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2017年3月30日 (木)

よくある質問 1 A-B-C順次売買でも使えるのか。

今日からは「よくある質問」。

今日の質問は「A-B-Cと順次売買されている場合でもA→Cという「新・中間省略登記」は使えるのか。」というもの。これは「よくある」というより「かつて少しあった」質問だ。

いまとなっては「当然使える」という答えが当たり前だが(この場合に使えなければ意味がない)、初期の頃は真面目にこれを議論する方もいた。

最初この点に付き異を唱えているかに見えた日本司法書士会連合会及び法務省も現在では見解を改め(或いは意見に関して修正を加え)、AB、BCそれぞれが売買契約を締結していた場合でもこの方式は使えるとしている(平成19年5月30日付日本司法書士会連合会会長通知(追補)、登記研究710号における「修正」)

つづく

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2017年3月29日 (水)

伝統的危険の回避手段 3 保全登記

同時決済による危険軽減が出来ない場合は、「保全登記」を利用する事が考えられる。
例えばAB間の決済を先行して終了しなければならない場合、Bは代金を支払ったにも関わらず所有権はAに留保されたままであり、最も危険の高い状態になる。

この場合、支払済の売買代金の返還請求権を保全するために、(根)抵当権設定登記を行う。もっとも登録免許税(債権額・極度額の0.4%)節約のため、仮登記(不動産1個につき1,000円)で行う事が多い。但し仮登記のままでは対抗力がなく(順位保全効のみ)、実行ができないので、最終的に(信用悪化の時点で)本登記にする必要がある。

つづく

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2017年3月28日 (火)

伝統的危険の 回避手段 2 同時決済

危険を限りなくゼロに近づける方法として最も望ましいのは「同時決済」、即ちAB間とBC間の決済を同時に行うというものである。
これによれば通常のAB間売買と同水準にまで危険は低減する(実際の手順は後述する)

つづく

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2017年3月27日 (月)

伝統的危険の回避手段 1 契約

当該不動産の売買契約そのものの事である。

二重譲渡は売買契約違反(債務不履行)であり、契約解除及び損害賠償の対象となる。

信用悪化や死亡の場合に所有権は当然中間者に移転するという特約を付すことも考えられる。但し、所有権移転登記には売主の相続人全員の協力が必要(協力義務はある)。

つづく

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2017年3月25日 (土)

「伝統的な危険」は回避されている

「伝統的」な危険に関しては回避手段(後述)を講じることにより実務上は回避されている。

次の回避手段である。
1 契約(特約)
2 同時決済
3 保全登記
この回避手段についてはこの後記載するが、むしろ実務上は「伝統的危険」以外の点で危険が現実化している。
中間省略未開領域が依然として存在する一方で、先進領域では「慣れ過ぎ」による問題が発生しているのである。
この点の詳細は「トラブル実例」として後述する。

つづく

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2017年3月24日 (金)

旧中間省略登記における「伝統的危険」

伝統的危険はAに所有権を留保する事によって発生する危険であるがこれは旧中間省略登記でも同じように発生し得る危険であった。

旧中間省略登記の場合、所有権はAからBに移転しており登記のみが留保されるのであるが、BまたはCに登記を移転しない限り、第三者Bに「対抗」(権利を主張すること)する事ができず(民法177条)、結果B及びCは(一度得た)所有権を失ってしまうのである。

結局所有権を移転していない新・中間省略登記と同じ危険にさらされるのである。

※民法177条:不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

つづく

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伝統的危険

新・中間省略登記に危険はないのか。

結論からいうと、危険はある。但しそれを最小限にすることは可能である(「危険回避手段」参照のこと)。

「新・中間省略登記」という方法を用いるにあたっては、危険発生の可能性の高さ(当初所有者の信頼度、資力等と危険回避措置の有無)と得られる利益を比較考量した上で、この手段を選択するかどうかを決することが必要である。

但し、この点は旧・中間省略登記でも全く同じであった。

これを「伝統的危険」と呼ぶ。

170324
「新・中間省略登記」では、Aに所有権を留保する以上最終的にCまたはBが所有権を取得できないという危険が通常の売買より高まる。
繰り返すが、この危険は中間省略登記でも全く同じレベルで発生していたのである。

つづく

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2017年3月22日 (水)

(コンプライアンス)暴利行為を助長? (2)

不動産を1億で買って2億で売る行為や、いわゆる「ころがし」も、それだけで即暴利行為にあたるとは必ずしも言い難い。

ただし、それらが企業倫理上どう評価されるべきかは別の問題である。

例えば、中間にBが入る事によってA又はCに何のメリットももたらさない場合は仲介を禁止している大手仲介会社もある。

尚、仮にその取引が企業倫理上非難すべきものであるとしても、企業倫理上問題とされるのは、「転売」という取引形態について向けられた批判(時に感情的な)であり、「中間省略登記」及び「新・中間省略登記」という手法に向けられるべき批判ではない。

つづく
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2017年3月21日 (火)

(コンプライアンス)暴利行為を助長?

「4 暴利行為(公序良俗違反であり無効、民法90条)を助長する」という主張に対する反論。
「暴利行為」とは「他人の窮迫、軽率もしくは無経験を利用し著しく過当な利益を獲得する事を目的とする行為」であり、公序良俗違反(民法90条)として無効とされる。
例えば法外な金利を取ったり、貸し金の2倍以上の担保を実行したりする行為などである(現在はこれらは特別法で規制されている)。

不動産を1億で買って2億で売る行為や、いわゆる「ころがし」()も、買主が売主と対等の立場で、不動産価格に関する情報も自由に入手できる状況(詐欺的な行為がない)である以上、暴利行為にあたるとは言い難い。

ただし・・・・(次項参照)

※この場合の「ころがし」とは、転売に際して何の付加価値も付けない事を意味する。本来転売とはそういうものだ。卸と小売りの関係がその典型だ。

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(コンプライアンス)不自然で技巧的?

「これまで不動産売買の局面であまり使われて来なかった手法である「第三者のためにする契約」などというものを用いるのは技巧的に過ぎ不自然である。」という主張についての反論。

この「主張」は、全て「契約自由の原則」という回答の下に沈黙を余儀なくされざるをえない「雑音」に過ぎない。法律論ではないのである。
 ※契約自由の原則とは「私人間の権利義務の関係は私人同士の契約によって自由に決定する事ができる」という、民法の大原則の一つである。
  ※かつて、所有権移転登記の登録免許税の免脱的な手法として共有物分割を用いるものがいた(現在は税法の改正により不可能)が、これの問題点は、登記が実体と異なった点にある。そもそも共有物分割契約自体が存在しないのである。

つづく

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2017年3月20日 (月)

公的承認を支える価値判断

政府の公認の根底には、規制改革・民間開放推進会議の2006年12月の第三次答申及び規制改革会議の2007年5月の第一次答申において表明された、次の様な価値判断がある。
 「中間省略登記(または代替手段)による不動産流通課税の軽減は土地・住宅政策の観点から必要かつ有益なものである」
 即ち、(現政権流に言えば)新中間省略登記は「成長戦略」の一環なのである。

つづく

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新・中間省略登記の適法性:公的承認

ここでいう「公的承認」とは、次の事を意味する。

自民党政権での内閣総理大臣の諮問機関である規制改革・民間開放推進会議(当時。現在は規制改革会議)で検討が重ねられ、結果として「中間省略登記は有益であるから認めるべきである」という内容の答申が、2006年12月の第三次答申でなされた。
それを受けた内閣総理大臣が同年同月閣議決定によって答申を承認した。
閣議決定を受けて各公的機関が順次承認した。次の通りである。

1 法務省
   2007年1月10日法務省民二第52号民事第二課長通知
2 日本司法書士会連合会
   2007年5月30日付会長通知(追補)による承認
   同年12月12日「直接移転取引に関する実務上の留意点について」を各単位会を通じて配布。
3 国土交通省
   宅建業法上の疑問を解消するため省令を(宅建業法施行規則)改正    
   (2007年7月10日公布・施行)。
 ※「規制改革会議」の2007年5月の第一次答申でもとりあげられた。

つづく

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2017年3月19日 (日)

中間省略登記の適法性 (3) 司法書士会

ここまで、適法性の根拠として最高裁と法務省を取り上げたが、最後は司法書士会である。

実は司法書士会は中間省略登記を一定の要件(※)の下で承認していたのである。承認の根拠は以下の通り。

 1 登記を申請するかどうかは当事者の任意

 2 中間省略登記は結果的に有効であり違法でもない

 3 中間者を登記する事に実益は乏しい

 4 古くから司法書士が受託して来た

※一定の要件

 1 A→B、B→C の売買契約がそれぞれ存在している事

 2 中間省略登記についての当事者全員の同意がある事

 3 当事者全員に中間省略登記を拒否する正当な理由がない事。

以上、東京司法書士会会報「司法の窓」第73号(‘90)より

東京司法書士会作成のマニュアル「立会ノート」には「中間省略登記承諾書」(ABC三者が署名捺印)のひな型も登載されている。

つづく

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中間省略登記の適法性 (2) 法務省

次に(旧)中間省略登記の適法性の根拠となるのが、法務局・法務省の取扱いである。

法務省は中間省略登記を命ずる確定判決がある場合はそれに基づいて「中間省略登記」を実行するという取り扱いを認めている。
1 判決の主文において中間省略登記を命じており、かつ主文に登記原因が明示されている場合(S35・7・12 民甲 1581 号回答)
2 判決の主文において中間省略登記を命じているが、主文に登記原因が明示されていない場合でも、
  イ 中間および最終の登記原因に相続、遺贈、死因贈与が含まれておらず、かつ
  ロ 最終の登記原因およびその日付を申請情報の内容として登記の申請がされた場合(S39・8・27 民甲 2885 号通達)

つづく

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2017年3月18日 (土)

適法性の根拠 (1) 最高裁判所

ではまず適法性(脱法行為でないか)から検討しよう。

新・中間省略登記は言うまでもなく適法である(脱法行為などではない)。
その根拠は単純である。そもそも旧・中間省略登記が適法だからである。

その裏付けとなるものとしては最高裁の判例、法務省・法務局の先例がある事はこれまで何度も説明して来たが、実は司法書士会も(旧)中間省略登記を適法であると承認していたのである。

ではまず最高裁判所の判例について見てみよう。

確かに不動産物権変動の過程を登記簿上に反映させる事が不動産登記制度の原則である(最高裁)。

しかし、一方で最高裁は次の事を認めている 

① 中間省略登記も一度なされて、その登記が現在の実体関係を正しく反映している限りその登記は有効であり誰もその無効や抹消を主張し得ない。

② 中間者の同意があれば最終取得者から現所有権登記名義人に対して中間省略登記を請求する権利がある。

つづく

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2017年3月16日 (木)

コンプライアンスを盾に何を主張する?

では、コンプライアンスを根拠にどんなことが主張されて来たか見てみよう。

1 登記申請が受付けられない、つまり「違法」な「中間省略登記」と同一の目的を達するための手法つまり「脱法行為」である。

2 これまで不動産売買の局面であまり使われて来なかった手法である「第三者のためにする契約」などというものを用いるのは技巧的に過ぎ不自然である。

3 売買代金を支払ったのに所有権を取得しないというのは、取引態様として一般的でないから認めるべきでない。

4 暴利行為(公序良俗違反であり無効、民法90条)を助長する。

5 倫理的にも、「土地ころがし」や(「暴利行為」とまでいえなくても)不当な価格での取引を助長するものであり社会的に非難されるべきものである。

つづく

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2017年3月15日 (水)

コンプライアンスを論じる局面

コンプライアンスとは「適法性」と「企業倫理適合性」という二つの概念を併せ持った概念である、と書いたが、新中間省略登記における「適法性」と「企業倫理適合性」とは、(不動産取引における)異なる局面で論じられるべき問題である。

1 適法性が論じられるべき局面
  →新・中間省略登記という手法
2 企業倫理適合性が論じられるべき局面
  →転売という取引形態

しかし一般的には混同して論じられている嫌いがある。

例えば、「新・中間省略登記は土地ころがしを助長する」と言った言い方だ。(「土地ころがし」とは何を意味するのか、非難されるべきことなのかはともかく)、ここには議論の混同(混乱)がある事は間違いない。

土地ころがしとは適法性の問題というよりは企業倫理適合性の問題である。例えば1億円で買った土地を何も加工せずに2億円で転売したとしてもその行為自体が「暴利行為」(公序良俗違反)として無効(民法90条)となる事は情報の氾濫した現代では考えにくい。

この行為を非難するとすれば根拠は法律(違法性)ではなくて、企業倫理適合性である。

そして、土地ころがしが企業倫理適合性を有しているかどうかの議論は中間省略をするか否かとは全く関係しないのである。

このスキーム(買取り再販)自体は買って転売する人が登記しようがしまいが関係なく行われるのだ。仲介から買取り再販に転じるのは中間省略(流通コストの削減)ができるからでなく、安く買って高く売れるからという商売の基本中の基本(アービトラージ)だからである。
つづく

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2017年3月14日 (火)

コンプライアンスとは

さて、次に論じるのは新・中間省略登記のコンプライアンス適合性だ。

まず、コンプライアンスとは何か。

コンプライアンスとは、直訳すれば「法令遵守」ということであり、ある経済活動が「適法性」を有しているかどうかの問題であるが、さらに企業に対しては社会的存在としての高い倫理観が求められる。

ここでは、コンプライアンスという用語を「適法性」と(適法性を前提とした上での)企業倫理適合性という2つの意味で用いる。

※例えば不動産業界のトップ企業の一つである三菱地所グループでは次の様に宣言している。「コンプライアンスを法令の順守だけではなく、『企業倫理』『社内ルール』の順守と定義しています。企業としての社会的責任を果たすため、ステークホルダーとの信頼関係を構築すること、利益の基礎にはコンプライアンスがあること、この基本認識に基づき、経営の最優先課題としてコンプライアンスの強化に取り組んでいます。」(同社ウェブサイトより)。

つづく

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2017年3月13日 (月)

異時決済の場合の意思確認

・ Bは転売目的でAから不動産を買い、転売先が見つかる前に売買代金全額をAに支払って登記に必要な書類(権利書や印鑑証明書等)をすべてAから預かったが、所有権はAに留保したままにしておいた。その際司法書士Xが立会ってAの本人確認・意思確認も行った。

・ その後転売先がCに決まり、AからCに直接所有権を移転する登記(新・中間省略登記)を行うに際し、今度はC(または金融機関)の要請でXとは別の司法書士(Y)が立ち会う事になった。

・ この場合Y司法書士はAの本人確認・意思確認を行う必要があるのか、という質問だ。

・・・・答えははっきりしている。司法書士会の会則及び犯罪収益移転防止法によれば、この場合もY司法書士はAの本人確認・意思確認(原則面談)をしなければならないのである。

つづく

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同時決済の流れ 2(自己資金を用意しない場合) 下

前回の図(下記に縮小)を見て頂ければ、あまり解説の必要はないと思うが念のため。

170312_2「1」との違いは代金支払いの順番である。BからAへの代金支払いよりもCからBへの代金支払いが先に行われている。これによってBは自分で資金を用意しなくても売買代金を支払うことが出来る。

通常は権利移転と売買代金支払いが同時(引き換えに)行われるが、この場合BC間については代金支払いが先に行われる。極めて変則的な取引である。

しかし通常は司法書士によって同時性が担保されるため、当事者(C)は特に不安を抱く事もなく売買代金を支払う事になる。

この点は実務上あまり問題にはならない。

問題になるのはAの不利益であるが、これについては後述する。

つづく

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2017年3月12日 (日)

同時決済の流れ 2(自己資金を用意しない場合) 上

中間者Bが自己資金を用意しない場合の流れである。

170312_2

つづく

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同時決済の流れ 1(自己資金での支払い) 下

少し解説しよう。

170311_2 次の「同時決済の流れ2」との違いは、「1」では中間者Bが自己資金(Aに支払う売買代金)を用意する必要があるという事だ。

どんな売買でも買主は自分で売買代金を用意するのは当然だ。現金で用意できなければ金融機関から融資を受けて用意する。

従ってこの「1」の流れが本来の流れであるといって良いのだ。

しかし、この「再販スキーム」では必ずしも自分で売買代金を用意する必要なないのだ。
つまり、先に転売先のCから売買代金を受領して、その中からAに対する売買代金を支払えばよい。

つまり、Bは資金力がなくても不動産を買う事ができるのだ。

これが次に解説する「同時決済2」の流れである。

賢明な読者は気が付いていると思うが懸念通りのトラブルが最近起こっているが、この点は後述する。

つづく

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2017年3月11日 (土)

同時決済の流れ 1(自己資金での支払い) 上

同時決済のうち、Bが自己資金で先に(Cから売買代金を受け取る前に)Aに売買代金を支払う場合の流れである。

170311

つづく

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他人物売買

他人物売買とは自分のものでない財産権を対象とした売買契約のことである。

民法で他人物売買は有効とされている(560条~)。売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う。

例えば貴方が友達と六本木の街を歩いていて六本木ヒルズ(森タワー)の前を通りかかったとしよう。あなたは友達に、「このビルを君に1000万円で売ってやるよ」と言ったところ、友達は「それは安い、買うよ」と答えた。
これで売買契約は有効に成立するのである。つまりあなたはこのビルの所有権を友達に移転する義務を負い、友達は1000万円を払う義務を負う事になる。

新・中間省略登記でも第二の売買(BC間の売買)は他人物売買である。売買の対象は売主Bの所有でない(Aの所有する)不動産だからである。従ってBはAから所有権を取得してCに移転する義務を負う(この点は議論の対象になったが、詳細は後述する)。

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2017年3月10日 (金)

特約 (5) 第三者の弁済

第二の売買(BC間)の特約である。

第三者の弁済とは、債務者でない第三者が債務者の債務を弁済(履行)することである。
代替性のある債務は原則として第三者が弁済することができる(民法474条)。

□債務者=B・・・前回の「履行の引受」と全く同じである。
□第三者=A・・・前回の「履行の引受」と全く同じである。

つまり、履行の引受(AB間での取り決め)と同じ事象について違う当事者同士(BとC)で取り決めたという事である。

「新・中間省略登記」では、Bの所有権移転義務をAが第三者として弁済することをBC間で約束する。

つづく

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特約 (4) 履行の引受

第一の売買の四番目の特約である。

履行の引受とは、債務者でない第三者が「第三者の弁済(=履行)」をすることを債務者との間で約束することである。

新・中間省略登記における「配役」は次の通りである。

□債務者=B・・・債務はBC間の売買契約に基づいてBが負うCへの所有権移転義務である。

□第三者=A・・・債務者でない第三者、であり、第三者のためにする契約における第三者とは全く別物である。

新・中間省略登記では、Bの所有権移転義務をAが第三者として履行することをAB間で約束する。ここに「履行の引受」がある。

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2017年3月 9日 (木)

特約 (3) 受益の意思表示の受領委託

第一の売買(AB間)の第三の特約である。

第三者のためにする契約では、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示する事が効力発生要件とされている(民法537条2項)。CがAに対して受益の意思表示をするという事である。
しかし新・中間省略登記が行われる場面ではAとCが直接顔を合わせる事を想定していない場合が多い。例えばAの所有する不動産をBが買取りCに転売するケース(買取再販)である。

AとCは直接の当事者ではなく(それぞれBとの間の別個の売買契約によって条件を設定)、引き渡しや代金支払いも同時だがAC間で直接行われる事はない。決済場所もそれぞれ別の部屋が用意される。

そこで、本来Aに対して表示すべき受益の意思表示をBに対して行えば足りるように取り決める(必須ではない)。方法としては、受益の意思表示を受ける権限をBに譲る(受領を委託する)という事になる。

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2017年3月 8日 (水)

特約 (2) 所有権留保 下

売買契約書を作成する目的は、一般的には後日の紛争を防止するため、即ち契約当事者の間に生じうる争いを出来得る限り回避するためであると言われる。

しかし新・中間省略登記の場合はさらにもう一つの目的がある。

即ち、課税当局に見せるという目的である。不動産取得税の課税当局(都道府県)から中間者Bが不動産取得税の納税を求められた際に契約書(特約条項)を提示して、Bに所有権が移転しない事を示す必要があるのである。

この様に(書面で指定しない限りBに所有権は移転しない)と定めてある以上Bへの所有権移転を主張する側は書面による指定が行われたことを証明しなければならない。

Bが不動産取得税の納税を求められるという事は実際に起こっている事であり、この規定はそれを防ぐために非常に重要な意義を持つ。詳しくは後述する。

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2017年3月 7日 (火)

特約 (2) 所有権留保 上

第一の売買(AB間の売買)の2番目の特約である。

通常の不動産売買では買主が売買代金全額を支払うのと引換えに売主は不動産に関する一切の権利を買主に移転する。

しかし、新・中間省略登記では、第一の買主B(第三者のためにする契約の要約者)が売買代金全額を支払った後でもBが第三者(またはB自身)(第三者のためにする契約の受益者)を所有権移転先として指定し、第三者が売買代金を支払うまでは所有権をBに移転させず、依然としてA(第三者のためにする契約の諾約者)が所有権を有するものとする。
これは、1番目の特約に規定された内容である。

2番目の特約(「所有権留保」)は、さらに念入りに、「書面によって指名しない限りBに所有権は移転しない」とする。
なぜわざわざこんな規定を置いたのだろうか?

つづく

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2017年3月 6日 (月)

特約 (1) 第三者のためにする契約 下

生命保険の契約を売買契約に置き換えて考えてみると、
保険会社A→売主A
保険契約者B→買主B
保険金受取人C→Bから転売を受ける第三者C
という事になる。
AB間の売買契約の中で、(保険金が妻Cに直接支払われる様に)所有権をAからCに直接移転する事を定める(特約)
これが売買契約における第三者のためにする契約である。
この点以外、AB間の売買契約は通常の売買契約と何ら異なるところはない。つまり、BはAに売買代金を支払うし、AはBに不動産を引き渡す。所有権だけが(通常はAからBに移転するのだが)第三者のためにする契約によってAからCに直接移転するだけの違いである。
尚、当然BとCの間にも売買契約が存在する。BがAから買った不動産をCに売却するという契約である。
この売買契約は常に他人物売買である。

つづく

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2017年3月 5日 (日)

特約 (1) 第三者のためにする契約 中

(生命保険契約・・・前回の図解参照)

保険会社A
保険契約者兼被保険者(保険に入る人)夫B
保険金受取人妻C

1 BはA保険会社の生命保険(死亡保険)に入る事にした。つまりAとBが保険契約を締結した。
              ↓
2 その保険契約の内容として、保険金の受け取り人を妻Cにする事を取り決めた。
              ↓
3 Bが亡くなった=A社はCに保険金を支払う義務が生じた(CはAに対して、自分に保険金を支払えという権利を取得した)。
              ↓
4 AはCに保険金を支払った

ここで注目して欲しいのは、Cが保険金支払い請求権を取得するためにCは一切契約に関与していないという事だ。

契約当事者でない(第三者である)Cが保険金支払い請求権を取得したのは、AとBとの間の契約でその様に取り決めていたからである。

これが「第三者のためにする契約」である。

これを売買契約に置き換えて考えれば良い

つづく

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2017年3月 4日 (土)

特約 (1) 第三者のためにする契約 上

では、「取り決め」即ち特約の内容について見て行こう。

先ず第一は「第三者のためにする契約」である。

これについては民法に規定がある。537条が次の通り定めている。「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する」

分り易くいうと、契約当事者の一方(A)が第三者(受益者)(C)に対して直接契約に基づく債務の履行をすることを契約の相手方(B)に約束する契約ができ、Cは直接Aに履行の請求ができる、という事である。

生命保険の契約に例を取って考えるとわかりやすい。

170304

つづく

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2017年3月 2日 (木)

どうやって行うのか ポイント

やり方のポイントを図解すると次の様になる。

Photo

つづく

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