登記システムの変更(旧・中間省略登記が出来なくなった理由)
前回、不動産登記法の改正による登記システムの変更によって旧中間省略登記が出来なくなったと書いた。
この「登記システムの変更」とは何だろうか?
旧不動産登記法の下では、登記の申請をするにあたって登記原因を証する書面(原因証書)を提出する事が必須ではなかった。
原因証書とは登記原因(登記の原因となる事実または法律行為)を記載した書面である。
例えばA所有の不動産をBが買って、さらにBがCに売った事により、所有権がAからB、BからCと順次移転した場合には、その内容が記載された書面が原因証書となるが、これを提出しなくても登記の申請が可能だったのである(下図)。
ところが不動産登記法の改正により原因証書(新法下では登記の申請がインターネットで行われる場合も包摂して「登記原因証明情報」)の添付が必須になった。原則として形式的審査のみ(※)である登記手続においてできるだけ登記の信頼度を高めるためである。
つまり、A→B→Cと順次売買され、所有権がA→B→Cと転々移転した場合は、その内容を記載した書面を提出しなければならない。この場合にAからCに売買を原因として所有権が移転したという登記申請を行うと、申請内容と提出した書面の内容が異なる事が判明するため登記は受け付けられない(却下される)のである(下図)。
※登記の形式的審査=登記の受否を審査する登記官は原則として提出された書面を形式的に審査する権限しか持たない
これで、中間省略登記が事実上も出来なくなった。
つづく
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