ライブドアが辿った道~事件と論点
今週の木曜日、在京福岡県人の方々の勉強会「一木勉強会」でM&Aについてお話をさせていただく機会を頂戴しました(私は「福岡」ではなく「福島」出身ですが「福」つながりということで・・・?)。テーマとしては、M&Aと商法改正とのかかわりという切り口でお話をさせて頂こうと考えていたのですが、折も折、M&A時代の寵児であったライブドアはいまや「事件」の主役となってしまい、大方の興味は当然今回の事件に移っていると思われますし(もちろんM&Aや投資一般についての否定的評価に結びついて欲しくはありませんが)、私自身「ライブドアの犯罪行為」には大変関心があります。
そこで今回のテーマも、ライブドア事件とは何だったのか(ライブドアの手法、何を目的にどんなことを行って、何が犯罪行為として摘発されたのか)を中心にお話させて頂く事にしました。
というわけで今日はその予習も兼ねて、今回の容疑となった一連の行為をピックアップし、どんな論点があるか概観してみることにしました。
まず、2004年3月にライブドアがバリュークリック・ジャパン(現ライブドアマーケティング)を買収しています。ここでいう「買収」というのは(株式交換ではなく)株式の現金による買取です。新聞記事によると価格は36億円となっております。
これ自体今回は特に問題にはされていないようですが、ニッポン放送株取得時に問題になった「立会い外取引」という論点があります。ここには当然「株式公開買付」(TOB)というキーワードが関連してきます。
次に、同年6月に「VLMA2号投資事業組合」がマネーライフ株を全株取得しています。ここではまず「投資事業組合」とは何か、という素朴な質問が考えられます(もちろん「VLMA」って何っていうのもありますが)。
更に同年10月にバリュークリック・ジャパンがマネーライフを完全子会社化する旨を発表しました。
ここでの手法は株式交換によるものとされています。これもある会社を完全子会社化する方法として近年新しく作られた制度です。
問題はこの手法ではなく、株価を上昇させることを目的に実質的に支配下にある会社を子会社化するというある意味虚偽の発表をしたという点です。これが証券取引上の「偽計取引」にあたるとされているようです。
次いで同年11月には、バリュークリックジャパン社の売上高、経常利益を水増しして発表、所謂粉飾決算を行っています。商法、証券取引法によって罰せられる可能性(特別背任罪、違法配当罪、有価証券報告書虚偽記載罪、偽計取引等)のある行為です。
また同月、バリュークリックジャパンの株式を100分割すると発表しています。株式の分割自体は一株をいくつに分割しようが法律上全く問題はありませんが、これも株価の上昇を目途としたものであり、後に上場株式については証券取引所が自粛を要請する等の対策が講じられました。
そして十分に株価が高騰した後(04年12月には45倍に高騰)、バリュークリックジャパンは「VLMAⅡ」との株式交換によりマネーライフ社を完全子会社とし、「VLMAⅡ」は取得したバリュークリック株を売却して数億円の利益を収めたと言われています。
この利益が最終的には出資者である(間に複数の組合等が介在し、さらに海外の口座や海外証券会社等を利用したマネーロンダリングの疑惑も出ているようですが)ライブドアに還流したという結末のようです。
このようにざっと見ただけでも驚くべき「ストラクチャー」をもって利益を捻出していたことがわかります。勉強の材料も豊富-損失をこうむった方には不謹慎かもしれませんが-ですが、以上の論点についてのご説明や回答は、2月2日の一木勉強会の際に行わせていただきたいと存じます。
一木勉強参加予定の皆様(その他の皆様も)、ご質問やご要望があればこのブログにコメントしていただくか、info@fukudalegal.jpまでメールをお寄せください。
根井先生、もしご覧頂けていましたらご助言を頂ければ有難いのですが(超ご多忙なところ大変恐縮ですが)。
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コメント
どうもご無沙汰しております。また新たな展開してますね。ちょくちょく拝見させていただきます。私の土曜の初オンエアは沢山モザイクがかかってました。今後、うまいオムそばでも食いにいきましょう。
投稿: いとうひで | 2006年1月30日 (月) 10時42分
いとうひでさん、コメント有難うございます。
オンエアは山内さんが録画してあるということなので見せてもらいます。
「オムそば」ときましたか。
では「ソバメシ」と行きますか。
投稿: 天胡星 | 2006年2月 1日 (水) 10時38分