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2017年2月28日 (火)

どうやって行うのか (2)

Bに所有権を移転させずAからCに直接移転させるにはどうするか。

それは当事者同士でその様に取り決めればよいというだけの事である。

契約自由の原則という民法(私達私人同士の関係を規律する最も基本的な法律)の大原則がある。契約、つまり当事者同士の取り決め(合意)によれば原則として(違法・不当な事でなければ)何でも決められるという事だ。

つまり、所有権を誰が取得するか、という事も当事者(売主と買主)同士で自由に決められるという事である。

具体的には売買契約書にこんな内容の特約を入れる事になる。

170228

つづく

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2017年2月27日 (月)

どうやって行うのか (1)

新・中間省略登記の効果については前回までのシミュレーションでご理解頂けた事と思う。では次にその方法、つまりどうやって新・中間省略登記を行うのかについて見て行こう。

前に、不動産登記法の原則について触れた。「権利変動の過程を忠実に登記に反映する」というものである。旧・中間省略登記はこの原則に反するから元来受け付けられないという事も述べた。
そこで新・中間省略登記では、これまでA→B→Cと順次移転していた所有権を、Bへの移転を省略してAからCに直接移転させることにより、「中間省略」を不動産登記法の原則に沿ったものにするのである。

これにより中間者Bへの所有権移転登記の登録免許税はもちろん、所有権を「取得」しないからBの不動産取得税も課税されないことになる。

では、Bに所有権を移転させずAからCに直接移転させるのはどの様な方法によって行うのであろうか?

それを端的に言えば、「その様に取り決める」というだけの事である。

つづく

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2017年2月26日 (日)

節税シミュレーション ④ 新築ワンルーム(専有卸)(下)

事例4の新築ワンルームの専有卸では元々Bの登録免許税率は低いので新・中間省略登記による節税効果は他の場合と比較して相対的に低いと述べた。

しかしこのケースではCの登録免許税も軽減されるという効果も付加される。

つまり、新築マンションの場合、通常の売買ではA→B→Cと順次売買されるとBが「所有権保存登記」(税率0.4%)をし、続いてCが「所有権移転登記」(税率2%)を行う。

しかし新・中間省略登記ではBには所有権が移転せずCに直接所有権が移転するためCが税率の低い「所有権保存登記」をする事になる。従って2%の税率が0.4%で済むという効果がある。

この事例では17万5000円の登録免許税が9万5000円になるので、節税効果8%である。

BとCの削減額を合わせると全体での節税効果は4.2%という事になる。

つづく

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2017年2月25日 (土)

節税シミュレーション ④ 新築ワンルーム(専有卸)(上)

節税シミュレーションの4つ目は新築ワンルームマンションの専有卸である。

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固定資産評価額は土地500万円、建物500万円、計1000万円。

A→B→Cと順次この土地が売買された場合、通常の売買であればBの負担する不動産取得税は22万5000円(土地=評価×1/2×3%、建物3%)、登録免許税は9万5000円(土地1.5%、建物0.4%)である。

しかし、新・中間省略登記で行えばいずれも発生せず(0円)、削減効果は3.2%である。これだけ削減効果が低いが、これはそもそもBの負担する登録免許税率が低い(0.4%)からである。新築の場合買主の登記は「所有権保存登記」(初めて所有権の登記を行う事)であり、登録免許税率も「移転登記(2%)よりも低く定められている。

しかし専有卸の場合はCが負担する登録免許税も節減になる。

つづく

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2017年2月24日 (金)

節税シミュレーション ③ 収益ビル

節税シミュレーションの3つ目は収益ビル(オフィス及び店舗)である。

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固定資産評価額は土地3億円、建物2億円、計5億円。

A→B→Cと順次この土地が売買された場合、通常の売買であればBの負担する不動産取得税は1250万円(土地=評価×1/2×3%、建物4%)、登録免許税は850万円(土地1.5%、建物2%)である。

しかし、新・中間省略登記で行えばいずれも発生せず(0円)、削減効果は4.2%である。

つづく

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2017年2月23日 (木)

節税シミュレーション ② 中古ファミリーマンション

節税シミュレーション2つ目は中古のファミリーマンション。

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固定資産評価額は土地1250万円、建物1250万円、計2500万円である。

A→B→Cと順次この土地が売買された場合、通常の売買であればBの負担する不動産取得税は56万2千500円(土地=評価×1/2×3%、建物3%)、登録免許税は43万7千500円(土地1.5%、建物2%)である。

しかし、新・中間省略登記で行えばいずれも発生せず(0円)、削減効果は4.0%である。

つづく

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2017年2月19日 (日)

節税シミュレーション ① 非宅地

前回は新・中間省略登記によって削減される(発生しなくなる)2つの流通税即ち不動産取得税と登録免許税の基本(税率)について説明した。今回は実際にどの程度の金額の削減になるのかシミュレーションをしてみよう。

まず一番わかりやすい非宅地評価の更地の例から。

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固定資産評価額100億円の更地(非宅地、例えば山林)である(そんな土地が実在するかどうかはともかくとして)。
A→B→Cと順次この土地が売買された場合、通常の売買であればBの負担する不動産取得税は3億円(3%)、登録免許税は1億5千万円(1.5%)となるが、新・中間省略登記で行えばいずれも発生せず(0円)、削減効果は4.5%である。

つづく

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2017年2月17日 (金)

新・中間省略登記の効果=流通コスト削減

ここまで、新・中間省略登記のポイント、重要基本事項について解説した。今日からはこの手法の効果について解説する。

新・中間省略登記の効果は、流通コストの削減である。ここでいう流通コストとは所謂流通税のうち中間者が通常負担する不動産取得税と登録免許税を指す。

では、新・中間省略登記による削減(不発生となる)対象となる二つの税金の基本からおさらいしておこう。

1 不動産取得税

 (非宅地)    固定資産税評価額×3%(※)
 (宅地)         〃    ×1/2×3%(※)
 (住宅)         〃    ×3%(※)
 (住宅以外の家屋)   〃    ×4%
 ※平成20年4月1日~平成30年3月31日の取得

2 登録免許税(所有権移転) 

  固定資産評価額の2%
  (土地の売買のみ当面(※)1.5%)
 ※平成29年3月31日までの登記申請(2年延長の見込み)

尚、所得税、法人税、消費税は削減対象とはならない。
新・中間省略登記の目的は中間者への流通税課税を(所有権も登記も取得しないという中間者のリスクと引き換えに)削減する事により、不動産取引を活性化させる事にある。従って、中間者の流通税以外の削減は意図していない。
また、この手法のしくみも中間者に所有権を取得させないという点以外は通常の売買と何ら異なるところはない(前述)。
従って不動産取得税及び登録免許税以外の税が課税されるのは当然なのである。詳しくは後述する。

つづく

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2017年2月15日 (水)

「ほぼ通常売買」とは

前回二つ目の基本重要事項として、所有権の移転経路以外は通常の売買と何ら異ならない点を挙げた。なぜこの点の理解が重要なのか。
この点を強調する様になったのは講演の際の質疑応答などで次の様な質問が寄せられる事が多かったからである。

◆具体的な決済の手順はどの様にすれば良いのか
◆固定資産税はABCの誰が負担するのか(精算方法はどうすればよいのか)
◆消費税の負担は発生するのか
◆譲渡所得税、法人税の負担は発生するのか
◆引渡し方法はどうなるのか
◆瑕疵担保責任は発生するのか(だれが負担するのか)
・・・・・・・・等々。

これらの具体的な回答は後述するが(或は「図解」を参照されたい)、要はAB間、BC間にそれぞれ別個の売買契約が存在しているという事、そしてそれぞれの売買契約に基いて発生する売主・買主の権利義務及びその履行方法には何ら(所有権の移転経路以外は)影響がない事を理解して頂ければ特に難しい問題はなく、特殊な取扱いも生じないのである。

つづく

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2017年2月13日 (月)

もう一つの基本事項-ほぼ通常の売買と同じであること

前回まで、基本の重要性が高まっており、その中でも所有権の移転経路の違いを理解していない事によるトラブルが発生している事を説明した。

そして、基本の中でもう一つ是非押さえておいて頂きたいことがある。これだ(下図は実際のレジュメである)。
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2017年2月11日 (土)

基本の理解不足でトラブルに

前回まで、基本が重要であり、その中でも中間者に所有権が移転しないという事の理解が重要であると説明して来た。なぜこの点の理解がそんなに重要なのか。

それは、最近起こっているトラブル、失敗の原因の一つがこの点についての無理解にあるからである。この点に関しては講義の終盤で解説する事になるのだが、その概観だけしておこう。トラブルには次の様な類型がある。

1 課税トラブル
2 代金不払い
3 契約解除騒ぎ
  ①転売の秘匿
  ②転売の失敗
  ③事後の解除
4 地上げの失敗例

そして、基本が理解できていない、あるいは基本をおろそかにしたために発生しているトラブルの典型が課税トラブルである。

課税トラブルとは新・中間省略登記をおこなったつもりなのに不動産取得税が課税されてしまった、或は納付を求められてしまった(納付書が送られて来た)というトラブルである。

詳しくは後述(このシリーズの終盤)する。

さて、もう一つ基本について理解しておいてほしい重要事項がある。

つづく

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2017年2月 9日 (木)

おさらい(新・中間省略登記のポイント)

ここで、これまでのおさらいをしておこう。新・中間省略登記のポイントである。

★旧・中間省略登記の代替手段である。
「同じ事がまた出来るようになった」のではない。一般的に行われていた旧・中間省略登記が、登記申請のしくみが変わったために事実上出来なくなった事により、それに代わる手法として私達が新たに開発した手法である。
★しくみの要点は買主Bに所有権を取得させないという事。
  実務上間違いなく新・中間省略登記を行うためにはこの点の理解が重要である(下図)

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つづく

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2017年2月 7日 (火)

全く新しい手法・・・・「中間省略登記がまた出来る様になった」のではない

前回まで、普通に行われていた(旧)中間省略登記が事実上出来なくなった経緯について書いた。

それまで司法書士会でも承認され広く行われていた流通コスト削減手法が使えなくなったのであるから、不動産実務界からはそれに代わる手法の要望が高まったのは当然である。

その要望に応えて、旧・中間省略登記に代わる不動産流通コスト削減手段として私達が新たに開発し公認されたのが新・中間省略登記である。

新・中間省略登記も旧・中間省略登記と同様の目的を持った手法であるため、旧・中間省略登記が「出来る様になったんですよね」という声を聞く事が当初は多かった。否、今でもその様な誤解をされている向きはある様だ。

しかしそういうわけではなく、新・中間省略登記は旧・中間省略登記とは全く異なる新しい手法なのである。

しかもこの手法には、旧・中間省略登記と同様の登録免許税の削減に加え、不動産取得税の削減という効果が図らずも加えられる事になった(※)

※「旧・中間省略登記でも不動産取得税はかからなかったよ」と言われる事が今でもたまにあるがこれは全くの誤解である。旧・中間省略登記の場合中間者は不動産(所有権)を取得しているのであるから、当然不動産取得税は課税される。登記がされないのでたまたま捕捉されなかったという事はあったかもしれないが。

つづく

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2017年2月 5日 (日)

登記システムの変更(旧・中間省略登記が出来なくなった理由)

前回、不動産登記法の改正による登記システムの変更によって旧中間省略登記が出来なくなったと書いた。

この「登記システムの変更」とは何だろうか?

旧不動産登記法の下では、登記の申請をするにあたって登記原因を証する書面(原因証書)を提出する事が必須ではなかった。
原因証書とは登記原因(登記の原因となる事実または法律行為)を記載した書面である。
例えばA所有の不動産をBが買って、さらにBがCに売った事により、所有権がAからB、BからCと順次移転した場合には、その内容が記載された書面が原因証書となるが、これを提出しなくても登記の申請が可能だったのである(下図)。

170205

ところが不動産登記法の改正により原因証書(新法下では登記の申請がインターネットで行われる場合も包摂して「登記原因証明情報」)の添付が必須になった。原則として形式的審査のみ(※)である登記手続においてできるだけ登記の信頼度を高めるためである。

つまり、A→B→Cと順次売買され、所有権がA→B→Cと転々移転した場合は、その内容を記載した書面を提出しなければならない。この場合にAからCに売買を原因として所有権が移転したという登記申請を行うと、申請内容と提出した書面の内容が異なる事が判明するため登記は受け付けられない(却下される)のである(下図)。

※登記の形式的審査=登記の受否を審査する登記官は原則として提出された書面を形式的に審査する権限しか持たない
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これで、中間省略登記が事実上も出来なくなった。

つづく

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2017年2月 3日 (金)

旧・中間省略登記が「出来なくなった」

前回は、新旧の相違点について書いた。所有権の移転経路の違いである。

ではなぜ所有権の移転経路が違うのか。これは、何故新・中間省略登記が生まれたのか、に関わってくる問題である。では何故新・中間省略登記が生まれたのか。

それは、旧・中間省略登記が(事実上)出来なくなったからである。その経緯を説明しよう。

元来、旧・中間省略登記の申請は法務局には受付けられない。物権変動(所有権移転など)の過程(A→B→C)を忠実に登記に反映させるという「不動産登記制度の原則」に反するという理由からである。 元来受け付けられないはずの中間省略登記が、2005年3月の不動産登記法改正(施行)以前は普通に行われていた。それは次の様な理由からである。
  ① 所有権を取得した者に登記すべき義務はない。
  ② 一旦なされた中間省略登記の有効性は認められている(最高裁)。
  ③ 登記のシステム上中間省略登記であることが登記申請時には判明しない仕組みになっていた。
  ところが、不動産登記法の改正による登記システムの変更で、登記申請時に中間省略登記であることが判明せざるを得ないことになり(③の理由が妥当しなくなった)、中間省略登記は事実上不可能になった。

この「登記システムの変更」とは何だろうか。  つづく

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2017年2月 1日 (水)

最重要基本事項:新旧の相違点

前々回、基本の重要性が高まっていると書いた。

そして基本の中でも特に押さえておいて頂きたい事が二つある。一つが新旧の相違点、もう一つが所有権の移転経路以外は通常の売買と何ら異ならないという点だ。

今日は新・旧の相違点について説明する。

これは、図解にすると分り易い。

【旧・中間省略登記】

170201

【新・中間省略登記】

170201_2

※所有権:170201_3

※登記: 170201_4


こうやって比較すると新・旧の違いは一目瞭然だ。所有権の動きが全く違うのだ。

「旧」では所有権はAからBを経由してCに移転し、登記だけがBを経由せず直接AからCに移転している。

これに対して「新」では所有権も登記同様Bを経由せずにAからCに直接移転している。

この違いが非常に重要なのである。  つづく

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