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2008年2月28日 (木)

新しい中間省略の仕組み―今さら聞けない「新・中間省略登記」④

前回は、「中間省略登記」は旧法時代(平成17年の不動産登記法大改正以前)は普通に行われていたが、新法になって出来なくなったという所までお話しました。

今回は、その中間省略登記(と同じ目的)を実現する方法についてご説明します。

この方法は一昨年末に公認(規制改革会議の答申と閣議決定)されました。

私は、この規制改革会議にも関与し、公認以降この新しい方法で数十件以上の登記を行って参りました。

それと平行して各地司法書士会、不動産業界団体、不動産学会、会計人団体その他で数多くの講演活動も行い、新聞・雑誌・単行本・WEB等での情報発信にも力を入れて来ましたので少しずつこのスキームも普及し始めています。

しかし、残念ながら「中間省略登記ってできなくなったんじゃないの?」という3年前の情報で止まっている方が不動産・金融の世界でもまだまだ多いのも事実です(それには理由があるのですが、それは機会があればご説明させて頂きたいと思います)。

そういった状況があるというのも、この「今さら聞けない・・・・」の連載を始めた理由の一つです。。

その方法が、私が「新・中間省略登記」と呼んでいる方法です(他には「直接移転売買」(住宅新報社)、「中間省略登記代替手段」(日本不動産学会)、「直接移転取引」(日本司法書士会連合会)などと呼ばれています。

どういう仕組みなのか、次の図をご覧下さい。Imgp6740

第2回(中間省略登記)、第1回(原則形態=省略なし)の図と比較してみてください。

では参考までに二つの図をもう一度見てください。

Imgp6742

↑これが原則形態

Imgp6741

↑(旧)中間省略登記

一目瞭然ですね。

中間省略登記は、中段(所有権=物権変動の過程)と下段(登記)の形(ルート)が違うため「不動産登記制度の理想に反する」ということで認められなかったのですが、「新・中間省略登記」(直接移転売買)は一番上の図の通り、形を同じにすることで、「不動産登記制度の理想」に合致するようにしたのです。

つまり、これまでA→B→Cとされていた所有権移転の経路について、Bへの所有権移転を省略して直接AからCに所有権を移転させるというものです。

これによってBへの所有権移転登記が不要になりますから、当然登録免許税もかかりませんし、Bは所有権を取得しませんから不動産取得税も課税されないという効果も出るのです。

この方法によるとどんな物件でも平均3.7~4.0%程度の節税がはかれるのです。

では、これはどんなやり方で行うのでしょうか。

(続く)

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2008年2月26日 (火)

「新・中間省略(直接移転売買)」を行わないという「申合せ」の真相

先日の記事で、「某県司法書士会では直接移転売買を行わないという申し合わせをした」という怪情報(?)が飛び込んできた、と書きました。

そんな事があるのだろうかと、情報源に照会していたのですが、回答が来ました。真相は次の様なことでした。

「某県司法書士会では日司連理事を講師として招いて研修会を行った」そこでは、「実体の確認、関係者へのリスクの説明等、(今までこういう実務が無かっただけに)特に注意が必要です」との説明がなされただけで、やらないようになどという話はなかった。

しかし、この説明を消極的に捉えた司法書士がそういう(やらないという申し合わせがある)発言をしたのではないか、という事でした。

もちろん、この注意事項は数十件の直接移転売買をこなしてきた弊事務所でも当然守ってきた事です。

むしろ「実体の確認」というような消極的な事ではなく、そもそも実体を形成する売買契約書の(特約条項の)作成を殆ど全て手がけるという積極的な関わり方をして来ています。

また、「リスク」についても「説明する」のが仕事ではなくて(むしろ中間者はそのリスクを十分承知の上で依頼してくるのが大半)、そのリスクを如何に少なくするかが私達司法書士の仕事であると考え、その方法を助言し、実践してきているのです。

逆に言えば、実体と異なる手続を当事者が求めてきた場合にはきっぱりと断る事ができ、旧法下よりも適正な業務ができていると言っても良いのではないかと思います。

只、ああいった「怪情報」が出回るという事は、全ての司法書士が私共のような積極的な捉え方・関わり方をしているとは言えず、依然として消極的・否定的な考え方をしている先生方も多いという事なのかも知れません。

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2008年2月19日 (火)

日本司法書士会連合会「直接移転取引に関する実務上の留意点について」の趣旨は?

前回お伝えした東京司法書士会の研修ですが、私の他にもう一人、日本司法書士会連合会常任理事の今川嘉典先生(金沢の方です)もお話をされました。

内容は昨年末に日司連が司法書士向けに出した、「直接移転取引に関する実務上の留意点ついて」という文書に関する解説でした。

「留意点について」には【法務省は直接移転取引を新たな取引形態として認めていない】と取れる記載や、【第二の契約が(他人物)売買の場合は直接移転しない】という意味の記載があること、更に、【司法書士の職責として、司法書士法の規定や司法書士倫理を引用している】などからどんなお話をされるのか少々身構えて拝聴しました。

しかし、今川先生の解説は極めて論旨明瞭で、至極まっとうな(今川先生すみません)お話しでした。

私が一番聞きたかったのは日司連が「留意点について」を出した趣旨でしたが、これに関しては、まず、司法書士が「よくわからない」という理由で依頼を拒否する様な事がないように、内容を理解させるためだというお話でした。

そして、推奨する訳ではないが、禁止するわけでもないので、もしやる場合にはどういう点に留意すべきかを示したものであるということでした。

尚、「留意点」自体は「司法書士がやるべきこと」をきちんとやるということで、弊事務所がこれまでの直接移転売買で堅すぎる位厳格に実践してきた事と殆ど変わらないものです(登記原因証明情報を除き)。

ただ、こう書いてみると、前日飛び込んできた、「某県司法書士会では直接移転を行わないという申し合わせをした」という怪情報(?)もあながち根拠のないことではないのではないかという気もして来ました。

セミナーの写真はこちら

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2008年2月18日 (月)

司法書士会での研修、大盛況でしたが・・・

15日金曜日は東京司法書士会の研修で「新・中間省略登記」(直接移転売買)のお話しをさせて頂きました。

内容は先日このブログでもお伝えした弊事務所主催の「新・中間省略登記 初級・中級講座」(内容はこちら)とほぼ同じ。

200名を超える司法書士の皆さんにご参加頂きました。Imgp7947

質疑応答の時間も十分あったのですが、予想に反してお2人からしか質問は出ませんでした。

もう十分理解されているという事なのか、或いは・・・・。

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2008年2月14日 (木)

熱い!「初級・中級講座」

今日は弊事務所主催の「新・中間省略登記 初級・中級講座」(内容はこちら)でした。

毎月行っていてなかなか好評を博しているのですが、今月も40名の定員があっという間に満杯になりました。

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Imgp7921_2今回から若干の費用(実費程度の3000円)を頂戴する事にさせて頂いたのですが、アンケートを拝見すると、殆どの皆さんが満足してお帰り頂けたようです。

そしてこれはいつもの事ですが、質問が実に活発に出されます。

質疑応答の時間は20分おとりしていたのですが、とてもおさまりきらず、終了時間も超過してしまいました。

そしてこの質疑応答がまた好評でした。

アンケートから一つだけ御紹介しましょう。

「受講前に御社のサイトから資料をダウンロードして目を通していたので、講義自体は大体理解しているものでしたが、実績に裏打ちされている講義は説得力がありました。

また、全て即答されていた質疑応答は、極めて実践的でとても役に立ちました。実践講座を行う際には是非ご案内ください。」(不動産コンサルH社様)。

次回は(年度末の3月はお休みして)4月の予定です(入門編か実践編かは未定)。

そして明日15日(金)は東京司法書士会の研修でこの話をします。

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2008年2月13日 (水)

今さら聞けない「新・中間省略登記」③(「入門の入門」改め) 中間省略登記が出来なくなった。

前回の続きです。

「中間省略登記」が、平成17年3月の不動産登記法の改正により出来なくなったと申し上げました。

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しかし実は中間省略登記というものは改正前後を通じて本来出来ない取扱いなのです。それはどういうことでしょうか。前回の図をもう一度見てみましょう。

これです。Imgp6741

中段(所有権)と下段(登記)の形(ルート)が違うのがわかりますね。

この形が違うと登記は受け付けられないのです。

これを難しくいうと、「登記は物権変動の過程を如実に反映する事が必要」という事になります。

つまり物権変動の過程(A→B→C)を登記にも如実に反映(A→B→Cと登記)しなければならないということです。もっともこれは法律(不動産登記法)の条文に書かれているものではなく、制度の「理念」、「不動産登記法の理想」であるといわれていますが。

ですから物権変動の過程と異なる登記の申請をする中間省略登記は本来受け付けられないものなのです。

ところが不動産登記法の改正前はこの中間省略登記が普通に行われていました。

それはなぜか。

簡単に言うと「バレなかった」からです。

要するに、A→B→Cという過程をたどっているという事を表示せずに、A→Cという登記の申請をしていたので、中間省略登記だという事がわからなかったのです。

そして本来受け付けられない中間省略登記も、ABC3者の合意があり、一旦登記が受け付けられてしまうと、(現在の権利関係に一致している限り)その登記は有効なのです(最高裁判所の確立した判例)。

ということで、中間省略登記は一般的に行われて来ましたし、司法書士会もそのやり方を指導してきました(東京司法書士会の「登記の立会いノート」という実務マニュアルには、「中間省略登記承諾書」のひな型があります)。

では何故それができなくなったのか。

それは、不動産登記法の改正により、バレずに中間省略登記を申請する事ができなくなったからです。つまり、A→B→Cという過程が記載された書面(「登記原因証明情報」といいます)を必ず提出しなければならなくなったのです。

そこで当然、それは困る!という声が上がってきたのです。

(続く)

弊事務所(フクダリーガルコントラクツ&サービシス)で毎月行っている「新・中間省略登記」セミナー、今月はいよいよ明日2月14日(木)18:00からの開催です。

詳細はこちらをご覧下さい。

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2008年2月 1日 (金)

今さら聞けない「新・中間省略登記」②(「入門の入門」改め) 旧・中間省略登記とは

「続きはまた明日」などと言いながら、3ヶ月も更新をサボってしまいました。大変失礼致しました(コメントして頂いた上原さん、申し訳ございません)。

その間にも「新・中間省略登記」(第三者のためにする契約を用いた「直接移転売買」)に対する関心度は急速に高まってきています。

弊事務所(フクダリーガルコントラクツ&サービシス)で毎月行っている「新・中間省略登記」セミナーも、告知と同時にお申込が殺到する状況です。

次回は2月14日(木)18:00からの開催です。

内容は前回までと同じ「初級・中級講座」です。定員は一応40名ですが、前回はお申込が定員を大きく上回り、最終的には枠を60名まで広げさせて頂きました。今回も恐らく同じような状況になる事が予想されますので、早めにお申込頂いた方が良いと思います。

詳細はこちらをご覧下さい。

さて、「入門の入門」の続きです。

前回は、転売スキーム(A→B→C)における「原則形態」を取り上げました。そしてBさんが登録免許税を節約しようとして行われていたのが「中間省略登記」であるというところまでご説明しました。

それを図解すると次のようになります。Imgp6741

一目瞭然ですね(図の見方は前回をご参照下さい)。

所有権(中段)はAからBに移転していますが、登記(下段)だけBの所を飛び越しています。

登記だけAからCに直接移転させているのです。

Bは登記を受けませんから登録免許税の納税義務は当然発生しません。

※中間省略登記が脱税の手段だと言っている方がいらっしゃいましたがそれは違います。納税義務がない以上脱税の問題にはなりようがありません。

この場合の登記簿は下記の様になります。

1|所有権移転
 |原因  ○年○月○売買
 |所有者 A
――――――――――――――――――――
2|所有権移転
 |原因  ○年○月○売買
 |所有者 C
――――――――――――――――――――

当然Bは登記簿上には現われません。

ところがこの「中間省略登記」は平成17年3月に不動産登記法が改正された事により出来なくなってしまったのです。

(続く)

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