産額)に比較して株式時価総額が安い(IR=対投資家広報活動や配当を十分行ってこなかったような会社ではよくあるケース)会社を買って資産を売却する、あるいは株価を上昇させて売却し差益(キャピタルゲイン)を得る、又は業績不振の会社を買って再建(リストラクチャリング)して、高く売る(上場する等)場合等があります。

これらの目的の場合は当然合併・買収される側の企業とは思惑が異なる場合が多くなり、所謂「敵対的買収」となるケースが多いでしょう。

ライブドアの場合、元々はウエブサイト構築の会社としてスタートしたのですが、その後M&Aにより金融その他広汎な業種の企業を傘下に収めて急成長して来ました。堀江氏は最終的には「世界一の」コングロマリットを目指しているという意味の発言もしていたようです。M&Aをビジネスの拡大・発展の手段として用いてきたのですが、一連の様々な「手法」が今回の事件で明るみに出てきましたため、その真の目的がどこにあったのか今となっては不明です。

次にこういった目的で行われるM&A、一口に合併・買収といいますが、その手法は幾つかに分かれます。合併、株式の買取、新株発行(引受)、株式交換、営業譲渡等が主なところです。

合併とは、合意により二個以上の会社が一つの会社になることです。これによって当事者である会社の一部又は全部が解散し、その財産が包括的に存続会社または新設会社に移転するとともに、その社員(株主)が存続会社または新設会社の社員(株主)となる効果が生じます。

一つの会社が存続して他の会社が解散する吸収合併と、全ての会社が解散して新たに会社を設立する新設合併とがありますが、実際に行われている合併の大半は吸収合併です。

株式の買取は、文字通り会社が株主から株式を買取るという手段ですが、上場会社ではこの買取方法に関する規制がなされています(詳細は後述いたします)。

株式交換は、完全親子会社関係を創出する手段として(金銭による買取ではなく)新株の発行または自社株式の譲渡を用いる方法です(これに関しても詳細は後述いたします)。

営業譲渡は、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値ある事実関係を含む)を譲渡し、その財産によって営まれていた営業活動を受継がせる行為を言います。

営業譲渡は合併に比べ譲り受ける営業財産を限定できる(欲しくない部門は譲り受けない)というメリットがあります。その反面合併のような包括承継ではないため、個々の財産についての移転行為や対抗要件の取得が必要されるというデメリットがあります。

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2006年2月 5日 (日)

ライブドアの辿った道 復習編 2 投資事業組合によるマネーライフ株取得

2004年6月にVLMA2号投資事業組合がマネーライフ株を全株取得しています。ここでいう「投資事業組合」というのは複数の投資家から資金を集めて投資・運用して利益を投資家に還元(分配)するしくみ(ファンド)を組合によって形成しているものです。

ファンドとして利用されるのは組合だけでなく、会社(株式会社や有限会社)や、資産流動化法上のSPC(特定目的会社)や投資法人、信託などがありますが、ここでは組合についてご説明致します(他の形態については稿をあらためてご説明したいと存じますが、簡単な説明はさい)。

組合が用いられるのは、会社などの法人に比べて小規模(投資家の人数の少ない)で短期間(10年程度)の投資に適しているからです。

組合としては民法上の任意組合、商法上の匿名組合、特別法上の投資事業有限責任組合、有限責任事業組合(所謂日本版LLP)といったものがあります。

民法上の任意組合とは「各当事者が出資を為して共同の事業を営むことを約する」ことによって成立する「契約」と定義づけられます(民667Ⅱ)。

一般に良く知られている例としては建設などのジョイントベンチャーや映画などの「製作委員会」などがあります。

任意組合の特徴としては①共同事業性、②無限責任、③財産が組合員(出資者)全員の共有になる④持分の譲渡に他の出資者の同意が必要、⑤利益分配は出資額に応じて決まる、といったところが上げられます。

匿名組合は出資だけをして、事業活動については表に出てこない者がいる形態です。「当事者の一方が相手方の営業のために出資をなしその営業より生ずる利益を分配すべきことを約する」契約と定義されます(商535)。

匿名組合の特徴としては①事業(運用)活動は営業者だけがおこなう、②有限責任、③財産は営業者に帰属する④利益分配額は契約によって決定、⑤出資者と営業者との二者間契約であり、出資者相互間の関係はない、といったところです。

投資事業有限組合とは投資事業有限責任組合法という特別法によって認められている組合形式ですが、そもそもは任意組合方式では無限責任がネックになり機関投資家の投資が得にくかったところから、平成10年に新しく作られた制度です(当初は中小企業の未公開株式に投資対象が限定されていたが、平成15年に対象を拡大)。

投資事業有限責任の特徴としては、①有限責任、②財源規制(債務超過時の利益分配の禁止)、③投資家の数の限定、④企業内容の開示制度(登記、決算書類の備置・閲覧の制度)、⑤会計監査人の監査の義務付、などがあります。

組合には法人格はありませんが、一つの団体性を有しますので、出資者とは独立した存在として捉えられます。また、任意組合や匿名組合は登記のような公示手段が設けられていませんし、そもそも任意の契約ですから法的規制もほとんどありませんでした(昨年の証券取引法の改正で一定の公募的性格を有する組合型ストラクチャーについては証券取引法の規制がなされるようになりました)。

VLMA2号」は新聞報道によると任意組合とされています。

そして「実質的な支配者」がライブドア社であるとされています。「実質的な支配」の有無がどんな意味を持ってくるかの詳細は次の項でご説明いたしますが、会計上の要請と取引所の要請(上場のための要請)の二つの側面で問題になってきます。

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2006年2月 4日 (土)

代表取締役の逮捕と新たな選任~LDMのケースから

ライブドアマーケティング社で、取締役・代表取締役の逮捕にともない新たに代表取締役の選任を行いましたが、その手続きに問題があったのではないかという指摘がありましたのでそれについて少し。

経緯は、同社の取締役6名中3名(代表取締役1名含む)が逮捕され、事実上取締役会に参加できなくなったため、残りの3名のみで新代表取締役を選任し、その後逮捕された3名が取締役を辞任したのですが、選任が定足数を欠き無効ではないかという指摘を受けたため再度取締役会を開いて選任したというものです。

代表取締役の選任は取締役会の決議によって行われますが、その決議の「定足数」(議事、決議をするのに必要とする最小限度の構成員出席数)は、全取締役の過半数とされています(商法260条の2第1項)。

例えば取締役が3人(最低法定数)の会社であれば2人が出席しなければ、取締役会自体が成立しえないということです。

では、今回のケース、つまり取締役数が6人の会社で、3人が逮捕され事実上取締役会に出席できなくなった場合はどうでしょうか。

仮に3人が一定の犯罪で一定の有罪判決を受けた場合は、その判決が確定した時点で取締役としての地位を失います(商法254条の2)。従って取締役数は3名ということになりますので、2名以上の出席があれば定足数は満たします。3人が死亡した場合も同じです。また3人が辞任すれば取締役数は3人になりますから、2人の出席で取締役会は開催できます。

しかし逮捕されたというだけでは取締役の地位を失う訳ではなく、また、辞任前であるため依然として取締役総数は6名であり、取締役会の開催のためには4名以上の出席が必要となります。もちろん逮捕拘留という異常事態であり、会社の適正な運営のために緊急避難的に代表者を選任したことを責めることはできないのですから、選任が有効であると強弁せず、速やかに有効な決議を行えばそれで済んだ事だと思います。

この場合最も現実的な方法としては、逮捕された取締役を急ぎ辞任させ(1人辞任すれば3人で決議可能)、その上で取締役会を開く、あるいは先に代表者の選任決議(無効ですが)を行っておき、辞任後取締役会を開いて追認するという方法が考えられます。事実今回のケースでも翌日には2名(堀江、宮内両取締役)が辞任し(定足数2名)、その後(指摘を受けたためですが)取締役会を開き選任決議(または追認決議)を行っています。

その他の方法としては取締役を解任する、新たな取締役を追加選任する(1人追加して7人となれば、残る3人+新たな1人=4人の出席で可)などの方法も考えられますが、臨時株主総会を開催する必要があり、迅速に行うということは難しいでしょう。監査役で認められたように予め補欠取締役を(定時株主総会で)選任しておく(厳密には員数欠きませんから「補欠」ではありませんが)などの手続きが認められる可能性もあるのではないでしょうか。

ところで、今度の新しい会社法(5月施行予定)ではこの点はどうでしょうか。

まず、公開会社(株式に譲渡制限を全くつけていない会社)以外は取締役会の設置は不要とされておりますし、員数も1名で足りるとされています。

取締役1名の会社でその取締役が逮捕された場合、どうすればよいでしょうか。

この場合は新たに取締役を2名選任する(総数3名)しかないでしょうが、株主数も少ない会社が大半でしょうから、手続き的にはさほど難しいことはないと思われます。

尚、新しい会社法では取締役の欠格事由についても改正が為されました(破産者が外され、犯歴に証券取引法、破産法、民事再生法、会社更生法等に定める罪を追加)が、流石に「逮捕」のみでは欠格にはなりません。

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2006年2月 3日 (金)

ライブドアの辿った道 復習編 1 バリュークリック・ジャパンの買収

先日「予告編」を掲載した「一木勉強会」のセミナーが昨日終わりました。

そこで今日からは「復習編」としてレジュメに補足を加えて(特にもう少しM&Aの基本的なところも聞きたかったという声もありましたので)掲載していきたいと思います。

まず今回のセミナーの機会を与えていただいたDさん、事務局のGさん、そして多くの鋭い質問を寄せていただいた参加者の皆さんに、心から感謝申し上げます(Dさん最後までご迷惑かけてすみません)

さて、今回は「ライブドア事件」として最初の逮捕容疑になったマネーライフ社の買収を中心にライブドアの手法、何を目的にどんなことを行って、何が犯罪行為として摘発されたのかお話させて頂きました。

皆様ご承知のように、ライブドア社はM&A(合併・買収)を繰返して多数の会社を傘下におさめ、急成長してきた会社です。

そしてこのM&Aという手法は、様々な目的で行われますが、それ自体は当然正当な経済活動であり、企業発展の手段として合法的なものです。今回の事件でMAや投資組合・投資ファンド自体が、何かダークなものであるかのようなイメージを一般の人達に抱かせることにならないことを願います。

今回の容疑になった行為もこうしたM&Aの手続きとして行われた行為です。

具体的に見ていきましょう。新聞報道によると、下記のような経緯とされています。

2004年 3月 ライブドアがバリュークリックジャパンを買収、子会社化(社名変更は0506月)

2004年 6月 VLMA2号投資事業組合がマネーライフ株を全株取得

200410月 バリュークリック・ジャパンがマネーライフを完全子会社化する旨を発表

200411  バリュークリック・ジャパンの売上高・経常利益を水増しして発表

200411 バリュークリック・ジャパンの株を100分割すると発表

200412 バリュークリック・ジャパンの株価高騰(ピークの12月には45倍)

2005年 1月 バリュークリック・ジャパンが自社株式とVLMA2号組合の有するマネーライフ社株とを交換(バ社によるマ社の子会社化)

1.        バリュークリック・ジャパンの買収

まず、2004年3月にライブドアがバリュークリック・ジャパン(現ライブドアマーケティング)を買収しています。ここでいう「買収」というのは(株式交換ではなく)株式の取得(買取)です。

これ自体は特に問題にはされていないようです。

株式の買取の方法としては、公開(上場)している会社では市場での買付と市場外での「公開買付」の二つの方法があります。もちろん公開していない会社では、相対での売買ということになります。

「公開買付」とは全ての株主に対して平等な条件で株式を売却する機会を与えるために、広く株主に呼びかけてその持ち株を譲渡させる方法をいいます。「不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付等の申込又は売付等の申込の勧誘を行い、取引所有価証券市場外で株券の買付等を行うこと」と定義されています(証取27の2Ⅵ)。原則として一定の会社の株式について買付後の株式数が総株式数の3分の1を超える場合等に公開買付によることが義務付けられています(証取27の2Ⅰ、所謂3分の1ルール)。

ところで、ライブドアがニッポン放送株の買付について行った「立会外取引」というのがあります。これは市場の開いてない時間についての市場、ToSTNeT-1、2という東証が提供するシステムを利用した取引で、これに関しては(一応市場取引にあたるという解釈から)公開買付は義務付けられていませんでした。これを利用して、大量に買付を行ったわけですが、これは実質的には相対取引であり、公開買付制度の趣旨を潜脱しているということで、証券取引法を改正し、所謂3分の1ルールの適用範囲が広げられ、立会い外取引にも公開買付が義務付けられることになりました。

(今日はここまで)

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2006年2月 2日 (木)

住宅の共有持分はどのように決めるべきか/住宅ローン控除との関係は?

この時期(確定申告前)になると多くなる仕事の一つに、所有者(持分)更正の登記というものがあります。昨日もそのご依頼がありました。そこで今日は更正(訂正)の必要のない共有持分の決め方(住宅ローン控除も関連)についてのお話をさせて頂きたいと思います。

不動産の共有持分割合(不動産を共同で購入したときのそれぞれの所有割合)はどのように決めればよいのですか、と聞かれることが良くありますが、どうすれば良いかという問題ではなく、各人がいくら負担するかによって自動的に決まるものなのです。つまり自分が出したお金に見合った権利を取得するという至極当然のことで、不動産に限ったことではありません。

例えば1000万円のクルーザーを買うのに、一人100万円ずつ出し合って10人で買ったとします。この場合、各人の共有持分は10分の1ずつになるというのはすぐ分かると思います。これが二人で、一人は100万円、もう一人が900万円出したのであれば10分の1と10分の9です。このとき900万円出した人が実は銀行から借金して支払ったとしても同じです。

仮にこのケースで、二人で話し合って、出資額に関わらず持分を2分の1ずつにしましょうということになれば、それは可能です。一人は100万円で500万円分の所有権持分を手に入れ、もう一人は900万円出したのに500万円の持分しか手に入れられないということです。これは900万円出した人が取得している所有権(持分)の内400万円分を100万円しか出していない人に移転(所有権移転)する合意をしたということです。

そしてこの移転を何の見返りもなく行えば「贈与」、金銭を支払えば「売買」ということになります。贈与も売買も自由ですが、税金に注意が必要です。贈与税です。個人から財産の贈与を受けると原則としてがかかります。

従って、持分を移動させる場合には贈与税を支払ってまでするメリットがあるかどうかを十分検討する必要があります。特に相続課税制度は贈与者が65歳以上の親で、相続税の心配がある場合は検討の価値があるでしょう。

さて、冒頭にお話したように、この時期に所有者更正登記や持分更正登記の依頼が多いというのは、以上説明したような検討をせずに持分を決めてしまい、税務署から指摘を受けて出資額どおりの持分に更正(訂正)する(しないと贈与税の対象となる)というケースです。

典型的なのが、収入のない妻(頭金も出していない)に、「内助の功」として持分を半分持たせるという場合です。気持ちは分かりますが、この場合は贈与税の対象となってしまいます(結婚20年以上の場合は所謂控除の利用が可能です)。

その他に利用できる制度として、父母や祖父母から住宅取得資金贈与場合の特例があります。住宅取得資金については先にのべた相続精算課税制度つい特例があります。

そしてもう一つ気をつけなければならないのが、所謂住宅ロー控除です。といいますのは、住宅ローン控除を受けられる金額は自己の持分が上限となるからです。例えば、夫婦が共同して住宅ローンを借りており(連帯債務)、共有名義としている場合、夫のローン負担額が持分を越えていても、控除を受けられるのは自己の持分が限度となります(夫の単独借入れでも同じ)。

たまにあるご質問として、妻は今仕事をしているが、1~2年で退職して子育てに専念したいので、夫がなるべく多く控除を受けられるようにしたいというものがあります。

この場合、夫の単独所有(妻が現金出資をしている場合はそれを除いた部分全部を夫の所有)とし、ローンの返済も夫だけがすれば、夫がローン全額について控除を受けることが可能です。

いずれにしましても、不動産購入時に適正な持分にしておきませんと、後で思わぬ手間とコストの負担を強いられる可能性があります。不動産業者さんや私達司法書士(登記のついでに)にお問い合わせいただくか、税理士さんや最寄の税務署の相談窓口にご相談されることをお勧めいたします。

尚、本文中でリンクさせていただいておりますサイトは国税庁のサイトですので(内容の信頼度は高い)安心してご利用下さい。

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2006年2月 1日 (水)

「権利書」はなぜ大切か。そんな大切な「権利書」が「なくなる」とは。

今日はまたガラッと話題を変えて司法書士らしく(?)「権利書」の話をします。

皆さんが新しく家や土地を買ったときに引渡しから半月ほどすると司法書士から送られてくる書類、「重要書類ですから厳重に保管してください」という意味の事が書いてあります。あれが「権利書」です。正確には所有権登記済権利証。登記しましたという法務局の証明書です。

テレビドラマなどでよく不肖の息子が、親が守ってきた家屋敷の「権利書」を勝手に持ち出して売りとばしてしまい、ある日突然人相の悪い連中が乗り込んできて親達が追い出される、なんて場面をご覧になったことがあると思います。

現実にはそれは起こりにくい(その理由は後でお話します)のですが、いずれにしても不動産の売却や担保設定の登記をする際に必要とされる大変重要な書類です。

その「権利書」が「なくなる」(すでに一部では「なくなって」いる)のです。

といっても現在不動産の所有者の方がお持ちの「権利書」の効力が失われるというわけではありません。それは永久に(売却しない限り)有効です(これは今春の改正会社法で「有限会社がなくなる」と言われているのと似ていますね)。

「なくなる」というのは、新しい不動産登記システムに切り替わった登記所(「オンライン指定庁」といいます)の管轄する不動産を買った場合に、新しく出来てくる権利書がないということです。権利書に代わって渡されるのは一種のコード番号(「登記識別情報」)です。「紙」の権利書ではインターネット時代の手続き(オンライン申請)に乗ってこないということなのです。

そもそも権利書が何故そんなに大事な書類なのかというと、これを持っている人が不動産の所有者である(可能性が高い)から、つまり所有者本人であることの根拠資料になるからなのです。なぜそうなるかというと、登記をすると権利書が所有者に渡されるということが不動産登記法上で保証されているからです。

ただ、権利書が必要とされる理由が、本人であることの証明であるのなら、他の手段で本人性が証明できるのなら権利書じゃなくても良いじゃない?という疑問も出てきます。確かに、不動産取引に限らず「本人確認書類」「身分証明書類」とされる書類は運転免許証をはじめ色々とあります。それらがあれば本人であることがわかるから権利書なんて要らないんじゃないか、ということになりますが、他の書類とは決定的に違う点があります。

それは、例えばAB町に住んでいるXに間違いない(であろう可能性が高い)ということはそれら身分証明書類で分かりますが、そのXさんがこの不動産を持っているXさんだということはわかりません。その点権利書はその不動産の所有者にしか渡されないことになっているので、それを持っているXさんがこの不動産所有者のXさんであるということの根拠になる、というわけです。

もっとも権利書をなくしてしまったとしてもそれに代わる手続きを取れば不動産の売却や担保設定は可能です。じゃー権利書なんて要らないじゃんという議論にもなります。

確かに盗まれて悪用されることを心配しながら厳重に保管しておくのであれば、破棄してしまった方が安心という考え方も出来なくはありません。ただし権利書がある場合に比べて、それに代わる手続きが必要になりますから、売却するときには手間とコストが余分にかかります。

これは権利書に代わって渡されることになる「コード番号」についても同じことが言えます。むしろコード番号だと、権利書以上に厳重な管理が必要です。暗証番号のようなものですから、それを人に見られてしまえば権利書を盗まれたと同じことになってしまうからです。

そこで権利書を破棄するのと同様の手続き、失効制度が設けられていますし、そもそも初めからコード番号はいらないよということも出来ることになっています。

権利書をなくした場合(あるいはコード番号を失効ないし初めからもらっていない場合)、それに代わる手続きについてはまた改めてお話したいと思います。今日は時間切れです、すみません。権利書や運転免許証の偽造や「地面師」の話もしたかったのですが、前置きが長くなってしまいました。

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