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2017年3月15日 (水)

コンプライアンスを論じる局面

コンプライアンスとは「適法性」と「企業倫理適合性」という二つの概念を併せ持った概念である、と書いたが、新中間省略登記における「適法性」と「企業倫理適合性」とは、(不動産取引における)異なる局面で論じられるべき問題である。

1 適法性が論じられるべき局面
  →新・中間省略登記という手法
2 企業倫理適合性が論じられるべき局面
  →転売という取引形態

しかし一般的には混同して論じられている嫌いがある。

例えば、「新・中間省略登記は土地ころがしを助長する」と言った言い方だ。(「土地ころがし」とは何を意味するのか、非難されるべきことなのかはともかく)、ここには議論の混同(混乱)がある事は間違いない。

土地ころがしとは適法性の問題というよりは企業倫理適合性の問題である。例えば1億円で買った土地を何も加工せずに2億円で転売したとしてもその行為自体が「暴利行為」(公序良俗違反)として無効(民法90条)となる事は情報の氾濫した現代では考えにくい。

この行為を非難するとすれば根拠は法律(違法性)ではなくて、企業倫理適合性である。

そして、土地ころがしが企業倫理適合性を有しているかどうかの議論は中間省略をするか否かとは全く関係しないのである。

このスキーム(買取り再販)自体は買って転売する人が登記しようがしまいが関係なく行われるのだ。仲介から買取り再販に転じるのは中間省略(流通コストの削減)ができるからでなく、安く買って高く売れるからという商売の基本中の基本(アービトラージ)だからである。
つづく

◆このシリーズの第1回はこちら
◆新・中間省略登記小冊子のダウンロードは→こちら
◆もっと詳しく知りたい方は→「新・中間省略登記が図解でわかる本

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