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2006年1月31日 (火)

会計参与、会社法施行前の設置は可能?

Q 会社法施行前の会計参与設置決議は可能ですか。可能としてどんな決議になりますか。

会社法が施行になったら機関設計を変更してすぐ会計参与を置きたいのですが、弊社の決算期は12月ですので、定時総会は3月中に開かなければいけないのです。

会計参与を置くためには株主総会の決議が必要と聞いていますが、定時総会の時点では会社法が施行されておらず、新しい会社法に基づく会計参与の設置は出来ないのではないかという疑問が生じるのです。もちろん臨時総会を開くという手もありますが、弊社の場合資本金額の割には株主数が多く臨時総会を開催する手間とコストが馬鹿にならないため、できれば避けたいところなのです。どうでしょうか。何か良い方法はないでしょうか。

A もちろん可能です。

会計参与とは新会社法によって新たに設けられる会社の機関です。税理士や公認会計士を会社の機関に組み入れ、決算書などの計算書類を取締役と共同で作成させる制度(「山田真哉のつまみ食い『社法』」)です。監査の実効性を確保するためにあまり過大なコストをかけられない中小企業を主な対象としたものです。

では会社法施行前に株主総会で定款を変更して「会計参与を置く」旨の規定をおくことは可能でしょうか。

答えはイエスです。ただし、「会社法施行日」を「始期」(会社法の施行は発生することが確実ですので「条件」ではなく「始期」と考えた方が良いと思います。)として定めることが必要です。

また、同様に会社法施行前に株主総会で会計参与を選任することも可能です。この場合も「会社法施行日」を「始期」として定める必要があります。

議事録等の文言としては次の様な表現で良いと思います。

(施行日未定の場合)

定款附則第○○条として「定款第章会計参与(第条より第条)の新設および以下章数および条数の繰り下げは会社法(平成17年法律第86号)施行日を効力発生日とする。なお、本附則は効力発生日後削除する」

「尚、本総会にて選任された会計参与の選任及び就任承諾の効力発生日は、会社法(平成17年法律第86号)施行日とする」

就任承諾書には「・・・・会社法(平成17年法律第86号)施行日をもって就任することを承諾いたします」

(施行日が確定している場合)

定款附則第○○条として「定款第章会計参与(第条より第条)の新設および以下章数および条数の繰り下げは平成18年○○○○日を効力発生日とする。なお、本附則は効力発生日後削除する」
「尚、本総会にて選任された会計参与の選任及び就任承諾の効力発生日は、平成18年○○○○日とする」
就任承諾書には「・・・・平成18年○○○○日をもって就任することを承諾いたします。」

総会開催時期としては3~4ヶ月前でも支障ありませんが、登記で使用する就任承諾書は施行日確定後であって、かつ、なるべく直近の日付のものを添付するようにした方がよいでしょう。実際には日付を空欄にしたものも本総会時に併せて徴求しておき、施行日確定後に本人の了解を取って空欄を補充するという方法が現実的だと思われます。

もちろんその他の新会社法に基づく事項も同様に始期付で決議しておくことが可能です。

・・・・こんな仕事もしているのです。因みにこの本「TAX&LAW事業再生の実務」にも参加しているのです実は。

(もっとも上記の文章はウチの事務所の優秀なタッフ達が下書きをしてくれました)

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